
高速道路で自動車が故障し、やむなく停車しなければいけない場合がある。この時、自動車は後方に三角板(停止板)か発炎筒を置いて、後続車に危険を知らせなければならない。しかし、これがバイクにも同じ義務がある、ということは意外に知られておらず、さらにこれらの用品は大きくてかさばり、バイクには積めない場合が多い。ところが故障時にこれらを置かないのは、立派な道路交通法違反であり、何より追突される危険が大きいのだ。
そこでエーモンから登場した「パープルセーバー モト」は、ライダーが使いやすいように工夫されたコンパクトな安全グッズ。今回は実際に夜道で光り具合をチェックしてみた。
目次
絶版車に付きまとうトラブルの不安を解決
高速道路を走行中、エンジンの回転数が突然グモモ……と落ちた時。これに焦らないライダーはいないだろう。追い越し車線なんて走っていればなおさらだ。あわてて路肩に寄って停車して、エンジン再始動を試みるも、むなしくセルモーターがキュルキュル回るだけ……。
これを他人事と思ってはいけない。ハイテクなメカに守られている現代のバイクだが、ガス欠やちょっとした端子の接触不良でも、こういう事態の可能性は常にあるのだ。もちろん旧車、絶版車はもっとリスクは大。その年式からくるパーツの劣化で、予期せぬトラブルも起こりがち。万全にメンテナンスされていても、トラブルの可能性がゼロになることはない。
なんて不安をあおってしまった私自身、予期せぬトラブルを恐れながら走る絶版車オーナー。ロングツーリングのたびメンテナンスは万全に仕上げた(つもり)だが、まったく予想のつかないトラブルでエンジンストールしたことはある。高速道路上で緊急停車するのは本当に心臓に悪いし、なにより絶望感と不安感がモノスゴイ。
写真の1987年式のエリミネーター250はもう37歳。金属パーツのサビやプラスチックの割れで、エンジントラブルに陥ることは珍しくない。
三角板の代わりになるんです! 紫の光を放つ新しい安全グッズ
トラブルで停車した時、高速道路では必ず三角板か発炎筒(停止表示灯)を置いて、後続車に危険を知らせる必要がある。このためクルマにはメーカー出荷時にどちらかが必ず積載されているが、バイクにはほとんど搭載の例がない。理由は簡単、どちらもけっこうかさばり、収納スペースに入らないからだ。
ところがこれらの緊急アイテムは、「車載していなくても違反ではない」が、高速道路で故障して停車した時に設置していないと、これは立派な道路交通法違反(故障車両表示義務違反)になってしまう。調子よく走っているうちはいいが、故障してガッカリしているところに、さらに違反の罰金まで受けるのは悲劇のダブルパンチといえるだろう。
そこでエーモンが販売している「パープルセーバー モト」を紹介したい。これはコンパクトな緊急用の停止表示灯。法規では緊急停車時の停止表示灯は「紫色に点滅する」ことが義務付けられている。パープルセーバーはその名の通り、強い紫の光で後続車に自分の存在を伝えるアイテムとして登場。もちろん法規に則った合法の製品だ。従来は3連LEDを装備した大型のモデルで、マグネットによりクルマのルーフやバイクのタンクに装着できた。ところが実際にバイク用として使用すると、「タンクに装着したとき、荷物があると後ろから見えない!」「そもそも樹脂製タンクだから装着できない!」「まだまだ大きくて携帯できない!」など、様々な改良を望む声が寄せられたという。そこで、新たにバイクに向いた、より小型で軽量な「モト」がラインナップされたワケだ。
三角表示板。折りたたみもできるが、バイクに積むのは現実的ではないサイズだ。
こちらが初代「パープルセーバー」。マグネット付きでバイクにも装着できるが、「荷物を積んでいると後ろから見えない」などの問題を解決するため、バイク向けに更なる改良を受けた。
約7センチのサイズで800m先まで存在を届ける!
