
夏のバイクは地獄です。
バイクに乗らない世間一般の方のイメージは「風を切って爽快」かもしれませんが、一度でも炎天下の中を乗ればそんな事は幻想だとすぐに解ります。
エアコン無し、直射日光直撃、股間には熱いエンジン、路面からは照り返し、身体の冷却は走行風頼り、それがバイクという乗り物。
だから少しでも走行風に当たりたくてバイク乗りはメッシュジャケットやメッシュインナーを着用します。
どうせ着るならプロテクター機能も欲しいので、プロテクター付きメッシュインナーやメッシュジャケットは大人気です。
でもちょっと待った!
もう一つ大事な事を忘れていませんか?
目次
ライダーは空冷
最初に書きましたが夏のバイクは地獄です。
暑い要素が山盛りなのですから暑いに決まっており、暑いを通り越して熱いと言いたくなるほどアツイ。
何とかして涼しさを得たいところですが、エアコンの無いバイクでは走行風で身体を冷やすしかありません。
走行風が当たらないと冷えなくて本来の力が出せないこの感じ……、まさに空冷エンジンそのものです。

冷却は走行風頼り
ライダーは生身
ライダー自身が空冷なので最も冷えるのは「裸」という事になるのですが、いかに暑いからといって裸でバイクに乗るのは逆効果です。
裸だと直射日光が肌に直接当たるので、体感的には涼しくても皮膚表面が日焼けで大変な事になってしまうからです。
何とかして直射日光を避けつつ走行風はできるだけ浴びたい!というワケで、メッシュジャケットやメッシュインナーは夏のライダーの必須装備となります。
それに、万が一の転倒時を想定するならプロテクター機能も欲しいところ。
だからメッシュジャケットやメッシュインナーにプロテクターも入った製品が大人気なのは当然です。
バイクは人間が身体剥き出しで乗る乗り物、でもライダーは人間なので暑いのも痛いのも嫌に決まってます。

日焼けで大変な事になるので裸で乗るのは無理!

痛いのも暑いのも嫌、だからプロテクター入りのメッシュ系アパレルは大人気
プロテクターは間違いなく有効
メッシュジャケットやメッシュインナーに装備されているようなプロテクターの効果に疑問を持っている方も居るでしょう。
あんな薄いプロテクターで衝撃から身体を守れるのかと。
これは転倒してみるとスグにわかるのですが、間違いなく有効です。
ちょっとした立ちゴケであってもバイク乗りは愛車を守ろうとして姿勢が崩れた状態で倒れる事が多いので、かなりの確率で肘や肩を打ってしまいます。
ベテラン勢は滅多な事では立ちゴケしない事に加え、もし倒れてもさっさとバイクを諦めて身体を守るように倒れるのであまり怪我をしませんが、それを初心者に求めるのは無理!
どうしても大切な愛車を守りたい心理が働いてしまいます。
そんな時、たとえ薄い物でもプロテクターを装備していると怪我の程度が全然違います。
路面に凸凹のある砂利道などではその差歴然!

たとえ薄くても突起からの圧力が分散できるのでプロテクターは間違いなく有効
問題は滑走した時
そういうワケなので是非とも装備して欲しいプロテクター入りのメッシュジャケットやメッシュインナーですが、メッシュ系のアパレルには一つ問題があります。
それは転倒時に破れやすいこと。
暑い夏に着る物なので生地が薄いうえ、『メッシュ』という生地そのものが冬用の分厚い防風素材で出来ている物と比較して強度に劣るのは仕方ない事と言えるでしょう。
とは言え、プロテクターが思いっきり役立つような低速時、例えば立ちゴケなどで簡単に破れてしまうほどヤワな造りにはなっていません。
そこはさすがにバイク用なので、ちょっと転倒しただけで簡単に破れてしまう普通のシャツとは比較にならない頑丈さです。
しかし、滑走するほどの大転倒となると……、やはり冬物の最強プロテクト機能付きウィンタージャケットのようには行きません。

