カスタムはバイクのひとつの文化であり、Webikeでも多数のカスタムパーツが販売されている。しかし、このカスタムも保安基準を満たしていなければ「違法改造」となってしまい、その状態で公道を走行すれば違反となってしまう。この記事ではカスタムされる率の高い部分やパーツについて、保安基準を踏まえて考えていくことにする。

※一部の画像は生成AIを利用しています

カスタムをする際は「保安基準」を確認しよう

バイクのカスタム、それはバイクの楽しみのひとつであり、様々なパーツが販売されている。カスタムを行なう際に気を付けたいのは保安基準に適合しているかということ。バイクが公道を走行するために必要な条件が保安基準であり、満たしていないバイクは公道を走行することができない。

251cc以上の排気量を持つ車両であれば、保安基準を満たしていなければ車検を取得することができないし、250cc以下でも保安基準は適応されるので交通違反となる。どんな部分の、どんなパーツやカスタムが保安基準に適合しないのか、筆者の愛車である2018年型ヤマハXSR700で見ていこう。

筆者の愛車・2018年式ヤマハXSR700。ご覧の通り多少カスタムされているので、各部を保安基準と照らし合わせてみよう。

〈ハンドル〉幅や高さに注意が必要

ハンドル交換はカスタムの定番であり、体格やライディングスタイルに合わせて変更することでバイクの操作性を上げることができる。バイクはほとんどの場合ハンドルで全幅が決まるので、交換する際に問題になるのは主に全幅だ。

全幅は車検証に掲載されている数値±2cm(クラッチレバーの先端からブレーキレバーの先端まで)となっている。全高はメーターの場合が多いが、車種によってはハンドルになる場合(またはハンドルに取り付けられた部品)もある。その場合、全高は車検証に掲載されている数値±4cm(ミラーを除いた最も高い部分)となっている。それぞれの許容数値を超える場合は構造変更手続きが必要となる。

筆者のXSR700はハリケーン製のハンドルに変更されているが、幅と高さは基準値内に収まっているのでこのまま車検に通る。

〈リフレクター〉サイズや位置に決まりがある

バイクにはリフレクター(反射板)の装着が義務付けられている。元々はリアのリフレクター(後方反射器)のみが義務付けられていたが、2023年9月以降に国の認証を受けたモデルからはサイドリフレクター(側方反射器)も義務化されている。

リアのリフレクターはリアフェンダーに取り付けられていることが多く、フェンダーレスキットを組み込むと純正フェンダーと一緒に外されてしまうことも多い。その場合、ナンバープレート共締めタイプのものなどを追加する必要があるが、その場合に注意したいのはリフレクターのサイズと位置。リアのリフレクターは地上から0.25m以上、1.5m以下の位置に取り付けられる必要があり、サイズは10㎠以上で、色は赤のみ。文字や三角形以外の形状でなければならない。

サイドリフレクターは車体の前後どちらかに取り付ける必要があり、全長の前または後ろから1/3以下で、下縁が地上から0.3m以上、上縁が地上から0.9m以下に取り付けられていなければならない。形状は三角形以外で、色は橙または赤、大きさはこちらも10㎠以上以上となっている。

フェンダーレスキットを装着しているため、リアリフレクターは保安基準に適合するものを装着。2018年なのでサイドリフレクターの装着義務はない。

〈ナンバープレート周辺〉何よりも取り付け角度!

ナンバープレートまわりのカスタムで気をつけたいのは、角度や取り付け位置、取り付け向きなどだ。2021年10月1日以降に登録されたバイク(初回登録/検査/使用届出)の場合、ナンバーの取り付け角度は「手前(上向き)40°〜/奥(下向き)15°/左右向き0°」とかなり細かく指定されている。

それより以前に登録されたバイクはこの基準は適応されないが、取り付け向き(縦に装着するなど)、ナンバーの折り曲げ、プレートカバーの装着などは違反となる。また、取り付けボルトやボルトカバーの大きさも厚さ9mm以下、直径28mm以下で番号を隠さないものと規定されていたり、自賠責シール以外のステッカーの貼り付けも禁止されているので注意したい。

以上の条件を踏まえると、時々見かけるフェンダーの裏側にナンバーを取り付けるいわゆる“裏ペタ”は違反に問われる可能性が高い。

筆者のXSR700のナンバープレートは50°以上の角度が付いている。2018年式なので保安基準には適合しているが、警察に止められるのも嫌なので40°以内に修正する予定。

