夏になると気になるのがエンジンのオーバーヒートです。
炎天下の下ではライダーも暑いですが、中でガソリンを燃やしてるエンジンがもっと大変な事になっているのは容易に想像できるはず!

水冷エンジンでは電動ファンが周りっ放しになって不安だし、空冷エンジンでは何だか苦しそうな感じになって不安になるはず。
もしかしてこのまま壊れてしまうのでは……帰れなくなったらどうしよう……。

そんな事にならないために、オーバーヒートについて軽ーく知っておきましょう。(※記事は長いです)

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オーバーヒートの症状とは?

オーバーヒートとはエンジンの放熱量が不足して適切な冷却ができなくなり、エンジンの温度が異常な高温になってしまう事を言います。
様々な原因によって(後ほど解説します)様々な症状が起こるのですが、エンジンが異常な高温になれば理由や原因を問わず全部まとめて『オーバーヒート』と呼ばれます。

『エンジンが異常な高温になっている』のがオーバーヒートだとしても、エンジンには様々な種類があるので原因も症状も様々です。
どの症状であっても無視し続けていると最終的にはエンジンが壊れますが、完全に壊れるまでに現れる症状はエンジンの種類によってかなりの違いがあります。

水冷エンジンの場合

水冷エンジンはエンジンで発生した熱を冷却水に伝達し、その冷却水をラジエターに運んで走行風に当てて冷やす形式のエンジンです。
最終的に空気で冷やすなら最初から空気で冷やす空冷で良いような気がしますが、なぜわざわざ水冷にするのか?という話は今回は割愛します。

水冷の良いところは、オーバーヒートの際にラジエターに電動ファンが装備されているので強制的に風を当てて冷却する事が可能なことです。
車体が停止して走行風が無い場合でも強制的に冷却できるので、空冷よりもオーバーヒートしにくい形式です。
(※電動ファンが無い水冷エンジンも稀に存在します)

水漏れ(少)

オーバーヒートしにくいとは言え「オーバーヒートしない」という事は無いので、水冷でもオーバーヒートする時はします。
そして、もともと滅多な事ではオーバーヒートしないように設計されているので、いざオーバーヒートするとかなりわかりやすい症状を示します。

水冷と言うだけあって冷却液はクーラント入りの「水」なのですが、水は熱くなると膨張します。
膨張した体積分の水はどこかに逃げなければならないので、水冷エンジンにはリザーバータンクという一時的に冷却水を貯めておけるタンクが付いています。

熱くなって膨張し、容積の増えた冷却水がラジエターのリザーバータンク容量を越えてしまい、リザーバータンクから冷却液が溢れ出てしまうのが典型的なオーバーヒートの症状です。
だから車体の下に液体が垂れ出したらけっこうピンチ。

ただし、ラジエターリザーバータンク内の冷却水容量が不足していると(下限を下回っていると)、激しいオーバーヒートでも冷却液がタンクから溢れ出ないので垂れて来ない事があります。
冷却液が垂れて来ないから大丈夫だと思っていると、エンジンに致命的なダメージを与えてしまう可能性もあるので要注意です。
エンジン始動前にはリザーバータンク内のクーラントが上限と下限の目盛りの中に水位がある事を確認するようにしましょう。

水漏れ(蒸気噴出)

リーザーバータンクへの通路が詰まっていたり、冷却水が沸騰するほどの高温になると、ラジエター内の圧力が上がってラジエターキャップが吹き飛び、沸騰した冷却水が水蒸気と共に吹き出す事もあります。
マンガや映画で描かれる事が多いオーバーヒート描写のアレです。

高温の水蒸気や水が激しく噴き出すので、誰でも一発でオーバーヒートしていると認識できるはずです。

なお、クーラントは甘い匂いがする事が多いので、何も無いところで甘い匂いがしたら自車からの冷却水漏れを疑ってみてください。

指針表示式の水温計では赤くなっているゾーンに針が入るとオーバーヒートデジタル式は機種によって様々だが、高温になっても正確に温度を表示し続けるメーターは少なく、危険領域に入ると「HI(高温)」の表示になる事が多い

