
本格的な整備はバイク屋さんにお任せしているという方でも、洗車くらいは自分でもしているのではないでしょうか。(洗車は立派な整備の一つです)
そして洗車からもう一歩だけ踏み込むと、動きの渋い各部への注油を行うようになるはずです。
わりと手軽に出来そうなワイヤーへの注油も自分でやっている(やってみた)方は非常に多いでしょう。
お手頃価格で入手可能なワイヤーインジェクターを使って。
しかし、案外うまくいかないものだな?!と思っている方が大多数だと思います。
目次
ワイヤーインジェクターと言えば普通はコレ
クラッチの動きが渋い、スロットルが重い、スロットルがスパッと戻らない、このあたりがワイヤーへ注油してみようと決意するキッカケだと思います。
古めの車両ならスピードメーターの針が震えるなんてのもありますね。
スロットルワイヤーへの注油はちょっと難易度高そうなので躊躇しがちですが、クラッチワイヤーなら簡単そう!ということで最初にクラッチワイヤーへの注油を実行する場合が圧倒的に多いと思います。
使用するのはもちろんコレ。(↓)

大昔からある最も一般的な形状がコレ
様々なメーカーから1000円前後で発売されている、ワイヤーにスプレー式のオイルを注入するためのツールです。
メンテナンス初心者から超ベテランまで、アマチュアもプロのバイク屋さんも、このツールを持っていない方は見た事がありません。
それくらいメジャーなツールです。

締め付けダイヤルがダブル(2穴)で装備されている進化型もあります
使用方法
使い方も簡単。ツールでワイヤーを挟むように咥えた後にダイヤルを閉めて、端の穴からオイルをスプレーするだけ。
プシューと吹いて反対側から出てきたら終了。
ワイヤーを外す必要すら無く、ワイヤーの張りを緩めるだけで注油できるお手軽さと、一回購入したら一生使えるのではないかと思わせる耐久性で工具箱の片隅に必ず居るツールの一つです。

ワイヤーを咥えてスプレー式オイルを噴射するだけ
でも上手く使うのは実は至難
とても一般的で、古今東西、日本全国津々浦々で使われているこのワイヤーインジェクターですが、実は上手く使うにはコツが必要です。
ただし、コツを掴んでいなくて上手く使えなくても『ワイヤーへの注油』はできます。
誰でも簡単に注油できてしまうからこそここまで普及したのでしょうけれど……、上手く使えないとスプレー式オイルが飛散したり、思いっきり垂れたり、隙間から大部分が漏れたりします。
特に『ツールのゴムの隙間から漏れる』のは宿命みたいなもので、だからこそ締め付けダイヤルが2個ある物が登場したのでしょう。

縦に切れ込みのあるゴムを締め付ける構造なので隙間から漏れやすいのは宿命です、激しく失敗するとスプレーした潤滑油が全部外に噴き出す事すらあります
今までとは全然違う変な形の物が登場
そんな中、モーションプロから超ヘンテコな形状をした注油器が登場!
「ケーブルルーバー」という聞き慣れない商品名称が災いしてか知名度は激低く(一般的なワイヤーインジェクターで検索すると表示されない)、知ってる人はかなりのインターネット情報収集能力がある方でしょう。
今まで見た事も無い形状なので使い方すら想像しかねますが……これが素晴らしい注油性能!

今までのワイヤーインジェクターとは似ても似つかない独特の形状
どのあたりが素晴らしいのか?
使い方も独特です。
まず2分割したツールの片方をワイヤーに通した後、漏れないようにシールするソロバン状のゴムパッキンをワイヤーに巻き付けるように通します。
今までのツールのように縦一直線に切れ目が入っておらず、ゴムパッキンを捩じって巻き付けるのがポイント。
しかもその状態から本体を合体する事でパッキンを締め付ける事になるので、パッキン側から漏れる事が無くなります。
ワイヤーの端がツール本体の中に収納されてしまうのも今までのツールと全然違う部分です。
これでツールから飛び出たワイヤーの隙間から漏れる心配が完全に無くなります。
その状態からツール端にある穴にスプレー式オイルのチューブを差し込んで噴霧するだけ。
油の漏れる場所がチューブを差し込む穴しか残っていないので、実質何も漏れません。

ツール内にワイヤー端にあるタイコまで含んでいるのがポイント

油が漏れる可能性がある唯一の部分がココ、差し込んだチューブとパッキンの隙間から漏れる可能性はあります
さらにスゴイ部分
上で「差し込んだチューブとパッキンの隙間からスプレーしたオイルが漏れる可能性がある」と書きましたが、実はそんな事など大した問題ではありません。
どうして問題無いのか?
それはスプレーを差し込む筒状の部分は伸縮する構造になっており、ツール本体内に収納可能になっている構造に秘密があります。
スプレーする前にこの筒を伸ばした状態にしておくと、スプレーオイルでツール内を満たした後、手で穴を塞ぎながらこの筒を押し込む事で、強制的にオイルを圧送する事ができるのです!!

