2023年8月下旬、デイトナがバイク専用前後ドライブレコーダーの新作となる「Mio MiVue M820WD」を正式発表。8月27日(日)には箱根でローンチイベントも開催され、開発・製造元であるマイタック・デジタルテクノロジーの社長や開発陣も来日して、製品の特徴と魅力を徹底解説してくれました。ここでは、大幅進化でさらにユーザビリティが向上したM820WDを紹介します!
目次
M820WDを開発したのは台湾の超巨大企業
あおり運転被害の報道などをきっかけに、日本でも自動車ユーザーの間では装着がかなり一般的になりつつあるのがドライブレコーダー(以下ドラレコ)。そしてバイクの世界でも、ドラレコを装着したいと考えているユーザーは増えているようです。このようなニーズを受け、バイクのアフターマーケットパーツやライディングギアなどを幅広く企画・開発・販売する一方で、高品質な海外ブランドの輸入販売にも積極的なデイトナは、台湾のMiTAC(マイタック)・デジタルテクノロジー社が開発・製造するMio MiVue(ミオ・マイビュー)シリーズを販売しています。じつはデイトナは過去に、自社開発のドラレコを市販していました。これを廃止してMioに一本化した理由について、デイトナの織田哲司代表取締役社長は、以下のように説明します。
「2017年に台湾でMiTACさんと出会ったことで、状況に変化が生まれました。この分野は技術進化が著しく、我々のオリジナル製品にこだわってしまうことで、その進化についていけなくなる可能性もあります。MiTACさんは非常に大規模な企業で、ワールドワイドに活動しており、なおかつドラレコに関しても精力的な開発を続けています。その技術力と専門的知識のレベルは極めて高く、より満足度が高いドラレコを日本のバイクユーザーにお届けするなら、MiTACさんに協力をお願いすべきという結論に至ったのです」
ちなみにMioブランドは2002年に創立され、スマートフォンが登場する以前には小型PDAの分野で世界トップシェアを獲得。そこで得た技術もフィードバックしつつ2010年からドラレコの分野に進出しました。超巨大グループに属し、潤沢な資金を有するMiTACが、その技術を惜しみなく投入して開発しているのがデイトナのMio MiVueシリーズで、その最新作が二輪専用前後ドラレコのM820WDなのです!
タイムラプス機能と駐車監視機能を新搭載!
従来型の「Mio MiVue M760D」と比べて、新型の「Mio MiVue M820WD」は多くの部分が進化しているのですが、その中でもまず注目したいのがタイムラプス機能の追加。こちらは、通常録画と同時に作動できます。タイムラプス機能をONにしておくと、1秒間隔で静止画が撮影され、撮影後は自動で一連の静止画が2時間ごとの動画ファイルに変換。1秒ごとに2時間撮影すると7200枚の静止画となり、これを1秒間に15フレームの動画として、8分間で再生可能です。この機能により、旅の記録をコマ送り動画で楽しめるのはもちろん、記録した動画のうち自分が必要としているシーンが探しやすくなりました。
また、同じく新搭載された駐車監視機能により、駐車中でも衝撃やカメラレンズ撮影範囲内での画像変化を検知すると、自動でその前後の映像を記録できるようになりました。記録されるファイルは通常だと異常を感知した前後の20秒間ですが、タイムラプスに設定すると1ファイル2分間の記録が可能。バッテリー上がりを防止する機能も盛り込まれ、スマートフォンアプリの「MiVue Pro APP」で駐車監視機能のON/OFFが設定できるのに加えて、駐車後に作動する時間や、バッテリー電圧がどこまで低下したら停止するかも調整できます。
録画のデータ記録技術もさらに進化
新型M820WDは、データ記録に関しても従来型M760Dから大きくアップデートされています。まずデータファイル形式は、従来のMP4からSuperMP4に変更。これにより、録画データが毎秒保存されるようになり、電源が断たれた瞬間のデータなどがファイル破損により再生不能となる可能性が大幅に低減されました。ちなみにこのファイル形式はiOSおよびAndroid OSのスマートフォン端末で再生可能です。
