
2025年3月にデイトナより発売された「メンテナンスローラースタンド テーパー」は、ローラーがテーパー状のため“タイヤがズレにくい”というメンテナンスローラーである。しかし、テーパー状というだけで本当にタイヤがズレないのだろうか? 疑問に感じていたところで実物を借りることができたので、いくつかの車種で徹底レビューしてみた!
折り畳むと全長わずか200mm! 自宅にも置きやすいコンパクトさが魅力
洗車やチェーンメンテナンスなどを自身で行っているライダーは少なくないと思う。その際にセンタースタンド装備のバイクであれば非常に楽だが、最近はスクーター以外ではセンタースタンドが付いていないモデルも多い。そこで役立つのがメンテナンスローラースタンドだ。
どういった製品かというと、サイドスタンドしか装備していないバイクのタイヤをローラーの上に乗せ、バイクを押し引きすることなくその場でホイールを回転させられるというスタンドである。各社より様々なタイプのローラースタンドがラインナップしており、ホイールの洗車やチェーンの清掃・注油などで活躍してくれるのだ。
しかし、ホイールを回転させている内にタイヤが“横”へズレていってしまうことも多く、最悪の場合タイヤがスタンドから落ちてバイクが倒れてしまうといったリスクも。実際に筆者が洗車を行う際は、普通のローラースタンドは怖いので使わないことにしている。常に「落ちそうだな・・・」と考えながら作業をするのも少なからずストレスに繋がるわけで・・・。
だが今回レビューする「メンテナンスローラースタンド テーパー」ならば、そのリスクを極限まで抑えてくれるという。その秘密はローラーが中心部に向かうにつれてなだらかなテーパー状となっているから。これによりタイヤが自然と中心部に引き寄せられ、回転させても横にズレにくい、というわけ。
しかもメリットはそれだけではなく、コンパクトに畳むことができるという点が嬉しい。写真のようにスロープが可動し、全長330mmから200mmまで小さく畳めるのだ。同社から販売されている通常のメンテナンスローラースタンドは345mmでもちろん折り畳むことはできないので、比べるとかなりコンパクトなことが分かると思う。
しかし、そもそもローラースタンドがあまり好きではなかった筆者的には「ズレにくいとはいえ、本当に便利なのか・・・?」という疑念がぬぐい切れない。ので、実際にいくつかのホイールサイズで使ってみることにした。
12,15、17、18インチのホイールでレビュー!
今回はセンタースタンドを持たない異なる3車種を用意。前後12インチホイールの「ダックス125」、前後17インチの「XSR900」、そしてフロント18インチ、リア15インチの「ドラッグスター250」だ。
まずはダックスから試してみたところ、リアの12インチでもローラーとローラーの隙間がかなり狭い印象。「本当にコレ、大丈夫か?」と思うほど狭いのだが、実際にタイヤを回転させてみるとかなりスムーズに、しかも左右にズレずに安定して回ってくれる。ローラー部分にはベアリングが採用されているため、重量がかかってもすんなりと回転するのだ。とはいえ車重の軽いダックスがスムーズに回るのは当たり前とも言える。
お次はドラックスター250の15インチのリアからチェック。ドラックスター自体がサイドスタンドをかけた際にかなり傾くので、ローラースタンドを敷くとより傾き少し恐怖感を抱く。しかしテーパー状のローラーのおかげでタイヤが自然と中心に寄ってくれるので、実際に回すとそのスムーズさも相まって不安定さは感じない。
そして18インチのフロントだが、これは流石に傾きすぎてちょっと実用的とは言い難い・・・。一応、説明書には10~18インチに対応するとの記載があり、実際にこの傾き具合でもホイールは回ってくれた。しかし、かろうじてスタンドに乗っているかのようにも見えるビジュアルはかなり怖い。もちろん18インチといっても傾き具合などは車種によって異なるのだが、できれば17インチくらいまでが安心だろう。
そして最後に17インチのXSR900のリアタイヤをお試し。タイヤ幅は180サイズで最も太いが、ローラーにはジャストフィットしている印象。テーパーの曲線とタイヤの曲線がマッチしており、回してみると見た目以上に落ちる気がしないほど安定している。太いタイヤでも回転はスムーズで、大型車でも十分使えることが分かった。
しかしこのXSR900・・・ホイールがちょっと汚れてるな・・・。というわけで、せっかくなのでそのままローラースタンドを活用して洗車することに。リアホイールを回転させながら、汚れている箇所を順々に磨いていく。やはりベアリングの効果で少しの力でホイールが回ってくれる点と、タイヤが一切ズレる気配がないので恐怖心やストレスを感じることなく洗車に没頭できる点が素晴らしい。通常のローラーではズレては戻し、ズレては戻しを繰り返した記憶があるので、このテーパーローラーならば使いたいと素直に感じる。
まとめ
個人的にメンテナンスローラーがあまり好きではなかった筆者だが、今回紹介したデイトナの「メンテナンスローラースタンド テーパー」なら洗車やチェーンメンテナンスの度に使いたいと思う。もちろんコンパクトに畳める点やベアリング入りでスムーズに回る点も素晴らしいのだが、やはりテーパーローラーのおかげでタイヤが滑落しなかった点が大きなポイント。タイヤが落ちないように注意を払いながら作業をすることは大きなストレスだったのだと実感できた。
今まで通常のローラースタンドを使用していたライダーにはもちろん、最初のローラースタンドとしても非常におすすめできる同製品。一度使えばもうほかのメンテナンスローラースタンドには戻れなくなるかもしれないが、是非一度“タイヤがズレていかない快感”を実感していただきたい。
洗車時にタイヤが“ズレない”快感! デイトナの「メンテナンスローラースタンド テーパー」を車種別でレビュー ギャラリーへ (20枚)この記事にいいねする