
スーパーカブやグロムなど、ミニバイクに最適化されたハイグリップタイヤ「ミシュランPILOT MOTO GP」が、ついに日本でも販売開始された。すでにスーパーカブでのレースにおいてPILOT MOTO GPを使用し、好成績を収めている「まえ坊X(Twitter)@MAEBO_CUB110」氏に、使用感などを聞いてみた。
目次
テスターはスーパーカブレースのスペシャリストである、まえ坊氏

レース経験はカブでのレースのみという、生粋のカブレーサー「まえ坊」氏

まず、全体的に非常にレベルの高いタイヤですね。かなりしっかりとした剛性のあるタイヤなので、レースでは空気圧の調整が非常に重要になります。
レースでの使用感ですが、十分にレースで戦うことのできる、非常にポテンシャルの高いタイヤです。モンCUB耐久やルーツ・ザ・原チャリなどに出場し、いずれも勝利を得ることが出来ました。

2023年6月に開催されたル-ツ33周年記念 ルーツ+働くバイクで5時間耐久での優勝シーン

これまではフロントに70/90-17、リアに80/90-17を履いて戦ってきましたが、今回は90/80-17による組み合わせも試していこうと思います。
PILOT MOTO GPのラインナップは全8サイズ
14インチ | 17インチ | |
100/90-14 57S | 100/80-17 52S | |
80/90-14 46S | 120/70-17 58S | |
90/90-14 52S | 70/90-17 43S | |
80/90-17 50S | ||
90/80-17 46S |
フロント70/90-17 43S/リア80/90-17 50Sの組み合わせについては、これまでのレースで実績があるので、今回は、フロント80/90-17 50S/リア90/80-17 46Sでテストを行った。
タイヤの交換はやや硬め

PILOT MOTO GPは、前輪装着時と後輪装着時で取り付け方向が変わるので、念入りに確認を

タイヤには向きがあるので注意してください。サイドウォールに向きが表記されているので、慎重に行えばまず問題はないかと思います。
プレスカブ50でタイヤサイズを変えたらどうなる?
元々装着されていたタイヤ幅、フロント70とリア80の組み合わせと、今回装着したフロント80とリア90。装着車両はスーパーカブシリーズの中でも、フロント1.2、リア1.4のリムを採用するプレスカブ。ビジュアル的にも非常にスパルタンなトレッドを持つだけに、まずはスタイルから見ていこう。

フロント70/90-17 43S/リア80/90-17 50Sの組み合わせ。スーパーカブの標準的なサイズ感
良い意味でカブらしくない、溝面積の少ないパターンにより、フロント70/リア80サイズの組み合わせでもかなりレーシーな印象を受ける。さらにフロント80/リア90サイズは、タイヤの存在感が非常に大きくなり、カスタマイズした印象を与えるようにも思える。スタイル面での効果も非常に大きいと言えるだろう。

フロント80/90-17 50S/リア90/80-17 46Sを装着すると、かなりタイヤの存在感が強調される

向かって左側が70/90-17 43S、右側が80/90-17 50S。太さの違いにより、トレッドの印象も変わってくる。また80サイズ以上の場合は純正フェンダーでの装着は不能。

フロント同様に向かって左がより細い80/90-17 50Sで、右側が90/80-17 46S。フェンダーの存在感により、一見するとフロントほど差は感じられない。なお、90サイズであっても、無加工で装着可能。

ミニサーキットでテスト開始

まず、フロントの80/90-17に関しては、切り返しの初動でやや重く感じる場面がありましたが、倒しこみは早いですね。剛性とグリップが高いという基本的な性格は70/80-17と同様です。これまでよく使っていた、80サイズのタイヤと比較して、剛性が高くあまりたわまないので、「クイックな切り返しができる」という感じですね。
70/90-17サイズとの比較では、タイヤ特性は同じですが、重量が増した分少し挙動はマイルドです。言い換えればより安定感のある走行ができる、という印象です。

リアに関しては、90サイズでも80サイズでも割と似たフィーリングでしたが、これはスーパーカブ50のキャパを越えているからかもしれませんね。
スーパーカブ110(JA10)も持ってきているので、それでも試してみましょう。
スーパーカブ110(JA10)でもテストをしてみる

PILOT MOTO GPの場合でも、110に関してはこの組み合わせがベターだと思います。高いグリップ力や、剛性についても、十分に発揮されているという印象です。
ライフ、レイン性能も充分。ストリートでも素直なタイヤ

相当に長寿命だと言って良いんじゃないでしょうか。ストリートではまた条件が変わりますが、レースで過酷に使用してこの耐久性なので、寿命が短いという印象にはならないと思います。

レースでは空気圧セッティングなどがシビアになってきますが、ストリートでは素直で走りやすいタイヤという印象になるかと思います。
空気圧についてですが、スーパーカブ50のような軽量な車両に履かせる場合は、少し低めの空気圧が個人的にはオススメです。
今回使用したレーサーカブでは温間フロント1.4kg/cm2のリア1.7kg/cm2くらいです。ストリートではそこまでシビアに下げる必要はないかもしれませんが、参考までに。
トレッドパターンもカッコ良いですし。ミシュランパイロットというブランドイメージも、非常に良いですよね。
レイングリップも非常に優秀で、ライフも長いですし、万人にオススメできるハイグリップタイヤですね。
PILOT MOTO GPは、ストリートからレースまで活躍するハイグリップタイヤ
MotoGPの公式サプライヤーであるミシュランが生み出した、ミニバイク向けハイグリップタイヤ。
もっとも重要なドライグリップについては、溝面積8.5%のトレッドパターンと、新採用のソフトラバーコンパウンドにより、高いグリップ力を実現。またレイン性能に定評のあるミシュランだけに、低温時やウェットでの高いグリップ性能を追求している。
ドライグリップとウェットグリップを高い次元で両立させつつも、トレッド層に補強プライを設けることで、耐久性についてもこだわりを見せる。
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