【PR】岸田精密工業 文:栗田晃
戦闘力では最新モデルにかなわないものの、街中でもツーリングでも林道でもユーザーに寄り添い、オールマイティに楽しめる2000年代以前のトレールモデル。空冷エンジン+キャブレターの組み合わせはシンプルで「いつか乗ろう」と長期保管するユーザーも少なくないが、久しぶりに引っ張り出してみたらキャブレター内部でガソリンが劣化していた……ということもある。そんな時に頼りになるのが、オーバーホールやセッティングに必要なパーツが一式揃ったキースターの燃調キットである。
目次
登場から40年を経てもファンが多いME06型XR250R
1980年代のバイクブームでひときわ盛り上がった林道ツーリングやエンデューロ。それらのシーンで常に中心にいたのが1985年に登場したホンダXLR250だった。そして当時、公道用モデルのXLR250と並んで人気があったのが競技専用車のME06型XR250Rだった。ナンバーが取得できないものの、大流行していたエンデューロやラリー競技で引っ張りだことなり、当時は逆輸入車両に保安部品を装着して登録されたXRも数多く存在した。
ナンバーが付かない=軽自動車税を支払う必要がないため、乗らなくなった後も車庫やガレージで所有し続けるユーザーもいて、「そのうちまた乗ろう」と言ったまま何年も経過して放置車両状態になってしまった例も少なくない。
その際にガソリンを抜き忘れると厄介なことになる。ガソリンタンクやキャブレター内部に残ったガソリンは経年変化で揮発してワニス化して、キャブレター内部に詰まったり空気中の水分と結合してサビの原因になるからだ。車体やエンジン本体に問題がなくても、混合気を作るキャブレターのコンディションがイマイチでは、気持ちよく走ることはできない。
キャブレタークリーナーで洗浄することで回復すれば幸いだが、ジェットの穴に詰まった硬いワニスを取り除こうとピンバイスを使ったり、緑青が吹いたジェットニードルをワイヤーブラシやスチールウールなどで強く擦ると、厳密に管理された寸法が変わってキャブセッティングに影響することがある。

具体的な期間は不明だが、完全にガソリンが干上がったフロートチャンバー内部の様子から、長期放置状態だったのは間違いないXR250R用純正キャブレター。車体が大きく傾斜してもメインジェットにガソリンを供給できるよう取り付けてある、ハカマと呼ばれる樹脂パーツもガソリン焼けしている。
キャブいじりに必要な部品がすべて入った燃調キット

ME06型XR250R用キャブレターとME06型用燃調キット。ME08型になってもキャブレター本体はケーヒン製PDタイプだが、ジェットやニードルのサイズが異なる。セッティング用のジェットやニードル、ニードルジェットやメインジェットホルダー、ニードルバルブやパイロットスクリューなど、オーバーホールやセッティングに必要なすべてのパーツが入ったキット価格は税込4400円とリーズナブル。
キャブレター内部の部品交換が必要な場合、バイクメーカーの純正パーツはジェット、ニードル、ガスケット、パッキンなどなど、構成部品1個ごとに部品番号が付き、購入する際は部品番号をすべて明記しなくてはならない。
そのため注文時には部品番号を知るためのパーツリストが必要で、絶版車の場合は必要な部品が販売終了となっていることもあるので注意が必要だ。
だがキースターが独自開発している燃調キットは、純正キャブレターのメンテナンスやセッティングに必要なパーツをすべてセットにして販売しており、さらに車種名や型式名が分かれば個別の部品番号が分からなくても購入できるのが大きな魅力。
XR250Rは年式によってME06型とME08型の2種類があり、純正部品はパイロットジェットとメインジェット、ジェットニードルとニードルホルダーの仕様が異なるが、燃調キットはそれぞれの型式向けに設定しているので、パーツ選択を誤ることはない。
キャブセッティングを左右するパイロットジェットやメインジェット、ジェットニードルに関して、純正サイズとは異なるパーツを加えているも燃調キットの特徴だ。純正キャブレターのジェットやニードルは基本的に1サイズのみなので、吸排気系パーツの変更やエンジン本体のコンディション変化に対応できないこともある。だが燃調キットには純正サイズを中心に3種類のパイロットジェット、6種類のメインジェット、4種類のジェットニードルが入っているため、エンジンチューニング時はもちろん、ノーマルエンジンでもより細かなセッティングが可能となる。

ガソリンで変色した純正パーツと燃調キット内の新品パーツの比較。ジェット類は穴の詰まりが問題になるが、メインジェットホルダーの先にあるニードルジェットは、吸気脈動によってジェットニードルで内径を叩かれることで穴径が拡大していることがある。
キャブレターが一新されたスーパーXR250(MD30)用キャブレターの特徴とは?

