現在「タイムが買えるタイヤ」としてサーキットでレースを楽しむユーザーから絶大な支持を得ているのがピレリ スーパーコルサV3、通称「スパコル」です。
名前のとおり初代から3世代目になるタイヤですが、時代ごとに常にハイグリップタイヤの最先端を走り続けてきました。

そんなスパコルの第四世代が東京モーターサイクルショーで初披露され、予想通り『DIABLO™ SUPERCORSA V4(ディアブロ スーパーコルサV4)』の名称が正式発表されました。
DIABLO™ SUPERCORSA V4は「SP」も「SC」も2023年夏登場とアナウンスされています。

今回はショー会場でのアンベールの様子と、少し複雑なラインナップについて紹介します。

東京MCショーで初公開されたDIABLO™ SUPERCORSA V4

「DIABLO™ SUPERCORSA V4」という同じ名称ながら、2種類の構造と4種類のコンパウンド(トレッドゴムの材質)に分かれているのがこのタイヤのややこしい部分ですが、今回の東京モーターサイクルショー会場で華々しく公開されたのは「SC」というレース向けの構造を持つタイヤ。

「SC」とは別に「SP」という、タイヤ内部の構造が異なる公道向けタイヤも存在し、SCと同一のトレッドパターンながらタイヤ内部の構造やコンパンドを変更する事で公道で使えるように調整されています。
この「SP」も正式にリリースされました。

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

会場ではベールが掛けられたタイヤのアンベールが執り行われた
これはアンベール3秒前のカウントダウンの様子

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

拍手と共に公開された瞬間!
パネルの展示とは違う本物の登場にどよめき立つピレリブース

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

サーキットユースが前提なのでタイヤウォーマーを装備した状態でも展示
ウォーマーが外されている状態のタイヤは今までのスパコルV3の流れを汲むデザインだが・・・

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

これがリヤトレッドパターン
イナズマ状の溝はついに連続した溝ではなくなった

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

こちらはフロントのトレッドパターン
リヤ用と同様、溝は連続しておらず、屈曲部分で途切れているのが前作のV3と一番異なるポイント

DIABLO™ SUPERCORSA V4 SP

第四世代に移行したDIABLO™ SUPERCORSA V4の『公道用』が『SP』と呼ばれるタイヤです。
ピレリの公道用ハイグリップタイヤとして最もサーキットでの性能を重視したモデルで、公道を自走してサーキットまで行って最大限のパフォーマンスを楽しみたいというユーザーにとって待望のモデルです。

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

ピレリのハイパースポーツタイヤ(公道走行を十分考慮されているハイグリップタイヤ)は主に3種類で、「ディアブロロッソ4(通称ロッソ)」「ディアブロロッソ4コルサ(通称ロッコル)」そして今回リリースされた「ディブロスーパーコルサV4 SP(通称スパコル)」の順にサーキット走行時のパフォーマンス比重が上がる
今回発表された「ディブロスーパーコルサV4 SP」をもって全て第四世代への移行が完了した

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

旧型にあたる「ディブロスーパーコルサV3 SP」との比較チャートを見ると、全ての性能が向上しているのがわかる
特に大きく向上しているのが「GRIP」、スーパーコルサを公道で使いたいユーザーにとって最も欲しい性能のはずだ

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

トレッドパターンは「FLASHグルーヴ」と呼ばれるイナズマ状の溝の形状が進化、左から順に「旧型にあたるスパコルV3 SP」「ロッコル4」「今回のスパコルV4 SP」
途中で溝が途切れているのは溝の変形を抑えてトレッド剛性を整え、どんなバンク角でも均一な推進力を実現するためとのこと。バンクさせて行くと「途中でだけ少しグニュっとした感じがする」これを防止しているのだろう

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

コンパウンド構成の違いが良くわかる図(左から順に旧スーパーコルサV3、ロッソとロッソコルサ、今回のスーパーコルサV4)
旧型スパコルV3が単一のソフトコンパウンドだったのに対して、新型スパコルV4はセンターがソフトで両サイドはサーキット専用タイヤであるDIABLO™ SUPERCORSA V4 SCの最も温度依存が少ないコンパウンドと同じ物を採用しているデュアルコンパウンド仕様になった

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

注目すべきはロッソ系が同じデュアルコンパンドでも表面から最後まで同じコンパウンドなのに対して、今回のDIABLO™ SUPERCORSA V4 SPはセンターのソフトコンパウンドがサイドの下部まで回り込んでいること
これにより熱安定性を向上させているとの事だ

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

リヤはサイドのレーシングコンパウンドの面積が増加している、そして、フロントと同様にサイドコンパウンドの下にベースコンパウンドを採用
アダプティブベースコンパウンドと呼ばれるコンパウンドはフロントのようにセンター部と共用するのではなく、ベース専用のコンパウンドを採用している。これはロッソ4コルサで採用されて実績のある技術だ

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

アダプティブベースコンパウンドはフルカーボンブラックの構成、熱安定性向上効果と接地感向上効果があるとの事だ

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

フロントの120/70 R17は特殊なビード形状が採用され、公道用の空気圧とサーキット用の低圧の両方で最大の性能を発揮するようになっている
サーキットでの推奨空気圧はフロント2.3bar、リア2.1barだ
タイヤプロファイル(断面形状)はピレリのスリックタイヤ「DIABLO™ SUPERBIKE」やロッソ4、ロッソ4コルサと共通

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

DIABLO™ SUPERCORSA V4 SPのタイヤ構造
ラジアル方向の繊維コードを変更し、従来のDIABLO™ SUPERCORSA V3 SPより幅広い物にする事で剛性とダンピング性能を向上させている

