
バイクのカスタムで定番といえば、マフラーを社外品に替えることもそのひとつ。ルックスや排気サウンドなどを変えられることで、昔から高い人気を誇りますが、実際に社外マフラーにはどんなタイプがあるのでしょうか? また、近年はマフラーの不正改造に対する取り締まりが強化されていますが、合法マフラーを選ぶ際のポイントとは何でしょうか?
目次
社外マフラーに交換するメリット
バイクはマフラーがむき出し。交換することで、性能だけでなく、見た目を変えることができるなど多くの魅力があり、昔から手軽なカスタムとして人気があります。では、実際に、どんなメリットがあるのでしょうか? それは、主に以下4つの効果が挙げられます。
ドレスアップ効果
好みの形状やカラーの社外マフラーに交換することで、バイクの見た目を変えることができます。後述するタイプや材質などによっても雰囲気が変わるため、いろんな組み合わせが可能で、多様なスタイルを楽しめます。
軽量化
純正がスチール製やステンレス製など重いタイプの場合、より軽いチタンやカーボンの社外マフラーに替えることで、車体の軽量化を図ることができます。車種や製品にもよりますが、5kg以上軽くできるアイテムもあります。
排気音の音質を変える
排気音を自分の好みに変えることも可能です。高音のレーシーなサウンドや重低音タイプなど、こちらもタイプによってさまざま。ただし、近年は排気音や排気ガスの規制値が厳しくなってきた関係で、社外マフラーもかつてほど特徴ある音を出しづらくなっているのも確かです。また、詳しくは後述しますが、いわゆる「合法マフラー」でないと、排気音が大きくなり過ぎるなどで取り締まりの対象にもなりますから、注意が必要です。
パワーアップ
車種やタイプ、メーカーなどにより変わりますが、馬力をアップできるタイプもあります。ただし、これも近年は騒音や排気ガスの規制が厳しいことで、昔ほど大きなパワーアップは見込めなくなったとも言われています。また、装着するマフラーの構造や特性に合わせて、ECUなどのセッティングをするか否かでも変わってくる場合があるようです。
社外マフラーにはどんな種類がある?
社外マフラーには、構造により、大きく分けて「フルエキゾーストタイプ」と「スリップオンタイプ」といった2タイプが販売されています。それぞれの特徴は、主に以下の通りです。
フルエキゾーストタイプ
基本的にマフラーは、エンジンから発生した排気ガスを通過させる「エキゾーストパイプ」、そして、エキゾーストパイプと繋がり、排気ガスの低減や排気音を抑える「サイレンサー」から構成されているのはご存じの通り。フルエキゾーストタイプは、これらエキゾーストパイプとサイレンサーが一体となっているタイプです。
基本的に、バイクのマフラーはエキゾーストパイプの長さや形状で出力特性などが変わってくるといわれています。また、サイレンサーも形状や大きさ(容積)、内部構造などが、消音効果や音質特性などへ影響を与えることが知られています。
そのため、マフラーのすべてを純正から変更できるフルエキゾーストタイプの社外マフラーは、性能や音質などを比較的変えやすいといえます。ただし、これも先に述べた通り、近年は排気音や排気ガスの規制が厳しくなっているため、性能面で格段に向上するとは限りませんので念のため。
ちなみに、フルエキゾーストタイプは、エキゾーストパイプとサイレンサーのどちらもデザイン自由度が高いため、ドレスアップ効果も比較的大きいのも魅力。ただし、価格は数十万円するものが多く、比較的高価な製品が多い傾向。そのため、価格と交換した効果が見合うかどうかは、できるだけ事前にチェックした方がいいでしょう。
スリップオンタイプ
エキゾーストパイプは純正を流用し、連結部から後ろのサイレンサー部分のみを交換するのがスリップオンタイプです。
サイレンサー部分のみの交換であるため、性能向上というよりは、ちょっとした軽量化や音質の変更、ドレスアップ効果などがメリットといえます。また、フルエキゾーストタイプと比べると、10万円以下の安価なタイプも多いため、比較的気軽にカスタムできることも魅力でしょう。
材質によってもメリットや特徴が変わる
社外マフラーを選ぶ際には、どんな材質を使っているのかもポイント。材質には、主に以下のようなものがあり、それぞれメリットやデメリットがあります。
ステンレス
マフラーの素材として一般的なのがステンレス。社外品だけでなく、中~大排気量車の純正マフラーにも採用されているポピュラーな素材です。
メリットとしては、サビにくいことや、衝撃を受けてもキズがつきにいことが挙げられます。また、紫外線や温度変化、雨風などの自然環境にさらされても劣化が少ない耐候性の高さも魅力です。
