文:伊藤康司・小川勤

バイクを“自分だけ仕様”に作り上げるカスタム。レーシングマシンが採用するような機能パーツを装着すれば性能アップで気分も上々!…でも本当に効果があるのか?
飛ばさないなら必要ないかも?? そんな疑問を解決して、思いっきりカスタムを楽しもう!!

昔から“マフラー交換”はカスタムの王道! とはいえ今どきのバイクは交換しなくても十分速いし、規制も増えてチョット面倒かも……、と思っていたらもったいない! 乗り味もルックスも、マフラー交換で一発激変!

Q:マフラーを交換したらパワーアップするの?

A:マフラー交換のメリットはパワーアップだけじゃない

高性能なマフラーに交換すれば、見た目も音もフィーリングも変わる。しかし近年のバイクは、ノーマルマフラーでも十分に速い。とはいえそこで「それなら交換するメリットがあまり無いかも……」と考えるのはもったいない。

まずパワーに関しては、全開レッドゾーン付近のピーク域だけでなく、低回転から全域でムラなく向上。さらに中回転の常用域でのトルクを増強したり、“谷”のないスムーズなレスポンスを実現することで「アクセルの開けやすさ」に主眼を置いた製品が増えており、これは“開けて曲がる”等のライテクを試す上でも大きな効果がある。

また純正だとコスト面で採用されないチタンのような高級素材を使用することで圧倒的な軽さを実現。これは軽快なハンドリングなど乗り味にも影響する。何よりルックスと音の変化は一目瞭然! 昔も今もマフラー交換は訴求力No.1のカスタムなのだ!

ハンドリングが良くなる

純正マフラーのサイレンサーは相応に重量があり、車体の側面に配置される場合が多く、重心から離れた位置にある。しかしリプレイスマフラーのサイレンサーはずっと軽量で、外側への張り出しも極力抑えた形状や配置だ。

そのため純正マフラーと比べ重量による慣性力が小さくマスの集中化にも貢献し、コーナリングで車体を傾けるリーンの動作が軽く鋭くなる。もちろんエキゾーストパイプの軽さも車体重量に影響し、運動性を高めるのに役立っている。

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フルエキならかなり軽量化できる

純正マフラー(フルエキゾースト)の重量は大排気量4気筒なら2本出しのフラッグシップ系だと約20kg、ネイキッドで約12~15kg、スーパースポーツで8~10kgとかなり重い。対するリプレイスマフラーは純正の約半分から、モノによっては7~8割も軽量! 250クラスのサイレンサーも純正は5kg前後あるが、軽量なスリップオンなら重量や約半分ほど。スポーツバイクにとって“軽さは正義”、あらゆる場面でメリット大だ。

取り回しが楽になる

マフラー交換による軽量化の効果は、サイドスタンドで停めたバイクを起こすだけでも体感できる。とくに重さを感じる大型車は、ガレージや駐車スペースの出し入れ等の取り回しがラクになり、走っていない時のメリットも大きい。

アクセルが開けやすくなる

高性能なリプレイスマフラーは回転上昇の過渡特性に優れ、トルク特性を向上させたものが多くなっている。そのためどの回転域でもアクセルが開けやすく、トラクションを生かした力強い加速や安定したコーナリングを楽しめる。

音量でなく音質が良くなる

エキゾーストパイプの集合方式やサイレンサーの構造など、馬力やトルク向上はもちろん“音質”も追求して開発。突き抜けるような高周波サウンドや鼓動感溢れる低音など、エンジンや車種の特性やカテゴリーに合った音を楽しめる。

Q:マフラーにはどんな種類があるの?

A:フルエキゾーストとスリップオンがある

大別するとマフラーすべてを交換する「フルエキゾースト」と、サイレンサーのみ(テールパイプを含む場合もアリ)を交換する「スリップオン」の2種類。フルエキゾーストはパワーやトルク、エンジン特性も変化して大幅な軽量化も可能。

エンジン剥き出しのネイキッドなら、エキゾーストパイプの美しい曲線も楽しめる。対するスリップオンはルックスの変化が主な特徴だが、コストや交換作業の容易さも大きなメリット。そしていずれの場合もサウンド(音質)を存分に楽しめる。

フルエキゾースト

スリップオン

Q:マフラーにはどんな素材があるの?

A:様々な素材から選べる

かつてのマフラーはほぼスチール(鉄)一択だったが、近年の中~大排気量車はステンレス製のエキゾーストパイプが増え、1000ccスーパースポーツはチタン製のエキパイを採用する車両もある。リプレイスマフラーは性能重視のスポーツモデル用ならチタンかステンレスのエキパイが主流。

サイレンサーも含め、軽さで選ぶならチタンが有利で、焼き色加工など表面処理も豊富に揃う。ちなみにエキパイやサイレンサーの“材質が硬い”ほど、音質も硬質で高音になる傾向がある。

エキゾーストパイプ

ステンレスは強度が高く、チタンは圧倒的な軽さがメリットで、いずれもサビに強い。他にスチール(鉄)製もあり、旧車系に人気アリ。

サイレンサー

チタン主流の感はあるが、ステンレスやアルミ、カーボン製もアリ。近年は独特のデザインのモノも多く、個性を発揮しやすい

Q:試しやすいスリップオンでも効果はある?

A:音質も変わるし、軽さも体感できるかも

純正マフラーのエキゾーストパイプを使用するのでフルエキゾーストより性能的な変化が少ないのは事実。しかし軽量なチタン素材を用いた製品なら、重量は純正の半分以下なのでハンドリングの軽さを感じることができるかも。またスリップオンマフラーでも出力やトルクが向上する高性能な製品が数多く存在する。とくに元々の馬力やトルクが低い小排気量車なら、普段乗りのアベレージでも性能向上を体感できるだろう。

Q:マフラー交換したら車検は大丈夫?

A:車検対応品を選べば大丈夫

バイクには様々な騒音規制や排出ガス規制が課せられており、生産年によっても規制内容が異なる(リプレイスマフラーに限らず、純正マフラーも同様に適用)。そして平成22年騒音規制以降は、車両ごと(型式ごと)に政府が認証したマフラーを装着したバイクしか車検を受けることができなくなった。ただし政府認証マフラーや純正マフラーであっても適用される規制をクリアしなければ車検は通らないので、マフラーの痛みや劣化(転倒による穴開きや、消音材の減少など)は要注意!

Q:1本1本手で曲げて作っているマフラーがあるって本当?

A:メーカーによって製造方法は様々

純正マフラーやリプレイスマフラーの多くは2Dベンダーという機会でパイプを曲げて制作。しかし、砂を詰めたパイプをガスバーナーで炙りながら職人が曲げる、昔ながらの“手曲げ製法”のリプレイスマフラーも存在する。連続した美しい曲線が人気だが、熟練した職人技が必要なので価格も高い。3Dベンダーと呼ばれる連続した曲げが可能な機械もあるが、難易度が高いため使用するメーカーは少ない。ちなみに同一メーカーの製品なら手曲げも機械曲げも性能的な差はほとんど無い。

MotoGPマシンはチタン板を丸めてテーパーに

【画像】ちょっと詳しくなるとカスタムはもっと楽しい! カスタムQ&A(マフラー編)【WebikePlus Vol.07】 (14枚)

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