
国内メーカーでは生産終了してすでに久しい2ストロークバイクですが、近年は水素エンジンで復活するかも!?など楽しみなニュースがある一方、「レーサーレプリカブーム」の時代に生産された車両は年々維持が難しくなりつつあります。
純正部品は次々に廃番となり、中古パーツは高騰の一途をたどっていますが、これからも維持し続けることは可能なのでしょうか?
レーサーレプリカブームを作ったNSR250R、TZR250・RG250Γとその先駆けであるRZ250/350を購入したいけど、長く乗り続けることは可能なのかオーナーの目線で解説します。
目次
NSR250R
維持難易度:★☆☆☆☆
2ストフルカウル車で当時最も売れたと言われる「NSR250R」は、今でも比較的維持のしやすい車両です。
理由としては、純正部品の再販を含めて新品部品が比較的入手可能で、生産台数も多いので中古部品も入手の難易度が低い傾向にあります。
また、アフターパーツメーカーも複数存在しており、エンジンまわりで不具合の出る箇所に詳しく、対策部品を販売している、「T2 Racing」と「DMR-JAPAN」は心強い味方です。
◆T2 Racing◆
本店所在地:大阪府豊中市
チャンバーからボルトの1本にいたるまで、NSR250Rを知り尽くした専門ショップ。
各パーツはコーティングされ、錆に強いだけでなく見た目にも美しいバイクに仕上げることが可能となります。
今の状態を維持するだけでなく、カスタムを楽しむことが出来ます!
◆DMR-JAPAN◆
本店所在地:三重県桑名市
エンジンパーツはもちろんのこと、ハーネスやスイッチ類のオリジナルアフターパーツを型式毎にラインナップしています。
ガスケット等の細かい消耗品も取り揃えており、商品ラインナップを眺めているだけで、「あぁそういえばここも予防整備しておいた方が良いな」というパーツが見つかります。
NSR250Rの車両価格は?
MC16・18・21・28型と4度のフルモデルチェンジが行われ、後期になるほど中古車価格も高くなる傾向にあります。
中でもMC28型は市販車初のカードキーを採用し、童心を忘れないバイク乗りなら誰もが一度はあのカードキー付きの車両に憧れたのではないでしょうか。
車両価格は状態によりピンキリですが、まだ複数の条件から選ぶことの出来る今のうちに気になる車両が無いかチェックしてみてはいかがでしょうか。
TZR250/TZR250R
維持難易度:★★★☆☆
ホンダNSR250Rに対抗し、ヤマハが発売したTZR250/Rはシリーズの中でもエンジンレイアウトが大きく変わり互換性が低いため、やや維持が難しい車両と言えます。
年式によってSPやSPRといった台数限定モデルも存在し、純正部品もかなり細かく設定されています。
NSR250Rのように総合的にパーツ製造を手掛けるメーカーはありませんが、3MAモデルに強い「ブルーポイント」やTKRJ製復刻版ピストンキットを出している「TOSH-TECH」といったピンポイントで頼れるメーカーが存在します。
◆ブルーポイント◆
本店所在地:大阪府門真市
主にTZR250(3MA)用の各種ワイヤーや外装パーツをラインナップしています。
商品点数は多くは無いですが、YPVS強化ジョイントのような専門店ならではの対策部品も購入可能です。
◆TOSH-TECH◆
本店所在地:静岡県磐田市
RZ/RZRのエンジンチューニングを得意とするショップで、中でもISAスプロケット製作のオリジナルスプロケットは今でも人気です。
既に純正部品では廃番となっているTZR250/R用のピストン、ピストンキットをT.K.R.J.と協力し販売を行っています。
Webikeにも近日登場するかもしれません!?
TZR250の車両価格は?
