ツーリングなどで長時間に渡ってシフトチェンジを繰り返していると、シフト操作している左足の親指の甲側(上側)が痛くて困る事がありませんか?
最近のバイクではオートシフター機能によってクラッチを使わずシフトアップが可能になりましたが、シフトでペダルを掻き上げる動作は同じなので痛くなるのは以前と同じ。
これは小柄な女性だから……とか、運転に不慣れだから……という話ではなくベテランでも同じです。
操作が上手いベテランほど痛くなりにくいのは事実ですが、最終的には痛くなります。
気合いと根性で乗り続けていると皮膚の皮が分厚くなるので痛くならなくなるヨ!みたいな野蛮な方法ではなく、もっとスマートに解決する製品を紹介します。
目次
痛くなるに決まってる
御存知のとおり、バイクのシフトチェンジは足でペダルを上下に動かして操作します。
そして、この時のペダルの重さ(固さ)はシフトアップ時もシフトダウン時も同じです。
バイクの変速機(ミッション)の構造上これは仕方ありません。
ペダルを中間位置に保持しているスプリング(かなり固い)に逆らう事でペダルを動かしてギヤチェンジを行いますが、このスプリングの強さはアップでもダウンでも同じだからです。
そうしないとペダルが正しく中間位置で保持できないので仕方ないのです。
シフトダウン時は固くて厚い靴底で踏むので全く痛くありませんが、シフトアップ時は同じ強さのペダルを柔らかい靴の表皮で押し上げる事になります。
シフトアップの時だけ足にペダルがメリ込む事になるので、痛くなるのは当たり前です。
ライディングシューズなどでは対策済み
普通の靴と違ってバイクの運転に特化したライディングシューズやライディングブーツでは左足親指の甲側に、ほぼ100%の確率でパッドを設けてあります。
理由は「痛くならないため」です。
歩きやすさを優先している普通の靴と決定的に違う部分で、バイクの運転に特化した靴ならではの装備です。
そんな装備が当たり前という事は、何も対策していないと痛くなるのが当たり前という事の裏返しでもあります。
パッドがあるとなぜ痛くないのか?
パッドがあるから痛くないのは誰でも知っていますが、パッドがあると痛くならない理由は何でしょう?
答えはペダルとの接触面積が増えるからです。
シフトペダルの重さ(固さ)が同じなら、操作で触れる面積が2倍になれば足にメリ込む量は半分になる……、この原理を利用します。
靴に固いパッドを仕込むと足の指に掛かる圧力が分散するので痛くならないのです。
ライディングブーツの弱点
ライディングブーツを履けばシフトチェンジを繰り返しても足の指が痛くなりにくいのは解りましたが、ライディングブーツには重大な弱点があります。
それは歩きにくいこと。
ライディングしやすい事だけを考えてあり、歩行する事はほぼ無視されています。
レース志向が強まるほど歩きにくくなり、最新のレーシングブーツを履いたまま観光地を歩き回ると足そのものが痛くなってしまうほど。
ライディング「シューズ」は歩きやすさも考慮されているので大丈夫ですが、価格が高い、好みのデザインを探し出すのが大変、という問題は残ります。
普通の靴で乗りたい
気分によって様々な靴でお出掛けしたいでしょうし、目的地に合わせて靴だって変えたいのが本音のはずです。
ちょっとした林道を散策したいならブーツ系でしょうし、オシャレな場所に行くならそれなりにオシャレな靴で行きたいものです。
しかし、普通の靴には親指上面にパッドは入っていないので痛くなってしまう……。
そこで、後から靴に装着するパッドも販売されています。
靴紐に通して固定する物が一番確実ですが、何しろ靴紐で固定されているので外すのは容易ではありません。
パッドが付いたままではせっかくオシャレな靴を履いても台無し……。
それを嫌って簡単に着脱できるベルト式のパッドもあります。
しかし簡単に着脱できるという事はズレやすいという事でもあり、足の指に伝わる操作感は悪くなりがちです。
ペダル側で接触面積拡大!
