
メッツラーのビッグアドベンチャー用タイヤで人気モデルがKAROO4(カルー4)。同社のラインナップの中ではオフロードモデルに位置付けられているが、ロード性能も大幅に進化しているという。
そこで、BMW・R1200GSに乗るWebike Plusの中村がカルー4をテスト。4000㎞程度走行した使用インプレッションをお届けしたい。
カルーシリーズ最新作は意外とオールラウンダー!?

カルー4のレーダーチャート。3と比較して、ウェット性能や快適性、安定性も強化されていることがひと目で分かる。
カルー4はオフロードタイヤ・カルーシリーズの最新作。前作となるカルー3からオフロード性能を進化させながら、オンロードでの実力もアップしたと、アドベンチャー乗りから高い評価を得ている。
実際に履いてみるまでは、オフロードタイヤなのにオンロード性能のアップと言っても、そこはブロックタイヤ。オフロードでの走破性とロードでの快適性は、いわばトレードオフの関係。オンロードとの両立は難しいのでは・・・と最初、自分は懐疑的だった。
そもそも、ビッグアドベンチャー用のタイヤ選びは難しいというか、悩ましいものがある。というのも、タイヤ選びでどんな走り方・楽しみ方ができるか方向性が決まってしまうからだ。オンロードしか走らない、と割り切れるなら話は簡単。また、オフロード走行がメインという方であれば、今回のカルー4で決まり。ここまでは分かりやすい。
問題は、オフロードを普通にエンジョイしている方はもちろん、試しにオフロードを走ってみたいエントリーの方も、このタイヤが選択肢に入ってくる点である。

アドベンチャーバイク用のメッツラーのラインナップ。カルー4がオンロード性能を高めた結果、ストリートと4は立ち位置が近くなっている。オンロード性能をより求めるならストリート、オフロード性能が欲しいなら4となる。
ここでメッツラーのラインナップを見てみたい。ロードに特化したタイヤを除けば、選択肢はツアランスネクスト2、カルーストリート、そしてカルー4になるだろう。
ツアランスネクスト2はいわゆるロードタイヤで最もオンロード寄り、カルーストリートは見た目はブロックタイヤなのだが、オンもオフも楽しめるバランスを持っているが、どちらかといえばオンロード寄り。そして、カルー4は最もオフロード寄りというキャラクター。ごついブロックタイヤだし、当然と言えば当然だ。
だが、今回のカルー4はオフロード性能はもちろん、ロード性能を大幅に向上させてオールラウンダーとして位置づけられている。移動時の快適性が格段にアップすることで、カルーストリートとカルー4の境界線が近づいているのだ!
アドベンチャーバイクってタイヤ選びで迷うんです!
ブロックタイヤといえば、ロードタイヤと比較して①高速道路での直進安定性、②コーナリング時に大周りをしているような旋回性、③ロードノイズなどが気になるという人がいると思う。
自分もその一人で、初めてブロックタイヤを履いた時はビックリした。市街地走行でもつねに違和感があり、高速道路に乗るとなんだかフワフワし、そしてスゴいロードノイズ・・・。ブレーキングなどにも影響は出ていると思われ、ロードでは必要以上に気を使っていた。その一方で、ひとたび林道に入ってしまえば、まるで裸足で芝生を歩いているようなフィーリング。まさに、水を得た魚状態。かなり尖がった性能なのだ。別のバイクになってしまうぐらいの変化が車体に起こるため、そりゃタイヤ選びは慎重になったのだ、自分の場合は。
結局、林道は楽しいけど、走行距離のほとんどはオンロードなのである。これは林道の距離が長い北海道であれば話は別だが、関東では林道の距離も短いため、どうしてもオンロードでの快適性が気になってしまう。結論、いくら林道が好きでもそこまでたどり着くための快適性も必要なのである。
結局どうなの、カルー4

オフロードの走破性は高く、林道も思いっきり楽しめる。なお、カルー4は世界規模で開催されているGS乗りの祭典・GSトロフィー・インターナショナルでも採用されている。まさに、BMWのお墨付き。過酷なシーンでもタフな走りを見せてくれる心強い相棒なのだ。
カルー4を半年で約4000㎞走行したが、じつに面白いタイヤだと思う。ブロックタイヤというものは、良くも悪くも自己主張が強く、「ブロックタイヤを履いている」ことをライダーに意識させる。しかし、同タイヤは自分にあまり意識をさせなかった。この点が一番、印象に強い。
通勤でもツーリングでも、いつも普通に乗り出していた。そこにブロックタイヤだからといった気負いはない。雨の日でも同様だ。
タイヤ交換をしてから1週間程度は、さすがに何が違うのか、手探りだった。たしかにロードノイズは大幅に軽減されたとはいえ、多少はある。でも、全然許容できるレベルなのだ。高速道路では普通に運転しているし、ブレーキングもあまり気にならない。市街地での交差点やカーブでも大周りしているという意識はない。狙った通りにトレースしてくれているかどうかは怪しいが、そこにストレスはない。驚くべきことにオンロードでネガを感じることは、ほぼなかったのである。
オフロードでは、コースを走った。こっちは得意なフィールドということもあり、非常に楽しめた。難所があっても「気が付いたらフツーに行けちゃった」といった感じ。ここでもタイヤは自己主張があまりなく、「ギュッと路面をつかむ感触が伝わってきた」といったフィーリングも感じずに、いたってスマートに仕事をこなしていたといった具合だろうか。
まとめ「最近のタイヤってすごい」

写真はビッグアドベンチャーバイク向けイベント「BAD」が開催された成田モトクロスパーク。こういうコースも思う存分楽しめるから、バイク遊びの幅が広がります!
当然といえば当然だが、オフロードにおいてはカルーストリートよりもカルー4のほうが圧倒的に走破性がいい。だとすると、自分のような「林道も多少は楽しみたい」派にとっては、かなりマッチするのではないだろうか。
カルー4よりカルーストリートのほうがロード性能は快適なのは確かだが、この部分の差はけっこう縮まっている。これはかなり大きい。ブロックタイヤ特有の症状がないため、(たとえ雨でも)通勤では何の気兼ねもなく乗っているし、それでいてオフロードではバッチリ走れるのだから、このカルー4はアドベンチャー乗りにとって筆頭候補と言えるのではないだろうか。
そして、これからオフロードをちょっと体験してみたいという人にとっても、これだけ快適性が高まっているのだから、遠慮せずにおすすめできる。バイクもどんどん進化をしているが、これはタイヤも同じこと。オフロード向けタイヤでもオールラウンダー的なタイヤに進化するなんて、いや~、いい時代ですね!
カルー4・ラインナップ
フロント
100/90 - 19 M/C 57S M+S TL
110/80 R 19 M/C 59T M+S TL
120/70 R 19 M/C 60T M+S TL
リヤ
130/80 R 17 M/C 65Q M+S TL
140/80 R 17 M/C 69Q M+S TL
150/70 R 17 M/C 69T M+S TL
170/60 R 17 M/C 72T M+S TL
150/70 R 18 M/C 70T M+S TL
https://news.webike.net/parts-gears/330410/
https://news.webike.net/parts-gears/338165/
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