
2023年5月に筑波サーキットで開催されたテイスト・オブ・ツクバに出店していたヨシムラのブーステントで、3月のモーターサイクルショーの際に近日登場とアナウンスされていたスズキ Hayabusa用のフルエキゾースト(試作品)が装着展示されていた。
発売直前の新情報として、過去に発売されたヨシムラのマフラーを上回る怒涛の造り込みがなされている事が発覚したので、Hayabusaオーナーは要チェックだ!
※2023年7月14日 発売開始 製品はこちら
目次
ヨシムラ製マフラーの最高峰
展示されていたデモ車にはモーターサイクルショーで初お目見えとなった2本出しのチタン製フルエキゾーストが装着されていた。
モーターサイクルショーの際は「近日発売」という情報のみで詳細は不明だったが、追加情報が入ったのでお知らせしたい。

これがフルエキゾースト装着時のHayabusa
カウルの下から見える集合部や、ステップ下から見えるエキゾーストパイプの質感はフルエキゾースト装着車特有のレーシーさだ
排気触媒はスイングアームピボットの真下付近にあるが、純正とは比較にならないほど小型化されているので全く目立たない
もちろん車検対応
サイレンサー形状は『R-11Sq R』
5月10日より発売開始している「スリップオン R-11Sq R サイクロン 2本出し EXPORT SPEC 政府認証」マフラーとサイレンサーの基本形状は同じだ。
スリップオンではサイレンサーカバーの仕上げが選択可能で、SSF(サテンフィニッシュカバー)、SM(メタルマジックカバー)、STB(チタンブルーカバー)が選択できるが、フルエキゾーストでも選択可能になるのではなかろうか。
デモ車のサイレンサーカバーは最も軽量となるチタン製のSTB(チタンブルーカバー)だった。

サイレンサーエンドにあるカーボンカバーはエッジの立ったシャープな形状で、これはスリップオンと共通
一般的なサイレンサーバンドを使用しない事による剛性感は見事で、だらしなく揺れたりしないガッチリした固定になる
サイレンサーはよく似て非なるもの
実はスリップオンとフルエキゾーストでは明確に異なる部分がある。
目に見える最大の違いはサイレンサーエンドにメッシュが装備されていること。
この排気口にあるメッシュは近年のmotoGPやEWC(世界耐久選手権)で採用されているお馴染みの物。
鈴鹿8時間耐久ロードレースのイメージが強いヨシムラだが、鈴鹿8耐は年間を通して戦うEWCのうちの1戦に過ぎない。
そのEWCにヨシムラは2021年からフル参戦しており、レース現場からのフィードバックが製品化された事になる。
そもそもこのメッシュはレースに於いて転倒やコースアウトでグラベルに入ってしまった際に、小石が入り込んでエンジン破損するのを防止するための物だ。
そうなると公道では見た目だけの装備と思われがちだが、ヨシムラが最高級マフラーに無意味な物など装備するわけがない。
実はこのメッシュがある事で排圧が高まり、出力特性にも好影響がある事が判明したのだそうだ。

明らかな違いがあるのがサイレンサーエンドにあるメッシュカバー
フルエキゾーストである事が一目瞭然だが、差別化を図るための「飾り」ではなく出力特性にも関わっている

そのメッシュのアップ
単なるメッシュではなく、ヨシムラのロゴがマーキングされている

こちらは東京MCショー時のデモ車に装着されていたマフラーのメッシュ部
レーザー刻印されたロゴに見える
サイレンサー手前のカバーが異なる
フルエキゾーストのサイレンサーとスリップオンのサイレンサーは形状が同じでも使っている素材の違う部分がある。
目に見える部分ではサイレンサー手前のカバー部分だ。
スリップオンではステンレスが採用されており、表面は美しいポリッシュ仕上げになっている。
それに対してフルエキゾーストの方はこの部分の素材をチタンに変更してある。
表面仕上げも異なり、ポリッシュではなくサテン地となっていた。
この変更によって車体装着時のイメージはかなり異なる。
イメージとして、EWCを戦うヨシムラのレーサーに近い物となる。

エキパイ部分と同じ、マットな質感を持つフルエキゾースト用のサイレンサー手前カバー部
素材は軽量なチタン製となる

こちらはスリップオンサイレンサーの装着イメージ
サイレンサー手前のカバーに光沢がある事に注目、素材もステンレス製だ
見えない部分にも違いがある
外観からは全くわからないが、実はサイレンサー内部にも違いがある。
スリップオンの場合はサイレンサー内にある消音用のパンチングパイプにステンレスを採用しているが、フルエキゾーストではサイレンサー内部パーツも全てチタン製なのでパンチングパイプもチタン製となっている。
パンチングパイプまでフルチタン製のマフラーというのは非常に珍しく、それだけでもこのフルエキゾーストには価値がある。
チタン製パンチングパイプは排気脈動で割れてしまう例が多く、軽量と引き換えに寿命が短い事が多いが、ヨシムラ品質なので割れるような事にはならないだろう。
EWCのレース戦績がそれを証明している。

