文/Webikeバイヤー:エグチ
2023年3月に開催されたモーターサイクルショーにて、チェーンのトップメーカーとして知られるD.I.D(大同工業)から、遂にZ650RS専用のチューブレススポークホイール発売のアナウンスがされました。
性能は?見た目は?取付には追加パーツが必要?
気になるトピックが満載のスポークホイールを、一足先に装着&インプレッション!
とにかく早くZ650RSがスポークホイールを装着している写真が見たいぜ!という方はコチラ!
「チェーンのメーカーでD.I.Dは聞いたことあるけど、ホイールも作ってるの?」
と思うライダーの方は多いかもしれません。
実は、D.I.Dはモトクロスといったオフロード系のジャンルにおいて、ホイールメーカーとして圧倒的なシェアを誇っています。
代表的な商品としては、高強度の競技用アルミリム「DIRT STAR」シリーズが挙げられます。
モトクロスの本場アメリカAMAスーパークロス・全日本モトクロスのトップライダーのほとんどがST-Xを選択しています。
そんなオフロード向けスポークホイールに関して高いノウハウを持ったD.I.Dが、新たにZ650RS専用パーツとして開発したのがD.I.D SPOKE WHEELS TypeC(クラッシックチューブレス)です!
目次
まずはホイール単体で細部をチェック!
ネオクラシックスタイルのバイクは、昨今では非常に人気が高く、各社からクオリティの高いモデルが発売されています。
ただ、現代的な性能とレトロライクなスタイルを両立しようとした時、ネックになる大きな要素の一つが「ホイール」です。
現代のオンロードバイクではキャストホイールを採用するのがセオリーとなっており、純正でスポークホイールを採用する車種は、小排気量モデルか一部のクラシックなモデルぐらいとなっているのが現状です。
Z650RSに関しても、純正装着のホイールはクラシックなデザインを演出する、オシャレで非常に良く出来たデザインとなっています。
スポークホイールをモチーフにしつつ現代的な性能のホイールになってはいるのですが、それでも
「スポークホイールだったらもっとゼファー750RSや空冷ザッパーみたいでカッコいいのにな」
と思うライダーが必ず居るはず!
そういった欲望に応えられるのが今回ご紹介するスポークホイールなのです。
チューブレスだし、重くない
「見た目はスポークホイールがカッコいいけど性能は損ないたくない!」
といった要望に完璧に応えるのがD.I.Dのクラシックチューブレスホイール。
主な特徴として挙げられるのは
・重量は純正比+300g
・純正と完全同サイズ
・ブレーキローターも純正品をそのまま使用可能
といった部分です。
特に完全チューブレスかつ純正と同サイズのホイールとなっているため、問題無く現代的なラジアルタイヤを履けます。
チューブレス化を実現したのは「チューブレス機構断面リム」によるもので、BMWのGSシリーズや、国産車にはCRF1100L アフリカツインなどに採用されている構造。
一般的には「クロススポーク」と呼ばれています。
更にキャストホイールに比べてスポークホイールでは重量面で劣ることが多いですが、今回に関しては1本当たり純正比+300gと最小限の重量増となっています。
そのため純正のハンドリングを損なうことなく、更にスポークホイール特有のしなやかな乗り心地を実現。
加えて純正のブレーキディスクをそのまま使用可能で、ホイールの他に追加でパーツを購入する必要が無いというのも魅力のひとつです。
まさにD.I.Dの掲げる”レトロテイストを表現する先進のスポークホイール”という表題に偽り無しのクオリティですね。
実際にチューブレススポークホイールに交換してみる
今回DIDのZ650RS専用チューブレススポークホイールを装着する車両はこちら!
カラーはムーンダストグレーとなっております。
DIDの公式サイトに掲載されているホイール装着例は、Zシリーズ50周年を記念するファイヤーボールカラーです。
そしてもう一色の車体カラーであるキャンディエメラルドグリーンに関しても、純正でホイールカラーがゴールドとなっており、今回のD.I.Dチューブレススポークホイール×ムーンダストグレーの組み合わせに関しては恐らく世界初……!?の公開となります。
日常の足から大型、更に各種輸入車まで非常に幅広いラインナップの車種を販売しています。
また、売買だけではなくプロの手による車両のメンテナンスサービスも充実。
パンク修理からエンジンオーバーホールまで、様々なメンテナンスも安心してお任せできるバイクショップです。
乗り換え先のバイクを探している、バイクを売りたい、メンテナンスしてほしいというライダーの方は是非足を運んでみてください!
ショップの詳細、レビューや販売中車両はこちらからどうぞ。
交換作業スタートの前に
実際にホイールの交換作業に入る前に、純正のスタイリングを確認してみましょう。
ムーンダストグレー×ブラックカラーの純正ホイールの組み合わせは、他のカラー×ゴールドカラーの純正ホイールの車両に比べて、よりモダンな印象です。
少し順番が前後しますが、取り外した純正リアホイールとチューブレススポークホイールを並べるとこういった感じに。
ホイールサイズ自体は両者まったく同じではありますが、ホイールカラーや形状が大きく違うこともあり、若干チューブレススポークホイールの方が大柄に見えます。
装着時にはかなりバイク全体の印象が変わりそうな予感です。
交換スタート!
