ウェビックコミュニティ「MOTO HACK 教えて!メンテナンスHACK」キャンペーンに、投稿いただいた中から、参考にしたいメンテナンス方法をご紹介。
もしかしたらマネしたくなるアイデアがあるかも!?

今回は、RFV4に乗る「松千代」さんのメンテナンスHACKをご紹介!

車両とメンテ内容の紹介

車両について

2016年に購入した、aprilia RSV4 RF MY2016です。
主にサーキット走行(筑波サーキット)で使っていますが、シーズン以外は街乗りでも使用しています。
このマシン以前は2009年モデルのRSV4に6年間乗っていましたのでRSV4は2台目となります。

今回の作業

RSV4に良く発生する、フロントブレーキの引き摺り症状の解消について、自分のやり方をご紹介いたします。

使うアイテム

・ブランド
NSK
・品名
ホイールベアリング NSK6205VVC3:2個

ベアリングは国産のNSK製の非接触ゴムシールベアリングに交換します。隙間値はC3です。
付いている純正の物でも問題が無ければ交換の必要はありませんが、自分の場合はとにかくフリクションロスを減らしたいので非接触タイプに交換します。
写真は前輪、後輪、スプロケット分のベアリングです。

・ブランド
オメガオイル
・品名
極圧耐水用ベアリンググリースチューブ 57

オメガのベアリング専用グリスです。このグリスは非常に耐水性が高く、乳化し辛いのが特徴です。
自分はフリクション低減の為ベアリングを非接触シールに変更、またダストシールを取り外してしまうのでこの乳化し辛いグリスに変える必要があります。
オメガのグリスは他にもマルチパーパスでは22や85等もおすすめです。

・ベアリングプーラー

・ベアリングインストーラー

・スナップリングプライヤー(穴用)

・フロントスタンド

作業について詳しく紹介

まず、対策前の状態です。
動画はツーリング走行後の状態です。この時は結構引き摺りが酷いですね。
この時はたぶんエアがブレーキラインに混入していてそれが熱で膨張してピストンを押し出しているのが原因と思われます。通常はこれよりはもう少し回ると思います。

【作業工程】

1. まずフロントホイールを外します。

2. 外したホイールのダストシール、スナップリングを取り外し、ベアリングプーラーを使ってベアリングを取り外します。

3. 新しいベアリングのシールを細いマイナスドライバーを使って外し、中のグリスをパーツクリーナー等で洗い流し、ベアリング専用グリスのオメガ57をタップリ充填し、外したゴムシールを元通りに付けます。

4. ベアリングインストーラーを使い、ベアリングをホイールに挿入します。
RFの鍛造ホイールの場合、必ず乗車右側(ホイールの穴を除くとストッパーがある側)のベアリングから挿入します。ストッパー側をストッパーに当たるまで挿入したら逆側からディタンスカラーを入れ、ベアリングを挿入します。この時、ディスタンスカラーが確実にセンターにあること、ガタが無く動かないこと、なおかつ挿入したベアリングが両方とも指で抵抗無く回る状態に慎重に挿入することがとても重要です。少しでも打ち込み過ぎるとベアリングの回りが渋くなります。

5. ベアリングが正しく挿入されたら、スナップリングを取り付け、ホイールを組みます。
ダストシールを取り付けないためカラーが固定できないのでアクスルシャフトを入れるのが少々手間ですが、慎重に取り付けてください。

ダストシールを入れない理由は、ダストシールを付けることによるフリクションを無くす為です。ベアリングを非接触ゴムシールタイプにしてダストシールを外すことによりかなりフリクションを減らすことができますが、反面ベアリングを水にさらすことになりますので耐水性の優れたグリスを使っています。もちろん多少の雨なら問題ないと思いますが、基本雨天走行はしない方が良いですし、頻繁にホイールを外してベアリングの点検が必要です。
自分の場合はほとんど雨天走行をしないのと、RFは基本サーキット走行がメインのマシンですのでこのような仕様にしていますが、通常使用される方はダストシールは外さない方が良いと思います。

