
WINSの「G-FORCE X」は、軽さと強度を兼ね備えた「ドライファイバー素材」を使用し、昨年の夏に登場したジェットヘルメットのニューモデルだ。別売のアクセサリーパーツで6つのスタイルチェンジも楽しめるというG-FORCE Xの特徴を紹介しよう。
6つのスタイルチェンジで幅広く使いやすい
軽量で開放感のあるジェットタイプのG-FORCE Xは、走行中の眩しさを和らげるインナーバイザーと、林道走行時に泥や木の枝が顔と接触するのを低減するクロスバイザーを標準装備している。
そのクロスバイザーとゴーグルを組み合わせればスクランブラーに似合うスタイリングに、別売りのアクセサリーパーツ「フェイスガード」を装着すればフルフェイススタイルに、フルフェイススタイルにゴーグルを組み合わせればトレイルスタイルに、というように、林道やオフロードでのライディングに対応したスタイルとなる。
また、クロスバイザーを外して別売りアクセサリーの「シールド」を装着すればジェットスタイルに、ジェットスタイルに「フェイスガード」を装着すれば広い視界のフルフェイススタイルにと、市街地から高速道路でのライディングにも対応する。さらに、インナーバイザーには「ライトスモーク」が標準で付属して快適な夜間走行に対応と、6つのスタイルチェンジを楽しめるのが大きな特徴となっている。
別売りのアクセサリーパーツを使用することで、オンからオフまで幅広いシーンをひとつのヘルメットで楽しめる。
ヘルメットの上部にエアインテークを設置。走行風をヘルメット内に取り込み、走行中の蒸れを低減する。画像はエアインテークを開いた状態。
視界の広さとシェルの軽さが疲労を軽減
筆者は国産メーカーのMサイズを着用しているので、G-FORCE XもMサイズを選択。そのG-FORCE Xの実測値重量は1350gで、ジェットタイプとはいえ軽量に収まっている。実際に被ってみても軽さが感じられ、首にかかる負担も少なかった。
ヘルメット内部は頭頂部のホールド性がよく、チークパッドと頬のフィット感も良好。意図的に頭を上下左右に動かしてもズレにくく、頭との一体感がある被り心地になっている。チンガードがなく、頭全体が包み込まれるサポート性は感じないけれど、その半面、さえぎるモノがない広い視界はジェットタイプならではの開放感ある被り心地にもなっている。
シェル前頭部にはエアインテークが設けられ、後部下側にエアアウトレットと後頭部にシャッター付きエアアウトレットが設置されている。エアインテークからの走行風の流入は30km/hくらいから感じられ、40km/h以上ではヘルメット内部を走行風が流れていくのをハッキリと体感できた。G-FORCE Xのベンチレーション性能はかなり高いといえる。
静粛性はフルフェイスには及ばないものの、クロスバイザーが不快な風切り音を発することもなく、80km/h巡航時も風圧で振られず、振動もなかった。高速道路を長時間走行する際の疲労軽減はフルフェイスの静粛性に分があるが、軽量でフィット感がいいG-FORCE Xの被り心地は、街乗りから林道ツーリングまで幅広く楽しめると思った。
クリアな視界を実現しつつ、スタイルチェンジも楽しめる
G-FORCE Xのシェル素材はドライファイバーとも呼ばれる「GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic)」を使用している。このGFRPは、繊維の向きと位置が緻密に制御され、厚みを均一化した「プリプレグ繊維シート」で作られていて、強度と重量のバランスが最適化されている。
このプリプレグ繊維シートをシェル型に合わせ、内側からはエアーバッグ法で加圧し、外側からは真空引き法で減圧することで真空状態に近づけ、不要な樹脂や気泡を極限まで取り除きながら加熱する「PPVA(Prepreg Inner Pressure Vacuum Air Bag)製法」で成形。軽量ながら高強度と耐久性を兼ね備えた帽体となっている。事実、G-FORCE Xの被り心地は軽快で、開口部が広くて頭入れがしやすいが、帽体自体にしっかりした剛性感があって華奢な感じはない。
クロスバイザーは空気抵抗が少なく、走行風で頭が振られることもなかったが、「X-ROAD3のバイザーピーク」より小型で、日よけとして使える面積は狭い。だが、スモークのロングインナーバイザーを標準装備し、このインナーバイザーを上下するスイッチの操作性もスムーズで、眩しさを感じた際に即座に対応できるのもG-FORCE Xの大きな特徴だ。
ジェットタイプの視界の広さに魅力を感じつつも、林道などのダート走行でプロテクション性を高めたいライダーにおすすめなのが、別売りアクセサリーパーツの「フェイスガード(税込4290円)」だ。帽体との着脱も簡単に行なえ、不快なガタつきも皆無で安心感は大いに高まる。フェイスガードを装着しても開口部は広いのでゴーグルも併用でき、オフロードスタイルを充分に楽しめる。ただし、口元のスペースはタイトで、息苦しくはなかったが、窮屈さを感じる瞬間もあった。
クロスバイザーを取り外して、別売りアクセサリーの「シールド(ライトスモーク/ハーフスモーク税込4180円、シルバーミラー/レインボーミラー税込4950円)」を装着すればオンロード用ジェットスタイルにチェンジ。このジェットスタイルにフェイスガードを装着すればワイドビューのフルフェイススタイルへとチェンジできる。別売りのアクセサリーパーツが必要となるが、ひとつの帽体でオンとオフ、それぞれのスタイルを楽しめる利便性の高さは特筆ものだろう。
フィット感がよく、インナーバイザーは効果的で、ベンチレーション性も良好と、G-FORCE Xの快適性はかなり高い。そしてシェルは軽量ながら強度も充分で、被り心地には剛性感があって安心感もある。バイク用ジェットヘルメットとしての充実度が高く、価格も税込3万3000円~と、コストパフォーマンスにもすぐれている。6つのスタイルチェンジが楽しめる多機能さもあり、開発コンセプトどおりオンからオフまで、クロスオーバーで楽しめるジェットヘルメットだ。
G-FORCE X詳細
●価格:3万3000円(ソリッドモデル)、3万6300円(グラフィックモデル)
●カラー:クールホワイト、アッシュグレー、マットディープブルー(店頭在庫のみ)、ストーングレー、アイアンレッド×ブラック
●サイズ:M、L、XL(クールホワイトとストーングレーはXXS、XS、Sの設定もあり)
●規格:SG/PSC(JIS2015と同等)
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