優れたエンジン始動性や大幅な軽量化、さらにはトルクアップも実現するSHORAIのリチウムイオンバッテリー。もはや消耗品の枠を超えたチューンナップパーツの領域なだけに、ノーマルバッテリーからの換装を考えるユーザーも多数いる。そこで今回は、カワサキZ900RSを使って安全&確実なバッテリーの交換方法を詳細に解説しよう!

バッテリーの交換作業は手順を守れば簡単!?

バッテリー交換はメンテナンスの中では比較的簡単な作業と捉えがちだが、バッテリーの搭載位置によっては難易度が高い場合もある。また電気を扱うだけに、作業中にショート(プラスとマイナスの短絡)させてしまうと重大なトラブルに発展することもある。

とはいえ手順を守れば、メンテナンス初心者でも問題なく作業できる内容。そこで今回はカワサキZ900RSをサンプルに、ノーマルバッテリーからSHORAIのリチウムイオンバッテリーへの交換方法を解説する。

カワサキのZ900RS。

Z900RSのバッテリーはシート下に配置。キーでロックを回し、シートを外して作業開始。

バッテリーにアクセスしたら、必ずマイナス端子から外す

Z900RSの場合、シートを外すとすぐにバッテリーが現れ、バッテリーを固定するバンドなどは存在しない。車種によっては他の電装パーツの下にバッテリーを配置していたり、バッテリーをホルダーで固定していたりすることも。その場合は、先に固定ホルダーやバンドを外して(外すのに工具が必要な場合もある)、バッテリーを露出させる。

シートを外すとバッテリーが現れる。Z900RSの場合、バッテリーの固定バンドやホルダーは存在せず、シートの底面で押さえる構造になっている。

バッテリーを外す際は、先にマイナス端子から外す。

マイナス端子の固定ネジを外したら、マイナスの配線とバッテリーの端子を確実に離しておく。

バッテリーを取り外す際には、必ずマイナス端子から外すこと。これは端子のネジを回す作業中に、金属製のドライバーが車体(フレームなどの金属部分)に触れてしまってもショートしないために絶対に守るべきポイント。「車体からバッテリーを外す=引く=マイナスから」と覚えておこう。

赤い端子カバーをズラしてプラス端子を外す。

プラスの配線とバッテリーの端子を確実に離す。

マイナス端子を外したら、次にプラス端子を外す。その際にドライバーが先に外したマイナスの配線やバッテリーのマイナス端子に触れないように注意して作業する。

マイナス端子→プラス端子の順に配線を外したら、バッテリーを持ち上げて取り外す。

バッテリーを持ち上げて取り外す。ノーマルの鉛バッテリーは重いので、落として他の部品を壊したり、ケガをしたりしないように注意。また、取り外す際には、配線側の端子がバッテリーの端子に接触しないように気を付けよう。

コンパクトなSHORAIバッテリーを、純正の鉛バッテリーのサイズに合わせる

SHORAIのリチウムイオンバッテリーはノーマルの鉛バッテリーよりサイズがコンパクト。そのため、そのまま車体のバッテリーケースに収めると隙間ができてガタついてしまう。

右がZ900RSの純正バッテリーであるGSユアサのYTX9-BSで、サイズは151×88×106mm(重量2.9kg)。左は適合するSHORAIバッテリーのLFX19A4-BS12で、サイズは148×86×88mm(重量1.12kg)。

Z900RSの場合、適合するSHORAIバッテリーは純正の鉛バッテリーより横幅で3mm、奥行きで2mm、高さで18mm小さい。幅と奥行きは差が小さいのでそのままで問題ないが、高さを合わせる必要がある。

そこで便利なのが、SHORAIバッテリーのパッケージ(箱)に梱包材として入っているウレタン板だ。片面が両面テープの5mm厚と10mm厚のウレタン板が大量に入っているので、それを切ったり貼ったりして純正バッテリーのサイズに合わせよう。

SHORAIバッテリーのパッケージには、梱包材として両面テープ付きの5mm厚、10mm厚のウレタン板が大量に同梱されている。

ウレタン板をバッテリーのサイズに合わせてカット。

車体のバッテリーケース。

Z900RSの場合、10mmのウレタン板を2枚重ねてバッテリーケースの底に貼ると丁度よかった。

今回は10mm厚のウレタン板を2枚重ねてバッテリーケースの底に貼って高さを合わせた。実際のバッテリーの高さの差は18mmだが、クッション性があるので問題なくしっかり固定できる。

ウレタン板を貼ったバッテリーケースにSHORAIバッテリーを仮置きするとぴったりフィット。軽量なのでセットするのも簡単だ。自分で作業するとSHORAIバッテリーの軽さを実感することができるのも楽しい!

