1万2000本の炭素繊維を織り込んでいることから「12K」とネーミングされた、WINSのカーボンジェットヘルメット「A-FORCE RS JET 12K」。その詳細と被り心地を紹介。

独自の安全基準を満たした、強くて軽いジェットヘルメット

「高い安全性と首への負担が軽いカーボンヘルメットを手の届きやすい価格で」というコンセプトで開発されたウインズジャパンの「A-FORCEシリーズ」。この「A-FORCE RS JET 12K」は、シェルに1万2000本の炭素繊維を織り込んでいる。

鉄の10倍の強度を持つドライカーボンと、ガラス繊維でできたドライファイバーを素材とした独自の「CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)」は、軽さと強さを両立しているのが特徴で、12Kはとくに軽くて強い素材となっている。JIS規格の衝撃検査の基準は「落下速度7.0m/s(高さ2.5m)で落下させた時に、頭に受ける衝撃が300G以下に抑えられる」ことが条件となっているが、ウインズジャパン独自の基準として「受ける衝撃がJIS規格の基準の1/2(150G)以下」を目標として設計され、A-FORCE RS JET 12Kは基準値の50%を達成し、高い安全性も実現している。

ウインズジャパンのヘルメットは日本で企画・設計し、海外で生産されている。しかし、その生産時は日本のJIS品質管理責任者らが自らの手でシェルや構成部品を追加検査することから始まり、熟練工によりハンドメイドされ、日本人スタッフの手で検査をしてから日本へ出荷。国内入荷後に再度検査検品を行なってから販売することで、安全性と高い品質を保っているのだ。

A-FORCE RS JET 12K。ウインズジャパン最高峰のカーボンフルフェイス「A-FORCE RS 12K」と同素材、同じ製法で製造されたジェットヘルメット。シールドの曇りを防ぐ「FOGWIN PLUS」、高い通気性を衝撃吸収性を両立した「3D Air Tech」に対応し、安全性と快適性はウインズジャパンでトップクラスのジェットヘルメットだ。

マス目のひとつずつに、髪の毛の1/10の5~10ミクロンという細さの炭素繊維を1万2000本ほど織り込み、高強度を実現している。

走行風をスムーズに流し、ヘルメットの押し込みや浮き上がりを軽減するエアロフォルムを採用。走行中に横を向いても振られにくくなっている。

ヘルメット前面の上部にエアインテークを設置。大型シャッターはグローブのままでも操作しやすい。

ヘルメット後部に大型シャッター付きエアアウトレットを設置。後頭部の段差「ウインドエッジ」がダウンフォースを発生し、安定性を向上する。

左右のチークパッドを一体化し、風の巻き込みを抑えて騒音も大幅に低減。空力特性も改善され、安定性向上に貢献している。

軽さと強度を兼ね備えたチタン製Dリング。一点ずつ焼き付け加工しているので、ヒートグラデーションも微妙に異なっている。

メガネテンプルが入るスペースに余裕を持たせ、メガネ装着時の圧迫を軽減。快適な被り心地に貢献するメガネインサートを採用している。

ベルクロテープを装着しやすい広めのスピーカーホールを設置し、インカム使用時の快適性を高めている。

安心感と快適性を両立した被り心地

国産メーカーのMサイズを着用しているので、A-FORCE RS JET 12KもMサイズをチョイス。そのA-FORCE RS JET 12Kの実測値重量は1417gと、フルフェイスのA-FORCE RS 12Kとの重量差は僅かだったが、軽量に仕上がっている。

一体型チークパッドを装備しているのでヘルメットの頭入れ部は狭く見えるが、いつものようにあご紐でチークパッドを開くようにすると、スムーズに装着できた。この時、シェル自体が開くような感じはなく、シェルの剛性の高さが感じられた。実際に被ってみてもシェルがしなる感じはなく、チークパッドとセンターパッド(ヘルメット内装)が頭で圧縮されることで、頭全体を包み込むようなホールド性を発揮する。意図的に頭を上下左右に動かしてもヘルメットがズレることはなく、しっかりしたフィット感のある被り心地となっている。

ややタイトさも感じるが、ライディング中にヘルメットがズレることがなく、軽量ながら高い剛性を実現しているのは安心感としても感じられ、個人的には好みの被り心地となっている。とはいえ、頭の形には個人差があり、フィット感の好みもさまざまだ。そこでA-FORCE RS JET 12Kはチークパッドとセンターパッドのサイズ変更が可能で、チークパッドはスポンジ部分をカットしてカスタマイズすることもできる。また、前頭部、後頭部、側頭部などの調整用パッドも用意され、頭の形に合わせた細かいフィッティング調整に対応している。

エアインテークは30km/hで走行風の流入が分かり、40km/hでヘルメット内を空気が流れ、涼しさを体感できた。また、エアインテークを閉じてエアアウトレットだけ開けた状態にすると、50km/h~ヘルメット内の空気が流れていくのを体感できた。蒸し暑い雨天走行時に雨水の侵入を防ぎながら換気しやすくなるだろう。

内装を外すと、衝撃吸収ライナーに走行風の通り道となるエアレールが設けられているのが分かる。

内装はすべて洗濯可能。センターパッドの取り外したセンター部分を同梱の「3D Air Tech」に交換すると、通気性と衝撃吸収性を向上できる。

特殊な3Dプリンターで製造したハニカム構造の内装パッド。空気の流れを妨げず、衝撃吸収性を17%向上する。

クリアで広い視界が扱いやすさとなっている

A-FORCE RS JET 12Kはジェットタイプなので視界が広いが、セットされているシールドも歪みがなく、クリアな視界に貢献している。このシールドは5段階で開閉でき、いちばん閉じた状態ではシールドベース(取り付け部)が可動してシールドを手前に引き寄せ、ヘルメット側のワイパーモールと密閉させることで雨水や埃などの侵入を防いでいる。風切り音も抑えられていて、ジェットタイプながら静粛性も高いのが特徴だ。

インナーバイザーは旧モデルから5mm延長した75mmのロングタイプとなっていて、走行中の眩しさをしっかり低減している。インナーバイザーの操作レバーの作動性も良好で、瞬時に上下できるのも好印象だ。

トータルの安全性は、顎までカバーしているフルフェイスのA-FORCE RS 12Kのほうが高い。しかし、A-FORCE RS JET 12Kもシェルの剛性に遜色はなく、ジェットタイプの中でも高い安全性が感じられる。さらに、クリアで広い視界がもたらす開放感はジェットタイプならではのもので、ツーリング途中など、ヘルメットを脱がずに水分補給できるといった扱いやすさもメリットとなるだろう。

カーボンヘルメットらしいしっかりした被り心地と、ジェットタイプならではの開放感を兼ね備え、高い安全性と快適性も両立。価格は5万9400円と、コストパフォーマンスもかなり充実している。

着用しているのはMサイズ。インナーバイザーは約75mmのロングタイプで、走行中の眩しさを軽減し、視界の確保に貢献する。

操作しやすい形状のインナーバイザー・レバーと、シールドの高い密閉性に貢献するシールドベース。

WINS A-FORCE RS JET 12K詳細

・価格:5万9400円(税込)
・カラー:ブラック
・サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL
・規格:SG/PSC(JIS2015と同等)

【WINS A-FORCE RS JET 12Kインプレ】開放感と強度の両立! WINS最高峰のカーボンジェット ギャラリーへ (14枚)

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