それでは作業開始していきます。
DIYで交換作業をする方のためにも、必要な作業とその流れについて、簡単に解説していきます。
ざっくりとした流れは
前後スタンドアップ
↓
前後ホイール脱着
↓
前後ブレーキディスク、ABSセンサーリング移植
↓
前後チューブレススポークホイール装着
といった流れになります。
純正の前後ホイール脱着に関しては、Z650RS特有の注意点などはありません。
純正ホイールが外れ次第、前後ブレーキディスクとABS用センサーリングを外します。
その他にもリアホイールからはスプロケットとスプロケットキャリア、ハブダンパーも外します。
そしてこちらが純正リアホイールから取り外したものの一覧です。
スプロケットとスプロケットキャリア、ハブダンパー、ホイールカラー左右、ブレーキディスクになります。
更にこちらが純正フロントホイールから外したものの一覧です。
左右ブレーキディスク、左右ホイールカラー、ABS用センサーリングをチューブレススポークホイールに移植します。
上記のように、純正ホイールからチューブレススポークホイールに交換するにあたって、追加で購入が必要になるパーツはありません。
ブレーキディスクやハブダンパーに関しては劣化・消耗するパーツなので、こういったタイミングで交換してしまうのも良いかもしれません。
ホイールベアリングなどは圧入済みですし、唯一専用品が必要なブレーキディスクボルトに関しては、ホイール購入時に付属しているので安心です。
そんなブレーキディスクボルトですが、チューブレススポークホイール装着の際は必ず付属の専用品を使用してください。
左が純正ボルトで、右が付属のボルトです。
長さも形状も違うため、純正ボルトをそのまま使用すると大変危険です。
付属のボルトを使用してブレーキディスクを固定するということさえ押さえれば、後は外した時と逆の手順で作業をしていくだけです。
組付け&トルクチェックをして完成です!
前後ホイールの脱着等、重要保安部品に関わる作業なので、自信の無い方はショップへ作業をご依頼ください。
純正ホイール装着時と比較してみる
チューブレススポークホイールの装着前に純正状態を確認したアングルと同じ角度の写真がこちら。
何の芸も無い表現にはなりますが、カッコいい!渋い!!
そしてそれと同時に錯覚したのが「純正からこんな感じじゃなかったっけ……?」という印象。
スタイリングがまとまり過ぎていて、むしろこの状態で新車販売しているバイクなのではないかとさえ思ってしまいます。
ほぼ同じアングルから比較してみると、先述した違和感の無さとは裏腹に、チューブレススポークホイールの装着前後でかなり印象が異なるのがわかります。
ブラック×オレンジの純正ホイールでは、モダンでスポーティな部分が強調されていたのに対して、チューブレススポークホイールではクラシックな雰囲気と共に、高級感がかなり増しています。
リアビューはテールランプ形状も相まって、更にチューブレススポークホイール装備時の姿はクラシカルでオシャレな雰囲気に。
純正ホイールと同サイズではありますが、チューブレススポークホイールはリム形状とクロススポークの角度からか、若干純正ホイールに比べてワイドに見えます。
タイヤもクラシカルなパターンながら、現代的なラジアルタイヤであるTT100GP Radialを装備。
今回のチューブレススポークホイールにタイヤは付属しておりませんので、どんなタイヤが似合うのか考えてみるのも一興です。
もっと色んな角度から見てみよう
自然光の下で、装着したD.I.Dのチューブレススポークホイールを撮影してみました。
まずはフロントから。
ムーンダストグレー×エボニーとパウダー塗装気味なツヤ消しゴールドカラーのホイールとの組み合わせは相性バツグンです。
筆者が個人的に好きなのがこのリアビュー。
クロススポーク方式が故に、クラシックな雰囲気ながら普通のスポークホイールには無いワイド感が素敵です。
ただのクラシックスタイルではなく性能は現代的な、あくまで”ネオ”クラシックだと主張しているかのようなスタイリングとも言えます。
スポークホイールに現代的なダブルディスクのギャップもイカしてます。
ホイールリムにクローズアップすると、塗装の質感が非常に高いということも見て取れます。
リアはホイール自体もそうですが、特に質感の高さを感じられるポイントとしては、削り出しのハブも挙げられます。
前述した塗装の質感に加え、巨大かつ真円性を求められるハブを削り出しで作っているとなると、この前後で35万円という価格にも納得です。
新車価格+前後ホイール価格で合計138万円は安いのか!?
純正ホイールからスポークホイールへの交換が容易なこと、質感が非常に高く車体とのマッチングも最高なことは分かりましたが、お値段も気になる点のひとつ。
価格はフロントが税込159,500円、リアが税込192,500円の、合計352,000円となっています。
比較としては、Z650RSに適合するアルミ鍛造ホイールが前後の合計で250,000円程度です。
筆者の個人的な印象としては、352,000円という数字単体では「高ッ!」と思ってしまうものの、実物のクオリティと仕上げを見ればまったく割高感は無いと思える価格です。
更に言えば、Z650RSがスポークホイールを履いた唯一無二の姿を35万円で手に入れられるならば、コスパが良いとさえ言えてしまうのではないでしょうか。
Z650RS+D.I.Dチューブレススポークホイール |
1,034,000円+352,000円=1,386,000円 |
||
---|---|---|---|
HAWK 11 | 1,397,000円 |
XSR900 | 1,210,000円 |
Z900RS | 1,485,000円 |
GSX-S1000 | 1,430,000円 |
Z650RSの新車価格は1,034,000円、そこにD.I.Dのチューブレススポークホイール352,000円を足すと、価格は1,386,000円となります。
ホイール交換を依頼する場合、タイヤの価格を含めた工賃なども発生しますので、実態としてはもう少し価格は高額です。
合計金額で他の新車価格と比較してみると、比較対象の車格がワンランク上がったことが分かります。
この比較を見てどう印象を受けるかはそれぞれの考え方や好みによりますが、ひとつだけ事実として言えることは
「この価格でスポークホイールを履けるネオクラは、この世にZ650RSとD.I.Dチューブレススポークホイールだけ」
ということです。
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