
12Kのネーミングどおり、1万2000本の炭素繊維を編み込んで作られたWINSのカーボンフルフェイスヘルメット「A-FORCE RS 12K」。その詳細と実力をチェックしてみた。
強さと軽さを両立し、高い安全性能を実現
「ひとりでも多くのライダーに、こんな商品があってよかったと喜んでもらいたい」。そんな思いを抱いて2009年に金沢に誕生したウインズジャパン。同年、日本企業として初めて「インナーバイザー付きシステムヘルメット」を発売し、2011年には日本初「超軽量1250g MFJ公認カーボンフルフェイスヘルメット」を発売。2017年には同じく日本初となる「インナーバイザー付きカーボンジェットヘルメット」を発売するなど、革新的なヘルメットを開発販売してきた。
この「A-FORCE RS 12K」は、1万2000本の炭素繊維を編み込んで作られたフルフェイスヘルメット。鉄の10倍の強度を持つドライカーボンと、ガラス繊維でできたドライファイバーを素材とすることで、「JIS規格の衝撃基準の1/2に抑える」というウインズジャパン独自の高い基準を達成した「強さ」を実現している。
カーボンの製法は、繊維素材を型に入れ、そこに樹脂を流し込んで成形するのが一般的だが、この製法だと厚みが出る部分と薄くなる部分ができてしまい、強度や重量が一定になりにくいという。そこでウインズジャパンは繊維の向きや位置を緻密に制御したカーボン素材に、あらかじめ樹脂を含侵させた素材を組み合わせた「プリプレグ繊維シート」を採用。このプリプレグ繊維シートを高い圧力で均等にプレスし、外部からは真空引き法で減圧し、不要な樹脂や気泡を極限まで取り除きながら加熱する「プリプレグインナープレッシャー真空引きエアーバッグ」という独自製法で硬化させている。
こうした製法により、ヘルメットの部位ごとに最適な強度と重量のバランスを実現し、「軽さ」と高強度、高耐久性を兼ね備えたA-FORCE RS 12Kが完成しているのだ。
フィット感がよく、軽快な被り心地
国産メーカーのMサイズを着用しているので、A-FORCE RS 12KもMサイズを選択。そのA-FORCE RS 12Kの実測値重量は1420gで、ドライカーボンを素材とすることで、インナーバイザーを装備していながら超軽量に仕上がっている。手に取ってみると予想以上に軽く、事実、「軽さ」が際立つ被り心地だった。
風の巻き込みを軽減する一体型チークパッドを装備していることもあり、ヘルメットの頭入れ部はやや狭く感じた。あご紐で開くようにして頭を入れると、内装と頭のフィット感がよく、頭全体が包み込まれるようにホールドされる。そのホールド性と軽さのおかげで、意図的に頭を上下左右に動かしてみてもヘルメットがズレることがなく、お釣りのような余分な挙動もなかった。
チークパッドは、あらゆる形の頬に追従するように3D形状に成形。そしてそのパッド内部の最適な位置に、最適なサイズで穴をあけることで、包み込むようなフィット性を実現している。また、チークパッドのスポンジ部分はカットして修正でき、頭頂・側頭・後頭部などの調整用パッドセット(価格:1760円)も用意され、頭の形に合わせて細かくフィッティング調整できるのもA-FORCE RS 12Kの特徴となっている。
エアインテークは口元とシールドの上部に設けられ、エアアウトレットは後頭部に設置。それぞれのシャッターを開けた状態にすると、30km/hでエアインテークから走行風が流入し、エアアウトレットからヘルメット内の空気が排出されるのを体感できた。ベンチレーションがよく機能し、快適な被り心地に大きく貢献している。
同梱されている3D Air Tech。肌に触れても安心なポリウレタン素材で、通気性・衝撃吸収性・快適性を兼ね備えている。水洗いもでき、清潔さをキープできる。単体で購入すると税込9900円だ
ライディングに集中できる作り込みで安全性を高める
A-FORCE RS 12Kは広い視界を確保するために開口部が広くなっているが、その開口部にセットされるシールドも歪みがなく、クリアな視界を実現している。このシールドは「FOGWIN PLUS」の貼り付けにも対応していて、温度や湿度に関わらず曇りを防ぐこともできる。
インナーバイザーも旧モデルから5mm延長した75mmのロングタイプを採用し、視界を覆う面積を広くして走行中の眩しさをしっかりと軽減する。
素材と製造方法にこだわり、独自の高い安全基準をクリアしたシェルは軽量に仕上げられ、被り心地も軽快そのもの。ヘルメット内部のフィット感もよく、空力性能も良好なので、走行中に振られたり、ズレることもなく高い安心感が得られた。口元のスペースが少しタイトなのと、走行中に下を向くと風切り音を感じたが、どちらも強いて言えばというレベル。軽くて一体感のある被り心地は首への負担も少なく、長時間のライディングで疲労を軽減し、集中力の持続をサポートしてくれる。
高いレベルで両立した快適性と安全性を、軽い被り心地で実感できるカーボン製フルフェイスヘルメットを6万3800円で購入できるのは、コストパフォーマンス抜群と言える。
WINS A-FORCE RS 12K 詳細
・価格:6万3800円(税込)
・カラー:ブラック
・サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL
・規格:SG/PSC(JIS2015と同等)
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