自分で愛車のメンテナンスを行っていると「良いと言われている工具はやはり良いな!」という機会にチョイチョイ出会います。

そして良い工具に興味が出て来て調べていると「ヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)だったらPBスイスツール!」という意見をあちこちで目撃する事になります。
そのどれもが製品を絶賛しているので、PB製の六角棒レンチが良い物なのは間違いないようです。

ですが……ホームセンターで売っているような激安6角棒レンチセットなどと比べて少なくとも数倍、下手をすると10倍以上する高価格に購入を躊躇してしまいますよね?
良い物なんだろうけど、いったい何が良いのか?その価格を出す価値はあるのか?
とても気になるはず!

プロは工具の見栄えなんか気にしない

素晴らしい仕事をする整備のプロで「工具の見た目」を重視している人には出会った事がありません。
これは「汚くても良い」とか「美しいメッキでないとダメ」とかいう話ではなく、『確実に目的を達成する為に素晴らしい性能を発揮してくれるなら工具の表面仕上げがメッキだろうが鉄の字肌丸出しだろうが構わない』という意味です。
(もちろん工具の見た目に関わらず全て大切に扱います)

工具箱の中身がピカピカのメッキツールで統一されている事はまず無く、用途に合わせてメッキの工具や梨地の工具が混在しているのが普通です。
工具箱を開けた時の見た目を統一するために(見栄えを重視するために)どこかの有名ブランドのツールでビシッと統一されている……なんて事は滅多にありません。

このように『目的ごとに性能を追求』して『目的ごとに一番良いと思うブランドの工具』を購入しているのですが、六角穴付ボルト(キャップスクリュー)用のレンチとしてL型六角棒レンチ(アーレンキーやヘキサゴンレンチなどとも呼ばれるます)はPB製を選択しているプロメカニックは非常に多いです。

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

ツールキャビネット内のキャップスクリュー用工具が収まっている一角がPB製だらけになっているのはよく見る光景です

PB製品がピカピカでない理由

PB製のレンチ表面は独特な半光沢の梨地仕上げになっています。
高級感があって人気のピカピカメッキ仕上げではありません。
L型六角棒レンチの表面がピカピカメッキの工具ブランドは少ないですが、PBはL型六角棒レンチ以外も製品全般が半光沢梨地仕上げなので徹底しています。

これは「油の付いた手で作業した時に滑りにくくするため」と言われています。

たしかに表面がピカピカの工具よりは滑りにくいのでしょう。
しかし「全然滑らないのか」と言われればそんな事はありません、オイルの付着した手で扱えば普通に滑ります。

表面処理の違いによる違いは本当にごく僅かなのでしょう、しかしその僅かにこだわるのがプロ。
そんな僅かな差は我々シロウトには解らない……と思わせておいて、実は我々一般ユーザーでもけっこう簡単に解ります。
実際に滑る・滑らないではなく、「なんだか滑りそう」と思う機会が減るのです。

手に取ればすぐに解るような物ではないので非常に気付きにくいですが、1年も使っていれば実感できると思います。

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

表面がピカピカでないのでオイルで滑りにくい。普段は実感しにくいですが、長期間使っていると実感可能です

派手な色付き六角棒レンチは便利なのか?

今でこそ各社から似たような色付き六角棒レンチが発売されていますが、世界で最初に色付きの六角棒レンチを発売したのはPBでした。
なぜ各社がこれに追従したかと言うと、単純に『便利だから』です。

別に「6mmは赤色……」などと覚えておく必要は無く、5.5mmと6.0mmなどのサイズの似たレンチを高頻度で持ち替えて作業する時にものすごく便利です。
「いま使っている細い方が青、太い方が赤」と覚えておくだけで済むので、ネジにレンチを当てたら違った!という作業中のイライラからかなり開放されます。

あと、PB製の物は色がハゲにくいです。(ココ、けっこう重要)

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

使ってみるとすぐに便利さがわかります

プロも愛用する最強の六角棒レンチがPBである理由(その1)

