
ツーリングの楽しくしてくれる相棒のひとつといえば、やっぱりインカム! ぼっち気質な筆者は、通話こそ楽しめないけれど、音楽やラジオを気軽に聞けたり、急ぎの電話に出たりと重宝している。そんな用途だからこそ、それほど高価なものは必要ないかなと思っていたのだが、SENAの最新最上位モデル、60Sをテストしてみたところ、使いやすさと利便性の高さに驚かされた。ぼっちならではの視点で、その機能性や実際の使い心地をお伝えしていくぞ。
豊富な付属品でどんなヘルメットにも合わせやすい
デュアルパックもあるが、筆者が試したのは当然ながらシングルパック。まずは、セット内容の確認から。インカム本体こそ1つだが、主要な付属品をあげるだけでも、下記の8種類もある。
- クランプタイプマウント2種(ハーフ向けのブームマイク付き/フルフェイス向けのマイク無し)
- スピーカーユニット×2
- 外付けブームマイク/ケーブルマイク
- スピーカー貼り付けテープ4枚
- マウント貼り付け用テープ
- 高さ調節用スピーカーパッド
- 充電用USB-Cケーブル
- フェイスプレート4種
6万円以上する高級モデルだけあって、どんなヘルメットでも対応できるようにという配慮を感じるほど充実している。個人的にうれしかったのは、4種のフェイスプレート。ブラック、グレー、シルバー、ホワイトの4色が、メインカバーとダイヤルカバーの2種それぞれに用意されているので、8通りのカラバリが選べるのだ。いずれも使いやすい色ばかりなので、頭部のオシャレがさらに楽しめそうだ。乗るバイクによって、その日の気分や走行シーンによってヘルメットを使い分けたりする方ならなおさら。もっとビビッドなカラーがあると、より組み合わせの楽しさが増しそうだが、そのあたりは今後のオプション展開に期待だ。
装着も取り外しもラクラク
箱の中身を確認したところで、早速自前のジェットヘルメットに装着。マウントはクランプタイプなので、帽体と内装の間にマウントを滑り込ませるだけで簡単に取り付けられる。でも装着後のヘルメットを確認してみると、なんだかインカムが斜め…。よくよくみると筆者のヘルメットには、帽体と内装の段差を埋めるパーツがついていて、これが干渉しているせいだった。あまりこういったタイプは多くないが、この場合はマウントを貼り付けたほうが収まりは良さそうだ。今回はあくまでテスト目的ということもあり、使用には問題ないのでこのままとした。斜めについているせいか、マイクの配置が多少芸術的になってしまったのは、ご愛嬌。
マウントとインカム本体はマグネットとUSB-C端子で接続されている。両者は近づけるだけでスポッと小気味よく収まるので、結構気持ちいい。軽く何度か着脱して遊んでしまった。端子がしっかりとはまっているためか、外すときは力が多少必要だが、かえって「走行中でも早々外れなさそうだ」という安心感を与えてくれる。本体はポケットにも収まりやすい手のひらサイズだし、出先でバイクから離れるときも安心だ。
電源のON/OFFはジョグダイヤルのセンターボタンと、ダイヤル後ろのフォーンボタンの同時押し。最初は配置に慣れず、手探りだったが何度かやるうちにスムーズに起動できるようになった。グローブをはめていても、押しやすいボタンの大きさと配置で、直感的な操作で定評のあるSENAらしいつくりの良さを改めて実感した。スマートフォンとの接続も一度Bluetoothを登録してさえしまえば、1、2秒で済む。
また面白いことに、本体先端にはフラッシュライトが設置されている。あまりヘルメットにインカムをつけた状態では使わないかもしれないが、夜間バイクを置いて出先で探し物をする際や、未舗装路を探索する際には重宝しそうだ。