指針表示式の水温計では赤くなっているゾーンに針が入るとオーバーヒート
デジタル式は機種によって様々だが、高温になっても正確に温度を表示し続けるメーターは少なく、危険領域に入ると「HI(高温)」の表示になる事が多い

空冷エンジンの場合

空冷エンジンはエンジンで発生した熱をエンジン表面にある多数のフィンに走行風を当てる事で冷やしています。
冷やすには走行風が必要なので、停止したままだと冷却が追い付かなくなってオーバーヒートする事があります。

「する」ではなく「する事がある」というのは、通常であれば止まったままでも大丈夫なように設計されているからです。
だから信号待ちで長時間停止していたらオーバーヒートしてエンジンが壊れた……というような事は「通常は」起こりません。

冷却水が無い空冷では熱くなっても吹き出す物が無いので、オーバーヒートしはじめても何かが噴出したりしません

その代わりに、エンジンの調子が物凄く悪くなります。
水冷エンジンでもオーバーヒートした際はエンジンの調子が悪くなりますが、空冷では水冷と比較にならないレベルで調子が悪くなります。

ありがちな症状

簡単にエンストする
全然加速しない
トルクが無いので発進しにくい
エンジンからカリカリとした音が聞こえる(ノッキング)

これらの症状は空冷エンジンがオーバーヒートしている時に局部的にとんでもない高温になっている部分ができてしまうから起こります。
水冷エンジンはエンジン内を同じ冷却水が巡っているのでオーバーヒート時はエンジン全体が高温になりますが、空冷エンジンでは燃焼室のあるシリンダーヘッドだけが物凄い高温になりがちです。

エンジンは金属製なので熱を加えると膨張するのですが、全体が同じように膨張する水冷と違って空冷ではシリンダーヘッド部分だけが大きく膨張してしまいます。
そんな事になれば調子悪くなるのは容易に想像できますよね?

もともと空冷はかなり大雑把な冷却方式です。
例えばエンジン前面は良く冷えるけれどエンジンの後ろ側は風が当たらないので冷えにくい……というように同じエンジン内でも場所によって冷え方に差が出てしまう宿命です。
そのような状態でも耐えられるようになっているのが空冷エンジンですから、多少オーバーヒートしても動いてしまうのですが……、オーバーヒートによって高温に晒られた部品やオイルは確実にダメージを受けてしまいます。

基本的に空冷エンジンの冷却状態をメーターなどで知る事はできない、油温計などで間接的にエンジンの温度状態を掴む程度が限界燃料供給がインジェクション(FI)ではなく昔ながらのキャブレターである事も多く、エンジンの発する熱の影響でセッティングが狂うので余計に調子が悪くなる

基本的に空冷エンジンの冷却状態をメーターなどで知る事はできない、油温計などで間接的にエンジンの温度状態を掴む程度が限界
燃料供給がインジェクション(FI)ではなく昔ながらのキャブレターである事も多く、エンジンの発する熱の影響でセッティングが狂うので余計に調子が悪くなる

オーバーヒートの予兆

オーバーヒートは急にはなりません
必ず前兆があり、その後に本格的なオーバーヒート症状が現れます。

つまりオーバーヒートは、予兆(前兆) → オーバーヒート症状 → エンジンブロー(エンジン破損)という順番に進行します。
当然ながら進行の前段階で対処できるほどエンジンへのダメージは少なくて済みます。

ですので、オーバーヒートの予兆を感じ取って具体的な症状(エンジン不調)が現れる前に対処するのがベスト。
予兆をできるだけ早く感じ取るには、常に愛車のエンジンの様子を観察している事が重要です。

最近のバイクや車はたいへん良く出来ているので滅多な事ではオーバーヒートしませんから、常にエンジンの様子を気にしながら乗っている方は少ないかもしれません。
しかし、エンジンと対話しながら、様子をうかがいつつ、相談するように扱うのは昔からエンジンを壊さないための大事なコツです。

例えばスロットルは「回した分だけ加速するスイッチ」ではない望む加速や減速を得るために、常にエンジンの様子を感じつつ開けたり閉めたりするべきそうすればオーバーヒートの始まる前の予兆や前兆を感じ取りやすくなる

