自社工場を持つIXONならでは、サイズもデザインも日本向けだ

バイクとファッションを愛する若き社長が1996年にフランスで設立したIXON。以来、欧州で高いシェアを獲得し、その勢いはアジアにも拡大している。日本には2021年から本格的に参入し、セールスも好調だ。

IXONと言えば、レースイメージが強い人が多いだろう。2010年からモトGPライダーへのサポートを開始し、現在は中上貴晶選手らがレーシングスーツを着用。ブランド別の着用率ではアルパインズターズ、ダイネーゼに続き、IXONが3位となっている。
とはいえ、設立当初からストリート向けアパレルが主力で、ラインナップもアーバン仕様やツーリング向けモデルがメイン。そこにレースで培ったノウハウや技術が活かされている形だ。

レースイメージが強い同社だが、ラインナップは街乗りやツーリング向けがメイン。<a href="https://www.ixon.com/jpn-ja" rel="noopener" target="_blank">公式HPはこちら</a>。

レースイメージが強い同社だが、ラインナップは街乗りやツーリング向けがメイン。公式HPはこちら

人気の理由は、高い機能性とフランス人デザイナーによるスタイリッシュなデザイン性などが挙げられる。そして日本人の体型に合わせたアジアンフィットも大きな特色だ。

欧米発ブランドのアパレルは、丈や袖のサイズが大きく、日本人が着用するとフィットしないケースが多いが、IXONでは型紙から日本人に合わせた設計を採用。プロテクションの位置を調整し、胸部プロテクター用のポケットを配置するなど細部も日本向けに最適化している。

さらに最新の2023秋冬モデルでは、欧州の小粋なテイストを残しつつ、日本向けにデザインも専用設計したという気合の入れようだ。このようにフレキシブルな生産体制が取れるのは自社工場を持っているため。バイク用アパレルブランドでテキスタイル系の自社工場を有するのはIXONのみという。それゆえ小ロットにも対応でき、クオリティコントロールもしやすいのだ。

[M-PARK WP A] 最高峰モデルは独自の透湿防水フィルムを採用

そんな2023秋冬ジャケットでフラッグシップに相当するのが「M-PARK WP A」だ。都会的デザインのテキスタイルジャケットで、IXON独自の透湿防水フィルム「XDRY3L」を採用する。表地のすぐ裏にフィルムをラミネートすることで、生地が雨を含まない。一般的な透湿防水ジャケットはラミネートされておらず、雨が浸みて重くなってしまう製品が多いが、本作は常に快適さをキープできるのだ。

2023秋冬ジャケットで最も高機能な「<a href="https://www.webike.net/sd/25875396/" rel="noopener" target="_blank">M-PARK WP A</a>」。●サイズ:S、M、L、XL、2XL、3XL●色:Black/Bright Red(黒/蛍光赤)●価格:4万1800円

2023秋冬ジャケットで最も高機能な「M-PARK WP A」。
●サイズ:S、M、L、XL、2XL、3XL
●色:Black/Bright Red(黒/蛍光赤)
●価格:4万1800円

さらに今シーズンから採用されたビッグロゴが目を惹く。IXONの「IX」をグラフィカルに大きくあしらい、一段とデザイン性が増している。

左腕には2023秋冬モデルから登場したビッグロゴをあしらう。今までのIXONとは一味違う、新鮮でよりスタイリッシュなイメージだ。

左腕には2023秋冬モデルから登場したビッグロゴをあしらう。今までのIXONとは一味違う、新鮮でよりスタイリッシュなイメージだ。

加えて、2023秋冬からインナーを別売とし、共通インナージャケットを装着できる「モジュラーコンセプト」を採用。専用インナーはボタンなどで固定できるが(後掲)、手持ちのダウンインナーなどを組み合わせて使用することもできる。アウターとインナーがセットだと価格が跳ね上がるが、別売で買いやすい価格帯とすることが狙いだ。

各部の造り込みが見事、サイズも全く違和感なし

実物は、質感の高さが印象的。生地や縫製はもちろん、各部に赤の挿し色が入り、ファスナーやフラップなどもしっかりデザインされている。なお欧州では生地の強さや縫製に関しても安全規格が存在。日本ではこれらに規格はないが、IXONでは欧州モデルと同様の基準で品質を落とさずに生産している。

着心地も非常に快適だ。日本人のサイズに合わせた設計だけに、袖が長かったり、ダブついたりすることがなかった。身長177cm&体重65kgの筆者にはLがちょうどいいサイズ感だ。

プロテクターは肩と肘に欧州のCE規格に適合したソフトタイプを標準装備。この位置も違和感なく、きっちり各部位に収まっていた。柔らかいウレタンとは違い、しっかりした樹脂製で安心感が高い。なお、胸と背中に別売オプションのプロテクターを装備できる。

