ブリヂストンから新登場した「BATTLAX RACING STREET RS12」は先代「RS11」の後継モデルで、ワインディングから自走でのサーキット走行までを網羅するプレミアムスポーツタイヤだ。今回は筑波サーキット・コース1000でRS11との比較試乗を行い、その進化を解き明かしてみたい。

⚫︎まとめ:編集部 ⚫︎撮影:小川裕之/編集部
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テスター:Webikeスタッフ・楠山

今回インプレを担当したのは、タイヤテスト経験豊富なWebikeスタッフの楠山(くすやま)。アマチュアレースへの参戦経験も豊富で、テスト車のCBR600RRも自身の所有。今回はタイヤ交換まで担当!

公道用ブリヂストン最強のドライグリップ

BRIDGESTONE BATTLAX RACING STREET RS12

 

RS12の開発テーマは、ブリヂストンの一般公道用タイヤで最も高いドライグリップを発揮すること。そのためコンパウンド/トレッドパターン/構造のすべてが前作のRS11から刷新されている。

まず、タイヤのセンターとショルダーでコンパウンドを使い分ける「3LC分割構造」はRS11から継承しつつ、ショルダー部にレース用コンパウンドを新採用。さらに、そのショルダー部の割合をフロントは幅広に、リヤは幅狭に分割することで直進安定性と高いコーナリンググリップを両立させている。特にリアは摩耗時のタイヤ表面の荒れを大幅に抑制し、サーキットで周回を重ねてもグリップ力の低下を最小限に留めるという。

ショルダー部(赤い部分)にレース由来のコンパウンドを新採用している。

 

新設計のトレッドパターンは、前後ともにショルダー部から溝を完全に廃してエッジ部がスリック化されており、やはりRS11比でコーナリング時の接地面積を大幅に拡大している。

さらにフロントタイヤにはEWC(世界耐久選手権)での実績をベースとする「HE-MS BELT」をブリヂストンの市販タイヤとして初採用。従来のMS BELTに対し、ベルト素材を伸縮性に優れたものに変更。ブレーキングで負荷が加わった際も接地圧を均一に保って路面への追従性を高め、コーナー進入時の安定したグリップ力に貢献する。

これらの変更により、サーキット走行時の性能はRS11をあらゆる面で凌駕。サーキットのテストでは0.7%のラップタイム短縮に成功しており、周回を重ねた際のグリップダウンも抑制されているという。

RS11のショルダーにはわずかに溝があったが、RS12ではそれも完全に消滅。ショルダー部の溝比率は大きく下がっている。

BSの市販タイヤでは初搭載となるHE-MS BELTは、タイヤ内のベルトに高伸縮な素材を採用。高負荷時でも接地圧を均一に保ち、安定したグリップ力を発揮する。

ドライグリップをはじめ、あらゆる性能でRS11を凌駕。ハンガリーのサーキット・パンノニアリングにおける比較テストでは、0.7%のラップタイム短縮を実現したという(テスト車はBMW・S1000RR)。

しなやかで旋回性抜群、ウォームアップも早い!

RS12とRS11の比較走行テストは筑波サーキット・コース1000で、ST600仕様のホンダCBR600RRを使用。まずはRS11で20分×2本走行し、その後にRS12に履き替えて同様に2本走行した。自走での走行会参加を想定し、タイヤウォーマーは使用していない。

テストに用いたのは2012年式のCBR600RR。ST600仕様とされたレースベース車だ。

同日/同条件でRS11とRS12を比較。スペアホイールに装着して筑波1000に持ち込んだ。

RS11:積極的な荷重コントロールで本領発揮

RS11の1本目はややフロントのグリップ感が掴みにくく、リアも最終コーナーの立ち上がりで長めのスライドが発生したため、2本目は車両メーカーの指定値よりも空気圧をやや下げたところ(※)、タイヤ本来のグリップが感じられ、ブレーキを奥まで残して進入し、強いコーナリングフォースを引き出せるようになった 。

RS11でのベストタイムは37秒120を記録。しかし、その領域ではフロントがダダッと跳ねるような挙動を見せ、リアにもわずかなスライドが発生。サスセッティングで解消できそうだが(今回はテストを優先し行っていない)、強いブレーキングで意図的にタイヤを潰し、荷重をかける積極的なライディング操作で真価を発揮するのがRS11、という印象が残った。

※空気圧のメーカー指定値からの変更は自己責任で行って欲しい

RS11はしっかりと荷重を掛ける、積極的なライディングで真価を発揮する印象。

コーナー進入時は意図的にブレーキを残すことで、強いコーナリングフォースを発生する。

RS12:よく曲がり、しかも扱いやすい!

