
2023年に登場したカブト初のクロスオーバーヘルメットがGEOSYS(ジオシス)。オンロード系が得意な同社だが、その出来映えは果たして? 興味津々でチェックしてみた。
オン系の技術を注入した帽体に調整可能なバイザーを融合
従来のOGKブランドではオフロード系ヘルメットを発売していたが、2006年にKabuto(カブト)へブランド名を変更して以来、初のオフ系となるのがジオシスだ。
まず外観は、オフ系の必須アイテムであるバイザーが特徴的。上部に穴が空き、いかにも空力性能が高そうだ。バイザーはカンタンに5段階の調整が可能。帽体はカブトお得意の空力デバイス「ウェイクスタビライザー」を備え、こちらも空力性能が優秀そうだ。
帽体はA.C.T.帽体(高強度複合素材帽体)。最適な積層枚数や樹脂を組み合わせ、軽量ながら耐貫通性、衝撃吸収性に優れたハイスペック帽体だ。
2023年に登場したジオシス。オンロードで培ったノウハウを注入したクロスオーバーヘルメットだ。曇りを低減するピンロックシートは別売(3300円)。
●価格:4万7300円
●サイズ:XS(54-55cm) S(55-56cm) M(57-58cm) L(59-60cm) XL(61-62cm)
●規格:JIS
●カラー:白 黒 ツヤ消し黒
●メーカーサイト:https://www.ogkkabuto.co.jp/motorcycle/products/offroad/geosys/geosys.html
正面から見ると帽体上部のリブが特徴的。バイザーは帽体のシルエットに収まっている。バックルはDリング式だ。なおXS~LがMシェル、XLはLシェルと帽体のサイズを造り分けている。
帽体は風洞実験の分析結果と実走から形状を決定。後部両サイドには、乱流をコントロールし、安定性を高めるシェル一体形ウェイクスタビライザーを備える。
バイザーを外した状態。ターミネーター仕様として使用できるが、カブトでは特に推奨していないようだ。外したネジをボルト穴に着けておくと違和感がない。
バイザー付きながら空力性能が優秀、独特な内装によるホールド感も良好
オフロード系ヘルメットはバイザーが付いている関係上、重く感じたり、首を振るとバランスが今一つだったりすることが多い。しかしジオシスを実際に被ってみると、かなり軽快で首を振ってもグラつきがほぼない。
重量を測ってみると1644g(Lサイズ ブラックメタリック チンカバーなしの状態)。軽量な内蔵バイザー付きフルフェイスのカムイ3が1625gなので、ほぼ同等だ。
被り心地は額から上を面で抑え、頬が若干タイト。後頭部のホールド感は適切で、スポーティな印象だ。内装の弾力を変えることで、絶妙な被り心地を実現している。
オフ系らしく、視界が広い上に口元が広く、圧迫感が少ないのもポイント。加えてスイッチの操作性が良好で、スムーズに開閉できる。
バイザー付きモデルは、高速走行時に圧迫されたり、ノイズが発生したりしがちだが、ジオシスでは問題なかった。100km/h巡航でも前を向いた状態での直進安定性が高く、静穏性も優秀だ。
高速走行中に首を振ると、さすがに負荷はあるものの、バイザー付きでこれほど空力性能と静けさを両立したモデルは珍しく、クラストップ級のクルーズ性能と言えるだろう。さすがカブトと言うべきだ。
ベンチレーションは、特に顔と口まわりの換気性能が優秀。バイザーがあるため、額は風が通りにくい部分だが、それでも50km/h程度から換気してくれている印象があった。口元の上側ダクトはシールド側に風が抜けるが、目元に風はほぼ感じない。
なお、生地が厚いウインドシャッター(付属品)をアゴ下に着ければ巻き込み風をシャットアウトしてくれる。
頬パッドにはメガネスリットを採用。メガネやサングラスのツルがスムーズに収まり、こめかみを圧迫しない。
【まとめ】新基準のオフ系ヘルメット、価格も魅力的
クロスオーバー系のヘルメットは、バイザーが空気抵抗となる上に、大きく重くなりがちなので、高速クルーズはあまり得意ではない。だが、ジオシスは安定感、静粛性とも優秀だ。視界の広さと口元の開放感もポイントで、フルフェイスにありがちな圧迫感が少ないのもいい。
オフロードモデルはもちろん、高速道路に乗る機会の多いオンロード系アドベンチャーモデルに最適だろう。加えて、バイザーを外せばモタード系にも似合う。
アライのツアークロスVが6万9300円~、SHOEIのホーネットADVが5万9400円~なので、5万円を切るジオシスのプライスは非常に魅力的。シールド付きのオフロード系ヘルメットを購入する際は選択肢に入れるべきだろう。
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