XLR時代のピストンバルブ式からCV式のVEキャブレターに変更されたのがスーパーXRのトピックだ。バキュームピストンのダイヤフラムを収めるため、トップカバーはCVならではの形状だが、それとは別にスロットルドラムにレバーが付いているのが特徴。
1985年のデビューから10年近くに渡り、デュアルパーパスカテゴリーを盛り上げる立役者となったXLR250と競技車両のXR250。その後継機種として開発されたのが、1995年にデビューしたスーパーXR250とスーパーXRバハである。フルモデルチェンジにふさわしく、フレームからエンジン、足周りまで一新されており、エンジンはホンダ4ストローク250単気筒伝統の放射状4バルブを継承した新設計モデルで、潤滑方式をウェットサンプからドライサンプに変更し、新たにセルモーターを搭載。
ここに組み合わされるキャブレターも、XLR時代のピストンバルブ式のケーヒンPD型に代わって、新開発のケーヒンCV型に変更された。バキュームピストンを採用するCV型キャブレターはエンジンが発生する吸入負圧に応じてスロットルバルブが開閉するため、ピストンバルブ式のPD型よりスロットル操作力が軽く扱いやすい。
一方でスロットル開け始めのレスポンスを向上させるため、スロットル低開度から中開度領域では、スロットルドラムと連動するアームが強制的にバキュームピストンを開くことでレスポンスを向上させ、中開度以上では吸入負圧を利用する機構を採用。
またスロットル開度とエンジン回転数に応じて点火時期を最適化するためスロットルポジションセンサーが装着されるなど、キャブレターの性能を最大限に引き出すための新機能が盛り込まれているのが特徴だ。
長期保管車のキャブメンテナンスはパイロット系の確認が重要

スーパーXR250/スーパーXR250 BAJA用燃調キット。MD30型XR250用キャブレターは排気ガス規制前後で2タイプ存在し、燃調キットの設定も2種類となる。キットの内容はセッティング用のジェットやニードル、ニードルジェットやメインジェットホルダー、ニードルバルブやパイロットスクリューなど、オーバーホールやセッティングに必要なすべて揃っており、価格は税込4400円。
負圧キャブレターの完成形に近づいたスーパーXRのCV型キャブレターだが、メンテナンスやセッティングに関しては一般的なキャブレターとの違いはない。長期不動状態だったキャブを復活させる場合、スターター系やパイロット系のチェックが不可欠だ。
キャブレターセッティングというと、スロットル全開領域のメイン系が注目されがちだが、街乗りでもツーリングでも多用するのはスロットル開度が小さい領域であり、スロットル開度1/2~全開になる状況は非常に稀だと言っても良い。
そうした状況で仕事をするのはパイロットジェットであり、パイロットスクリューである。メインジェットに比べてパイロットジェットの穴径が小さく、パイロットスクリューで調整するパイロット系通路はさらに狭いためガソリン流量が少ないのと同時に、劣化したガソリンが詰まりやすいという弱点もあるのだ。
劣化したガソリンやインテーク側から吹き返したカーボンがパイロットスクリューのテーパー部分に付着すると、パイロットアウトレットが狭まって混合気の吐出量が減少し、始動性が悪化したり、スロットル低開度領域の混合気の薄さによるパンチ感の低下につながる場合もある。
そうした状況を見逃してセッティング変更を行っても、正しいキャブセッティングはできない。パイロットスクリューの汚れでアイドリング域が薄い時、スクリューの戻し回転数を増やすと症状は一時的に改善するだろう。しかしそこからスロットルを開けると、混合気が過剰に供給されてギクシャク感が出たりボコつく可能性もある。
冷間時の始動性を向上させるチョークも同様だ。スーパーXRの始動系統にはチョークノブで開閉するスターターバルブ(スタータープランジャー)が採用されている。その先端には始動用通路を開閉するゴムシールがある、経年劣化により弾力を失うとチョークを戻してもガソリンが流れ続けて混合気が濃くなることがある。
しかしここでジェット類を交換してしまうと、本来のセッティングとは異なる結果になりかねない。
燃調キットは純正キャブレターのセッティング変更を可能にする製品だが、セッティングを行うには各部が正常に機能するのが前提となる。長期間使用していないキャブは一見するとそれほど汚れていないようでも、オーバーホールやクリーニングが必要というのはそうした理由があるからだ。

キャブレタークリーナーで洗浄した取り外したパーツ群(左)と燃調キットの新品パーツ。今回は外したジェットの穴が詰まっていなかったためまだ幸いだが、緑青を吹いて腐食したり穴が詰まっている場合、新品パーツのありがたみは一層アップする。
トレールモデルの金字塔。ヤマハセロー用燃調キットも大好評

1985年に登場した初期型はピストンバルブ式を採用したが、1987年の2LN0型以降は負圧式キャブレターを採用したセロー225。型式によってジェットやニードルのセッティングが異なるので、燃調キットを購入する際は型式の確認が不可欠。