RS11の結果を踏まえ、指定よりやや下げた空気圧設定でコースインしたRS12は、1本目から別次元のフィーリングを披露した。流しているスピードレンジでも細かな振動が発生せず、全く怖さがない。コーナーへのアプローチではブレーキを残さなくてもフロントが綺麗にインへと入っていく。

さらにブレーキを握り込んで進入すればタイヤ全体のたわみが感じられ、強烈なキャンバースラストによって圧倒的な内向性を発揮するのだ。あまりによく曲がるため、走行ラインそのものがRS11よりも内側へと変化したほど。スピードレンジを問わず常に安心できるフィードバックがあり、ビギナーからエキスパートまで恩恵を享受できる扱いやすさだ。

ウォームアップ性能の早さも驚異的。新品からわずか4周ほどでRS11同等の37秒台に突入し、2本目の走行では2周目から膝を擦れるほどのフルバンクに持ち込めた。タイヤウォーマーなしでも即ハイペースで走れることは、自走でサーキット走行会に参加するライダーには計り知れないメリットだ。

ちなみにRS12のベストタイムは36秒733で、約1%のラップタイムの短縮を達成。空気圧を少し下げたようなしなやかなフィーリングが印象的で、しかも37秒前半のペースで周回を重ねても滑る気配を一切見せず、終始高い安心感を保ってくれた。これはレース用コンパウンドの恩恵だろう。

ブレーキを残さずとも、フロントが綺麗にインに入っていくRS12。速度域を問わない扱いやすさが光る。

タイヤウォーマーはあえて使用せずテストしたことで、RS12の非常に高いウォームアップ性も確認できた。自走サーキット派にとって頼もしい性能だ。

RS11を新車装着する車両には特にお勧め

さらに走行後のトレッド面を確認すると、RS11はタイヤがスピニングして表面が荒れ気味だったのに対し、RS12は路面を確実に捉え続けて滑らないためか、非常に綺麗な摩耗状態を保っていた 。スポーツ走行を繰り返し楽しむ上で、ライフの長さにも大いに期待が持てそうだ。

また、今回のテスト車はサスペンションに手を加えたST600仕様だったが、RS12がターゲットとする公道+サーキット走行会というユーザー層なら、ノーマルに近いサスセットや、メーカー指定値に準じた空気圧でも高い性能を発揮できそうだと感じられた。RS11からの進化幅は極めて大きく、次世代のプレミアムスポーツタイヤというブリヂストンの言葉通りの仕上がりである。

ちなみにRS11はヤマハYZF-R1/R9、カワサキ・ニンジャZX-10R(従来型)/ニンジャH2といったスーパースポーツの新車装着タイヤに指名されていたが、RS12はこうした車両のリプレイスにはまさにピッタリ。RS11の正常進化版と言えるタイヤだけに、ストリートからサーキットまで抜群のマッチングを見せてくれるはずだ。

筑波1000を20分×2本走行した後のRS11。リアタイヤのショルダー部には波打ったような摩耗が見て取れる。

同様に20分×2本走行後のRS12。RS11を上回るラップタイムをマークしながら、ショルダーの荒れは非常に少なかった。

RS11。前後タイヤともに両ショルダー部には短い溝が刻まれる。

RS12。溝が消えた両ショルダー部は完全なスリックに。

RS12・サイズラインナップ/価格

<フロント>
120/70ZR17 M/C(58W)TL:31,350円

<リア>
180/55ZR17 M/C(73W)TL:46,420円
190/55ZR17 M/C(75W)TL:48,510円
200/55ZR17 M/C(78W)TL:51,370円

※フロント1サイズ/リヤ3サイズ展開

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