
アメリカ「カルド」製のハイエンドモデル「FREECOM 4X」をテストしてみる機会がやってきました。
普段は正直なところ「インカムなんて音楽が聴けて、操作が簡単ならいいでしょ……」という程度の(申し訳ありません!)距離感でインカムと付き合っている私。
ところがいざ「FREECOM 4X」を使ってみるとビックリ! 人がインカムで感動することができるなんて思っていませんでした。
いろいろ素晴らしいポイントを持つカルド「FREECOM 4X」。今回はそのよかったポイントを素直にインプレッションしてみます!
「カルド」ってなあに? という方はこちらをチェック
ナビ音声が聞こえないのはヘルメットのせい?
私のインカムの使い方は、もっぱら音楽再生がメイン。スマートフォンに接続して、通勤では音楽をガシガシかけながらノリノリで走っています。ツーリングの時はナビ音声も再生。
でも、特にナビ音声はよく聞こえないんですよね。特に高速道路を走っているときなんて、エンジンのノイズとヘルメットの風切り音が激しいので、何を言ってるのかさっぱりわかりません。下道なら速度も出ていないのでそれなりに聞き取れるんですが、それでもシールドを開けると風切り音でアウト。
そんな具合なので、マスツーリングでインカム通話をしてもこれがまぁ……聞こえない。会話はギリギリできるんですが、一度で聞き取れず「もっと大きい声で!」と何度叫んだことか。これもたいへんなストレスです。もちろん、インカムが無いときの腕木通信よろしくカクカクボディランゲージをするよりははるかにマシですが。
ところが私、それがインカムが悪いとはぜんぜん思っていませんでした。ヘルメットの空力性能が良くないんだろうな、とばかり考えていたので、インカムを変えてみようという発想がなかったのです。けっこう不便なのに……。

全然聞こえないのより、ちょっぴり聞こえるけど意味がわからないのはものすごいストレス。隣の部屋で誰かがモゴモゴ言っているのを延々聞かされるような感じ。
「え!? これ外で鳴ってる?」とビックリした音質
今回、「FREECOM4X」をテストしてみたときも、取り付けをしている間は「まあ普段と同じヘルメットだから、あんまり変わらないかもね」なんて決めつけていました。
ところがスイッチを入れた起動音の段階で、明らかに何かが違うのがわかる! ドキドキしながらスマホへ接続し(その接続がまたすごく速い!)音楽を再生してみると「コレ外で鳴ってる!?」と一瞬ビックリ。
ヘルメットの外の環境音のように、ものすごく自然な音の広がりを感じるんです。
この感覚、高級なヘッドフォンをしているときと同じ! まさかヘルメットインカムでこんなことが起こるなんて!
と、ひとしきり音楽に感動した後に通話をテストすると、これもやっぱり肉声を聞いているような(!)クリアな音質で、すごくハッキリ聞き取れます。それも走行中、ヘルメットのシールドを開けても変わらず。風切り音にまったく負けませんでした。

この音質を画像では伝えられないのがとっても残念……。普段聞いている音楽が、まるで別の曲のような感動に。自動音量調整機能により、音量調整すら不要!

¥38,800(2022年10月現在)という価格はインカムの中でもハイクラス。でも、この音質にはそれだけの価値がある!
ヘルメットへの取り付けはクリップ式のステーで行います。難点を感じたのはこのクリップ、少し大きいのでピッタリヘルメットにはめ込むのにはコツが必要でした。一度つけてしまえば、そんなにしょっちゅう脱着はしませんけどね。
本体とステーの取り付けはカチッとしていますが、ステーのボタンでワンタッチの脱着が可能です。
ボタンは全面のパネルと、クリック式のダイヤルになっています。操作感覚は少し硬い気もしましたが、押した感覚はハッキリあるので不安はありません。

ステーはクリップタイプ。厚みがあり少しはめ込みづらかったですが、いちどはめてしまえば安定しています。

脱着はステーのボタンをワンタッチ。特にコツなどはいらず、個人的にはとても楽でした。

ボタンはパネルに3つとダイヤル。FREECOM 4Xには音楽再生、通話、ラジオ再生、音声認識などの多くの機能がありますが、複雑な操作はスマホアプリから指示することも可能です。

インジケーターはダイヤルの奥に。奥まっていて昼間は少し見えづらい点もありましたが、光量は強いので不便は感じませんでした。
音質の秘密は「JBL」製にあり
こんなに音質がイイ理由は、カルドが「JBL」と提携して機器開発を行っているところにあるようです。
JBLはアメリカの音響機器メーカーで、1946年設立の老舗。レコーディングスタジオや映画館、カーステレオなどの音響として多く採用されているとか。日本でも高級ゲーミングスピーカーなどで見かける機会があります。
特にインカム用としては、ロードノイズや風切り音、ヘルメットの内部構造までを視野に入れた研究をしているとのこと!
ただ、音質に力をいれているためか、スピーカーとの接続コネクタが一般的なオーディオジャックになっており、少しだけ配線の場所をとります。接続部分は邪魔にならないスペースへ隠してしまわないと、頭に当たるとけっこう気になりました。マイク側は小型のコネクタです。

スピーカーには表面に「JBL」のマーキング。音響機器専門メーカーが手掛けたスピーカーの音質がいいのは、ある意味当然!?

スピーカーとの接続コネクタはオーディオコネクタ。それだけ音質に力をいれていることがわかりますが、ややスペースをとることだけが弱点。配線は充分な長さがあるので取り回しに制限はありませんが、コネクタが頭に当たるとけっこう痛いので注意。
さすがの最新インカム、音質こだわり派にはぜひ試してほしい!
とにかく音質に感動しながら1日使用してみましたが、いくつか注意を払えば使用感に不満はありません。
スマホ用専用アプリも用意されており操作ができるので、1日では覚えきれないほどの機能コマンドもワンタッチで使うことができました。
また、「ヘイカルド!」という呼びかけで起動する音声アシスタント機能は、音楽再生のスキップや停止といった操作、ラジオ起動、電話応答など、ボタン操作でできることはほぼカバー。とても便利です(ライディング中のハイテンションで、早口で呼びかけてしまうと聞き取ってもらえませんので、落ち着いた操作が必要です)

スマホアプリ操作、音声アシスタント機能といった最新機能がとにかく便利。操作方法を覚える必要がないのはすごいです。

他社インカムとの接続や防水防塵機能、最大4人までの通話といった機能が充実。バッテリーは通話しないでいると、丸2日は使用できました。

カルド製インカムは現在9種類がラインナップ。今回インプレッションしたのは最上位の「FREECOM 4X」ですが、最安の「FREECOM1+」でもラジオ受信、アプリ連携といった便利機能をカバー。最新インカムの世界に触れてみてはどうでしょうか!?
国内では他社製インカムを見かけることがまだ多いものの、「よく音楽を聴く」「ナビ音声、通話音声が聞こえづらい……」というライダーにはぜひ一度試していただきたいと思います。
「インカムってこんなもの」という固定観念が変わってしまうかもしれませんよ!
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