例えばスロットルは「回した分だけ加速するスイッチ」ではない
望む加速や減速を得るために、常にエンジンの様子を感じつつ開けたり閉めたりするべき
そうすればオーバーヒートの始まる前の予兆や前兆を感じ取りやすくなる

水冷エンジンの場合

水冷の場合は水温計の指す水温が上昇してくるのが目に見えるので単純明快です。
しかも水は熱しにくく冷めにくいという特徴があるので予兆の変化も緩やか。

さっきまで何も問題無かったのに僅か1分でオーバーヒートしてエンジンブロー!などという事は基本的にありません。
だから水温計の針や数値を常に睨み続けている必要は無く、たまにチラチラと確認する程度で大丈夫です。

そして、水温が上昇しはじめたらオーバーヒートの前兆です。
ここからは水温計に注目しますが、そのまま水温が上昇し続けるようなら冷却がピンチな証!

ただし、針が一瞬レッドゾーンに入っただけで即エンジンブローしてしまうような事はありません。
ましてやレッド手前のイエローゾーンにちょっと掛かったからといって大慌てしなくてもまだ大丈夫です。

しかし、渋滞などで止まっている状態で、電動ファンが回っているのにドンドン水温が上昇してレッドゾーンに掛かった場合は話が別です。
その状態では冷却が追い付かない事を意味しているので、そのまま止まっていると確実にオーバーヒートします。
すぐに動き出して走行風が当たる可能性が無いという状況なら、水温計の上昇は大ピンチの予兆です。

なお、『水温が何度になったらオーバーヒート』という明確な決まりはありません。
エンジンによって適正水温が違うからです。

一般的な4ストロークエンジンでは110℃を越えたあたりからオーバーヒート扱いとなりますが、2ストロークエンジンなどでは80℃でもうオーバーヒートという事もあります。

オーバーヒートの温度に決まりは無いしかし一般的な4ストロークエンジンであれば110℃を越えたあたりからオーバーヒート指針式の純正メーターでは具体的は温度の記載が無い事も多い、針が適正値の範囲を越えて上昇しはじめたら要注意

オーバーヒートの温度に決まりは無い
しかし一般的な4ストロークエンジンであれば110℃を越えたあたりからオーバーヒート
指針式の純正メーターでは具体的は温度の記載が無い事も多い、針が適正値の範囲を越えて上昇しはじめたら要注意

空冷エンジンの場合

空冷エンジンではメーターの数値などでオーバーヒートの前兆を知る事はできません
油温計があれば油温上昇でオーバーヒートの前兆を知る事ができるように思えるかもしれませんが、それはあくまでも『走行中で走行風が当っている場合』です。

上で書いたようにオーバーヒートで問題になるのは主にシリンダーヘッドの部分です。
走行中であればオイルが激しく循環しているのでシリンダーヘッドの温度上昇と共にオイル温度も上昇しますから、油温計の数値でエンジンの冷却状態をある程度確認することは可能です。

しかし空冷エンジンが最もオーバーヒートしやすいのは走行風の当たらない停止中です。
停止中はエンジンはアイドリングしている事が多く、シリンダーヘッドの温度が異常上昇を始めてもオイルが循環して温度変化するまでには時間が掛かります。
だから油温上昇でオーバーヒートの前兆を知る頃には既にエンジンはオーバーヒートしてしまっているはず……。

ですので、空冷エンジンは感覚が頼りです。
簡単にエンストしそう、加速が悪い、発進しにくい気がする、ノッキングしそう、といった体感的な部分で判断するしかありません。

空冷エンジンのオーバーヒートは前兆を感じ取る感覚が頼り暑い環境でいつもとは違う感触や症状が出始めたら要注意

空冷エンジンのオーバーヒートは前兆を感じ取る感覚が頼り
暑い環境でいつもとは違う感触や症状が出始めたら要注意

オーバーヒートの原因

エンジンの種類が水冷か空冷かでオーバーヒートの原因が大きく違います。
まずは自分の愛車が水冷なのか空冷なのかを把握しておきましょう。

特にスクーターはエンジンが見えないので水冷と空冷の区別が付きにくい傾向があります。
大型バイクでもエンジンの見た目を重視して水冷エンジンなのに空冷エンジン風に見せている場合があるので油断は禁物です。

