「エシュロン」は、燃料タンクなどの外装類やメーター、ヘッドライトなどに貼り付けて傷から守る、無色透明の車種別プロテクションフィルム。その特徴はバイクの外装のような、複雑な曲面にも施工可能な伸張性の高さにあるという。その実力はどんなものか? Webikeスタッフが実際に作業してみたぞ!
取材協力:エシュロン
素材的には「貼る塗装」?
「エシュロン(ECHELON)」は4輪用のガラスコーティング剤を日本で初めて製品化した、この分野における草分け的なブランド。2000年の立ち上げ以降、コーティング剤や自動車窓用フィルムなど、4輪の美観を保つためのプロフェッショナル商品を数多く手がけてきた実績を持つ。
そんなエシュロンが初の一般ユーザー向けとして発売するのが「ECHELON Motorcycle Paint Protection Film」(以下 エシュロンPPF)。燃料タンクなどの外装や樹脂レンズのメーター/スクリーン/ヘッドライトなどに貼り付けることで、飛び石や擦り傷、紫外線などから守ってくれる製品で、スマホの液晶画面に貼る保護フィルムのようなものと思えばいい。
特徴としては無色透明かつ非常に薄い(0.19mm)ため、施工すると全く目立たなくなり、バイク本来のカラーリングやデザインを損なわないこと。さらにフィルム自体が強靭かつ伸張性に優れるため、保護能力や作業性が非常に高いことが挙げられる。塗装や樹脂を劣化させる紫外線も99.6%カットしてくれるうえ、その性能が5年耐久(保管状況によって異なる)なのもポイントだ。
いわゆるラッピングに類したものと思うだろうが、一般的なラッピングは主材がポリ塩化ビニル(=シャワーカーテンやテーブルクロス等の素材)なのに対し、エシュロンPPFはTPU(熱可塑性ポリウレタン)製。これはクルマやバイクの塗料と同じ素材で、つまりエシュロンPPFはフィルム状をした“貼るクリア塗装”なのだという。
ちなみに同社の社用車(4輪)は、紫外線で黄色く変色しやすい樹脂製ヘッドライトにプロテクションフィルムを施工していて、施工後6〜7年が経過しても黄ばみは一切発生していないという。エシュロンPPFの高いUVカット効果を示す一例だ。
ラインナップは国内外の65機種が設定されており、さらに増加中。フィルムは部位ごとにカッティングされており、1台分のセットもあるし、燃料タンクやメーターといった部位ごとの購入も可能。施工は自分で作業を行うか、施工ができるお店でサービスを受けるかが選択できるとのこと。
自分で作業…と聞くとハードルが高く感じるが、メーカーによれば作業を容易にする工夫が多く盛り込まれており、作業手順を解説した説明書も同梱されるため、経験がなくても十分に施工可能だという。それならばとWebikeスタッフが人柱となり、試してみることにした次第だ。
フィルム自体は柔軟かつ強靭
被験車両はカワサキZ900RSで、今回はメーター/燃料タンク/サイドカバーの3点にエシュロンPPFを貼ってみる。まずはフィルムを触った印象だが、柔らかく、しっとりとした質感が印象的。それでいて強靭で、ボールペンを突き刺してグリグリしても穴が開く気配すらない。説明書は作業手順だけでなく、所要時間や5段階の作業難易度も示されているのが印象的だ。
フィルムはホコリや油分を嫌うため、まずは洗車してホコリや油膜を除去(作業場所は室内で、フィルムが柔らかい気温18〜30度での施工が理想とのこと)。そして作業に使う施工液/水/ウエス/ゴムヘラを用意する。重要なのは施工液と水で、前者は市販の中性洗剤を希釈したものでもOK。それぞれを別のスプレーボトルに入れ、いつでもフィルムに吹きかけられるようにしておく。ヘラは曲面に追従できることが重要なので、プラスチック製でなくゴム製が望ましい。
まずは難易度1(=5段階でもっとも易しい)のメーターパネルから。フィルムの粘着面は指紋が付着しやすいため、指先およびフィルムの粘着面には施工液をたっぷり吹きかけておく。フィルムが台紙の上でヌルヌル滑るくらいがベスト。これでホコリも付着しにくくなるし、この後の作業性もよくなる。
次にメーターパネルにも施工液を吹きかけ、ヘラでそぎ落とす作業を繰り返してさらに念入りにホコリを除去。そしていよいよフィルムの貼り付けだ。台紙からフィルム(繰り返すが、指先と粘着面には施工液をしっかり吹いておく)を剥がしてメーターパネルに載せる。この状態ではフィルムはヌルヌルと動かせるため、フィルムがメーターパネルの中央に来るよう位置を調整する。
そしてフィルムとメーターパネル内の施工液をヘラでしごいて押し出していく。ヘラの滑りをよくするためフィルム表面にも施工液を吹きつけておき、中央から外側に、放射状に施工液をしごき出していくとフィルムがズレにくい。ヘラはエッジを面で当てる意識が大事で、力は軽く押し付ける程度でOK(曲面も同様)。ぎゅっと力を入れるとフィルムがズレたり、最悪は伸びてしまうこともあるそうだ。
この作業を終えると、フィルムは多少の力ではズレない初期固定状態になるので、表面をウエスで拭い、ホコリや空気を噛んでいないかを確認、問題なければ作業終了だ。もし空気が入っていたらヘラで押し出すか、その部分を剥がしてやり直す。シワは入りにくい部位だが、もし入ってしまったらフィルムを引っ張って伸ばしてやる。
