ミシュランが2024年1月に発売する新作タイヤを速攻インプレ。今回はストリート向けのスポーツラジアル「パワー6」をお届けしたい。人気を博した前作パワー5と同様のライフを維持しつつ、全方位的に性能を向上させているという。試乗を担当したのは、Webikeスタッフの楠山と、ゲストライダーのみかさん。さらに原田哲也さんと岡田忠之さんにも話を訊いた!
【新旧ガチ比較インプレ POWER 6 vs 5】ミシュランからスポーツプレミアムタイヤ POWER6が登場!
https://www.youtube.com/watch?v=MQa-H7L7nUo
目次
【Webike楠山インプレ】ウエットグリップが向上! 落ち着いた自然なハンドリングだ
2024年に発売されるミシュランの新作「パワー6」と「パワーGP2」のメディア向け試乗会が、GKNドライブジャパン(栃木県栃木市)のテストコースで実施された。
パワー6は、前作のパワー5と同様に幅広いスポーツバイクユーザーが対象。ハンドリングやドライグリップ、ウエットグリップなどの性能を一段と高め、公道やワインディングでスポーツランをもっと楽しみたいライダーに向けて開発されている。
まずWebikeスタッフ楠山のインプレをお届けしよう。結論から言えば、「パワー5と比べて全体的にワイドレンジになり、疲れにくくなっていた」という(以下、楠山インプレ)。
まず大きく向上したと感じたのはウエット性能です。ウエット路面で全開加速した際、パワー5だとストレートでも1速でホイールスピンし、2速でも少しスピンが発生。一方のパワー6は、1速でもしっかりグリップしていました。
さらにハンドリングは、平たく言うとパワー6の方が疲れにくいフィーリングになっています。特に高速コースでレーンチェンジをするような場面では、パワー5より6の方がやや安定指向に振っていると感じられました。安定感があるため、バイクが一回り大きくなった感覚があります。
切り返しが続くショートコースでは、パワー5はフロントが積極的にインへ入っていく印象。一方のパワー6は、思ったとおりのラインをフロントが通ってくれました。5の俊敏な特性が6では少し落ち着いています。
また、パワー5と比べて、フロントの剛性が高くなった印象です。寝かした時にパワー5のように潰れて入るのではなく、ベースが硬く、形状を保とうとする感覚がありました。これはフロントが2CT+テクノロジー(後述)を採用した影響もあるかもしれません。
ミドルクラスでハンドリングがちょっと機敏だったり、フロントが入りすぎちゃったりする所が補正されて、ニュートラルステアに近づきましたね。
リヤに関しては、立ち上がりの安定感に優れています。ハングオフでヒザ擦りするより、リーンウィズやインで走らせる方がクルクル回れます。ジムカーナにも向いているでしょう。
またダンピングがよく、乗り心地が良好。スポーツライディングはもちろん、ツーリングでも疲れにくいはずです。
ミドルクラスに最適、SSで疲れてしまう人にも薦めたい
試乗してみて、パワー6は特にミドルクラスにフィットすると思いました。ハンドリングが安定指向になったことで、CB1300などの重量級マシンではバイクが重く感じるかも。CB650RやSV650などの軽いミドルネイキッドだと安定して、非常にクルクル回ると思います。
また、スーパースポーツに乗っていて疲れちゃう人にもオススメ。ちょっと寝かすだけでインに入ってしまうタイヤだとツーリングで疲れてしまうけど、パワー6は敏感すぎない所が逆にいい。走り始めから暖まりやすく、スポーツライディングもできるけど、疲れにくいです。
もちろんツーリングスポーツのミシュラン・ロード6より、もう少しワインディングに行きたいという方にも最適です。
【みかさんインプレ】走り始めから開けられて、サーキットもいけそう!
セカンドオピニオンとして、みかさんにも話を訊いた。
車両は愛車と同じCBR250RRで走行。試乗後の第一声は「楽しくなって思わず走りまくっちゃいました!」だった(以下、みかさんインプレ)。
1周目から不安なく開けられて、怖い感じが全くなくてビックリしました。高速周回路のレーンチェンジも違和感なく、軽快でした。
今回、私の体重を考慮して、ショートコース向けに若干空気圧を下げてもらったんです。本当ならノーマルの空気圧よりハンドリングが重くなっちゃうところを軽快に走れました。
普段のCBRはレーシングタイヤなので接地面が多く、粘る感じがありますが、パワー6はまっすぐスムーズに進んで、直線も安定していました。
ウエット路面ではドライと同じような感覚で結構ガツンとブレーキングしたのですが、特に滑ることもなかったです。パワー6はサーキットも走れるし、ツーリングも楽しめるタイヤだと思いました。これでサーキット走行したいです!
