
3月17日、大阪モーターサイクルショーでアライヘルメットが新作のTOUR-CROSS V(ツアークロス ブイ)を初公開した。前作のTOUR-CROSS 3を11年ぶりにフルモデルチェンジし、安全性や快適性、メンテナンス性が大幅に進化。現行ツアークロス3オーナーが細部をチェックした。
前面形状の変更でバイザーを外してもサマになる
ツアークロスは、オンロードとモトクロスヘルメットの中間に位置するデュアルパーパス用ヘルメットで、近年ツーリングバイクとして主流になったアドベンチャーツアラーでの使用に適したコンセプトが特徴。現行モデルの3から実に11年ぶりの刷新となる。
現行のツアークロス3は海外ではTOUR-X 4(ツアークロス4)として発売されており、新作はネーミングをグローバルで統合しツアークロスVとしている。ギリシャ数字の5にあたるVとしつつ、ブイと読むことで整合性を整えたネーミングなのだ。
ツアークロスVは帽体から全て完全新作で、ツアークロス3の前面が尖った形状からシールドの曲面を抑えた形状としているのが大きな特徴となる。副産物としてバイザーを外した際の外観がオンロードヘルメットに近くなり、多用途性も進化している。
また、開口部上部を下げることで帽体頭部の面積が拡大し安全性が向上。側面は下部の形状に平坦な面を用意することでインカムの設置しやすさにも配慮されている。発売時期は7月頃を予定しており、価格は単色が6万9300円、グラフィックが7万9200円だ。

TOUR-CROSS V [Arai] 従来のツアークロス3に代わる新作で3からV(ブイ)に進化した。カラーは全8種類用意され、2023年はツアークロス3と併売となる模様だ。

後方には「TXV」のロゴを配置、上と下に排気口を用意し近年流行のスポイラーを装着。帽体はアライらしいラウンドシェイプで、JISだけでなくスネル規格もクリアしている。

バイザーを外すとベースがデュアルパーパスヘルメットとは思えない外観になる。オンロードも乗るツアークロス3オーナーの筆者としてはうらやましいポイント。

側面にはインカムの装着に配慮した平らな面を用意した(左上)。クラスツアー3には凹凸があった(右上)。写真はB+COM SB6Xを装着した例だが、ベースを帽体に貼り付けている。

VAS-Aシールドシステムを採用することで、シールドシステムの位置を下げることができており、帽体頭部の面積が拡大。それでいて帽体単体では軽量化を達成しているという。
ツアークロスVは機能面も大幅な進化を果たした
オンロードのツーリングや林道走行、さらにはオフロード走行まで様々な用途に対応するツアークロスは全方位の進化が必要となるが、11年ぶりの新作はその期待通りだった。まず、バイザーまわりでは、着脱のしやすさや空力性能がツアークロス3に比べて優れている。
着脱においては、ツアークロス3は左右各2本のネジを外す必要があったが、ツアークロスVはボタンひとつで簡単に外すことができるようになった。オフロード走行でシールドを外してゴーグルをつけて走行する際は、作業時間が大幅に短縮するはずだ。
また、バイザーは帽体側の開口部を大きくすることで空気が抜けやすくなっている。ツアークロス3では、高速走行する際にバイザーで煽られる事があるが、これを改善することが狙いだ。高性能化が進むアドベンチャーツアラーオーナーには嬉しい進化だろう。
ベンチレーションは、チンガードの開口部が20%拡大。また、アストロ-GXが採用したフロントロゴダクトを採用することで頭部もエアー吸気量が増加している。さらに、曲面が抑えられたシールドに改良されたことで、全開口部をカバーするマックスビジョンピンロックシートが装着できるようになった。

左がツアークロスV、右がツアークロス3のバイザー。下からの空気を抜けやすくすることで高速走行が楽になるはず。ツアークロス3オーナーにはうらやましいポイントだ。

こちらは2022年に発売されたアストロ-GXのフロントロゴダクトの透視図。これと同様のものをツアークロスVも採用している。アストロ-GXでは40%も吸気量が増加した。

RX-7XのVAS-Vに近いとされるVAS-Aシールドシステムで、赤丸のボタンを押すだけでワンタッチでバイザーを外すことができる。これで簡単にシールドも外せるのだ。

オフロード走行ではハードな運動量から呼吸量が増えるのでシールドでは息苦しい、曇るなどの要因でゴーグルを装着して走行する。ツアークロスVはより対応しやすくなっている。

大阪モーターサイクルショーには全カラーバリエーションに加え参考出品カラーも多数展示。試着も可能なので、気になるライダーは手に取って確かめて欲しい。

ツアークロス3をレースでも使用する筆者。公道ではオンロードバイクに乗るが、筆者の範囲では全ての走行がツアークロス3で賄えるところが気に入っている。ツアークロスVはもっと使えそうだ。
TOUR-CROSS V製品概要
●規格:スネル、JIS
●内装:ハイフィッティング・アジャスタブル・FCS内装(抗菌・消臭・防汚内装)、エマージェンシータブ
●ピンロック:マックスピジョン(別売)
●ソリッドカラー:グラスホワイト、アルミナシルバー、グラスブラック、フラットブラック、イーグルグレー
●グラフィックモデル:ブルー、レッド、ホワイト(TOUR CROSS DISCOVERRY)
●価格:6万9300円(単色)/7万9200円(グラフィック)
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15年くらい続いたTX3もようやく新型に感無量。実際被り心地はとてもいいし続いた理由もよくわかる。TX5は帽対形状がずいぶん変わりましたね進化に期待。プロシェードぜひ作ってほしい。