カブトの内蔵バイザー搭載モデルとして人気のカムイ-3が「カムイ-5」にフルチェンジを果たした。よりアイポートを拡大し、内蔵バイザーを大型化したほか、ベンチレーションを増設。換気性能を大幅に向上させているという。その実力はいかに!?

帽体からダクト類、内装に至るまで徹底してフルチェンジ

2025年12月中旬に発売されたカブトのKAMUI-5(カムイ-5)。従来のカムイ3が発売されたのは2019年なので約6年ぶりの新作となる。従来のカムイシリーズと同様、快適さを追求したスタンダードモデルの位置づけで、内蔵バイザーやワンタッチバックルなどを採用。さらにカムイ5では、帽体から内装まで全体を大きく見直した。特にベンチレーションがポイントで、配置と形状を変更。口元に上下2段ダクト、頭部センターに吸気ダクト、頭頂部に排気ダクトを備えた。

これらの変更は、CFD(数値流体解析)でベンチレーション性能の最適化を行い、風洞実験で冷却性能を検証済みだ。

さらにアイポート(ヘルメットの開口部)を広げ、シールドは新設計の二軸シールドラチェット構造とロック機構を採用。サンバイザーも大型化され、2段階の位置調整も可能になった。また、内装も変更し、より深いフィット感を実現しているという。

デザインは帽体や頭部ダクトに前作の面影が少しあるが、かなりマッシブになった印象。まさに細部に至るまで全面的に変更されているのだ。

KAMUI-5(カブト)は、内蔵バイザーなどで快適性を追求したフルフェイス。帽体はサーモプラスチック製で、2つのシェル(XS、S、MおよびL、XL)に分けることで細かなフィッティングを実現している。写真は別売のピンロックシート(3300円)を装着した状態。

 

●価格:4万4000~4万9500円
●サイズ:XS、S、M、L、XL
●規格:JIS
●メーカーサイト:https://www.ogkkabuto.co.jp/motorcycle/products/fullface/kamui5/kamui5.html

帽体は、コンパクトだった前作より大型化された印象だが、アイポートを拡大。サンバイザーがノーズガードと重なるほどロング化されている点にも注目。

前後方向にもカムイ-3より長くなった印象。直進安定性の向上に期待できる。二軸構造のシールドベースも新作だ。

後部の排気ダクトは常時開放式。後部のウェイクスタビライザーは前作から形状が変更され、より洗練されたデザインとなった。

後部サイドの突起がウェイクスタビライザー。乱流を抑制して帽体を安定させるカブトの特許システムだ。

前モデルでは額上部の左右に吸気ダクトを設置していたが、センターにワイドな開閉式ダクトを新設。

サイドのダクトは前後に抜けた構造で、頭頂部のダクトに導風する仕組み。

頭頂部の左右に排気ダクトを新設。スライドで開閉でき、リヤのダクトと合わせて帽体内の熱気を吸い出す。

口元は2段階調整式で、上下2列の吸入孔を設置。全開状態では口元とシールドに走行風を導入。半開状態ではシールドにのみエアを導入する。

薄く青みがかったシールドは、UV(紫外線)とIR(赤外線)をカットする、帝人のポリカーボネートを素材として用いた「UV&IRカットシールド」。前作でも採用していた装備で、クリアな視認性を保ったまま、日射熱による温度上昇を抑制する。

新設計の二軸シールドラチェット構造とロック機構を採用。シールドの歪みを抑えつつ密着性と静粛性を向上している。レバーでサンバイザーの開閉が可能。右上のネジをコインなどで回してサンバイザーの高さ調整ができる。

バックルはマイクロラチェット式。確実な作動と、複数の噛み合い爪で微調整を可能にしたカブト独自のダブルアクションタイプだ。

新たに赤いアクセントをあしらったボトム部。柔らかくボリュームたっぷりだった従来型に対し、やや小型化されたが、ソフトで頬を包み込む設計は同様だ。

肉厚で大型の着脱式チンカバーが付属。3か所のスナップボタンで留めるため、確実に固定できる。

被り心地は自然、口元の2段ダクトが抜群に涼しい

実物を手にすると、従来のカムイ-3の面影を少しだけ感じるものの、大幅に洗練された印象。カーボン風の加工やシボをあしらったりと各部の質感も上々だ。さっそく被ってみると、内装のボトムが柔らかく、スッと頭が入るのがいい。

被り心地は、頭全体を適切に保持し、実に自然。緩くもなくタイトでもなく、後部を含めて絶妙にホールドし、特に頬の下をしっかり包み込んでくれる(筆者はアライで59-60cmと61-62cmの間、SHOEIでLのサイズ感)。内装の形状や厚み、クッション構造を一新した恩恵だろう。