外からは全く見えないが、パンチングパイプにまでチタンを採用している
もちろんステンレス製よりも軽量だ
ヨシムラの最高級品(フラッグシップ)
スズキのフラッグシップであるHayabuiusa用フルエキゾーストにふさわしく、ヨシムラも最高級マフラーを用意したという事になる。
同じ最高級でも手曲げとは違う路線で、性能を追い求めた結果の終着点がこのHayabusa用フルエキゾースト。
溶接が美しいのはいつもの事だが、2本出しの恩恵で目立たない位置に配置されている小型触媒(キャタライザー)が2個装着されているのもポイントだろう。
触媒面積が2倍になるので、排ガス浄化性能のために排気効率を落とさないで済む。
サイレンサー容量も2倍になるので消音にも有利だ。
カーボン製のヒートガードはスリップオンと同じ物のようだが、注目すべきはその固定方法。
よくあるヒートガードは表から固定用のネジが見えるが、このHayabusa用ではカーボンしか見えない構造になっている。
細かい事ではあるが、最高級品らしい品質のために敢えて手間の掛かる方法を採用している。

サイドスタンドの奥に見える、1段太くなった部分に触媒を内臓している(2本出しなので触媒も2個)
カーボンヒートガード表面に固定用のネジが見えないのも最高級らしい仕上げ

通常の視点からはカーボンヒートガードの装着方法がわからないくらい自然
触媒も形状がスマートなので非常にスタイリッシュだ

迫力のバックショット
純正サイレンサーよりも「Hayabusaらしい」のでは・・・
スリップオンは5/10に受注開始済み
ほぼ同じ形状のサイレンサーを採用したスリップオンは既に発売済み。
スリップオンの希望販売価格は¥277200~(税込)となっている。
画像のサイレンサーは「STB(チタンブルーカバー)」で希望販売価格¥305800(税込)の物だ。
上で記したようにフルエキゾーストで使用されるサイレンサーと基本形状は同一ながら、サイレンサーエンドにメッシュが入っていない事や、サイレンサーカバーがステンレスのポリッシュ仕上げとなっていることなどが違う。
このため、同一形状のサイレンサーにも関わらず車両装着時のアピアランスにはかなり明確な差がある。
フルエキゾーストには「迫力」や「凄み」とも言える独特の雰囲気がある。
しかしフルエキゾーストではスリップオンを上回る価格となるのは確実なので、オーナーは悩めるところだ。

誰でも気が付くのはサイレンサーエンドの「メッシュの有無」で、スリップオンサイレンサーでは装着されていない
サイレンサーの直前にあるマフラーカバーがスリップオンではステンレス製となる、表面もポリッシュ仕上げとなっている
車両と同様に最高級のフラッグシップを求めるHayabusaオーナーならフルエキゾースト一択だ
予想される仕様
現時点で判明しているのは以下のとおり
■政府認証マフラー
■排出ガス規制適合品 騒音規制適合品
■適合車種:HAYABUSA(21-23)
■適合車両型式:8BL-EJ11A
■適合エンジン型式:DXA1
■材質:フルチタン
■発売開始時期:2023年夏ごろ → 2023年7月14日 発売開始
近接排気騒音、加速走行騒音、重量などは不明だが、政府認証マフラーなので音量は当然規制値範囲内、重量は2本出しという不利な条件にも関わらずフルチタン仕様の恩恵を受けて驚異的な軽量さに仕上がってくるはずだ。
過去のヨシムラ製品に共通するヨシムラならではの「高品質」、軽微な転倒で大きく破損しない「ある程度の頑丈さ」、容易に劣化しない「耐久性」なども併せ持っている事は確実。
最高の素材で作られ、最高の性能を持ち、末永く使える究極のマフラーとして、ヨシムラの歴史に名を残す逸品になる事は間違いなさそうだ。
予想される製品名は「チタン機械曲 R-11Sq R サイクロン 2本出し EXPORT SPEC 政府認証」となる。

アンダーカウルの下から艶めかしく見えるチタンエキパイはフルエキゾーストオーナーの特権
実際に使用開始すると焼き色が付くはずなので、画像で見るよりもっと目立つ事になるだろう
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