なお、スズキには「油冷エンジン」という他社にな無い冷却方式を採用した自慢のエンジンがあるのですが、構造的には空冷です。
ドカティでは「空油冷エンジン」という変わり種もありますが、それもシリンダーの周りに冷却水の代わりにオイルを流しているだけで、構造的に空冷の一種です。

ラジエターがあるから水冷?冷却フィンがあるから空冷?実はラジエターに見えるのは巨大なオイルクーラーなので油冷が正解見た目に騙されず、自分の愛車の冷却方式を把握しておく事はとても大切

ラジエターがあるから水冷?冷却フィンがあるから空冷?
実はラジエターに見えるのは巨大なオイルクーラーなので油冷が正解
見た目に騙されず、自分の愛車の冷却方式を把握しておく事はとても大切

水冷エンジンの場合

水冷エンジンは単にエンジン内に水が入っているのではなく、強制的に水を循環することでエンジン全体を冷却するように設計されています。
ですので、『強制的に水を循環させる装置』がエンジン内部で壊れると、自動的にオーバーヒートしてしまいます。

冷却水を強制循環させている装置はウォーターポンプと呼ばれる物で、中にある水車のような羽根で冷却水を循環させています。
しかし普通に使っていればこの羽根が壊れる事は稀で、正しくメンテナンスしていれば簡単に壊れるような物ではありません。

それより問題なのは単純な冷却水不足です。
オーバーヒートの原因の大多数はコレと言っても差し支えない気がします。

走行風で冷却水を冷やすラジエター本体が不良の場合もあります。
一般的には細かいフィンが潰れて走行風の通りが悪くなってオーバーヒートする原因となる……と言われる事が多いのですが、通常の走行でオーバーヒート原因となるほど激しくラジエターフィンが潰れたりする事は滅多にありません。
(高圧洗車機の水流を横から当てると全部まとめて潰れる事があります、要注意)
仮にフィンが潰れていれば車体の外から見えるので確認は容易です。

それよりラジエター内部に溜まったスラッジ(水アカ、ゴミ、サビ)で水流の通路が詰まっている可能性の方が遥かに高い気がします。
新車で購入してディーラーで定期的にメンテナンスを受けているのであれば大丈夫ですが、中古車を購入してオーバーヒートしやすいと思ったならラジエター内部が踏まっている可能性がかなりあります。

サーモスタット不良も稀にあります。
サーモスタットは水温が低い時に水路を閉じて冷却水をラジエターに入れないようにして水温上昇を早め、水温が上昇したら水路を開いて冷却できるように自動的に切り替える装置です。
当然ですが、これが壊れると水路が閉じっ放しになるのでオーバーヒートします。(開きっ放しになってオーバークールになる場合もあります)
なお、サーモスタットは冷却水路内にあるので表からは全く見えません。

電動ファン不良はそのままズバリ電動ファンが作動しなくなる故障です。
水冷の強味である強制冷却ができないので空冷よりも冷えなくなり、みるみるオーバーヒートしてしまいます。

この不良は電動ファンを必要としない通常走行時にはわからないので、肝心な場面で発覚して泣く事が多いトラブルです。

ラジエターのフィンが潰れると走行風が上手く通過できなくなるのでオーバーヒートの原因となるが、通常走行でこのようになる事はまず無い高圧洗車機の水流でフィンが倒れてしまう事はあるので要注意

ラジエターのフィンが潰れると走行風が上手く通過できなくなるのでオーバーヒートの原因となるが、通常走行でこのようになる事はまず無い
高圧洗車機の水流でフィンが倒れてしまう事はあるので要注意

ウォーターポンプが破損するのは長期間の放置によるサビが原因である事がほとんど冷却水が茶色い場合は疑ってみても良い

ウォーターポンプが破損するのは長期間の放置によるサビが原因である事がほとんど
冷却水が茶色い場合は疑ってみても良い

最初に疑うべきは冷却水の不足ラジエターキャップを開けた際に上限まで冷却水が入っている事を確認しておくのと、リザーバータンク内の残量が基準値内にある事も確認しておく

