ホンダCB400FOURの純正マフラーが限定復刻！ SANKEIが当時と同じ素材・形・構造を忠実に再現

旧車・絶版バイク専門ディーラーの株式会社ウエマツが、ホンダCB400FOUR用復刻限定生産マフラーの取り扱いを開始した。

復刻マフラーはCB400FOURが新車として発売された当時の純正マフラーを開発／製造した三恵技研株式会社が製造し、当時と同じ素材、フォルム、構造を忠実に再現している。

販売数は限定300本で、価格は19万8000円(税抜)。現在も多くのファンに愛されている名車ということもあり、既に300本のうち100本が販売済み*。また、今回製作された金型は量産仕様ではないため、これ以上の増産の予定は現在のところないという。

絶版車人気が高まる中、ユーザーのニーズに応えてスタートした復刻プロジェクト

「ドリームCB400FOUR」は、ホンダから1974年（昭和49年）に発売されたモデルだ。前身となるCB350FOURからイメージを一新し、低めに構えたハンドル、過剰な装飾を廃したスポーティなスタリング、そしてシリンダーヘッドからエンジン下まで流麗な弧を描く4in1マフラーなど、メーカー純正カフェレーサーとも言うべきかつてない革新的な姿で、国内外から大きな人気を集めた。その存在は今なお多くのバイクファンを魅了しており、現在の絶版車シーンでも高い人気を誇る。

その中で愛好家たちを悩ませているのが補修パーツ確保の問題だ。新車時から数十年が経過し、メーカーから補修部品の供給が打ち切られた場合、コンディションやオリジナルのスタイリングを維持するのは困難となる。

特にスチール製のマフラーはサビの発生は避けられないうえ、マフラーは転倒などで傷ついたり、凹んでしまうことも少なくない。また、旧車・絶版バイク専門ディーラーのウエマツによれば、約50年をサバイバルして来た残存するCB400FOURのほとんどが、純正マフラーを装備していないのが実情だという。

そうした状況の中、純正マフラーの復刻を手掛けたのは、発売当時にCB400FOURの純正マフラーの開発と製造を行った三恵技研工業株式会社(以下、SANKEI)だ。

復刻マフラーは、当時と同じ製造メーカーが当時の純正と全く同じ素材、構造、フォルムを完全に再現し、新たにパーツを作るという前代未聞の取り組みで製造。これは多くの絶版車ファンにとって心強いニュースとなるだろう。

HONDA DREAM CB400FOUR

革新的だったCB400FOURのマフラーを現代の製造現場で再現

CB400FOURのマフラーは、国産車として初採用となったテーパーの筒型サイレンサーや、4in1集合スタイルを採用。ホンダのデザイナーが思い描いたマフラーを製品化するため、幾多の苦労があったという。

バンク角と最低地上高を稼ぐため4本が一列に並ぶ集合部や、サイレンサーエンドの処理など、SANKEI社内で試作の木型を何度も作りなおして、デザインの精度が高められたほか、かつてないマフラーを生み出すために生産のための機械や製造手法まで、新たな手法が取り入れられ、様々なチャレンジが行われたのだとか。

このマフラーを再現するにあたり、50年前と比べて大きく進化した工業製品の製造現場。現代の技術と機械があれば復刻はたやすいことに思えるかもしれないが、実際に完成するまでには幾多の困難が待ち構えていたそう。

マフラーの量産には金型を欠かすことができないが、当時の金型は廃棄処分済み。そこで社内の資料を探索したところ、当時の設計図を発見。この設計図とSANKEIの関口好文氏(生産本部生産改革室主任技師)が個人的に所有していた当時の量産品マフラーの現物が金型づくりの指針となった。

しかし、当時の設計図は手描きのもので、長さやパイプ径といった、2次元の寸法しか記載されていない。そこで、マフラーの微妙なカーブや集合部の独特のフォルムを再現するため、3Dスキャナーを用いて純正マフラーを3Dデータ化し、CADでの設計が行われた。

この設計を基に金型が製作されたが、実際の製品になると純正とは微細に異なる仕上がりとなり、その度に修正を加えて金型製作がやり直されることに。最終的には機械で製作された金型に、職人の手で修正を加えることで、当時の純正マフラーの持つ風合いや細部を再現することに成功したという。

そして、当時の純正とまったく同じ厚さのスチール素材やクロームメッキ、さらに3室に分かれたサイレンサー構造やエキゾーストパイプのカーブまで完全に再現することで、見た目のみならず、新車当時のエキゾーストノートまで蘇らせている。

マフラーの中でも最も高温になるエキゾーストパイプの最初の曲がりの部分。この部分のメッキに焼け色が付かないように、純正はエキゾーストバイプの約半分ほどが二重管となっていた。ところが、現代の機械では再現できず開発は難航。そこでSANKEIの職人が知恵を結集し、かつてない手法でパイプ曲げに成功。手間や時間は要したものの、当時と同じ構造を実現した。

プロジェクトのキーマンである三恵技研工業株式会社 生産本部 生産改革室 主任技師の関口好文氏。自身もCB400FOURのオーナーであり、ファンの一人として格別の思いを抱いている。

複雑な曲面を持つ集合部は再現に苦労した部分。

【当時と同じ規格でクロームメッキ加工を実施】マフラーのクロームメッキの厚みや品質も当時のホンダ純正と同等に再現。厚いメッキや中古マフラーの再メッキ品では刻印の角が甘くなり、文字がしゃきっと見えないケースも多々あるが、復刻マフラーの刻印は新品らしくクッキリと刻まれている。

純正マフラーの再生産と販売の許可を得ているので、当時の純正と同じ「HONDA」のロゴも刻印されている。

【繊細な“魅せる”溶接ビートを再現】サイレンサーエンドの細く繊細な溶接ビードは、70年代当時、日本国内の溶接機では実現できず、このCB400FOURのマフラー生産のためだけに輸入された外国製の溶接機が用いられていた。現代においても、この溶接ビードはSANKEIの工場でももっともハイクラスの溶接機でなければ再現できなかったという。

【ボルト1本までホンダ純正品を採用】サイレンサーのバンド部分などに使われているボルトは、頭に独自の刻印が入ったホンダの純正ボルトを使用。細部に至るまで忠実に純正クオリティを追求している。

3室構造のサイレンサーも当時と完全に同一構造に。これにより、新車当時の音や性能も再現されている。

SANKEI 2002 MUFFLER COMP EXHAUST CB400FOUR 純正限定復刻マフラー

・価格：19万8000円（税抜）
・品番：SANKEI 2002
・適合車種：HONDA DREAM CB400FOUR（HM377）
■CB400F限定復刻マフラーのオーダーはこちら：https://www.uematsu.co.jp/pages/etc/inquiry.html

SANKEI 2002 MUFFLER COMP EXHAUST CB400FOUR 純正限定復刻マフラー

情報提供元[ ウエマツ ] ギャラリーへ (10枚)