一度バッテリー切れにしてからの充電時間も図ってみた。おおよそ100分後には満充電になっていたので、カタログスペックの90分と同等といえそうだ。通話こそ試さなかったが、音楽をガンガンにかけた2時間の使用で、バッテリーの減りは10%程度。単純換算すると、最長通話時間の22時間に近い結果だった。
ぼっちでもツーリングが楽しくなる高品質スピーカー
設置方法やボタンを確かめたところで、早速楽しいインカムツーリングへ。まずは60Sのアピールポイントのひとつである、ハーマン・カードンの第2世代スピーカーの実力を試してみることにした。曲は、ドライブミュージックとして個人的に定番な、ディープ・パープルの「ハイウェイスター」をチョイス。サブスク音源ということもあるかもしれないが、注意深く聞くとバスドラムの音に若干の角が見られたものの、ベースの低音やエレキギターの響き、イアン・ギランのシャウトもはっきりと聞こえるほどの高い音質を体感できた。走行時には多少聞き取りづらくなるが、周囲の音も程よく聞きとれる、ほどよいバランスになっていた。
クラシックではどうかと、これまた個人的に好きなドビュッシーの「月の光」を聞いてみることに。出だしのフラットで落ち着いた旋律や、中盤の明るくアップテンポな旋律もよく表現されており、眼の前でピアニストの運指が目に浮かぶよう。音量を上げすぎると背景のノイズや、高音が割れる感じも見られたが、これはクラシック全般の音源が基本音量小さめだということが原因だろう。音量の調節自体は、インカムのジョグダイヤルを前後させるだけなのでかなり直感的で使いやすかった。
前モデルの50Sから引き続き標準搭載されている、ラジオもチェック。ぼっちにとっては、ツーリングのお供としてかかせないし、うれしい機能だ。こちらは連携したスマートフォンから電源のON/OFFや選曲もできるが、インカム背面のフォンボタンを1秒長押しすることでも起動可能だ。ラジオ局の選択はセンターボタンと、ジョグダイヤルの回転による。使ってみると、停車時にはよく電波を受信していて、クリアに音声が聞こえるものの、走行時はノイズまじりなことが多かった。
頭を右方向に傾けると、受信状況がよくなることが多かったので、これはインカムの設置位置の問題と言えそうだ。筆者のように斜めにつけていなければあまり生じない問題かもしれない。いずれにしても、最近ではインターネットを介したラジオ視聴サービスもあるので、そちらを使用した方が町中では無難だろう。スマートフォンの回線が使えないときは、ラジオを使うといった使い分けができるので、あるとうれしい機能であることは間違えない。
スマートフォンを介した走行中の通話も、相手の応答状態を確認している限り特に違和感なくできた。着信時に受ける際も、マイクに向かって「応答」と答えるだけでよいので、「はやく出なきゃ」と慌てる必要もない。スピードダイヤルもあるので、こちらからかける際もわずらわしさがない。このあたりの利便性は従来モデルと同様だろう。
音にこだわるライダーなら一度は試したい
一番のアップデート内容である、メッシュ通話こそ試せなかったが、ツーリング中でも心地よく音楽を聞けて、自分のヘルメットに合わせたカスタマイズができるといった魅力を持つ60S。ぼっちには過ぎたインカムになってしまっているが、音にこだわるライダーなら買っておいて損はないだろう。もっといえば、ツーリング仲間が多い方なら、その真価をさらに引き出せるはず。リアルタイム位置共有、他ブランドとも接続可能となるアプリ「WAVE Intercom」もリリースが開始しているので、ぜひ一度試してみてほしい。
【SENA 60S インプレ】音がイイ! SENAの最上級インカム60Sをぼっちライダーが試してみた ギャラリーへ (8枚)この記事にいいねする
最大の売りは長時間通話可能って所だと思うんですけどね。50シリーズ同士なのにメッシュ使わずインターコム通話しちゃうくらいメッシュの実働通話時間短かったんですよ。それが解消されただけでも無敵じゃないですか。