バッテリーの取り付けは、必ずプラス端子から!

ウレタン板でサイズ合わせを行い、バッテリーケースにSHORAIバッテリーをセットしたら、配線を取り付ける。取り外し時と逆の順番で、先にプラス端子を取り付け、次にマイナス端子を取り付ける。

これも作業時に万一ドライバーが車体の金属部分に触れてしまっても、ショートさせないための対策。「車体にバッテリーを付ける=加える(足す)=プラスから」と覚えよう。

バッテリーを取り付ける際は、先にプラス端子から。ネジを締めたら、赤い端子カバーをかぶせる。

次にマイナス端子を取り付ける。

Z900RSをSHORAIバッテリーに換装した状態。

Z900RSのバッテリー交換作業自体はこれで終了だが、バッテリーの固定バンドやホルダーがある車種の場合は忘れずに装着し、バッテリーがガタついていないか確認しよう。

そしてバッテリーの交換作業を行うと、バッテリーを外した際に電源が途切れるため、メーターの時計がリセットされる場合が多いので、時刻合わせを忘れずに(合わせ方はハンドブック(取扱説明書)を参考に)。また、ライディングモードなどの電子デバイスの設定がデフォルトに戻っている場合もあるので、走行前に確認しよう。他にもトリップメーターの走行距離がリセットされることもあるので、早めにガソリンスタンドで給油してリセットし直すのが安心だろう。

バッテリーを外すとメーターの時計やトリップメーターがリセットされる。

以上がバッテリー交換作業の手順だ。作業に必要な工具も大抵は車載工具で足りるので、SHORAIのリチウムイオンバッテリーに交換して、そのパフォーマンスを味わってみてはいかがだろうか。

SHORAIバッテリートリビア【SHORAIバッテリーがバージョンアップ!】
25年3月28日から開催された東京モーターサイクルショーに、SHORAI JAPANが出店。純正鉛バッテリーと、それに対応するSHORAIリチウムイオンバッテリーを実際に手で持ち比べることもでき、その軽さに驚く来場者も数多くいた。また、「⚫︎年使ってます!」という報告が年々増えている。

東京モーターサイクルショーに出展したSHORAI JAPANのブース。

ハーレーダビッドソンやドゥカティ、国産スーパースポーツや大型ネイキッドでメジャーな純正鉛バッテリーなどとそれらに対応するSHORAIリチウムイオンバッテリーを展示。実際に持ち比べると、皆がその軽さに驚いた!

そして今回の出展では、バージョンアップした新型のSHORAI LifePO4バッテリーを展示・紹介を行った。

バージョンアップしたバッテリーには機能を強化したバッテリー・マネジメント・システム(BMS)を搭載する。

じつはSHORAIバッテリーは、従来からバッテリー・マネジメント・システム(BMS)を標準で装備している。BMSはエンジンが稼動して発電(&充電)している状態で、バッテリー内部の4つのセルの電気容量が均等になるように配分する機能だ。

とはいえ従来のSHORAIバッテリーのBMSは、長期間乗っていない時などの自然放電に対しては機能せず、わずかながら自己放電することで各セルの容量が不均等になっていた。

しかし新型SHORAIバッテリーのBMSは、放電時にも機能するようバージョンアップ! バッテリーが完全に放電する前に、内部のセルとプラスとマイナス端子の接続をロック(制御)し、そこからの放電を防いでくれる機能を装備した。この機能によりバッテリーを保護し、より安定した性能と長寿命化を実現したのである。

バージョンアップしたBMSを搭載するが、バッテリーの外観には変化なし。ただし内蔵する制御回路は完全に刷新している。

新型SHORAIバッテリーは、パッケージにこの青いステッカーが貼られているのが目印だ。

バッテリーの交換作業は自分でもできる?【Z900RSで検証!SHORAIバッテリーに交換してみた!】ギャラリーへ (23枚)

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