最初に疑うべきは冷却水の不足
ラジエターキャップを開けた際に上限まで冷却水が入っている事を確認しておくのと、リザーバータンク内の残量が基準値内にある事も確認しておく

空冷エンジン(油冷エンジン)の場合

なにしろ走行風頼りなので、条件が悪いと原因が無くともオーバーヒートしてしまうのが空冷エンジンです。
周りの気温が高い、無風の中で長時間停止、このような悪条件が長時間続くと冷却しきれない事があります。

特に低速走行や停止中なのにエンジンだけは高回転という状況では冷却が追い付かなくなります。
重い荷物を積んだまま長い急坂を登るために低速ギアで高回転までエンジンを回し続けたり、オフロードで穴などから脱出するためにエンジンを回したりする状況ですね。

意外な原因の一つでは、エンジン背後の空気の抜けが悪いのが原因という場合もあります。
前からどれだけ走行風を当てても、その風が抜けなければ……冷えるワケないです。

エンジン前面に遮蔽物がある場合も冷えないのですが、エンジンを冷やそうとして増設したオイルクーラーのせいで却って走行風による冷却を妨げてしまう事もあるので注意が必要です。

ほぼ停止したままエンジンだけ激しく回し続けたら、放熱が追い付かないので成す術なくオーバーヒートするのは空冷エンジンの宿命

ほぼ停止したままエンジンだけ激しく回し続けたら、放熱が追い付かないので成す術なくオーバーヒートするのは空冷エンジンの宿命

オーバーヒートしてしまったらどうする?応急処置の方法は?

確実にやらなければいけない事はエンジンを冷やす事です。
オーバーヒート = エンジンの異常過熱なのですから、何とかして通常の温度に戻してやらねばなりません

ではどうやって通常の温度に戻すのか?どうやってエンジンを冷やすのか?

オーバーヒートを無視して稼働させ続けているとエンジンに致命的なダメージを与えてしまうので、その前に何とかしなければなりません。

すぐに何とかしないとエンジンにとって致命的なダメージになるかもしれない

すぐに何とかしないとエンジンにとって致命的なダメージになるかもしれない

水冷/空冷共通

熱いなら水を掛けて冷やせば良い!と思うかもしれません。
特にバイクの場合はエンジンが見える場所にあるので、悲鳴を上げているエンジンに水を掛けたくなるのは仕方ありません。

しかし、オーバーヒートしているエンジンに水を掛けてはいけません
オーバーヒートしているエンジンは非常に熱くなっているので水を掛けると掛けた場所だけ急激に温度が下がり、周囲との温度差でエンジンが割れてしまう事があります。

水溜まりを通過した際にエンジンの一部に水が掛かる事も想定して設計してあるので水を掛けたら即刻真っ二つになる事はありませんが、一部だけが急激に冷えるのは非常に良くないです。
霧吹きなどでゆっくり水を掛けるなら大丈夫ですが、普通はオーバーヒートしている現場で都合良く霧吹きは無いでしょう。

とにかく、水を掛けて急冷できるのはオーバーヒートする直前の段階までが限界。
オーバーヒートしてしまったエンジンに水を掛けてはいけません

オーバーヒートした際に最優先するべき事は、これ以上の熱を与えないこと、これ以上エンジン温を上げないこと。
ですので、何はともあれエンジンを停止するのが最優先です。

急にエンジンを停止すると局所的に熱が溜まってエンジンに良くない……という説もありますが、それは冷却が追い付いている時の話。
既にオーバーヒートしてしまっているのであればすぐにエンジン停止して熱源を断つのが最優先です。

いくら急冷したくても、エンジンに直接水を掛けてはいけない

いくら急冷したくても、エンジンに直接水を掛けてはいけない

まずはエンジン停止熱の発生源を断つ事が最優先

まずはエンジン停止
熱の発生源を断つ事が最優先

水冷エンジンの場合

絶対にやってはいけないのは、熱い状態のラジエターキャップを開ける事です。

ラジエター内の冷却水は加圧状態にあり、100℃を越えても沸騰しないようになっています。
オーバーヒート時なら120℃近くになっている可能性もありますが、その状態でラジエターキャップを開けて圧力を抜くと……冷却水が急激に沸騰して吹き出します。

