
二輪車は排気量に関わらず普通乗用車に比べサイズが小さく軽いのが特徴。
駐車スペースだって半分以下ですむ場合が多いかと思います。
しかし、エンジンの動力を利用すると前進しかできない点が問題です。
バイクのとりまわし。大変だし、倒しそうで怖い
後進する際はエンジンの力に頼れませんので、人力で動かさなければいけません。原付クラスならばまだしも、大型車だと大変ですし、ベテランライダーでも少しでも気を抜くと、倒さないまでもヒヤリとする場面もあるかと。
もちろんバックギアがついている車種もあります。例えば重量級で高価なBMWやハーレーなどの一部の車種には搭載されていますが、ほとんどのバイクには装備されていません。
ガレージに格納したバイクを、出発のしやすさやメンテナンスのしたい箇所に応じて向きを変えたい場面はよくあるシーンです。ガレージにたたずむ愛車の見栄えなどで、バイクの向きを室内で変えたい時もあるかもしれません。
しかし、その向きを変えるのは、ひと仕事。
例えば前後の向きを逆に変えるのはかなり大変です。ガレージの広さが充分にあったとしても、数回の切り返しを余儀なくされます。
サイドスタンドを支点にリアホイールを浮かせるターンや倒れないように後輪を手で引っ張って位置をずらすことも経験と車種の重量によっては可能ですが、万が一倒れることを考えると万人にお勧めできる方法ではありません。
願わくば鉄道の設備や立体駐車場にあるようなターンテーブルがあれば理想ですが、一般ユーザーには無理なお話です。

ドーリーと呼ばれるアイテムもあります。しかしそのほとんどはリアホイールを梃子の原理で浮かせ横方向へ動かすもの。コツとスペースが必要で、これも慣れていないとバイクを倒す可能性も否定できません。

ガレージを所有するといつの間にかバイクが溢れてしまう一例です。整備スペースを確保するのにも難儀します。出しやすいように重量車であってもガレージ入口からはバックで中へ仕舞います。
リスクを最小限に、極小スペースで自由自在にするスタンド
今回紹介するのは、転倒リスクを抑え、極小スペースでもバイクの向きを自由自在に動かせるスタンドです。
リフトアップさえしてしまえば、前後左右、360度の方向へ自由自在に移動させることが可能となります。
オーストラリア発の製品でその名は「Dynamoto(ダイナモト)」です。

注目したいのがスタンドに装備されている変わった車輪です。中心を軸に円方向に回るのは当然ですが、その外周に装着されているテーパーがかった円柱のシャフトが横方向に回ることで、前後左右にスタンドを動かすことができます。

車輪のアップ
重量車で体験テスト
今回はBMWの中では軽い車種である2022年型のR1250Rで体験テストをしてみます。とはいえ乾燥重量は246kgもある重量車です。
リアは特殊な片持ちのスイングアームですが、Dynamoto(ダイナモト)からはアクスルシャフトの内径や車種の形状に合わせて専用品が出ています。
BMW系以外でもDUCATIやMV AGUSTA、Honda CB1000R用などがあります(詳しくは適合車種をチェック)。
片持ちスイングアームではない車種用もラインナップされています。

小径の貫通アクスルシャフト用

スイングアームにメンテナンスフックを装着した車両用
リフトアップの順番はリアが先で、続いてフロントです。まずステンレスのハンドルをリアスタンドの後部に装着します。

ハンドルとの接続はベータピンなので工具などは不要
次にスイングアーム後端中心の大きく開いた穴(センターホール)へスピンドルを挿入します。硬い樹脂製なので車体を傷つけることはありません。
ホイールの幅に対し、短く保持力が弱そうに感じますが、外れることはないのでご安心を。

片持ち用の差し込み部分のアップ

重量級のBMWにスタンドをセットしたところ

延長したハンドルを力点とし、リフトアップします。ハンドルが長いので重さをそこまで感じずに上げられますが、リフトアップ時のみ後側にハンドル分のスペース確保が必要です。

ハンドルはリフトの横側に写真のように固定できます。ガレージの中で邪魔になったり紛失することはありません。
この状態でもリアを左右に振ることができ、ガレージ内での動きに自由度が出ました。
スタンドも前後セットだけではなく、リア単体での購入も可能なので予算や自分の使い方に応じて選択できるのが嬉しい設定です。
次にフロントホイール。こちらはリフトアップというより、スタンドに載せるイメージです。

タイヤの下にスタンドの端を噛ませて押し下げると、自動的にタイヤが持ち上がり下へスタンドが滑り込みます。

タイヤは床から少し浮いている程度。リアと違ってバイクのホイールを回転をさせられません。

これで前後のホイールがDynamotoスタンドの上に乗ったので、前後左右思いのままに押したり引いたりと自由に移動することができます。

246kgもあるバイクの重量を感じさせないほど簡単に横移動や回転が可能です。

軽々とまではいきませんが、非力な方や女性でも問題なく移動させることが可能です。

前後にスペースもない位置で、さらに壁ぎりぎりにバイクを移動してみます。

移動完了!
Dynamotoなしの場合、この位置にバイクを移動するのは至難の業。
この位置で前後逆の場合は、バイクの左側に人が立てないので壁際に寄せようとすると難易度はさらに高くなります。
しかし、このスタンドでリフトアップさえすれば楽に移動ができ、壁ぎりぎりまで寄せることができます。
ガレージ内のスペースを無駄なく使うことができますので、ガレージ内が狭い方、荷物が多い方、多数のバイクを所持している方には重宝する製品です。
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