バイク向けということで、絶版車ライダーの私は早速パープルセーバー モトに触れてみた。一見するとオモチャの懐中電灯のようなスタイルだが、全体がゴム製のカバーでおおわれており、調整可能なベルトでバイクの様々な箇所に取り付けることができる。サイズは幅68mm、高さ39mm、奥行26mmと、一般的なスマホより二回りほど小さく、重量も電池の重さ程度しか感じない。
操作はいたってシンプルで、起動には本体のスイッチを押すのみ。点滅の早さや光量の調整などはできないが、そういった用途は考える必要がないだろう。点滅をやめるには、もう一度スイッチを押す。それだけのシンプルさだ。
ところがその光の強さはすさまじい。近距離では直視できないほどのまぶしさだ。昼間でも十分に、その視認性の高さを確認することができた。カタログスペックでは、昼間は約300m以上、夜間は約800m以上の距離で視認ができるという。これだけ距離があれば、後続車の回避運動も十分間に合う。
これがパープルセーバー モト。サイズ感は例えて言うなら……GoProに近い。
左側にLEDライトのレンズを備え、右上にスイッチ。この上もなくシンプルだ。
試しにスイッチを入れてみると、昼間でもハッキリわかる明るさで点滅を開始した。
さっそく夜にもテスト! 凄まじい光量は安心感抜群
もちろん、昼間に見てもその真価はわからない。さっそく夜のツーリングに繰り出して、その光量をテストしてみることにした。たどり着いたのは真っ暗な農道。ここでバイクが壊れたらさぞかし恐ろしいだろう……。取り付け場所はゴムベルトで自由に選べるのだが、しっくりくるのはバックミラー。なるべく高い位置のほうが、後続車からよく見えるハズだ。
さっそくスイッチを入れてみると、ウワッと声がでるほどの明るさにビックリ。暗闇に慣れた目では一瞬視界がなくなってしまったので、点灯時は直視しないほうがいいだろう。
ベルトでミラーにピッタリ取り付けられる。向きも気にしなくていい。
点滅のタイミングは結構早い。ピカピカピカッ! ピカピカピカッ!というテンポ。こんな調子で光っていたら、すぐに電池が無くなるのでは……? と思ったが、なんと新品電池で約14時間も点灯するとのこと。ちょっとやそっとで電池切れにはなり得ないのだ。
バイクから離れていってみる。距離をとるにつれ、目を射るような光の強さは収まってきたが、それでも存在はどれだけ離れてもハッキリしている。50m、100mと離れてみても、ほとんど輝きの強さは変わらなかった。また、LEDライトは指向性が強い特徴があるが、パープルセイバー モトは角度を多少変えても、視認性は十分だ。
距離約50m。光源は小さくなったが、存在感はまったく消えていない。
距離約100m。背景の外灯と同サイズになったが、強いパープルの点滅は衰えなかった。
照射範囲は広く、斜め横からでも点滅を確認することができた。多少角度がズレていても安心だ。
高速道路のお守りに持っておきたいパープルセーバー モト
操作は簡単、光量も抜群なパープルセーバー モト。しかし気になる点がゼロではない。スイッチが軽いので、何かの下敷きにした場合など、意図せず電源が入ってしまう可能性があるだろう。またゴムカバーはややホコリがつきやすいため、袋に入れず携帯するのはオススメしない。電源が乾電池というのは、リチウムバッテリーが当たり前の現代では古めかしく見えるが、これはむしろ高評価ポイント。うっかり充電を忘れるということがないので、緊急時には頼もしい。コンセントがなくても、どこでも入手がしやすいのも嬉しい。
マシントラブルの不安は誰にでもあり、それは新車でも絶版車でも同じだが、どんなライダーにとってもイザという時に使えるパープルセーバー モトは、高速道路を走るツーリングライダーの強い味方だ。トラブルに遭ってしまい、レッカーサービスを道端で待つ羽目に陥ったとしても、追突や違反切符の不安からは逃れられる。お守り代りに持っておいて損はないアイテムといえるだろう。
ギャラリーへ (15枚)この記事にいいねする