1KT・2XT・3MA・3XVと4度のモデルチェンジが行われ、NSR250R同様に後期になるほど中古車価格も高くなる傾向にあります。
近年では250cc2ストロークレプリカ唯一となる後方排気レイアウトの3MAモデルが注目され、中古車市場において見かける機会がぐっと減りました。
V型2気筒の3XVは最上位グレードのSPRモデルを年に数回見かけることがありますが、200万円を越える価格で取引されています。
RG250Γ/RGV250Γ
維持難易度:★★★★★
2ストロークレプリカブームを作ったRG250Γと、その後継モデルであるRGV250Γは今回ご紹介するなかで非常に維持の難しい車両です。
純正部品は廃番となっている部品も多く、持病と言われる「おたふく抜き」を加工した方が良い等、専門的な知識も必要になります。
アフターパーツメーカーも限られており、VJ21-22型用として「スーパーナウ」が一部パーツを今でも生産しています。
また、VJ22型ではApriliaのRS250というバイクにエンジンをOEMしていた経緯があり、「TYGA PERFORMANCE」等の海外メーカーからガスケットキットやピストンキットを購入することが可能です。
◆スーパーナウ◆
本店所在地:埼玉県加須市
ポップなロゴが目を引き、はじめて見る方にはちょっと怪しげに映るかもしれませんが、長年培ってきたサーキットでの実力は本物です。
バックステップ等では独特なアルマイトカラーのパーツもあり、根強いファンが存在します。
◆TYGA PERFORMANCE◆
本店所在地:タイ王国
RGV250Γだけでなく、数多くの車両に適合するパーツを開発するタイ王国を代表する世界的パーツメーカーです。
オリジナルのカスタム外装セットやピストンキット等、幅広くラインナップしています。
RGV250Γの車両価格は?
RG250Γ/RGV250Γは個体数も少なくなり、状態の良い実動車両はほとんど無くなってしまいました。
最終型のVJ23Aは200万円を突破し、最新型のリッターフルカウルのバイクとほとんど変わらない値段となっています。
フルカウル車の市場を作ったRG250Γと2ストロークレーサーレプリカの集大成となったRGV250Γを購入し、維持するためには並々ならぬ信念が必要なのかもしれません。
番外編RZ250/RZ350
維持難易度:★☆☆☆☆
最後に番外編として、2ストを語る上で外せないRZ250/350のパーツ事情をご紹介します。
当時の2スト市場を語る上で外せない車両ですが、詳細を書くと長ーくなりすぎるのでさらっとだけご紹介すると、当時環境規制により2ストローク車は落ち目だと言われていた市場環境を一変させると共に、後の数多くのヤマハのバイクデザインに影響を与えた車両です。
当時から今日に至るまで変わらず人気があり、車両販売台数が多いため専門ショップが数多く存在します。
アフターパーツでは「ミズノモーター」や「井上ボーリング」がエンジンパーツを一通りラインナップしており、比較的維持がしやすいと言えます。
◆ミズノモーター◆
本店所在地:三重県桑名市
RZをはじめとした旧車を専門に取り扱うショップで、どうしても傷んでしまうフロントフォークのインナーチューブやガソリンコックといったパーツも販売しています。
2022年にアルミシリンダーとヘッドセットをリリースし、まだまだ新商品を開発し続けています。
◆井上ボーリング◆
本店所在地:埼玉県川越市
2スト2気筒以上のバイクに乗ったことのある方は必ず一度は耳にしたであろう「ラビリンスシール」で有名な内燃機屋です。
WebikeでもRZ250/350用の芯だし済みリプロクランクシャフトの掲載を開始しました!
RZ250の車両価格は?
販売台数が多いですがずっと変わらず人気であるため車両価格は比較的高い状態で維持され続けています。
車両の状態(特にエンジンオーバーホール済みか、オリジナルペイントか)によって価格の開きがあるので購入する際は状態をよくチェックするのが無難です。
まとめ
レーサーレプリカブームと言われる時代からすでに30年が経過し、その間に車両もパーツメーカーも少なくなってしまいました。
環境規制により今後伸びる市場では無いことは明確ですが、それでも今なお重要な純正部品は販売され続け、少ないながら頼れるアフターパーツメーカーが存在します。
もちろんパーツが売れなくなれば必然的に生産も終了ということになっていきますので、メーカーさんを応援する気持ちも含め買い支えていきたいですね。
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なるほどですね。NSR買ってみようかな、金ないけど。
RZ乗っていますが確かにパーツには困りません。
2ストロークバイクの維持は実は簡単?と誘導されて、お前のガンマはイバラの道だ、と落とされた。w
確かに数年前は出た純正部品もどんどん廃番になってきて辛い。
3MAの不動車が有るけど、
オイルタンク、クーラントタンク等の劣化で
純正品も欠品のせいで復活出来ないですわ。