ABS樹脂(アクリルニトリル、ブタジエン、スチレンを組み合わせたプラスチック素材)よりもすぐれた強度を持つ、ウインズジャパン独自のドライファイバー素材GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic)を使用したジェットヘルメット「G-FORCE SS JET」。そのグラフィックモデルとなる「G-FORCE SS JET typeC」の特徴を紹介。

上位モデルと同じ製法のジェットヘルメット

「もしもの時に守る力を発揮する『パッシブセーフティ』と、危険を未然に防ぐための機能『アクティブセーフティ』の2つを両立させたヘルメットでライダーを守りたい」と考えているウインズジャパン。その両立を、ドライカーボン素材CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)を使用することで、高次元で実現しているのが「A-FORCE RSシリーズ」だ。

今回紹介するジェットタイプの「G-FORCE SS JET typeC」は、「A-FORCE RSシリーズ」と同じ「プリプレグ インナープレッシャー 真空引き エアーバッグ製法」で製造することで安全性を向上させ、素材をドライカーボンからドライファイバーに変更することで低価格化を実現しているのが大きな特徴だ。

また、「A-FORCE RSシリーズ」はカーボン柄のブラックだが、モノカラーの「G-FORCE SS JET」はメタリックブラック、マットブラック、クールホワイト、アッシュグレーの4タイプ、グラフィックモデルとなる「G-FORCE SS JET typeC」はイビサホワイト、サマルカンドブルー、ストーングレー、コンチネンタルイエロー、ブラック×ホワイト、アイアンレッド×ブラックの6タイプと、豊富なカラーバリエーションとなっているのも特徴だ。なお、価格は「G-FORCE SS JET」3万3000円、「G-FORCE SS JET typeC」3万6300円となっている。

G-FORCE SS JET typeC。ウインズジャパン独自のドライファイバー素材を使用し、高い安全性を確保しながら、低価格化も実現しているジェットヘルメット。カーボンモデルと同じく、シールドの曇りを防ぐ「FOGWIN PLUS」、高い通気性と衝撃吸収性を両立した内装「3D Air Tech」の装着に対応している。

別売りの「クロスバイザー」、「フェイスガード」の装着にも対応。簡単にスタイルチェンジを楽しめるのも特徴だ。

エアロフォルムが走行風によるヘルメットの押し込みや浮き上がりを軽減し、走行中に頭が振られにくい。

ヘルメット前面には、グローブをはめたままでシャッターの開閉操作がしやすいエアインテークを設置。

後部のエアアウトレットもシャッターの開閉操作がしやすい。後頭部の段差が走行中にシェルを安定させる「ウインドエッジ」。

走行風の巻き込みを軽減するネックカーテンを標準装備。センターパッド、チークパッドともに別売りの調整パッドでフィッティング調整に対応。

あご紐には素早い着脱に貢献する「スライダーバックル」を採用。Dリングも装備し、ヘルメットホルダーの使用にも対応している。

内装はメガネテンプルが入るスペースに余裕を持たせた「メガネインサート」を採用。メガネ装着時の圧迫を軽減して、快適な被り心地を実現。

ベルクロテープを付けやすい広めのスピーカーホールを設置。チークパッドにはケーブル通し穴を設け、スムーズなインカム装着に貢献。

独自の素材で安全性と低コスト化を実現

G-FORCE SS JET typeCのドライファイバー素材は、繊維の向きと位置がシェル部位に合わせて緻密に制御され、それを樹脂に浸透させてプレスすることで、強度や重量を均一化した「プリプレグ繊維シート」を使用している。さらに、その「プリプレグ繊維シート」を多層構造にして、シェル金型に合わせて均等に高い圧力を加えることで、無駄な樹脂が残らない均一な厚みのシェルとして完成している。