猛烈に熱い水が水蒸気と共に噴出するので大やけど間違い無し!
冷却水の状態を確認したい心理からなのか、焦るとラジエターキャップを開けてしまいがちなので要注意です。

水冷エンジンではラジエターで冷やした冷却水をエンジン全体に回す仕組みなので、ラジエターを冷やすのが応急処置として最も有効です。
エンジン本体に水を掛けるのは御法度ですが、ラジエター本体に水を掛けるのはとても有効なので、水があるなら掛けて冷ますようにしましょう。

ラジエターにウチワのような物で風を当てて冷却を促すなどしつつ、冷めるのを待つしかありません。

熱い時はラジエターキャップを絶対に開けてはならない開けるのは少なくとも手で触れる温度になってからでないと熱い冷却水が噴出する可能性が高く、非常に危険

熱い時はラジエターキャップを絶対に開けてはならない
開けるのは少なくとも手で触れる温度になってからでないと熱い冷却水が噴出する可能性が高く、非常に危険

空冷エンジン(油冷エンジン)の場合

こちらは冷却装置らしい物はエンジンに刻まれた冷却フィンしかありません。
ですので、対策は風を当てる事だけ。
ウチワのような物でエンジン本体に風を当てて冷却を促す以外の対処方法はありません。

日陰でひたすら扇ぐ!応急処置としてはこれしかありません。

必要なのは風!何とかしてエンジンに風を当てて冷やす

必要なのは風!
何とかしてエンジンに風を当てて冷やす

オーバーヒートの防止方法と対策

簡単に言えば『エンジンが良く冷えるようにする』のがオーバーヒート対策という事になります。

しかしエンジンの冷却方式によって対策方法が全然違います。
水冷エンジンに装備されている冷却対策部品が空冷エンジンにはそもそも存在しなかったりするので、『オーバーヒートの原因』で書いたように自分の愛車のエンジン冷却方式が水冷なのか空冷なのかをしっかり把握しておきましょう。

冷却強化対策の前に

オーバーヒートしにくくする追加策を施す前に、そもそも故障していないこと、冷却系がきちんと機能していると確認する事が重要です。
すぐオーバーヒートすると思っていたら「冷却水が不足していただけだった」などはとても良くある話です。

何度も書きますが、現代の水冷エンジンであれば炎天下で渋滞した程度でオーバーヒートしたりはしません。
もしオーバーヒートするなら、それは「暑すぎるから」ではなく「整備不良だから」の可能性の方が高いです。
エンジンが良く冷えるようにする対策の前に、定期的な点検で冷却装置に問題が無い事を確認するのが最も重要な対策になります。

無意味な高回転多用を避ける、無駄な空ふかしをしない、といった『普通の運転を心掛ける』のも大事です。

無意味な高回転は避ける

無意味な高回転は避ける

水冷エンジンの場合

水冷エンジンではラジエターを大型の物と交換するのが最も一般的な対策になります。

ただし、大型ラジエーターが発売されている車種がほとんどない(チューンして熱量の上がったエンジンでサーキット走行を全力で走る事を想定された特殊な車種でしか用意されていない)事からもわかるように、大型ラジエターへの交換は一般的ではありません。
極一部のレーシングエンジンでしか必要ないので価格も非常に高価です。

ラジエターを交換しない対策では、ラジエタークーラントをオーバーヒートに強いと謳っている物と交換するのが最も現実的です。

カウルの無いネイキッド車であればラジエターに走行風を導きやすくする導風板を設けるのも有効で、こちらは外装メーカーから発売されている事があります。
ドレスアップを兼ねている場合も多いので、気軽に試してみるのは有効でしょう。

画像は<a href="https://www.webike.net/sd/25611137/" rel="noopener" target="_blank"><strong>ポッシュ製のZ900RS用ラジエターシュラウド</strong></a>(導風板)ラジエター前面の整流ではなく、ラジエター通過後の熱風の流れを整えて冷却性を上げるのが特徴この方式だと風の抵抗をほとんど増やさないで済むのが良い