各社から発売されているL字型六角棒レンチですが、どのメーカーもだいたい同じサイズ感だと思いませんか?
これには理由があって、六角棒レンチはJISで規格があり、差し込む部分のサイズごとに「短い方の長さ」と「長い方の長さ」が決まっているのです。
規格なので各社でサイズが同じなのは当然ですね。

ところが、PBの六角棒レンチはこのJIS規格のサイズになっていません
恐らくPBの考える『六角棒レンチとはこうあるべき』という考えに基づいて独自のサイズに変更されているのでしょう。

具体的には、L字のうちの長い方はより長く、短い方はより短くなっている傾向にあります。
理由は明記されていませんが、長い方は早回し専用、短い方は本締め専用と捉えているのではないでしょうか。

L字の短い側がより短いのは、本締めする際にレンチが傾いてしまう事を嫌っているのと、ネジに対して出来るだけ真横に近い位置から力を掛けたいからではないかと推測できます。
また、長い側を使う際に短い側が短い方が早回ししやすいという事もあるでしょう。
もしかしたら長い側で本締めさせない狙いもあるかもしれません。

逆に長い側がより長いのは狭く奥まった場所でも到達できるようにする狙いと、短い方で本締めする際に力を掛けやすい事を狙ったと思われます。
サビついて固く締まったボルトを緩めたい時など、長い方が大きな力を掛けやすいですからね。

どちらも理に適っていますが、ちょっと問題もあります。
それは整備に慣れていない方が本締めしようとすると、握っている部分が長いためにオーバートルクになりがちな事。

恐らくJIS規格はこのあたりも考慮してあり、相当無茶をしない限りオーバートルクで締め付ける事が難しい仕様になっているのでしょう。
そこを無視して独自の長さに設定しているのがPB製六角棒レンチ。
使う人間側が手の感触でトルク管理出来る事が前提のプロ仕様というわけです。
PB以外の各社ロングタイプも同じ事ですが、単に長い側を長くしただけの他ブランドと違ってPBからは明確な意思を感じます。

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

短い側が更に短い例

プロも愛用する最強の六角棒レンチがPBである理由(その2)

固く締まったボルトを緩める際やボルトを本締めする際、工具はグニャグニャしない方が良いです。
極端な話、ネジを緩めようとしたらネジが緩む前にレンチが曲がっているようではダメに決まってます。

ですので、良いレンチは大きな力を掛けても曲がらない強度が絶対必要で、この強度の差はPBのような高級品とホームセンターの安い工具セットに付属していいる六角棒レンチとで大きな差になっています。
PB製はめちゃくちゃ頑丈!

では絶対曲がらないように硬ければ硬いほど良いのかと言うと……、理論上はそれが一番良いはずですが実際は違います。
非常に固い材質にすると曲がる前にいきなり折れるので危険だから……という事情もありますが、それよりももっと重要なのが工具の「しなり」です。

力を掛けて行った際、望む締め付けトルクに達する前に、工具がしなる事でトルク感を手に伝えてくる事……それが物凄く大事です。
でもそのまま工具が曲がってしまったり、ネジの頭の中で工具が変形してはいけません。

この絶妙なバランスはカタログスペックには表せない部分ですが、各社で特性(=感触)がかなり違います。

PBの感触はかなり「柔らかめ」
粘りのある素材を使う事で「しなり」のある使用感を出し、いまどのくらいのトルクがネジに掛かっているのか?が非常に把握しやすくなっています。
いまネジがどうなっているのか?が物凄く手に伝わって来るのです。

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

適度な「しなり」が秀逸

六角棒レンチのオススメ

PB製の六角棒レンチが素晴らしいのは解ったとしても、整備初心者がいきなり高価なPB製六角棒レンチセットを購入するのはツライでしょう。

そこで、私の考えるオススメを書いておきます。
整備経験値の上昇と共に工具もステップアップすれば、PB製六角棒レンチの素晴らしさが感じられるはずです。

【オススメ順】
1:KTC、六角棒ヘキサゴンレンチセット
日本を代表する工具ブランドであるKTCの『もっとも普通のL字型六角棒レンチセット』です。(安い!)
JIS規格そのもののサイズ、ボールポイントの無い普通の形状、メッキされていない単なる黒色、という非常に地味な製品ですが、そこは世界のKTC、さすがの品質はホームセンターの安物とは全く別物です。