オイルスプレー注入口が伸縮する構造になっているのがポイント
オイルスプレーの噴射圧に頼らないで圧送できる
「手でオイルを押し込む事ができる」ので、ワイヤー内に潤滑油を圧送する際にオイルスプレーの噴射ガス圧に頼らないで済みます。
これにより寒くて噴射圧が不足する時はもちろん、激しい汚れでワイヤー内が詰まったような時にも抜群の威力を発揮!
思いっきりサビているワイヤーなど、オイル注入前にパーツクリーナーでワイヤー内の汚れを洗い流したい時などでは単なるガス圧とは比較にならない圧力で洗浄溶剤を圧送する事ができます。
ガス圧だけだと注入したのと反対側の端から「ジュワジュワ……」という感じで洗浄溶剤やオイルが流れ出すのが普通ですが、このツールを使って指で押し込むと「ブバ!」みたいな感じになります。

親指でパッキンを塞ぎつつ握力で押し込むので、圧倒的な圧送パワーになります
スプレー式ではないオイルも使える!
ガス圧に頼らず液体をワイヤー内に圧送できるという事は、ガス圧を使ったスプレー式ではないオイルも利用可能という事です。
ツール内にオイルを送り込むシリンジ(注射器)のような物が別途必要になりますが、工夫すれば2分割したツールを合体する前にオイルを注いでおいてから合体する事も可能です。
液体なら何でも圧送できるので、本来ならワイヤー潤滑用ではないオイルも使えます。
お気に入りのエンジンオイル、愛用しているグリスをオイルで溶いた物、シリコンオイル原液などなど……、この油でワイヤーの潤滑が出来たらなぁーと思っている潤滑油なら何でも使えます。

使えばわかりますが、エンジンオイルはワイヤー潤滑に使用すると素晴らしい性能を発揮してくれます
スプレー式でないオイルを注油する方法は昔からありました
エンジンオイルなど、スプレー式でないオイルでワイヤーを潤滑すると素晴らしい感触になる事は昔から知られていました。
ただ、今までのワイヤーインジェクターではエンジンオイルは流し込めないので、ワイヤーの端をビニール袋で囲ってテープ止めして中にオイルを入れて吊るしておくという方法が採られていました。
確かにこの「ビニール袋でワイヤーインジェクターの代用品を自作するやり方」でもオイルを注入できるのですが、勢い良く汚れを洗い流す事はできません。
オイルは狭い隙間を重力落下するだけなので、一晩放置しておく必要があって時間も掛かります。
そんな使いにくさや作業の待ち時間も、このツールなら全部一発解決!

これが古(いにしえ)のエンジンオイル潤滑方法。手間と時間が掛かっても良いなら、そしてワイヤー内を洗浄する必要が無いならコレで十分
ユーザーインプレッションに注目!
商品ページの下の方にある、実際に使ってみた方のインプレッションをご覧ください。
ある時から「これ以外捨てていい」というインプレッションのタイトルだらけになり、絶賛されています。
全員今までの形式のワイヤーインジェクターを複数個所有していたのに、アッサリ鞍替えしているのが面白いですね。
冗談抜きに全員が本気で推薦しているのがよくわかります。

「これ以外捨てていい」という意見だらけ
弱点
インプレッションの点数を見ればわかるように5点満点ではないですよね?
全てが完璧に思えますが、正直に言えば弱点もあります。
それは価格!!
1000円前後で購入できる今までのワイヤーインジェクターと比較してブッチギリの高価格……。
ワイヤーにオイルを注入するだけのツールに5000円を投入するのは勇気が要ります。
ただし、その弱点を補って余りある性能がこのツールにはあると思います。
本当にオススメ!

価格がね~!!!
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さっそく買ってみるw
ベルハンマーのノズルは使えないのか~駄目だね
早速届いた。まだ使ってないがなるほどよさげだ。ベルハンマーもボトル入りのなら使えんじゃない?
ベルハンマーのノズルは削ればいけるよ