画像はポッシュ製のZ900RS用ラジエターシュラウド(導風板)
ラジエター前面の整流ではなく、ラジエター通過後の熱風の流れを整えて冷却性を上げるのが特徴
この方式だと風の抵抗をほとんど増やさないで済むのが良い

空冷エンジン(油冷エンジン)の場合

空冷でも熱を放出しやすくするのがオーバーヒート対策になります。
一般的にはオイルクーラーの増設、すでにオイルクーラーが装着してある場合は大型の物に交換するのが最も一般的な対策です。

走行風で冷やすエンジンなのになぜオイルを冷やすのか?
エンジンオイルはエンジン内部を循環しており、シリンダーヘッドで発生した熱がエンジンオイルを温めるので、そのオイルを冷やす事でエンジン全体を冷やす事が出来るからです。

こちらもドレスアップ効果大なので、実用も兼ねたカスタムとして空冷エンジンファンにはお馴染みのオーバーヒート対策になります。
水冷エンジンの大型ラジエターへの交換ほどハードルは高く無いので、4ミニ系から大型空冷4気筒まで幅広くおすすめです。

極端なオーバーヒートへの対策ではなく、オーバーヒート傾向に感じる程度であれば、熱に強いと評判のエンジンオイルを使用するのも愛車の保護に役立つでしょう。
低抵抗なエンジンオイルは発熱を減らしますし、万が一オーバーヒートしそうになってもエンジン内部を守ってくれます。

<a href="https://www.webike.net/tab/parts/bm/1342/?s=ranking" rel="noopener" target="_blank"><strong>オイルクーラー</strong></a>増設が最も一般的な対処方法

オイルクーラー増設が最も一般的な対処方法

オーバーヒートしやすい車種が存在する

ウソみたいな話ですが真冬でもオーバーヒートする事はあります。
何らかの原因でエンジンの冷却が追い付かなくなるとオーバーヒートするのですから、気温が低い以上にエンジンが発熱すればオーバーヒートまっしぐら。

ただし、普通のバイクが真冬にオーバーヒートするのは相当特殊な状況です。
エンデューロレースなどでは頻発しますが、車輪が埋もれた状態で脱出のために空冷のエンジンをふかし続けていればオーバーヒートするのは当たり前。

他には延々と続く無風の急な登り坂で激しい渋滞に巻き込まれたりするとオーバーヒートする可能性があります。
大型商業施設の立体駐車場で空き待ちノロノロ運転などが典型的シチュエーションですが、空冷エンジンではかなりピンチな状況と言えます。

そして、車種によっては猛烈にエンジンが発熱するので無風状態では冷却能力ギリギリという場合があります。
典型的な車種は現代の水冷リッターSS(1000cc級スーパースポーツ)です。
強力な電動ファンを備えているので通常であればオーバーヒートには至らないはずですが、正直かなりギリギリに感じます。

旧車では2ストロークのレプリカ系(NSR、TZR、RGV-Γなど)はラジエターに電動ファンが存在しません。
しかもそういった車種の適正水温は65℃前後だったりします。
真夏に渋滞で車列の後に並んだりすると水温計の針はあっという間にレッドソーンに入ってしまうので、そうなったら路肩で冷えるのを待つしかありません。

自分の愛車はオーバーヒートしやすい車種なのか?
オーナーレビューなどで他のオーナーの声を聞き、オーバーヒートしやすいのであれば事前に対策するのは有効です。
逆に、他のオーナーでオーバーヒートしやすいという話が出てこないなら、自分の愛車だけ何かが壊れているかもしれません、バイク屋さんで故障していなかをチェックしてもらいましょう!

大丈夫だと思っていたのに、チェックしてもらったらスゴイ状態になっていた事が判明するのは良くある話オーバーヒートしやすい気がするなら、バイクショップでチェックしてもらうのはとても有効

大丈夫だと思っていたのに、チェックしてもらったらスゴイ状態になっていた事が判明するのは良くある話
オーバーヒートしやすい気がするなら、バイクショップでチェックしてもらうのはとても有効

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