靴側で上手く行かないならペダル側で接触面積を増やせば良い!という逆転の発想で生まれたのが(?)今回紹介したい製品です。
その名も『痛くないシフトペダルゴム』!
ストレートすぎる商品名ですが、正式名称がコレなので仕方ありません。
かなり特異な形状をしていますが、通常だと円柱形をしている事が多いシフトペダルのゴムを交換する事でシフトアップ時のみ接触面積を大幅に増やしてしまうのが狙いの商品です。
細かい工夫がいっぱい
製品は変な形のゴムそのものですが、使い勝手を良くするために様々な工夫が施されています。
幅広くなった部分が靴に引っ掛からないように角を落としてあったり、回転してしまわないように結束バンドで固定できる穴が開いています(結束バンドも1本付属しています)。
そして、白い靴でもゴムで擦れて黒くならないように、靴との滑りを良くするフッ素樹脂シートまで付属してきます(しかも2枚入り)。
ゴムも簡単に変形しないように固めとなっているなど、専用品ならではの芸の細かさが光ります。
使ってみると……
私(門脇)は街乗りのシフトチェンジでほぼクラッチを使わないクセがあり、特にシフトアップ時は全くクラッチレバーを操作しません。
愛車にオートシフターは装備されていませんが、2stで育った事もあって昔からノークラッチシフト。
スポーツ走行時ではシフトダウン時のみ一瞬クラッチを切りますが、シフトアップでは一切クラッチ操作無しです。
ノークラッチで変速するコツはシフトペダルにあらかじめ足を軽く押し当てておく事なので、足の親指が痛くなりがちなはずです。
とは言え今まで今まで足が痛くて困ったと思う事はありませんでした、が……装着してみてビックリ!ものすごくシフトしやすい!
恐らく接触面積が広がる事で今まで感じ取れなかった微妙な感触が伝わって来るようになったのでしょう、とてもシフトペダルの感触が良くなったように感じます。
大げさに言うとシフトフォークがギヤをスライドさせている摺動抵抗すら感じ取れるような……。
それまで気にしていなかった足の指の痛さも、装着して初めて「今まで痛かったんだな」と判りました。
めちゃくちゃ効果的!
でも正直に言うと回転防止用の結束バンドは使っていません。
私(門脇)の使い方では意に反してゴムが回転してしまう事が無いのと、シフト時にある程度動いた方がベストポジションに落ち着くように感じたからです。
また、黒いワークブーツを愛用していてゴムで黒くなる心配が無いのでフッ素樹脂シートも使用していません。
もしかしたら操作性が良くなる(シフト操作後に足が抜きやすくなる)かと思って試しにフッ素樹脂シートを貼ってみた事もありますが、感触は何も変わらなかったので貼っていません。
逆に言えばフッ素樹脂シートを貼っても感触が悪くなったりしないという事なので、白い靴を履いている方にはありがたいシートのはずです。
弱点
10年ほど前から外車を中心に単なる円柱形のシフトペダルでは無くなって来ており、初めからこのゴムのような形状のペダルが採用されていたりします。
下の画像はDUCATIムルティストラーダの純正シフトペダルですが、見事に板状ですよね?
それよりも更に使いやすい形状を実現しているタツマ製の痛くないシフトペダルゴムですが、最大の弱点が価格。
税込定価¥880はかなり勇気の要る価格と言わざるを得ません。
変な形のゴム、しかも多くの場合限界まで摩耗しない限り交換される事すら無いシフトレバーの先端ゴム……。
交換しなくてもシフトチェンジはできるので、感触を良くするためだけに購入するを躊躇してしまうのは仕方ありません。
でも、足が痛くて困っている方や、毎回クラッチを完全に切ってシフトチェンジしている方はぜひお試しください。
なお、弱点はもう1つあり、交換の為に純正ゴムを外すのが大変な事です(製品を嵌めるのは押し込むだけなので比較的簡単です)。
そこだけは気合いと根性を要求されます。
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