原田哲也さんはサーキットも推奨、普段パワー5を履く岡田忠之さんの評価は?
引き続き、元WGPライダーの原田哲也さんと岡田忠之さんが登場。もはや説明は不要だろうが、原田さんは1993年、WGP250のデビューイヤーに王座を獲得。岡田さんはWGP最高峰クラスの日本人最多勝記録を持つ。お互い全日本時代にチャンピオン争いをした関係だ。現在は多彩なバイクの楽しみを発信しながら、ミシュランのブランドアンバサダーとしても活躍している。
普段パワー5を履いている岡田さんは、パワー6について「ロール方向の抵抗がなくなって安定感が増し、ウォームアップ性能も向上しています」と第一声。
原田さんは、パワー5と比べて「上(スポーツレンジ)は変わってないけど、下方向(ストリートレンジ)にパワー6がよくなった。さらにロード6の領域もカバーしています」という。
どんな人にオススメしたいか原田さんに訊ねると「ちょっと公道でスポーツ走行を体感してもらってからサーキットに来てもらうと、またタイヤの良さがわかると思います。これからサーキット走行を始める人に凄くオススメできるタイヤです」。
ミシュランのポジショニングチャートによるとパワー6のキャラは“ストリート100%、トラック0%"ながら「トラックも全然いけます」と原田さん。岡田さんも「エッジのしっかり感はパワー5よりサーキットに合います。より荷重の高いところで応えてくれるし、ライフも伸びていると思います」と太鼓判を押す。
【まとめ】より万人向けの性格に進化、カバーする領域を拡大した
全体的にパワー6はやや穏やかで優しい方向に進化。クイックすぎるハンドリングに疲れてしまう人に最適で、よりビギナーを含む万人向けに振っている。
対して、よりスポーティ指向のGP2は従来のレンジを維持したまま、よりサーキット指向を強めている。従来はパワー5とパワーGPの得意な領域が重なる部分も多かったが、キャラクターの住み分けがより明確になった。
そしてパワー6はロード6がカバーする領域に重なり、GP2はトラック向けのパワーカップの領域に重なっていると言えるだろう。新作のパワー6はよりワイドレンジになりつつ、各タイヤの差別化を図ることにも成功しているのだ。
【解説】レース技術を注入、前後2CT+にシリカを組み合わせる
1974年、バイクレースの世界に初のスリックタイヤを投入するなど、常にスポーツタイヤの歴史を革新してきたミシュラン。2024年に投入するパワー6はその最新作にあたる。
ミシュランが提案するスポーツタイヤの新基準として、ウエットやドライ路面での確かなコントロール性能と高いグリップ力を発揮。さらに軽快感のあるハンドリングを実現し、意のままのライディングを狙った。
これを実現すべく、モータースポーツで培ったノウハウを惜しみなくフィードバックした。今まではリヤのみだった2CT+テクノロジーをフロントにも採用。これはハードラバーコンパウンドをベースに、ショルダー部にソフトコンパウンドを上乗せした構造のこと。コーナリング時に最適な剛性とグリップ性を確保し、センター部は耐摩耗性を確保している。
前後ともシリカコンパウンドを組み合わせ、特にコーナーの立ち上がりでスロットルをワイドに開けた時のスタビリティが向上したという。
ボイトレシオ(トレッド全体に対する溝面積の割合)は、従来のパワー5と同じ11%で構成されるが、ショルダー部のスリックゾーンはさらに拡大。最適化されたトレッドデザインを採用することでストリートでのパフォーマンスがさらに向上した。
デザイン性も魅力だ。左右対称のパワー5に対し、非対称パターンを導入。よりスポーティなルックスに進化した。さらにトレッドショルダーにチェッカーフラッグを施したプレミアムタッチデザインもレーシーなイメージを加速させている。
発売時期は2024年1月予定、新たに250cc向けのサイズも登場
サイズラインナップは、フロント2サイズ、リヤ8サイズを展開。フロント110/70ZR17、リヤ140/70ZR17などCBR250RRやZX-25Rに対応した250cc向けのサイズも追加された。また新たにドゥカティ・ディアベルなどに対応した240/45ZR17が登場している。
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ぶんぶんみかちゃんねるのみかさんのインプレが、分かりやすく、安心感が伝わってきました。
ミシュランも今後念頭に置いて、タイヤを選びたいと思いました。