他の部位も基本的な流れは同じだが、メーターパネルは難易度1だけあり、事前準備と作業手順さえ間違えなければそう失敗はしないと感じた。価格面も含め、エシュロンPPFを試すならこのあたりから手を出すのがいいと思う。
「施工液」と「水」の使い分けが最大のポイント
続いて難易度「3」の燃料タンク側面にチャレンジ。ニーグリップなどで擦り傷が付きやすく、プロテクションフィルムのニーズも高いはず。メーターパネルと違うのは貼っていく順序があり、これを守るのが重要なこと。エシュロンPPFは実車でシミュレーションを行い、全てのフィルムで最適な作業順序をデータ化しているのだ。
まずはメーターパネル同様、フィルムの粘着面を施工液でヌルヌルにしてタンクに載せる。手順的に違うのはここからで、下の説明書の写真にある①の部分を「固定」するのだ。
固定? そう、実はエシュロンPPFの真骨頂はここから。施工液でヌルヌルしているフィルムの①の部分をぺろっとめくり、粘着面に「水」を吹き付けて施工液を洗い流す。繰り返すが、ここで吹き付けるのは施工液ではなく普通の水だ。
そして再度タンクに貼り付け、ヘラでしごいて内部の水を押し出すと…フィルムの①部分は前述の初期固定以上の力でタンクに張り付き、そう簡単には動かなくなるのだ。今までヌルヌル動いていたフィルムが、水を使った途端にピタッっと動かなくなるのはちょっとした驚きすら覚える。
こうした現象が起きるのは、フィルムの糊の粘着力が施工液よりも弱く、しかし水よりは強いため。この性質を利用して、つまり施工液と水を使い分けることで、フィルムが施工面に張り付く粘着力をコントロールできるのがエシュロンPPFの作業性を高めているポイントだ。
そして①がしっかり固定されたことで、ここを支点としてフィルムを引っ張り、曲面に沿わせていくことが可能になる。ここで今度はエシュロンの「高い伸張性」が活きる。柔らかく伸びがいいので、かなりグイグイ引っ張りつつ曲面に沿わせていけるのだ。そして、シワが入らないように曲面に沿わせることができたら、その状態をキープできるように水でフィルムを固定。そしてヘラで、フィルム内側の施工液をしごき出すように押し付けて本格的に貼り付けていく。
この「固定する」「引っ張る」「ヘラで押し付ける」を繰り返してフィルムをフィットさせていくわけだが、正直に言ってメーターパネルほど簡単には施工できない。一発では決まらないので何回かやり直したし、曲率の強い部分はシワも入りやすく、ちょっと悩む場面も。
ただし粘り強く作業しているとフィルムも馴染んでくるのか、徐々にシワなく追従するようになり、最終的にはかなり綺麗に貼ることができた。以前にエシュロンの担当者に施工してもらった逆サイドと見比べても素人目にはさほど遜色がなく、眺めて悦に入る(ただし商品特性的に施工後はほとんど目立たないため、うまく貼れば貼るほど施工したことが分からない)。
時間的には説明書の目安時間の1.5倍くらい掛かった印象はあるが、逆に言えば時間を掛けることで、初心者もそれなりのレベルに持っていけるということでもある。常に施工液で濡れた状態を保ち、乾燥を防いでおけば何度もやり直せるし、水で固定した箇所も10〜15分以内なら剥がして再施工が可能。時間に追い立てられず、しかもやり直しが利くのはビギナー作業者にとって非常に心強い。
難しそうな場所はやっぱり難しい
最後にサイドカバーにも挑戦してみた。ここはそもそも形状が複雑なうえ、凸と凹が連続した面があり、中央には車名エンブレム用の穴も開いている。説明書の難易度は「3」ながら、エシュロンの担当者も“もっと難易度が高いかも”という場所だ。
結論から言うと数箇所にシワが残るなど、タンクほど綺麗には貼れなかった。ただし、最初は作業を始めたのを後悔するほど歯が立たなかったのが、粘り強く作業を続けているうち、最終的に1〜2m離れれば見られる程度にはなった。何度もやり直しが利く、エシュロンPPFの作業性サマサマだ。
そんなわけでエシュロンPPFの良さは十分に理解できたのだが、部位によって難易度の差は明確に存在した。まずは簡単な部位で練習しておき、それから難易度の高い部位に挑むほうが失敗は少ないだろう。あとは作業用ツールの準備や施工手順などの手を抜かなければ、初挑戦でも成功率はかなり高いと思う。
最後に書きそびれたポイントをいくつか。完全乾燥の所要時間は24時間ほど必要だが、その後は普通に洗車したり、ワックスやコーティングを掛けてもOK(種類によっては弾く場合もある)。フィルムの施工面は光沢が増すのも美点だ(ただし退色が進んでいると、施工した部分としなかった部分で色の差が出る可能性がある)。元々の塗装面に擦り傷がある場合、それを隠蔽して目立たなくする能力があるのもエシュロンPPFの嬉しい点だろう。
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TPUなのに5年持つのはすごい
スマホのクリアケースとか半年で黄ばむのに
切り出してあるのだけじゃなく、自分で切るロール状のは売ってないのかな?