お盆や正月はゴールデーンウィークなど、なかなか取れない長めの休みに普段はできない大物メンテナンスをしたいと思った事はありませんか?
特にお盆と年末年始は暑すぎたり寒すぎたりで走りに行く気にならず、自宅で普段はできない部分の整備をしてみたくなるタイミングです。
普段できない車体整備の難所と言えば「ステアリングヘッド」「エンジン」「リヤサスペンション」が3大巨頭でしょう。
そして、相当激しい整備マニアでも手出しできない部分がリヤサスペンション本体のオーバーホールです。
目次
リヤサスペンションは自宅で整備できる物ではない
リヤサスペンション、特にモノショックのサスペンションを採用している車両の場合、リヤショックはたいてい「ガスショック」と呼ばれる物が採用されています。
ガスショックというくらいですから内部に高圧のガスが封入されており、安易に分解するとガスとオイルが噴出してしまいます。
上手く分解できたとしても、組み立て時にはガスを封入しなければならず、とても個人で出来るものではありません。
だからリヤショックのオーバーホールは自分で行うものではなく、サスペンションオーバーホールの専門店にお願いする事になります。
普通はバイクショップに車体ごとあずける
ステアリングヘッドの整備をしようと思ったらまず最初にフロントタイヤとフロントフォークを外さなければならないので大変なのは想像できます。
リヤショックの場合も同様で、リヤタイヤとスイングアームを外すのが基本です。
車種によってはリヤ周りを分解しないで上手くリヤショック本体だけを外す事もできますが、それでもリヤショックを外すのは大変。
ですので、普通は車体をまるごとショップに預け、全てショップ任せでオーバーホールを依頼する流れになります。
メーカーや専門のショップにサスペンション単体を渡す必要がある
車体まるごとショップに預けると、プロのメカニックが車体を分解してサスペンション単体にし、そのサスペンションをオーバーホール専門店に預ける事でオーバーホールします。
車体を預けたその店が自分でオーバーホールする事は稀で、サスペンションのプロに作業を依頼するのが普通です。
もちろん自分で分解してショックユニットを取り外して、自分でサスペンションオーバーホールを依頼する事も可能です。
その場合は自分で愛車を分解してサスペンション単体にし、それをサスペンション屋さんに持ち込まねばなりません。
ものすごく大変ではありますが、頑張れば我々シロウトでもショックユニットを取り外す事は可能です。
リヤサスペンションを外すのは大変、でも一番大変なのは外した後
『頑張れば』と書いたのは本当で、奥まった位置にあるショックユニットを取り外すのは本当に苦労します。
慣れている人ならアッサリ取り外す事も可能ですが、普通はリヤショックの取り外しなど慣れていないので、外すだけで1日仕事になるでしょう。
長期の休みでもなければリヤショックオーバーホール作業など出来ない理由は、分解や組み立てに非常に時間が掛かるからです。
しかし本当に大変なのはリヤのショックユニットを取り外した後です。
なにしろリヤ周りを支えていた物が無くなるので、そのままではバイクを移動させる事ができなくなってしまうからです。
フロントフォークのオーバーホールは自宅で完結できますし、朝から晩まで頑張れば日が暮れるまでに整備完了させる事が可能です。
1日で終わらなかったとしても仮組みして車体を動かせる状態にすれば大問題にはなりません。
もしエア抜きなどのために仮組みすらできなかったとしても、翌日には組み立てられるので移動できないのは1晩だけで済みます。
しかしリヤショックの場合はそうは行きません。
なにしろ取り外したリヤショックを別の店舗でオーバーホールしなくてはならないのですから、早くても1週間、運が悪いと1ヵ月以上リヤショックが無い状態になります。
リヤショックのオーバーホールが完了するまでの間、分解途中の車体を放置できる広大な整備環境を持っている方はまず居ないでしょう。
それでは困るからこそ、バイクショップにまるごと預けるのが普通なのです。
でも、もし整備途中でリヤショックの無い車体が押し引きできたら……、つまり整備途中の愛車を所定の位置にしまう事ができたら……、自分でリヤサスオーバーホール依頼が出来るようになりますよね?
バイクが移動できる!
その夢をかなえるための最高の道具が今回紹介する「ユニット製リヤショックプロップバー」です。
簡単に言えば様々なリヤショックと同じ長さに調整できる「つっかえ棒」です。
サスペンション機能はありません、単なる棒。
でもこの棒で支えれば、リヤショックをオーバーホールに出している途中の車体をガレージの中央や自宅前の路上に置きっ放しにしないで済みます。
木の棒は卒業だ!
「つっかえ棒」はバイクショップでも必要です。
預かった車両を1ヵ月も店内の作業スペースに置きっ放しにはできませんから、邪魔にならないスペースに移動して保管しておく必要があります。
バイク屋さんは特殊な技術を駆使してリヤショックの無い車両でも移動できるので平気……なんて事はありません。
何らかの方法でリヤ周りを支えないと移動できないのは我々と同じです。
多くの場合、バイク屋さんは『そのへんに落ちていた木の棒』などをスイングアームとシートレールの間に差し込む事でバイクの移動を可能にしています。
では我々も木の棒を使えば……と言いたいところですが、これは非常に難しいです。
スイングアームやシートレールに傷が付かない位置、しかも重い車体を支えられる位置を見つけなければなりません。
支える位置にピッタリ合った長さでなければなりませんし、僅かでも支えがズレたら車体が落下してしまいます。
エンジン下にエキパイやフレームなどは良くてキズだらけ、最悪の場合は大きく凹んでしまいます。
我々が気軽に扱えるシロモノではありません。
我々が使うべきは「しっかり固定」できて、「長さが調整」できて、「絶対に外れない」、「頑丈な棒」で、それがこの「ユニット製リヤショックプロップバー」というわけです。
オマケ(本来の用途外の使い方)
「リヤショックのオーバーホールは自分ではしないし、リヤショックが外れた状態で押し引きするような事も無いからこんな棒は要らないかな……」
そんな方も多いでしょう。
しかし、実はこの棒があると『チェーンの張り調整に使うと最高の張り具合に調整できる!』のです。
まず、リヤショックを外した際に敢えてリヤショックの自由長にせずに短めにセットします。
その状態で車体に組み込み、スプロケットとスイングアームピボットとリヤアクスルが一直線になる位置までさらに短くしていくと、チェーンの張りが最も厳しくなる位置(3点の距離が最も長くなる位置)にする固定する事ができます。
この状態でチェーンの張りをたわみゼロになるようにピッタリ合わせると、チェーンの張りとしてこれ以上は無い最高の状態に調整可能です。
普通はマニュアルに記載されているたわみ量になるように感覚頼りに調整していたはずですが、感覚を無視して最良の位置にチェーンの張りを調整するにはコレ以外に方法はありません。
チェーンの張りをベストにする目的のためだけに買っても良いくらい便利。
一度ベストな状態にすれば「後輪を浮かした際に何mmたわむ状態が最適なのか?」が確定するので、次回からはそのたわみ量にピッタリ合わせるだけで完璧なチェーン張りになります。
チェーン調整がベストになっているとアクセル操作に対する車体の動きまで変わり、ギクシャクしなくなるのでとても乗りやすくなるので本当にオススメです。
リヤショックをオーバーホールするのは当分先という方も、チェーンの張りをベストにする目的のためだけに購入してみてはいかがですか?
棒は大した金額ではないので、あとはあなたのやる気次第です!
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予備のショックあれば走行も可能です。
普段はWPを使ってオーバーホール中は純正を使ってます。