〈ヘッドライト/ウインカー〉明るさ、色、点滅間隔も

ヘッドライトの保安基準が大きく変わったのは1998年で、4月1日以降に生産されたバイクは常時点灯式のヘッドライトが義務付けられている。色に関しては2005年12月31日以前に製造されたバイクは白色(6000K前後)または淡黄色(3000K前後)、それ以降に製造されたバイクは白色と規定されている。必要な光量は15000cd(カンデラ)以上とされ、取り付け位置は車検証記載の全高よりも低い位置となる。

また、2灯式ヘッドライトの場合はライトの中心を左右対称にする必要があり、ハイビーム・ロービーム共に2個以下の合計4個以下にする必要がある。LEDヘッドライトへの交換といったカスタムを行なう場合は、こうした基準をクリアした物を使用する必要がある。余談ながらLEDは消費電力が小さいため、ハロゲンバルブから交換した際に球切れの警告灯が点いてしまうこともあるので注意したい。

ウインカーは灯光が橙(オレンジ)色で、毎分60〜120回の一定周期で点滅するというのが基本。光源のワット数は10W以上60W以下で、照明部の面積は7㎠以上が必要だが、Eマーク(国連欧州経済委員会規格)が付いていれば、上記の規格を満たしていない超小型のLEDウインカーなども認可される。

また、ウインカーの発光面中心から内側20°/外側方向が80°の範囲から視認できる必要があり、取り付け位置は地上から2.3m以下で、フロントの最内縁が240mm、リアの発光面の中心が150mm以上離れていなければならない。

ヘッドライトはノーマルだが、ウインカーは変更している。サイズは直径3.5cmなので面積は約9.6㎠。明るさ、点滅なども規定内に収まっている。

〈テール&ブレーキランプ/ナンバー灯〉細かな基準が多数アリ

バイクの場合は基本的にテールランプとブレーキランプは一体になっているため、両方の基準を満たしている必要がある。まず、テールランプの基準は、5W以上30W以下で色は赤、発光面積は15㎠以上、夜間300mの距離から点灯が確認できる物となっている。ブレーキランプは15W以上60W以下で色は赤、発光面積は20㎠以上、昼間に100mの距離から点灯が確認できる物となる。また、テールランプの5倍以上の光度が必要で、点滅は禁止されている。

取り付け位置は地上から0.35m以上2.1m以下で、車両の中心から左右対称、テールランプの中心が2mを超えないこととされる。カスタムテールランプに交換する場合は、上記の規定を満たしていることを確認し、取り付け位置にも気をつけたい。

ナンバー灯の装着も義務であり、125cc以上のバイクの場合は夜間20m後方から確認できる必要があり、灯光は白と決められている。ナンバー灯はテールランプと光源を共有している場合もあり、その場合はレンズの一部(ナンバーを照らす部分)のレンズが透明である必要がある。カスタムテールランプでこのナンバー灯部分が透明でない場合は、別途ナンバー灯を取り付ける必要が出てくる。

テールランプも社外品に交換しているが、サイズと明るさは保安基準に合致した物を使用している。

〈ミラー〉年式で鏡面の基準が違う

2006年12月31日以前に製造された原付バイク以外、公道を走行するバイクは左右両側にミラーが取り付けられていなければならない。ときおりミラーが右側しかないバイクも見かけるが、先述の年月日以降に生産されたバイクはみな違反となる。

また、鏡面の面積や形状などにも規定があるので、カスタムミラーに交換する場合は注意が必要だ。鏡面は69㎠以上が必要で、円形ミラーの場合は直径94mm以上、150mm以下とされている。それ以外の形状の場合は120×200mm未満で、直径78mmの円が収まるサイズである必要がある。ただし、型式認定が2004年12月31日以前のバイクと、2006年12月31日以前に製造されたバイクには鏡面の大きさは規定されていない。

その他、歩行者と接触した際に危害を加えない形状で、衝撃を緩和する構造であることなどが求められており、右側のミラーが逆ネジになっているのはこの規定に合わせた仕様だ。ミラーの取り付け位置はハンドルの中心から280mm以上外側とされ、容易に調節が可能であることや、左右外側線上50mの交通状況が把握できる必要がある。最近増えてきているバーエンドミラーに変更する場合は、ミラーの取り付け部など(ミラー本体は幅に含まれない)が全幅±4cm以内に収まっていなければならない。

筆者のXSRのミラーは鏡面が約85×130mmで、直径78mmの円も収まる規定に合った物。割れていたり曇っている物も車検に通らないので注意したい。

〈その他〉気を付けたいパーツなど

チェーンカバー

最後に取り外されることが多かったり、交換されることの多いパーツについて触れておこう。まずチェーンカバーだが、これは基本的に取り付けなければならないという規定はない。ただしチェーンカバーを外すとチェーンオイルが周囲に飛び散って車体や服などを汚すので、あまりお勧めはできない。また、整備や洗車の際などに指を挟む確率も高くなるので注意したい。