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

タイヤサイドには赤いベースで「SP」のレタリングが入る
トレッドサイドのスリックエリアには「SUPERCORSA」のデコレーション入りだ

フロント発売予定サイズ(2023年夏ごろの発売を予定)

前後 サイズ 生産予定時期
FRONT 110/70 ZR 17 M/C 54W TL 23年5月
FRONT 120/70 ZR 17 M/C (58W) TL 23年1月

リヤ発売予定サイズ(2023年夏ごろの発売を予定)

前後 サイズ 生産予定時期
REAR 140/70 ZR 17 M/C 66W TL 23年5月
REAR 150/60 ZR 17 M/C 66W TL 23年5月
REAR 180/55 ZR 17 M/C (73W) TL 23年1月
REAR 180/60 ZR 17 M/C (75W) TL 23年5月
REAR 190/50 ZR 17 M/C (73W) TL 23年5月
REAR 190/55 ZR 17 M/C (75W) TL 23年1月
REAR 200/55 ZR 17 M/C (78W) TL 23年1月
REAR 200/60 ZR 17 M/C (80W) TL 23年1月

DIABLO™ SUPERCORSA V4 SC

第四世代に移行したDIABLO™ SUPERCORSA V4の『サーキット走行用レーシングタイヤ』が『SC』と呼ばれるタイヤです。
溝はあるものの完全にレーシングタイヤとして設計されており、「SP」のようなデュアルコンパウンドは採用されないシングルコンパウンドとなっているほか、サーキットで推奨空気圧でのみ正しくグリップするように設計されており、タイヤウォーマーと一緒に使用するのが前提のタイヤです。

サーキットでの性能「だけ」を追求したモデルなので公道走行は考慮されていません。
サーキットまでバイクをトランスポーターに積載して持ち込みレースで勝つ!というユーザーにとって、定番だったDIABLO™ SUPERCORSA V3 SCの後継として非常に期待の高いモデルです。

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

サーキットで最大の性能を発揮するべく、3種類のコンパウンドが設定されている
「SC1」は滑らかで高温な路面用でグリップ及び接地感重視、「SC2」は低温や荒れた路面用で摩耗に強いという従来と同じものだが、「SC3」は耐久性を要求されるロングラップ用で温度依存性が低く、タイヤウォーマーなしでもグリップするという日本では初登場のコンパウンドとなる

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

各コンパウンドの特性図
左がフロント用で、縦軸が路面温度(とグリップ感)、横軸が耐久性
右がリヤ用で、縦軸が路面温度(と路面状態)、横軸が耐久性を表している
DIABLO™ SUPERCORSA V4 SPのサイドに採用されているSC3コンパウンドは温度依存性が低いので幅広い路面温度で使用でき、耐久性も高い事がわかる

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

新旧比較のチャート図
「SC」で最も進化しているのは『最高性能』という部分だ

『最高性能』とは何か?
レーシングタイヤなので最重要なのはラップタイムの向上です。
DIABLO™ SUPERCORSA V4 SCは旧型のV3-SCと比較して2分でラップするコースでは1.5秒(!)の短縮を果たしているとの事です。
これは約1分で周回する筑波サーキットに換算すると0.7秒の短縮を意味しており、とてつもない性能向上を意味しています。

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

レーシングタイヤなので推奨空気圧とタイヤウォーマーのガイドに細かい条件が設定されています
逆に言えばこの条件に合うように使用しない限り最高性能は発揮しません

フロント発売予定サイズ(2023年夏ごろの発売を予定)

前後 サイズ コンパウンド 生産予定時期
FRONT 110/70 R 17 M/C 54V TL SC1 23年4月
FRONT 110/70 R 17 M/C 54V TL SC3 23年5月
FRONT 120/70 R 17 M/C 58V TL SC1 23年1月
FRONT 120/70 R 17 M/C 58V TL SC2 23年1月
FRONT 120/70 R 17 M/C 58V TL SC3 23年1月

リヤ発売予定サイズ(2023年夏ごろの発売を予定)

前後 サイズ コンパウンド 生産予定時期
REAR 120/70R17M/CTL 58V TL SC1 23年6月
REAR 140/70 R 17 M/C 66V TL SC1 23年4月
REAR 140/70 R 17 M/C 66V TL SC3 23年5月
REAR 150/60 R 17 M/C 66V TL SC3 23年4月
REAR 180/60 R 17 M/C 75V TL SC1 23年1月
REAR 180/60 R 17 M/C 75V TL SC2 23年1月
REAR 180/60 R 17 M/C 75V TL SC3 23年1月
REAR 190/55 R 17 M/C 75V TL SC2 23年2月
REAR 200/55 R 17 M/C 78V TL SC1 23年1月
REAR 200/55 R 17 M/C 78V TL SC2 23年1月
REAR 200/55 R 17 M/C 78V TL SC3 23年1月
REAR 200/60 R 17 M/C 80V TL SC1 23年1月
REAR 200/60 R 17 M/C 80V TL SC3 23年1月

DIABLO™ SUPERCORSA V4 画像

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

フロントタイヤの表情
FLASHグルーヴ=溝が途中で途切れているのが確認できる

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

リヤのFLASHグルーヴも途切れている
サーキットではセンター付近がほとんど減らないので、かなり長時間に渡ってセンターにあるDIABLO™ロゴが見えるはずだ

ピレリのスパコルがモデルチェンジ!DIABLO™ SUPERCORSA V4登場!

生まれも育ちもサーキット、ぜひ走行会やレースで実力を体感してみて欲しい

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