
SHOEIのネオクラシカル系オフロードヘルメットがEX-ZERO。シンプルな外観ながら、機能性と安全性を確保し、収納式のインナーシールドで快適性も備える。その詳細をテストしてみた。
目次
80年代のオフロードモデルをオマージュ、各部の質感も高い
1980年代に登場したSHOEIのEXシリーズは、当時よく見られた丸いシェルが特徴のオフロードヘルメット。これをオマージュしたモデルがEX-ZEROだ。
曲面が際立つ帽体に大きなアイポート、額のホック、口元の縦3本スリットなどが往年のEX-ZEROとよく似ている。それでいて最新のJIS規格をクリアし、安全性を確保。さらに手動式のインナーシールドや着脱式内装を採用するなど快適性も与えている。
帽体はシンプルで、開閉シャッターがなく、エアインテークも最小限。その一方でクラシックなロゴやレザー調の内装カバー、アルミメッシュを配したスリットなど細部まで質感が高い。シールドを収納すれば、そのままゴーグルの着用も可能だ。

EX-ZERO(SHOEI)は、1980年代のオフロードメットを彷彿とさせる外観が魅力。2018年11月から国内販売開始された。帽体は、強靭なガラス繊維をベースに、高い剛性と軽さを兼備したFRP製のAIM構造。写真はLサイズで色はオフホワイトだ。
●価格: 4万9500円~
●サイズ:S、M、L、XL、XXL
●規格:JIS
●メーカーサイト:https://www.shoei.com/products/helmet/fullface/ex-zero/
軽快&開放感バツグン、ジェットに近い被り心地
実物はビンテージヘルメットの雰囲気がある上に、各部の質感が高く、とてもカッコいい。被ってみると非常に軽い。重量は筆者実測で1200g(Lサイズ)。シールドのないジェットヘルメットより少し重い程度に過ぎない。
ホールド感はややタイトでしっかりフィット。耳元のスペースがやや狭く感じたが、問題ないレベルだ。
一方で、視界が広く、口元のスペースに窮屈感がないため、開放感はバツグン。ジェットヘルメットに近い感覚だ。
走り始めてもジェット感覚は変わらない。アゴ下から盛大に走行風が流れてきて、特にインナーシールドを格納した状態で60km/hも出すとシールドのないジェットで走っている感覚に近い。周囲の音はかなり聞こえるタイプで、かなり風切り音も聞こえるが、不快な音ではない。
インナーシールドは最も下げれば防風効果高し
インナーシールドは視界が非常にクリア。こうした湾曲したシールドは視界が歪みがちだが、本作では歪みがなく、自然な見え方だ。
シールドは3段階の高さ調整が可能で、最も上げた状態だとシールドとチンガードの間が大きく空いているので、アゴ下と鼻先から走行風が流れてくる。ただし100km/h走行でも目元への風はしっかりガードしてくれるので快適だ。
一方、最も下げた状態だと、鼻先から顔への走行風が劇的に減り、風切り音も減少して快適度が一段とアップ。高速走行する際は最大まで下げるのがオススメだ。なお、シールドを最も下げても手持ちのメガネやサングラスに干渉することはなかった。
テストしたのは気温20度程度の晴天だったので快適そのものだったが、ベンチレーション効果がないのが気になるところ。帽体上部に換気機構はあるようだが、効果は特に感じられず、夏場はムレる可能性も。また、厳寒期は走行風から顔をガードするため、口元を含めてネックガードなどでカバーする必要があるだろう。
【まとめ】オンオフ問わずクラシック系なら似合い、汎用性が高い
EX-ZEROは高速クルーズもこなせるが、得意分野はやはり街乗り。オフロードスタイルとはいえ、オン、オフ問わずレトロ系や旧車、スクランブラーによく似合い、EX-ZEROでストリートを流したくなる。
SHOEIではクラシック系フルフェイスとしてオンロードスタイルの「Glamster」(グラムスター)と、オフ系の本作を展開しているが、より幅広いジャンルのバイクに似合うのはコッチ。重量が軽く、長時間被っても首や肩がラクチンなのもポイントだ。バイザーやゴーグルで快適度をさらにアップできるのもいい。
ビンテージ風のオフロードモデルは他社にも例が少なく、EX-ZEROは貴重な存在。価格は5万円に近いが、その稀少性をわかる人には決して高い買い物ではないハズだ。
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