チェーンカバーは外してはいないが、社外品に変更している。スプロケットもアルミ製だが、これも車検上は問題ない。

シートまわり

次に乗車定員が2名で登録されているバイクに必要な、シートのタンデムベルトとタンデムステップ。タンデムベルトはグラブバーがあればなくても大丈夫だが、どちらかが装備されていないと、車検のある車両の場合は不合格となる。タンデムステップも乗車定員2名のバイクに必要な部品で、取り外してしまうと車検に通らなくなる。また、250cc以下の車両の場合、これらがない状態で2人乗りをすると違反となる。

また、シングルシートカウルやシングルシートカバーを装着する場合、乗車定員が2名のバイクは1名に変更する構造変更が必要。スズキ・ハヤブサやヤマハXSR900GPなどは純正オプションのシートカウルを装着した状態がオリジナルとも言えるデザインだが、取り付けに際しては「構造変更が必要」と明記されている。

シートはノーマルベースの張り替え品だが車検上は問題ない。グラブバーがないのでタンデムベルトを取り付けている。

スズキ・ハヤブサの純正オプションに設定されるシングルシートカウル。「装着後、15日以内に構造変更を受けること」と明記される。

ステップ周辺

バックステップは、シフトとリアブレーキの操作に問題がなければ車検は問題ない。ノーマルのステップは可倒式が装着されているが、これは固定式でも問題なし。ただし、乗車定員が2名で登録されているバイクでノーマルのステップホルダーがタンデムステップと一体になっている場合、交換するステップがタンデムステップのないタイプの場合は車検に通らなくなるので注意したい。

また、ステップバーの先端が尖っているものも不可で、これはバーエンドやミラーなどにも適応されるので注意したい。。具体的には先端部が「曲率半径が2.5mm未満の形状であり、車体から突き出ている部分が5.0mm以上のもの」が車検に通らない。

固定タイプのバックステップを装着しているが、車検の際は特に問題にならなかった。

タンデムステップはきちんと取り付けており、ステップバーだけ社外品に交換している。

ホイール

基本的に「乗用車用軽合金製ディスクホイールの技術基準」が定める基準を満たした「JWL」の刻印が入った物でなければ車検に通らない。純正のホイールは全てJWL認定品だが、海外製などのカスタムホイールは認可されていないものもある。ホイールのサイズを変更したことでタイヤの外径が変わると、スピードメーターに誤差が生じて車検に通らなくなるので補正が必要だ。また、極端なホイールサイズの変更を行なうと全高が変わることもあり、その場合もそのまま車検を通すことはできない。

ホイールはノーマルなので問題なし。現行のXSR700は、フロントフォークにサイドリフレクターが取り付けられている。

マフラー

最後にマフラーについて触れておく。カスタムマフラーに変えるのであれば、JMCA(全国二輪車用品連合会)認証にしておくべきだろう。音量が規定内であることはもちろんだが、触媒が装着された車両のマフラーを交換した場合「排出ガス試験結果証明書(ガスレポと呼ばれる)」が車検時に必要となる。JMCA認証のマフラーは必ずガスレポが付属しており、車検時もこの書類が必要となる。

中古車で社外マフラー付きの車両を購入した場合、このガスレポが付いていないとJMCA認証マフラーでも車検は通らず、メーカーに再発行してもらう必要があるので注意したい。海外製のマフラーの場合は正規輸入元がJMCA認証を取得していることが多く、その場合、並行輸入品は認定外となるので注意が必要だ。

音量に関しては、近接排気騒音の規制が始まったのが1986年からで、2000年までに製造された250cc以上のバイクは99db(デシベル)、2001年以降に製造逸れた250cc以上のバイクは94db、2014年4月以降に製造されたバイクは車種の基準値+5dbとなっている。昔は車検の時だけバッフルを取り付けるといった話も聞いたが、現在では脱着が可能なバッフルで車検を通すことはできなくなっている(溶接やリベット留めしてあれば良い)。

騒音や排出ガスが基準値以内に収まっていればJMCA認証以外のマフラーでも車検を通すことは可能だが、専用の計測器などが必要になるので個人レベルでは現実的とは言えない。

マフラーはノーマルなので問題なし。元々はMT-07用が取り付けられていたのだが、これでは車検を通せないとショップに言われ、中古のノーマルに交換した。

 

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