
「走り」を徹底的に追求したCT125ハンターカブ新開発ホイールの’Type-X’が、走りの可能性を開く
登場以来高い人気を維持し続けるホンダCT125ハンターカブ。これまでに数多くの有名パーツメーカーが多種多様なアイテムをリリースしてきたが、その多くはツーリングでの快適性や積載性向上といった、ユーティリティに特化したものが多かった。2025年の東京モーターサイクルショーではアクティブがCT125ハンターカブカスタムを展示したが、その仕様は従来のスタイルとは一線を画していた。
「これまでの(CT125)ハンターカブのカスタムは、キャリア増設やバッグを装着するなど、道具としての利便性を高めるものが多かったのですが、我々はパフォーマンスと高級感を主眼に置いてカスタムしました。たとえるならば高級SUVのイメージですね。こういったカスタムスタイルはお客様の目に新鮮に映ったようで、大変好評頂きました」
(株式会社アクティブ企画課・加藤功さん)
同社のCT125ハンターカブに装着されていた数々のパーツの中でも、特に注目を集めたのがGALE SPEED(ゲイル スピード)の新作アルミ鍛造ホイール、Type-X(クロス)である。
「CT125ハンターカブはもともとワイヤースポークホイールを履いていますが、このホイールだとパンクした時の修理が大変なんですね。チューブレスタイヤを使いたいという要望は多く、実際に加工した純正流用キャスト(鋳造)ホイールや、チューブレス対応のワイヤースポークホイールといった商品もすでに存在しています」
「ですが、キャストホイールの場合、重量があるというデメリットがあります。またワイヤースポークは、軽いけれども剛性はさほど高くありません。その点弊社が展開しているアルミ鍛造ホイールであればキャストホイールよりも軽く作れますし、剛性も高くすることができます。チューブレスで純正よりも軽く、なおかつオフロード走行にも耐える剛性を有しているのが、このType-Xなんです」
(株式会社アクティブ開発部・深瀬直樹さん)
スポークの本数は14本。ワイヤースポークが交差する様子をイメージしている。
ハブまわりは剛性を持たせるために肉抜きはしていない。
真っすぐなスポークが交差するようにハブとリムフランジをつなぐそのデザインは、ワイヤースポークホイールのような雰囲気を醸し出す。リムに配置される14か所のリブは、4輪のクロカン車のホイールで使われるビードロックをイメージするなど、バイク用ホイールとしては独特なスタイルとなっている。
実はこのリブこそが、Type-Xの高剛性を物語る大きなポイントだ。
4駆用ホイールの「ビードロック」をイメージしたリムフランジのデザイン。14か所のリブが強度を確保する。
「4輪のクロカン車やSUVなどでは高級な鍛造ホイールに交換している人も少なくありません。そういったホイールを模した製品を二輪用として作ったら面白いのではないかと考えました。設計においてはCAD上で強度計算をしておりますが、リムフランジに設けたリブにより、弊社の従来品よりもリム剛性は10%ほど高くなっています」
(深瀬さん)
ていねいに面取りされたリムのセンター。強度を確保しつつ、細部のデザインにも一切の妥協はない。
その強度のみならず、軽さというメリットも有する鍛造ホイールだが、Type-Xも軽さを実現しており、走行中はもちろん、取り回し時にもホイールの軽さを体感できる。CT125ハンターカブのノーマルホイールはワイヤースポークなので元々軽いのだが、Type-Xはノーマルホイールよりもフロントで0.31kg、リアで0.4kgも軽く仕上がっている。
またCT125ハンターカブで使用するタイヤは80/90-17インチなのだが、このタイヤのリム幅はもともと1.85インチを想定して設計されている。だが、ノーマルホイールのリム幅は1.6インチとなっている。そのためType-Xは適正なタイヤプロファイル(断面形状)を再現するため、リム幅を1.85インチとしている。
「ロードでしか使わないようなホイールであればさらに軽くすることも可能でしたが、Type-Xはオフロードでの使用も考慮したため、軽さ以上に丈夫さを重視しており、衝撃試験はビッグバイク用ホイールと同等の荷重値で実施しています。カラーやダストシール、ハブダンパーといった付随するパーツも純正部品を使えるように設計して、リペアのコストを抑えています」
(深瀬さん)
鍛造ホイールというと高額なイメージを抱く人も少なくないと思うが、Type-Xは前後で198,000円(税込)と、低価格に設定した。製作にかかる手間やコストはビッグバイク用のホイールとなんら変わりはないものの、CT125ハンターカブ自体の価格やユーザー層の動向、心理等を踏まえ、徹底した企業努力で実現した低価格なのである。
純正のカラーやスプロケットキャリア、ハブダンパーを使用することができる。
カラーはゴールドとグロスブラック、ソリッドホワイトの3色。パウダーコートやカラーアルマイト、ガラスコーティング(CR-1)といったオプションも設定。今回撮影したホイールはCR-1施工済みの品だ。
「Type-Xを初公開した東京モーターサイクルショーや名古屋モーターサイクルショーではお客様からとても好評を頂きました。東京モーターサイクルショーでは、普段ビッグバイクでゲイルスピードを使用しているというお客様からお声掛けしてもらいましたが、その方はセカンドバイクとして所有しているCT125ハンターカブ用にもType-Xを使いたいとおっしゃっていました」
(加藤さん)
縦方向の剛性があり、なおかつリムフランジの強度にもすぐれ、従来のロード用ホイールでは難しかったオフロードでの使用をも可能にしたTypr-X。アクティブでは今後Type-Xをモタード車用などで展開していく予定という。
開発においては、4輪ホイールに携わった経験を持つ開発部の深瀬さん(右)のノウハウが生かされた。左は企画課の加藤功さん。
Type-X ホイールを装着した、アクティブが提案するカスタムCT125ハンターカブ
2025年3月に開催された東京モーターサイクルショー。さらにその翌週に愛知県で開催された名古屋モーターサイクルショーにはこのType-Xを装着済みのフルカスタムCT125ハンターカブがアクティブブースに展示されていた。すでに発売中のアイテムもあれば、開発中のアイテムも装着されるなど、随所にアクティブらしさを感じさせるカスタム車両となっている。
JA65をベースにGALE SPEED(ゲイルスピード)のホイールだけでなくブレーキ周りにもGALE SPEEDブランドのカスタムパーツが使われ、性能だけでなく質感も向上し唯一無二の存在感を醸し出している。
車体の余分な振動、衝撃を除去するパフォーマンスダンパーを装備することで乗り心地、操安性が飛躍的に向上(販売中)。
HYPERPROのステアリングダンパーによりハンドルの振れを抑制し、挙動の安定性を実現(販売中)。
オイルクーラーは9インチ7段のラウンドタイプ。取り付け位置も転倒時の事を考えて内側に追い込まれている(開発中)。
リアショック(HYPERPRO)はホース付きタンクタイプを採用。路面追従性が向上するのみならず、乗り心地も劇的に改善(近日発売予定)。
レバーがないハンドル左側にブレーキレバー(GALESPEED ElaborateVRE)を追加し、ハンドブレーキとフットブレーキの併用が可能になった(キット化検討中)。
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