
文:伊藤康司・小川勤
バイクを“自分だけ仕様”に作り上げるカスタム。レーシングマシンが採用するような機能パーツを装着すれば性能アップで気分も上々!…でも本当に効果があるのか?
飛ばさないなら必要ないかも?? そんな疑問を解決して、思いっきりカスタムを楽しもう!!
「消耗品だから減ったら標準装着品に交換」でも良いけれど、タイヤは路面とライダーを繋ぐ唯一の接点だけに、乗り味に大きく影響する重要パーツ。しっかり自分に合ったタイヤ選べば、バイクライフがいっそう充実!
目次
Q:タイヤをただの黒いゴム、消耗品だと思ってない?
A:高性能リプレイスタイヤはチューニングパーツだ!
タイヤは走れば減るし、減ったら交換するから“消耗品”なのは事実。しかし、レースではどのタイヤを選択するかで勝敗が決まることがあるくらい重要な“チューニングパーツ”だ。
じつは一般ライダーも、使い方や乗り方は千差万別。毎日の通勤に使う人がいれば、ツーリングしか乗らない人もいる。
ツーリングも高速道路や幹線道路の巡航が主体なのか、ワインディングをスポーティに走るのがメインなのかもライダーの好みで異なるだろう。なかには「トランポに積んでサーキット走行。走る前にタイヤウォーマーを巻く」という方もいるだろう。
タイヤメーカーが同じカテゴリーの中でも様々な種類のタイヤをラインナップしているのは、個々のライダーの用途や走り方にしっかり合わせて選べるようにするためだ。レースとは違うが、これも立派なチューニングだ。
そして“ハイグリップはスグ減る”、“ツーリングタイヤはグリップしない”は昔の話。技術の進化でハイグリップタイヤのライフは長くなったし、ツーリングタイヤもグリップやハンドリングが驚くほど向上しているので、過去のイメージに捉われないのが自分に合ったタイヤ選びを楽しむ秘訣だ。
標準装着タイヤは過不足無いが、必ずしも自分の用途や乗り方に合っているとは限らない。減ったら交換するのは当然だが、自分にマッチしたタイヤを選べば、もっと走りを楽しめる。
タイヤ内部は物凄く複雑
外から見たらただの黒いゴムだが、内部にはカーカスやベルトと呼ばれるコードが貼られ、かなり複雑。コードの素材や貼り方などもメーカーが独自の技術を投入してダンピング性能を追求し、グリップ性能や乗り心地を生み出している。
コンパウンドはセンターとショルダーで異なるものも
近年のロードスポーツ用タイヤは、車体が起きた加減速時に大きな荷重を受け持つセンター部は耐摩耗性に優れる硬めのゴムで、旋回時にバンクして接地するショルダー部はグリップ力の高い柔らかいゴムを配置する分割構造が増えている。
自分の用途に合ったタイヤを選べる時代
写真はミシュランのロードスポーツ用タイヤのラインナップだが、大手タイヤメーカーは同時カテゴリーのタイヤに多くの種類を用意している。個々のライダーの用途や走り方に合わせて、よりマッチするように細分化しているのである。
Q:スーパースポーツにツーリングタイヤを履くのってあり?
A:ライフも長くなるし、ハンドリングも穏やかになるから用途によってはオススメ
“ツーリングタイヤは減らないけれどグリップしない…”というのは、かなり昔の話。近年のスポーツツーリングタイヤはグリップ性能もハンドリングも秀逸なので、ワインディングも存分に楽しめる上に、雨天や寒い時期も気を使わなくて良い。トレッドパターンもけっこうスポーティなので、スーパースポーツに履いても違和感ナシ!
Q:ハイグリップタイヤはどんな時でもグリップするの?
A:温度依存が大きいから、性能を引き出すのにコツがいる
サーキットを考慮したハイグリップタイヤは、温度依存が高いため、しっかり温めないと性能を引き出せない。レースでタイヤウォーマーを使うのはそのためだ。一般道の場合、気温や路面温度が低い冬場ならかなり慎重に走り始めないとならないし、夏場でも温める操作が必要。タイヤが冷えている時の急加速や急減速を避けつつ、アクセルやブレーキでタイヤを揉むように温めよう。
Q:溝があれば何年使っても大丈夫?
A:タイヤには賞味期限があるので、3年以上は注意
タイヤのゴムは大気中のオゾンや太陽光に含まれる紫外線で徐々に劣化する。溝が十分残っていても時間の経過でグリップ力が落ちるので、製造から3年くらいが“賞味期限”と考えよう。製造年週はサイドウォールに刻印され、前2桁が週で、後2桁が年。写真は2021年の第43週(10月末)の製造。中古車を購入する際もチェックしたい。
【画像】ちょっと詳しくなるとカスタムはもっと楽しい! カスタムQ&A(タイヤ編)【WebikePlus Vol.07】 (7枚)この記事にいいねする