6. ブレーキキャリパーの清掃と揉みだし
ブレーキキャリパーのピストンの動きが正常でなければいくらホイールのフリクションを減らしたり、フロントの正確な組みつけをしても意味がありません。ですので取り付け前に必ず両方のキャリパーの清掃とピストンの揉みだしを行って、全てのピストンが均等に出てくるようにしておきましょう。

7. フロントホイールの正確な組付け
以下にRSV4にお勧めのフロントホイールの組み方をご紹介します。ポイントはアクスルナットでフロントホイールの動きを阻害するように締め付けないこと。ローターをブレーキキャリパーのパッドの真ん中に真っすぐに位置するように組み付けることです。自分が参考にしたのは以下のリンクのDAVE MOSSさんの組み方です。

組み方は、
1)ホイールを持ち上げ、アクスルシャフトをしっかり奥のカラーに突き当たるまで入れる。
2) 乗車向かって左側のフォーク下のピンチボルトを適当に仮締めしアクスルシャフトの回転を防ぎながら、乗車右側のアクスルナットを規定トルクで締める。
3) アクスルナットを締め付けたら、先ほど仮締めした乗車左側のフォーク下のピンチボルトを緩める。これで左フォークはアクスルシャフトに固定されていないので左右に動くことができる。
4) 次に左右のブレーキキャリパーを取り付けるが、この時マウントボルトは指で閉まる位の仮止めにしておく。
5) 左右のキャリパーを付けたら手でホイールを回転させ、何度かブレーキを握ってパッドを出し、ブレーキと回転を数回繰り返す。
6) ある程度繰り返したらブレーキを強く握ったまま、キャリパーのマウントボルトを規定トルクで締める。この作業でブレーキキャリパーをローターに対して正確に真っすぐ取り付けることができます。
7) 次に乗車右側のフォークピンチボルトを規定トルクで締めた後、スタンドを外しタイヤを接地させた状態でブレーキを握らずフロントフォークを数回ストロークさせます。これで左フロントフォークが適正な位置になります。その後スタンドでフロントをもう一度持ち上げ、最後に乗車左側のフォークピンチボルトを規定トルクで締め付けます。

以上の方法で、ホイールをアクスルナットで締めこんで動きを制限するとも無く、また、ローターが正確にパッドの真ん中を真っすぐに通る位置に組み付けることができますのでブレーキの引き摺りの軽減に効果があると思います。この前輪の組み方は、RSV4以外の全てのラジアルマウントキャリパー装着車にもおすすめです。

以上の対策をした後のフロントホイールの状態です。
これで300kmのツーリングから戻った直後の状態です。まるでキャリパーが付いてないような感じですね。これくらい回ると押し歩きがレーサーのように軽いですし、ライディング中もクラッチを切って惰性で走るときいつまでも走る感じになります。もちろん不要なフリクションを無くすことで走行安定性も良くなりますし、摩擦熱も低減されるのでフェードし難くなるし、ブレーキフルードの劣化にもその他のパーツにも良いですし、抵抗が減るので燃費の向上、パワーの向上にもなりますのでお勧めです。

アドバイス

【アドバイス】
・フロントホイールを組む時にはアクスルナットを締めこむことによってホイールの回転に抵抗を生むような組み方はしないように正しく組みましょう。
・外したホイールはブレーキローターが地面につかないように。ホイールを倒したりローターを地面にぶつけたりするとローターが変形する可能性がある。そうなるとブレーキの引き摺りの原因となってしいまいます。
・ベアリングの打ち込みにはコツと慣れが要ります。必ず専用の工具を使い、無理せず慎重に作業しましょう。難しければ迷わずプロに任せましょう。

松千代さん、貴重なメンテナンスHACKの投稿ありがとうございました!
今回紹介させていただいた、松千代さんには、ウェビックで使える1,500ポイントをプレゼント!

 MOTO HACK掲載記事は、ユーザー投稿を構成・転載したものとなります。語られる効果・手法に関してはユーザー裁量によるものであり、そこで起きた不具合等に関してウェビックは一切の責任を負いかねます。

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