
125ccと同等の車格ながら高速道路も走行でき、250ccクラスよりコンパクトで扱いやすいキャラクターがウケて、日本国内でも人気が高まりつつある150ccクラス。ロードスポーツモデルのYZF-R15があるものの、セロー250の生産終了以来オフロードバイクが空席状態のヤマハですが、海外市場向けにWR155Rという魅力的なモデルがあります。
これに注目したヨシムラジャパンが開発したのが、フルエキゾーストタイプの機械曲GP-MAGNUMサイクロンEXPORTSPECです。ここではコンストラクター ヨシムラの最新マフラーインプレッションと、取り付け手順を紹介します。
ピークパワー向上と市街地走行時のトルクアップを両立した公道走行対応のフルエキゾースト
アジア諸国でメジャーな150ccクラスには、スクーター、ロードモデル、オフロードモデルのいずれにおいても、日本国内市場で長きにわたり軽二輪クラスの主役であった250ccクラスを霞ませるほどの勢いがあります。
そうした中、国内導入が期待されている注目株の1台がヤマハWR155Rです。ヤマハの日本市場向けラインナップは、ロードスポーツモデルには125ccから1000ccまでさまざまな機種があるものの、オフロードモデルは2020年に生産終了となったセロー250を最後に正規販売車両はないため、WR155Rは輸入車として日本市場で販売されています。
製造はインドネシアで行われていますが、エンジン、車体、各種装備ともかつてのアジア圏モデルのような廉価版といった印象はありません。むしろ、日本よりはるかに大きな市場をターゲットとして開発されているだけあって、一般的なライダーであれば市街地走行でも林道でも基本性能に大きな不満を感じることはないでしょう。
そんなWR155Rの数少ないウイークポイントが純正マフラーです。マフラーにとって消音能力や排出ガス浄化性能が重要なのはもちろんですが、ユーザーの所有欲を満たすには見た目も大切です。サイレンサーを車体左側にレイアウトしたスチール製の純正マフラーは、性能面に不満はないもののお世辞にも質感が高いとはいえません。
WR155Rにはいくつかのブランドからリプレース用マフラーがリリースされていますが、メインの市場が海外であるため、これまで日本の公道に対応する製品は皆無でした。そうした中で発売されたヨシムラ機械曲GP-MAGNUMサイクロンEXPORTSPECは、半世紀以上に渡るエンジンチューニングのノウハウを活用したエンジン性能向上はもちろん、パーツとしてのクオリティ面でも満足度の高いマフラーです。
エキゾーストパイプ中間部に触媒を内蔵したキャタライズド仕様。またエキゾーストパイプからテールパイプ後部にかけて、パイプ径が徐々に太くなる多段形状を採用。
パルス感のある排気音に高回転の伸びが圧巻!
ステンレス製エキゾーストパイプはスチール製の純正に比べてパイプ径が太く、大きめのアールで曲げられたデザインもシンプルな中に力強さを演出します。一方、ステンレス製とチタン製ボディから選択できるラウンド形状のサイレンサーはストレート排気のGP-MAGNUMタイプで、純正サイレンサーに対して効果的なアピールポイントとなっています。
また、このマフラーはエキゾーストパイプ中間部に触媒を組み込んだキャタライズド仕様として開発を行い、騒音規制にも適合した政府認証マフラーとして製品化しています。サウンドに関しては、アイドリングから高回転まで消音性能が優先されて鼓動感や盛り上がりに欠ける純正マフラーに対して、ヨシムラサイクロンはストレート構造のGP-MAGNUMサイレンサーの効果もあり、いかにもシングルらしいパルス感のある排気音が特徴的です。シングルらしいはっきりとした鼓動は単なる爆音とは異なり、カスタム車らしい主張を感じられます。
政府認証マフラーとして近接排気騒音92dB、加速走行騒音82dBといずれも騒音規制値をクリアしているものの、低回転域から純正を上回る歯切れの良さがあり、夜間の住宅地走行時は周囲への配慮が必要と感じる場面があるのも事実です。
その一方、開発時に5000回転以下と8500回転で純正を上回るパワーとトルクを記録していることから明らかなように、1速発進時にクラッチをつないで加速する際から力強く、エンジン回転も鋭く上昇します。さらにWR155Rの特徴である可変バルブタイミングが切り替わる高回転領域では伸び上りが早いので、よりパワーアップを実感できます。
アフターマーケット製ならではの魅力的なサウンドと確かなエンジン性能アップを両立させているのは、老舗のヨシムラ製マフラーという印象です。
シングルエンジンらしい明確なパルス音を響かせながら耳障りに感じさせないのが、マフラー開発に長けたヨシムラの技術力のたまもの。エキゾーストからサイレンサーにつながるパイプのレイアウトや曲げも美しい。
一般的なハンドツールだけで交換できる。精度の高さはさすがヨシムラ製
アイドリング状態で各部からの排気漏れがないことを確認してから実走行を行う。エンジン回転数が上昇するにつれて、純正を上回るパワフルさを実感できるのは大きな魅力だ。
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