コーデックはH.264→H.265となり、画質を落とすことなく1ファイルあたりの容量を従来の約1/2に縮小することに成功。さらに、対応するmicroSDXCの容量がこれまでの128GBから256GBになり、上書きされることなくさらに長時間の録画ができるようになっています。
新コーデックのH.265を使用するため、従来のPCソフト「MiVue Maneger」は使用できませんが、もちろんスマートフォンアプリ「MiVue Pro APP」により、録画された映像の確認、保存や設定などが可能。ニューバージョンは、撮影した動画とGoogleマップによる走行ルートを同時に表示できるため、どこで撮ったシーンなのか一目瞭然です。
また、使用環境により多少の変化があるものの、WiFiによるスマートフォンへのデータ転送速度は、従来型M760Dと比べて約2倍にアップ。160MBのファイルを45~50秒程度でダウンロードできるようになり、撮った映像を出先でもすぐに確認できるようになりました。
解像度&フレームレートは、前後ともに1080p@58fpsまたは1080p@29fps。従来型M760Dと比較すると、新たに1080p@58fpsが選択できるようになりました。また1080p@29fpsでは、対向車のヘッドライトや逆光などによる白トビの抑止などにつながるHDRモードも選べるようになりました。
車載しやすさへの配慮も抜かりなし!
新型M820WDは、昨日や記録などのソフトだけでなく、カメラや本体といったハードの細かいアップデートも施されています。例えば前後カメラのステーが新作となり、可動範囲が大幅に拡大。ナンバープレートホルダーの表裏やフロントフォークステムの前面など、これまで不可能だった垂直に近い部分にも装着できるようになりました。
また、本体から伸びている4本のハーネスは、敢えて異なる長さに設計。束ねたときにカプラーの位置が重ならないようにすることで、シート下により収まりやすいよう配慮してあります。さらに、風切り音を抑止するため、マイクはハンドルに装着するGPS多機能コントローラーではなく本体に移設されました。
これに伴い、コントローラーにはLEDインジケーターに加えてブザーを内蔵。また自車位置の測定はGPS、GLONASS、GALILEO、BDS、みちびきの信号を同時に受信可能となり、精度と速度が向上しました。
すべての進化は、ライダーのために!
高感度を誇るソニー製Starvis CMOSイメージセンサーの採用と仕様の最適化、ハードな使用環境でも安心できるIP67相当の防塵防水性、事故などによる電源切断時のスーパーキャパシターによるバックアップ機能など、従来モデルから継承されている機能を含め、これまで紹介した以外にも新型M820WDの長所は多数。プロダクトマネージャーとして、新型M820WDや従来型M760Dの開発責任者を務めたCJ・ホアンさん(以下CJさん)は、「Mio MiVueは、とにかくユーザーの使いやすさを最優先に設計しています」と話します。自身もバイク乗りで、現在はホンダのCB650RとCRF300ラリーを所有しているCJさん。「かつて台湾1周900kmを19時間で走破したこともありますよ!」という大のバイクフリークでもあり、だからこそライダーの気持ちに寄り添う製品開発が可能なのです。
「駐車監視機能は、自分自身が市街地にバイクを駐車しておくときに不安なときがあることも、今回採用した大きな理由。ドラレコは、事故やトラブルなどの証拠を残すためだけでなく、楽しかったツーリングの風景を記録するツールにもなるので、タイムラプス機能により簡単に振り返れるとか、転送速度が速いなんてことも、ライダーの楽しみにつながると思います」
今回の新型M820WD発表会は、一般入場も可能なイベントとしてバイカーズパラダイス南箱根で開催され、後半は豪華ゲスト&MCによるトークショーも実施。CJさんは、「ライダー人気が高い箱根や伊豆のワインディングを走ってみたいです!」と、日本の道路にも興味津々でした。そんなリアルライダーが、バイクを愛する人たちのために開発した「Mio MiVue M820WD」。愛車に装着すれば、きっと多くのユーザーが大満足することでしょう。
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