最初にコレを買うと、整備作業の基本やコツが身に付きます
レンチをナナメにしない、長い側で本締めしない、奥までしっかり差し込む、手に伝わるトルク感などなど、余計な機能が何も無いので基本の学習に最適なのです。
レベルアップしてもずっと使い続けられるのもポイント。

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

KTC 六角棒ヘキサゴンレンチセット、基本を学ぶのに最適!工具の感触などはこの「普通のレンチ」を自在に使いこなせてこそ違いが理解できるようになります

2:PB、ボール付レインボーレンチセット
早速出てきたPB製、その中でも比較的スタンダードな物になります。
最初との違いは長い側にレンチを傾けたままでも回せるボールポイントが付いた事と、頑丈なメッキ仕上げになり、サイズごとに色が付いている事。
KTC製で使い方の基本を会得していれば、この工具の素晴らしさが体感できるはずです。

最初からコレを購入しても良いのですが、あまりにも良く出来ているので人間側の整備力向上効果が弱くなると思います。
基本を知らなければボールポイントも、色分けも、表面仕上げも、サイズ感も、柔らかいしなり感も、この製品が持つ本来の実力には気付けない気がします。

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

PB ボール付レインボーレンチセット、PBのスタンダード、足りない物は何もありません

3:PB、マルチアングル ボール付ロングレインボー六角レンチセット
L字型六角棒レンチの究極と言っても良いかもしれません。
欲しい機能は全部入りなので望む事はだいたいできますし、使いやすさは抜群です。

最初からコレにしておけば良さそうに見えますが、長い側が超長いので不慣れだとすぐにオーバートルクになる、本締め側が「マルチアンングル」という僅かに傾けられる仕様になっているので、ボルトに対してレンチを確実にセットできる方でないとナメやすいといった、整備慣れしている方でないと上手く使えないプロ仕様になっているので初心者向きではないと思います。

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

PB マルチアングル ボール付ロングレインボー六角レンチセット、究極機能の一つ「マルチアングル」はボルトに対して長軸が90°と100°のどちらになるようにも差し込めるのが最大の特徴

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

基本を体感できていないとコレの真価は理解できないし宝の持ち腐れになるので、いきなりこんな高価な物を買う必要はありません

その他のPB製品

今回は六角棒レンチの話でしたが、PB製品はドライバーも有名です。
樽型のプラスチックグリップを採用したドライバーの使いやすさが特に有名で、実際に使ってみると手に馴染む感触はさすが高級品と感じさせてくれます。

ですが、そのドライバーの中でも透明感のある赤色のグリップは臭い事でも有名でした。
工具箱に収納しておくと、開けた時に「うんの香りだー!」になってしまう弱点が……。

ただし、現在は材質が変わって匂いの問題は解消したとの事なので安心!
私の所有しているドライバーは旧型なので臭いですけどね!

個人的にはタイヤレバーもオススメです。
差し込む部分がペラペラに薄いのに抜群の強度があり、オフロードタイヤなどの固くて細いタイヤでは非常に使いやすいです。
自分で手組みする方は3本持っておくとタイヤ交換時の苦労が相当削減できますよ!

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

とても使いやすいPB製ドライバー、最近の物はもう臭くない(バニラの匂いがする)

PBのヘックスレンチ(L字型六角棒レンチ)はいったい何が良いのか?

画像からは全く良さが伝わらないタイヤレバー、先端の薄さと強度がスゴイ!

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コメント一覧
  1. ぽっぽや より:

    うん、この香りはしないのかー
    古い釣り用のルアーもおなじ香りがします。

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