一方、デメリットは、後述するチタンやカーボンにくらべると重いこと。ただし、チタンやカーボンよりも安価にできるというメリットがあります。
チタン
スーパースポーツやレース専用車両など、高性能なバイクの多くに使われている材質がチタンです。メリットとしては、強度が高く軽量で、サビにくいこと。また、熱処理することで美しい焼け色を楽しめるため、高いドレスアップ効果も期待できます。
ただし、強度が高いがゆえに加工が難しいといった特性などもあることで、コストが高くなるといったデメリットもあります。
カーボン
合成繊維などを高温で炭化して作った素材で、正確にはカーボンファイバーといいます。こちらも、レーシングマシンなどに使われることの多い素材で、アルミなど金属素材より軽くて強度があることがメリット。また、カーボンならではといえる独特の模様は、レーシーな雰囲気を醸し出し、大きなドレスアップ効果も狙えます。
ただし、こちらも加工に手間がかかりコストが高いのが難点。そのため、社外マフラーには外側のカバーのみカーボンという製品も多く存在します。
スチール
昔からバイクのマフラーとして多用されているのがスチール、いわゆる鉄です。最近では、クロームメッキなどを施して見た目に高級感を演出したものも多い傾向です。ほかの素材と比べて、サビやすいのが難点ですが、安価にできる点が大きな魅力だといえるでしょう。
付けて走ると違法なマフラーとは?
ご存じの通り、マフラーは、エンジン内部で燃焼した排出ガスを排出することと、その際に出る排気音を小さくすることが主な役割です。
そのため、もしマフラーを装着していないまま走行すると、大量の排気ガスと大爆音を出してしまうことになります。また、マフラーに何らかの異常があると車検にパスしないケースもあるため、安全な走行にはかなり不可欠なパーツのひとつといえるでしょう。
そして、こうした点は純正マフラーだけでなく、社外マフラーでも同じ。とくに、最近は、騒音基準値や排出ガス規制値が厳しくなっており、それらに適合していない社外マフラーを付けて公道を走ると、違法改造となるので注意しよう。
マフラーに関する規制に関しては、以前は、マフラーの近くで騒音を計測する「近接排気騒音規制」のみでした。それが平成22年(2010年)の規制では加速時の騒音も加わったことで、バイクメーカーも純正マフラーの開発で苦労するほど厳しいものとなりました。
そのため、平成22年(2010年)4月1日以降に生産されたバイクの場合、マフラーの業界団体JMCAなどの認定を受けた「政府認証マフラー」でないと、交換して公道走行できなくなっています。
また、現在では、国際的な基準に合わせた新規準も導入。たとえば、平成28年(2016年)10月1日以降に登場した新型車などに対応する社外マフラーには、マフラー本体に「政府認証」のプレートが付いているだけでなく、認証の書類も同梱。車検のときには、認証済みのマフラーでも書類がないと車検に通らなくなっています。
なお、車検のない250cc以下のバイクについても、法規に適合した政府認証マフラーを装着していないと、公道を走れないのは同じ。車検がないからといって、違法マフラーを付けて走行すると、取り締まりの対象になります。
ちなみに、平成22年(2010年)4月1日以前に生産されたバイクなど、古いバイクでは、その年代によって排気音量などの規制値が違うため、年式に応じた規制値にマッチしていれば問題ありません。ただし、バイクの年式に合わない昔のマフラー、海外メーカーの輸入マフラーや汎用マフラーなどの場合、車検に通らない可能性も高くなるため、購入時にしっかり確認しておくことが必要です。
違法マフラーで検挙されるとどうなる?
そして、もし違法マフラーを付けて公道を走り捕まると、かなり重い処罰が待っています。まず、バイクには整備命令のステッカーが貼られ、15日以内に運輸支局などに持ち込んで、法律に適合したマフラーを装着しているかを確認することを義務付けられます。そして、これに従わない場合は「50万円以下の罰金」と高額な罰金が待っているのです。加えて、ショップなど違法改造を実施した者に対しても「6ヶ月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」などの処分を課せられます。
これらを考えると、社外マフラーを選ぶ際には、信頼できるメーカーやブランドの製品にするというのが基本だといえます。また、最近のバイクの場合、前述のように、JMCA政府認証マフラーであるかどうかも合法と違法の分かれ目となります。くれぐれも、安易に違法マフラーを購入し、愛車に付けて公道走行しないよう気をつけましょう。
*写真はすべてイメージです
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