薄い生地、繊維の少ないメッシュ、路面に引っ掛かりやすい表面仕上げ・・・
冬用の分厚くて防風性のあるアパレルと比較して破れやすいのは仕方ない
滑走時に大事なのは『破れない』こと
転倒時に破れやすいのが弱点と書いたメッシュ系アパレルですが、転倒して破れるのは『結構なスピードで転倒してしまった場合』、つまり滑走してしまうほどのスピードであった場合の話です。
滑走すると路面との摩擦でメッシュ素材の繊維が千切れてしまうのが破れる原因です。
でもこれは仕方ないことです。
サーキットでは「ハイスピードで転倒する事もあるのが前提」なので革ツナギ(レーシングスーツ/レザースーツ)を着用しますが、アレは高速で路面と摩擦しても繊維が千切れないように革を採用しているのです。
超高速でアスファルト上を滑走しても破れない素材が革素材という事は、公道でも革にパンチングで穴を開けて通風性を持たせたメッシュレザージャケットが最も破れにくいメッシュアパレルという事になります。
ただし、いくら穴が開けてあるとは言え化学繊維系のメッシュジャケットほどの通風性は期待できません。
滑走しても破れない代わりに、「重くて」「高価格で」「暑い」のが革ジャケットの弱点です。

サーキットで革ツナギを着用するのは、高速で路面と擦れても破れないから

レザーパンチングメッシュの製品が最も滑走に強く破れにくい
半面、どうしても重く高価になる
また、いくらパンチングとはいえ通風性は通常のメッシュ素材には勝てない
この商品名を見よ!
軽くて、通風性抜群で、涼しくて、低価格で、滑走しても破れない、そんなメッシュアパレル素材は無いものか……。
……と思っていたら、ありました。
それがこのデイトナ製「耐切創スリムフィットインナープロテクター DP001」
各社から様々なメッシュアパレルが発売されていますし、どの製品も涼しくてプロテクション機能抜群と謳っています。
しかし『耐切創』を全面にアピールしている製品ありません。
『耐切創』機能を持っているのは刃物を扱う時用のグローブや、普通のジャケットなどばかり。
メッシュ系アパレルで耐切創を謳っているのは実質この製品だけ!!

全体のシルエット
実は裏が透けるほど薄いメッシュ素材となっており、腕の外側と(この画像では見えないが)背中側が耐切創繊維でできている

レーシングスーツで使用される牛革をも越える耐摩耗性能!
ワカッテル人は既に使用中
そういうわけなので、真夏も元気に走りたい全てのライダーにおすすめしたいこの製品!
Webikeのランキング紹介ページで『その他上半身プロテクター』の項目を見れば人気があるのは一目瞭然。
面白いのはこの記事を書いている時点でのインプレッション件数が0件なこと。(※2023年7月7日 16:00現在)
ワカッテル人なら飛びつく製品ですが、そういう人はなかなか転んだりしないのでインプレッションしにくいのかもしれません。
ちなみにこの製品から耐切創性能を削り、プロテクター入りメッシュインナーに徹したのが「ストレッチスリムフィットインナープロテクター DP-002」です。

さすがウェビックユーザー、よくわかってらっしゃる
30km/h以上で転倒した人なら重要性がわかるはず
『破れない事』がそんなに重要なの?と思った方も居るかもしれません。
そう思った方は速度の出ている状態から転倒した事が無い方なのでしょう。
立ちゴケ程度ならこの製品ならではの『耐切創性能』はほぼ関係ありません、他のプロテクター入りアパレル製品と同じで生地がちょっと痛むだけでしょう。
しかしほんの僅かでも速度の出ている状態で転倒したなら、例えば交差点の右左折などの低速であっても擦過傷は免れません。
転倒時に路面とぶつかる衝撃はプロテクターで分散できますが、その後の滑走でプロテクターの位置がズレる事も良くあります。
アスファルト路面は荒いヤスリのような物なので、僅かでも滑走すればメッシュ素材は比較的簡単に破れてしまい、路面と皮膚が直接接触する痛々しい事になってしまいます。
バイク用ではないシャツなんか一瞬で穴が開きますし、肌が直接路面と擦れてしまう袖の無いTシャツなど論外です。
もっとスピードの出ている状態、例えば幹線道路でよくある50km/hで転倒したらどうなるか……想像するまでもありませんね。
ジーンズで転倒した経験のある方なら知っているはずですが、頑丈だと思っていたジーンズなんか簡単に破れて穴が開いてしまい、スリキズで痛い思いをしたはずです。
このように『路面と擦れても簡単には破れない』というのはとても大事な事です。
そんな破れにくさを持つ素材で出来ていて、メッシュ素材で通風性があって、プロテクターまで装備している極めて珍しいインナーシャツが「耐切創スリムフィットインナープロテクター DP001」というわけです。
プロテクターとは違う意味で、夏にホントにおすすめです。

40km/hも出ていれば想像以上に滑走する
路面やガードレールと衝突した際に守ってくれる対衝撃性も大事だが、滑走時に生地が破れて穴が開かない事も非常に重要

ちょっと擦れただけで大変痛々しい事になる擦過傷
アスファルトで高速摩擦したくなければ「破れない性能」は無視できない
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