ロングセラーであるがゆえ中古車として売買されることも珍しくなく、そうした履歴の中で年式違いのキャブレターが装着されていることもある。その場合「フレームナンバーで判断するのか」「装着された部品そのもので判断するのか」が難しい問題となる。
ここで取り上げるセロー225は、車台番号で区別すれば1995年に発売された機種コード4JG2型に該当するが、車体に装着されているキャブレターのメインジェットとパイロットジェットのサイズをパーツリストで確認すると、4JG2ではなく一代前の4JG1型のセッティングになっていた。そのため4JG1用燃調キットを使用した。
1985年のデビューから2004年まで、約20年に渡るロングセラーとして多くのユーザーに愛されたヤマハセロー225。足着き性に優れた低いシート高やスリムで軽量な車体は、ツーリングと林道を組み合わせたシーンに対応しビギナーからベテランまで数多くのファンを生み出した。
キャブレターに注目すると、初期型はトレールモデルの標準装備ともいえるピストンバルブ式を採用し、1987年のマイナーチェンジ時に負圧式に変更された。これはスロットル操作に対する柔軟性をアップさせることが最大の目的だった。余談だがこの仕様変更と前後してセルモーターが装備されたのも、長寿モデルとなる重要なカギとなった。小柄な車体に魅力を感じてセローを購入した女性ライダーにとって、ボタンひとつで再始動できるセルモーターはエンストの恐怖を和らげ、荒れた林道でスタックしてエンストしたような時には、男性ライダーにとってもありがたい装備となった。
そんなロングセラーモデルに対して、キースターでは以下の燃調キットを設定している。
・初期型1KH、1RF用(1985~1986年)
・3RW用(1989~1993年)
・4JG1用(1993~1994年)
・4JG2-4用(1995~1997年)
・4JG5-6用(1997~1999年)
・DG08J用(2000~2004年)

キャブ本体から外れる部品を全て取り外したら、キャブレタークリーナーで入念に洗浄する。外観もさることながら、クリーナーをキャブ内部の空気やガソリンの細かな通路に流し込み、汚れに浸透させて除去することが重要。
スロットル急閉時のアフターファイヤーはエアーカットバルブの劣化を疑う
ここで紹介している4JG2型セローに限らず、キャブレターの中にはエアーカットバルブを装着しているものがある。エアーカットバルブはエンジンブレーキ使用時など走行中にスロットルを戻した際に生じる混合気の大きな変化を和らげるためのパーツで、ゴム製のダイヤフラムとスプリングで構成されている。
スロットル開度が大きい状態からスロットルを急閉して吸入空気を遮断すると、混合気が突然薄い状態になりマフラー内部で大きな破裂音を伴うアフターファイヤーが発生する。
パイロット系統に組み込まれたエアーカットバルブは、通常走行時はパイロットジェットに吸入空気を流しています。ここでスロットルバルブを閉じると、エアーカットバルブが作動してパイロットジェットに流れる空気が遮断されます。
すると吸入負圧に対してパイロット系の空気が不足する分、パイロットジェットからガソリンが余計に吸い出されて混合気が濃くなり、アフターファイヤーが抑えられる。
そのため経年劣化などでエアーカットバルブのダイヤフラムが破損すると、スロットルを急閉してもパイロット系統のエアーが減少せず、アフターファイヤー発生の可能性が高まるのだ。キースターでは燃調キットとともにエアーカットバルブも開発しており、燃調キットとセットで販売している。
セロー用の場合、6種類の燃調キットのうちピストンバルブ式キャブレターの初期型(1KH・1RF)と2000年以降のDG08J型以外の4種類のキットに、エアーカットバルブ付きを設定しており、「燃調キット(税込4400円)」か「燃調キット+エアーカットバルブ(税込6050円)」を選択できる。
エアーカットバルブを事前に確認して不具合がなければ、燃調キット単品を購入すれば良いだろう。しかしエアーカットバルブは単品では販売しておらず、どの機種も製造から長い年月を経ていることを考えれば、エアーカットバルブ付きセットを購入しておいた方が後々も安心できるだろう。

スロットル急閉時のアフターファイヤー抑制に重要な働きをするエアーカットバルブ。キースターの販売方法は「燃調キット」か「燃調キット+エアーカットバルブ」の2種類で、エアーカットバルブ単品では販売していないので、購入前にダイヤフラムの状態を確認した方が良い。製造が1990年代半ばということを考慮すれば、無条件でエアーカットバルブ付きセットを購入したほうが賢明だろう。
キャブレターに触りやすい単気筒モデルこそ燃調キットを活用しよう
ここで紹介した3機種はいずれも単気筒のトレールモデルだが、キースターはオンロードシングル用の燃調キットのラインナップも充実している。2気筒や4気筒モデルに比べてキャブ本体の着脱や分解組立作業が容易で、マルチキャブのメンテナンスで重要な同調調整も必要ないシングルキャブは、メンテナンスの経験が少ないライダーにとっても手を出しやすいのが魅力でもある。
長期間不動状態だったバイクを復活させる時、あるいは吸排気系パーツを変更して純正キャブセッティングのままでは扱いづらさを感じるようになった時には、キースターの燃調キットでぜひ好調なフィーリングを取り戻してもらいたい。
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