SHOEIの「GT-Air3」はツーリング向けの上級フルフェイス。インナーバイザーを筆頭に数々の快適性能と近未来的なフォルムを融合している。その実力をチェックしてみた。

フルフェイスでは同社唯一のツーリング向けモデル、快適機能を満載

前作GT-Air2の後継モデルとして、2024年4月から発売された「GT-Air3」。SHOEIではツーリング向けヘルメットとして、システムタイプにネオテック3、ジェットにJ-Cruiseシリーズ、そしてフルフェイスにGT-Air3をラインナップしている。

機能面でGT-Air3はネオテック3に次ぐツーリングモデルで、様々な環境で高い快適性を発揮できるのが魅力だ。

まず独特なのがデザイン。メリハリのある帽体にエッジの利いたパーツを組み合わせ、実に近未来的というかSFチック。そして頭頂部に排気ダクトを設置するのもユニークだ。

さらにインナーバイザーをはじめ、専用のインカムをスマートに組み込める「SHOEI COMLINK」、口元の防虫フィルター、マイクロラチェットバックルなどツーリングに役立つ機能を満載している。


  ●価格:6万8200円~
  ●サイズ:S、M、L、XL、XXL
  ●規格:JIS
  ●メーカーサイト:https://www.shoei.com/products/helmet/fullface/gt-air_3/

ストレスのない被り心地、バイザー付きとしては実に静か

実物を手にすると、とにかくデザインがカッコイイ。帽体のリブやエッジの立ったダクト、シールドベース下に敢えてパーツを装着するなど、とにかく凝っているし、個性的だ。

被ってみると、それなりに重量は感じるが、バランスはいい。筆者実測による重量は1698g(Lサイズ、マットブラック チンカーテンを含めると1711g)。ホールド感は、適度に全体をホールドにしつつ、やさしく、ストレスがない。

テスト日は気温30度、湿度80%というムシムシした状況で、停まっていると帽体内に汗をかく状況。ベンチレーションに関しては、街乗りレベルでは今一つ体感できなかったが、100km/h巡航ではハッキリ換気されている印象だった。

なお、チンカーテンなしだとアゴ下から巻き込み風が頬に抜けて涼しい。一方でチンカーテンをするとしっかり走行風をシャットアウトしてくれる。夏でも冬でも活躍が期待できるだろう。

内蔵バイザー付きは帽体が大きくなるため、風切り音の面では不利だが、GT-Air3は一般的な内蔵バイザーモデルに比べて非常に静かな部類だ。

バイザーの視界が非常に自然でクリア

驚いたのはインナーバイザーの視界。歪みがなく、クリアに見える。誇張ではなく、バイザーを降ろしているのを忘れてしまったほど自然な見え方だ。また、サンバイザーとノーズガードとのすき間が少ないため、周囲との明暗差が少ないのもいい。スイッチは、スプリングなどを用いない直動式で、やや力が必要。ただし誤動作がなく、確実に操作できる。

シャッターが大型なので、グローブでも操作がしやすいのも美点。マイクロラチェットバックルは脱ぎ着が多い街乗りやツーリングでも苦にならないし、コンパクト設計のため、首元の違和感が少なかった。

[まとめ]機能的な上級ツアラーとクロスオーバーに似合う

ツーリングに役立つ様々な機能を盛り込み、実用性十分なGT-Air3。とりたてて軽量モデルではないものの、長時間被っても疲れにくかった。

私が特筆したいのはデザイン。他の製品にはない独特のスタイリッシュさがあり、高級感もある。上質なツアラーやクロスオーバー系によく似合う。そうしたバイクにマッチする機能性ももちろん持ち合わせている。

価格は7万円に迫っており、レース系フルフェイスに近い。ただし質感と機能性を求めるライダーには高くない買い物になるだろう。

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