テストしたのが9月初旬だったため防寒性は未知数だが、二の腕にあるボタン式のベンチレーションを開けると、走行風が体に抜けて実に効果的だった。ちなみにジャケットにシャワーを数分かけてみたが、生地に水が浸み込まず、軽い着心地を保っていたことを付け加えたい。

背面上部には、脱いだ際に持ち運びしやすいグリップを装備。外側には計6つのポケットを備え、いずれも止水ファスナーを用いる。腰にはA4サイズが入る大容量ポケットも装備。フードと両肩、背中、腕などにリフクレターも配置する。

背面上部には、脱いだ際に持ち運びしやすいグリップを装備。外側には計6つのポケットを備え、いずれも止水ファスナーを用いる。腰にはA4サイズが入る大容量ポケットも装備。フードと両肩、背中、腕などにリフクレターも配置する。

ジャケットの裏地は総メッシュ。汗をかいてもベタつきにくく、左右に内ポケットを備える。前立てに深い折り返しを設けるなど各部の機能性も造り込まれている。

ジャケットの裏地は総メッシュ。汗をかいてもベタつきにくく、左右に内ポケットを備える。前立てに深い折り返しを設けるなど各部の機能性も造り込まれている。

二の腕に止水ファスナーを用いたエアインテークを採用。赤の挿し色がカッコイイ。ドットボタンで開放状態にできる。

二の腕に止水ファスナーを用いたエアインテークを採用。赤の挿し色がカッコイイ。ドットボタンで開放状態にできる。

フードはドローコードで調整でき、取り外しも可能。前側はスライド式レール、後側はファスナーでしっかり固定されている。

フードはドローコードで調整でき、取り外しも可能。前側はスライド式レール、後側はファスナーでしっかり固定されている。

肩と肘に、欧州の安全規格=CEレベル1をパスしたIX-PROFLEXプロテクターを標準で装備。柔軟な樹脂製で動きやすく、通気性にも優れる。

肩と肘に、欧州の安全規格=CEレベル1をパスしたIX-PROFLEXプロテクターを標準で装備。柔軟な樹脂製で動きやすく、通気性にも優れる。

別売インナーを装着できるドットボタンを5か所設置。インナーがズレることなく快適だ。

別売インナーを装着できるドットボタンを5か所設置。インナーがズレることなく快適だ。

[M-NIGHT WP A]洗練されたミリタリーフォルムと伸縮性が魅力

M-PARK WP Aとはテイストが異なる新作「M-NIGHT WP A」も紹介しよう。アーバンさとミリタリーを融合したデザインが特徴で、各部に設置された無骨なバックルがカッコイイ。

生地は透湿防水のストレッチソフトシェルを採用。アウター防水のXDRY3Lとは異なり、表面の生地に雨が浸み込むが、防水性はしっかり確保している。肩と肘にCEプロテクターを標準で備え、胸&背中に別売のパッドを内蔵できるのは前掲のM-PARK WP Aと同様だ。

こちらもアジアンフィットで違和感なく着用できた。実物はとにかくデザインがいい。各部のバックルに加え、ミリタリーウェアでよく使われるリップストップ生地が一段とアーミーな雰囲気を強めている。

実際にライディングしてみると、伸縮性のある生地が動きを妨げず快適。加えてポケットがとても使いやすかった。腰にある左右のポケットは正方形の大型タイプの上に、Wファスナーで大きく開口でき、アクセスが良好。さらに背部にある二つのポケットも大型で、左右どちらからでも手が入って便利だ。

洗練されたミリタリーデザインの秋冬ジャケット「<a href="https://www.webike.net/tab/parts/?q=M-NIGHT+WP+A" rel="noopener" target="_blank">M-NIGHT WP A</a>」。●サイズ:S、M、L、XL、2XL●色:Black/Anthracite/White(黒/灰/白)、Khaki/Black(カーキ/黒)●価格:3万9600円

洗練されたミリタリーデザインの秋冬ジャケット「M-NIGHT WP A」。
●サイズ:S、M、L、XL、2XL
●色:Black/Anthracite/White(黒/灰/白)、Khaki/Black(カーキ/黒)
●価格:3万9600円

