
公道からサーキットまで幅広いシーンで使用できるミシュランの「MICHELIN POWER GP2」。このタイヤを元GPライダー原田哲也が“1年間使用”し、ライフの長さや性能の変化などを3回に分けて追っていく企画が「ミシュラン1年間インプレ」! 今回の第一回目テストでは茂原ツインサーキット、袖ヶ浦フォレストレースウェイで実際に原田さんがPOWER GP2を使用した感想をピックアップしました。元GPライダーの実直なインプレッションをお届けします。
目次
原田哲也インプレ。「新品タイヤでサーキット走行も不安なし」
タイヤ交換は、一大事ですよね。ひとたびタイヤを替えたら、ほとんどの場合は数千km、そして数ヶ月以上はそのタイヤを履き続けるのですから。その間には、いろいろな気候条件、いろいろな路面、いろいろなコンディションの変化に遭遇するはず。そしてもちろん、タイヤも消耗していきます。
この企画は、12ヶ月にわたって同じタイヤを履き続け、そのつどの印象を書き記すという、異例の長期タイヤインプレッションです。短時間で行われる「試乗のための試乗」ではないので、実際に購入された場合にかなり近いインプレッションがお届けできると思っています。
チョイスしたタイヤは、MICHELIN POWER GP2。使用途としてはサーキット50:公道50を想定したスポーツタイヤで、実際の僕のニーズにピッタリです。走行会やスクールでサーキットを先導走行したり、仕事で公道を走ったりプライベートでツーリングしたり・・・。まさにサーキット50:公道50。POWER GP2は僕のバイクライフにジャストフィットするタイヤです。
初回となる今回は、新品状態からいきなりサーキットを走ることになりました。これ、プロの僕でもなかなか不安になるシチュエーションです。タイヤは、皮むきや熱入れといった儀式というか、下準備を経て本来のパフォーマンスを発揮するものです。それがいきなりピカピカの新品で、公道よりは速度域が高いサーキットを走るのですから、それなりの緊張感があります。
舞台は千葉・茂原ツインサーキット東コース。イベントは「原田哲也ライディングレッスン」で、その名の通り僕がメイン講師を務め、先導走行をします。この先導走行というのが、なかなかの曲者なんですよ。というのは、スポーツタイヤはしっかりとブレーキングして、それなりのコーナリングスピードを出してこそ、高いグリップ力を発揮するもの。しかし先導走行はペースが遅いため、なかなかその域に達しないんです。
新品タイヤでいきなりサーキット。しかもスローペースな先導走行。不安要素いっぱいでコースインすると・・・、すべての心配は取り越し苦労だったことがすぐに分かりました。POWER GP2は、新品&スローペースという条件にも関わらず温まりが早く、すぐに接地感を発揮してくれたんです。こう見えて僕は怖がりの慎重派ですが、「これならイケる!」という手応えが伝わってきて、朝イチから安心して走ることができました。
扱いやすくオールマイティな特性
これは、僕がPOWER GP2を選ぶ大きなポイントです。このタイヤ、抜群のグリップ力と剛性感の高さにも関わらず、特性に尖ったところがなく、扱いやすいんです。高いグリップ力と扱いやすさの両立は、かなり難しいものですが、POWER GP2は見事にバランスが取れているんです。
扱いやすさは、オールマイティさと言ってもいいかもしれません。正直、サーキットを単独で思いっ切り走るなら、「MICHELIN POWER CUP2」を選びます。圧倒的なグリップ力で、ハイペースな全力走行を楽しめますからね。でも、先導走行ではさまざまなスキルの方のいろいろなペースに合わせる必要があるので、オールマイティなPOWER GP2の方が最適です。
このオールマイティさ、僕の個人的な見解としては、自走でサーキットを楽しみたい方にピッタリだと思います。公道は、気候やグリップなど状況変化が激しいものです。なおかつ、サーキットではそれなりのペース、それなりの荷重で走ります。この両方を不安なくこなせるのが、POWER GP2なんです。
もし、今からMotoGPライダーをめざすなら、「MICHELIN POWER CUP2」などの超ハイグリップタイヤで、サーキットをガンガン走ってほしいと思います。でもほとんどの皆さんは、MotoGPライダーになりたいわけではありませんよね?(笑)であれば、POWER GP2で十分すぎるほど。僕がそれなりのペースで走っても不満がないうえ、とにかく懐が深いので、どなたにでもオススメできます。
低気温のウエット路面でもグリップ力を発揮
茂原ツインサーキットでPOWER GP2の特性を確認した後、すぐにその懐の深さを確認できるチャンスが訪れました。6℃前後と、4月とは思えないほど気温がグンと下がり、しかも雨・・・。走るのは、千葉・袖ヶ浦フォレストレースウェイです。はっきり言って最悪のコンディションの中、僕のプライベートスクールを決行しました。
さすがに不安交じりでコースインしましたが、走り始めからしっかりとフィーリングがあって、まったく心配なし! これはさすがにビックリです。気温ヒトケタのウエット路面のサーキットって、経験したことのある方なら、どれだけスリリングか分かりますよね?(笑)でもすでに茂原で走行していたこともあり、すぐにしっかりとしたグリップが感じられ、ごく普通に走れました。
しかもこの印象は僕だけではなく、受講者の磯野弘幸さんもまったく同じだったんです。磯野さんを先導し、ミラーでその走りを確認しながら「離れちゃうかな・・・」と思っていましたが、きちんと着いてくる!(笑)走行後に聞いたら「全然大丈夫でしたよ! ウエットでどこまで行けるのか、試したくなるほどでした」と、コッチがドキドキするようなことを言っていました(笑)。
今回はドライ路面のサーキット、そして低気温かつウエット路面のサーキットでPOWER GP2をテストし、どんなコンディションでも安心感を与えてくれる懐の深さを改めて確認できました。まだ走行距離はわずか。これからどんなシチュエーションと出会えるか、今から楽しみです!
まとめ
今回の第一回目テストで原田哲也さんが実際にPOWER GP2を使用した感想はいかがだったでしょうか? ドライコンディションとウェットコンディションで、しかもサーキットで使用した結果、ツーリングからサーキット走行まで幅広く性能を発揮してくれることが分かったかと思います。
第一回目テストでの総走行距離は80km。次回二回目テストではさらに走行距離が伸びた状態でのテストになります。果たして、POWER GP2の性能に大きな変化は起きるのでしょうか。また数か月後のレポートにご期待ください!
【4/3 袖ヶ浦フォレストレースウェイ】:3,011km→3,020km(9km)
合計:80km
ミシュラン POWER GP2 サイズ・特徴
「トラック50%、ストリート50%」の特性を持つ「POWER GP2」。前作「MICHELIN POWER GP」に対し、ウォームアップ性能をキープしつつ全ての項目でパフォーマンスがアップしている。サイズラインナップは、フロント1サイズ、リヤ5サイズを設定。スーパースポーツで定番のサイズが揃う。リヤに追加された160/60ZR17は、CBR400R、SV650、Z650などのミドルクラスに対応する。

フロントは2CT、リヤは2CT+テクノロジーを採用。前者はセンターに耐久性の高いハードコンパウンドを、左右ショルダーにグリップ力の高いソフトコンパウンドを配置する。 一方の2CT+は、ハードコンパウンドをベースに、ショルダー部にソフトコンパウンドを重ねた構造。コーナリングで最適な剛性を確保している
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