その際、シェルの内側はエアーバッグで加圧しつつ、シェルの外側は真空引き法で減圧することで「プリプレグ繊維シート」を真空状態に近づけ、不要な樹脂や気泡を極限まで取り除きながら加熱し、硬化させている。これが「プリプレグ インナープレッシャー 真空引き エアーバッグ製法」で、シェルの軽量化と高強度を実現し、シェル全体で衝撃を分散してダメージを軽減するヘルメットとなっている。

JIS規格の衝撃基準は「落下速度7.0m/s(高さ2.5m)で落下させた時に、頭に受ける衝撃が300G以下に抑えられる」ことが条件となっていて、G-FORCE SS JET typeCは「JIS2015」と同等の「SG/PSC」規格をクリアしている。さらにウインズジャパンは、独自の安全基準「JIS規格の衝撃基準の1/2(150G)以下に抑える」ことを目標に設計していて、ドライカーボン素材は基準値の50%、ドライファイバー素材は基準値の55%を達成。重量はA-FORCE RS JET 12Kの1417gに対し、G-FORCE SS JET typeCは1431gと僅かに重くなっているが(いずれもMサイズ、実測値重量)、価格は5万9400円に対し、3万6300円とかなりのコストダウンを達成している。安全性、機能性、価格がバランスし、コストパフォーマンスのよさも特徴となっている。

衝撃吸収ライナーには走行風の通り道となる「エアレール」を設け、快適性向上に貢献している。

内装はすべて洗濯可能。センターパッドを別売りの「3D Air Tech」に交換すると、通気性と衝撃吸収性を向上できる。

やさしく包まれるような装着感で快適な走りをサポートする

筆者はあご紐でチークパッドを開くようにしてヘルメットを装着しているのだが、その時にシェル自体も「しなる」ように感じた。実際に装着してみると、パッドで頭が圧迫されることがなく、シェル全体が頭の形に合うような柔軟さを感じた。しかし、フィッティング性が悪いわけではなく、頭の上下左右の動きにシェルはしっかりと追随し、不快なズレはなかった。適度にやさしく包まれるような装着感は個人的には気持ちよく感じられ、シェル自体が軽く仕上がっていることもあり、長時間のライディングでも疲労を軽減してくれるだろうと思った。

シールドは歪みがなくクリアで、ジェットタイプらしい広い視界を確保。走行風が少し顎に当たるのを感じたが、風切りはよく遮断されていた。また、ベンチレーションは40km/h~効果を発揮。シェル内を流れる走行風をハッキリと体感でき、換気性能は良好だ。インナーバイザーを上下するレバーの操作性もスムーズで、走行中の眩しさを確実に低減してくれる。

衝撃吸収性に関してはドライカーボン素材のA-FORCE RS JET 12Kのほうが高いが、利便性と快適性はG-FORCE SS JET typeCも遜色ないレベルにあり、どちらのモデルも高い安全性を持っている。個人的には剛性感のあるカチっとした被り心地のA-FORCE RS JET 12K、しなりのある被り心地のG-FORCE SS JET typeCが大きな相違点として感じられた。どちらのモデルも便利な機能性もほぼ同等なので、衝撃吸収性や被り心地の違い、カラーバリエーション、価格など、自分が何を優先しているかでチョイスするといいだろう。

Mサイズを装着。インナーバイザーは約75mmのロングタイプ。別売りのフェイスガードを装着するとワイドな視界のフルフェイスヘルメットにスタイルチェンジも可能だ。

シールドとシェルの高い密閉性を実現するシールドベースと、インナーバイザーを上下する操作レバー。快適性を高める機能だ。

WINS G-FORCE SS JET typeC詳細

・価格:3万6300円(税込)
・カラー:イビサホワイト、サマルカンドブルー、ストーングレー、コンチネンタルイエロー、ブラック×ホワイト、アイアンレッド×ブラック
・サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL(サマルカンドブルー、コンチネンタルイエロー、アイアンレッド×ブラックはM-Slime、M、L、XL)
・規格:SG/PSC(JIS2015と同等)

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