格子状に織り込まれ、耐久性の高いリップストップ生地を採用。各部に配置された凝ったデザインのバックルと相まって、ミリタリーな雰囲気を高めている。

格子状に織り込まれ、耐久性の高いリップストップ生地を採用。各部に配置された凝ったデザインのバックルと相まって、ミリタリーな雰囲気を高めている。

ドットボタンを腕の上下に備え、サイズを調整できる(写真はボタンを留めた状態)。右手の二の腕と左の前腕部にもポケットを装備。

ドットボタンを腕の上下に備え、サイズを調整できる(写真はボタンを留めた状態)。右手の二の腕と左の前腕部にもポケットを装備。

前部左右のポケットはWファスナー式で、上とサイドのどちらからもアクセスできる。

前部左右のポケットはWファスナー式で、上とサイドのどちらからもアクセスできる。

背部の左右にもファスナーを用意。ポケットは中でつながっていて500mlペットボトルも余裕で入る。

背部の左右にもファスナーを用意。ポケットは中でつながっていて500mlペットボトルも余裕で入る。

本作も裏地は総メッシュ。左前身頃の内側にドローコードがあり、腰の絞りを調整できる。本作も別売の共通インナーをボタンで装着できるモジュラーコンセプトだ。

本作も裏地は総メッシュ。左前身頃の内側にドローコードがあり、腰の絞りを調整できる。本作も別売の共通インナーをボタンで装着できるモジュラーコンセプトだ。

インナージャケットとパンツもラインナップ

M-THERMAWIND A」は、モジュラーコンセプトとして用意されるインナージャケット。IXONの2023秋冬ジャケットに連結でき、ストレッチ性に優れた防風ソフトシェルとフリースを組み合わせる。インナーももちろんアジアンフィットだ。

新作インナージャケットの「<a href="https://www.webike.net/sd/25875386/" rel="noopener" target="_blank">M-THERMAWIND A</a>」。外側にソフトシェル、裏地にフリースを採用し、防風&防寒性を高める。●サイズ:S、M、L、XL、2XL●色:Black(黒)●価格:1万5950円

新作インナージャケットの「M-THERMAWIND A」。外側にソフトシェル、裏地にフリースを採用し、防風&防寒性を高める。
●サイズ:S、M、L、XL、2XL
●色:Black(黒)
●価格:1万5950円

肩から腕、背中に配した切り返しの生地は伸縮性抜群。激しく動いても突っ張らない。左右にポケットを備え、単体でも着用可能だ。

肩から腕、背中に配した切り返しの生地は伸縮性抜群。激しく動いても突っ張らない。左右にポケットを備え、単体でも着用可能だ。

モジュラーコンセプトのインナージャケットとして「<a href="https://www.webike.net/sd/25875391/" rel="noopener" target="_blank">M-THERMALOFT A</a>」も用意。保温性に優れる中綿タイプだ。●サイズ:S、M、L、XL、2XL●色:Black(黒)●価格:7590円

モジュラーコンセプトのインナージャケットとして「M-THERMALOFT A」も用意。
保温性に優れる中綿タイプだ。
●サイズ:S、M、L、XL、2XL
●色:Black(黒)
●価格:7590円

新作のライディングパンツ「NAKA PT WR A」も登場。表地に撥水&防風素材を、裏地にフリースを採用する。やはりアジアンフィットで、膝に標準で備えるプロテクションの位置やサイズも日本向けに最適化されている。

膝のプロテクターは最新素材の「FANOM」を採用。柔軟かつ軽量で、通気性にも優れる。さらに別売の腰用プロテクションを装着可能だ。

スッキリしたデザインと、ブラック迷彩が非常に魅力的で、ウエストはベルクロベルトで調整が簡単。快適かつスタイリッシュに冬場の走りを楽しめそうだ。

撥水&防風のストレッチソフトシェルを用いた「<a href="https://www.webike.net/sd/25875416/" rel="noopener" target="_blank">NAKA PT WR A</a>」。●サイズ:S、M、L、XL、2XL●色:Black/Camo Grey(黒/カモ灰)●価格:2万1890円

撥水&防風のストレッチソフトシェルを用いた「NAKA PT WR A」。
●サイズ:S、M、L、XL、2XL
●色:Black/Camo Grey(黒/カモ灰)
●価格:2万1890円

腰の左右と右太ももにあるファスナー付きのポケットも便利。

腰の左右と右太ももにあるファスナー付きのポケットも便利。

膝にCEレベル1認可のプロテクターを標準装備する。素材は、独自の材料熱可塑性エラストマーを用いた「FANOM」で、上下位置をベルクロで調整可能だ。

膝にCEレベル1認可のプロテクターを標準装備する。素材は、独自の材料熱可塑性エラストマーを用いた「FANOM」で、上下位置をベルクロで調整可能だ。

[まとめ]高品質な欧州ブランドながら価格は良心的、カブらないのもマル

総じてIXONのアパレルは、若干プライスが高めだが、そのぶん質感が高い。“高め”と言っても、高額な製品が多い欧州ブランドにしては手が届きやすく、良心的な価格設定なのも嬉しい。また、普及価格帯の日本ブランドのように他人とウエアが“カブらない”のもいい。

ここでは紹介し切れなかったが、IXONの2023秋冬コレクションには他にも新作のジャケットやグローブも登場している。ぜひ公式HPでチェックを!

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