重量は1783g(Lサイズ、グレー チンガード込みは1796g)。首を振った際に少し重さは感じるものの、内蔵バイザー付きのフルフェイスでは平均的な重さだ。なおカムイ-3は筆者実測で1625gと軽かったが、帽体の変更やベンチレーションの増設などで重量がアップしたのだと思われる(編集部注:今回テストしたカムイ-5はサンプル品のため、実際に市販される量産品と重量は変わる可能性がある)。

走り出して、すぐ口元の換気性能に驚いた。チンカバーを装着していたのだけど、ダクト全開だと「チンガードを着け忘れていた?」と思うほど走行風がダイレクトかつ強烈に鼻下へ吹き付けてくる。この効果は30km/h程度から体感できた。

なお、ダクトを中間状態(1段だけ開けた状態)ではシールド側に風が導入されるが、それだけでも一般的なヘルメット並みに風が抜けていると感じた。

額から上の換気効果は当初わからなかったが、60km/h程度まで速度を上げると、帽体内の熱気が一掃。カブトのリリースで「これまでにない"抜けの良さ"と"清涼感"を実現しています」と書いてあったが、非常にベンチレーション性能が高いと言える。

帽体内には前後に大きな通気孔を計4つ設置。頭頂部前側の両サイドにもダクトを設けている。

眼鏡やサングラスに対応したチークパッド形状を採用。ツルが収まる部分が薄くなっているため、眼鏡がスムーズに着脱でき、着用中に圧迫感もない。

明暗差がほぼない内蔵サンバイザーが素晴らしい

肉厚のチンカバーを装着していると、アゴ下からの巻き込み風は皆無。周囲の音をある程度シャットアウトしてくれるため、基本的に走行中は静かな部類だ。ダクト全開で100km/h走行すると、頭の傾きによって高音の風切り音が少し発生したが、ダクトを閉じれば、低い風切り音に変化して気にならないレベルになった。

ちなみにチンカバーを外すと静粛性はダウンするが、アゴ下から風が入り込んで非常に顔が涼しい。

そして内蔵サンバイザーが非常に優秀。サイドに少し空間があるものの、鼻まわりの中央部はほぼ隙間がない。メーターの確認などで視線を下に移した際、大部分のモデルは隙間によって明暗差が生まれ、見づらくなるケースがある。本作では明暗差が非常に少なく、視界良好だ。

バイザーはスプリングを使用しない直動式なので、開閉レバーの操作に少し力が要るが、操作性は確実。アップするとロックされ、走行中、不意に下がってくることもない。

なお内蔵バイザーは2段階に調節でき、浅めの設定にもできるが、鼻が接触するなどの不都合がない限り、深く降ろした状態で問題なさそうだ。UV&IRカットシールドは相変わらず太陽の熱を和らげてくれる。内蔵サンバイザーと効果的な換気性能が相まって、夏場での快適性に大いに期待できそうだ。

また、各部のスイッチが軽く操作できるのも美点。ワンタッチバックルも便利で、着脱しやすい内装と相まって、着脱が多い街乗りでも活躍できるだろう。

内蔵サンバイザーは2段階調整が可能。デフォルトの下げた状態(写真左)はノーズガードの下までしっかり覆う。上げた状態(写真右)にすると約8mm上方に。これでもしっかり目元を覆ってくれる。

アゴ紐カバーを含めて内装は全て着脱可能。表地に繊維上の細菌の増殖を抑制するDEOFACTORの「制菌加工」を採用する。さらにサラッとした肌触りのCOOLMAX生地も一部に使用。

耳元のパッドを外すとスピーカーホールが出現。コードを収めるミゾや、インカムなどを取り付けるためのスリットも設置されている。

[まとめ] 従来のカムイ-3より快適モデルに進化、コスパも優秀だ

カブト最新作のカムイ-5は、被り心地、ベンチレーション、視界のよさといった快適性を全方位的に向上している。街乗りからツーリングまで幅広く活躍できるモデルだ。

前作は内蔵バイザー付きながら軽量コンパクトなのがウリだったが、カムイ-5はとことん快適さを追求した印象。なお前作は単色で4万1800円だったのに対し、本作は大幅な進化を遂げながら2200円増で済ませているのはかなりお買い得だ。

内蔵バイザー搭載のフルフェイスではSHOEIのGT-Air3(7万400円~)が人気だが、このカテゴリーを探している人はカムイ-5を選択肢にぜひ加えてみてほしい。

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