
文/Webikeスタッフ:tetsu.26
気付けばもう10月。あっという間に目の前を秋が通り過ぎてしまい、朝晩の気温は真冬並みの日もチラホラと。いよいよ冬の到来です。
一方で山々が色付き始めるのはまさにこれから。南から順次紅葉前線が北上していく、ツーリングライダーにとって最適なシーズンでもあります。
そんな中、クシタニより2022年秋冬ジャケットのラインナップが発表されています。今回はその中でも人気ジャケットをタイプ別に紹介していきますので、今シーズンを共にする一着を探す参考にしてください。
目次
クシタニというブランドについて
まずクシタニというブランドについて軽く説明致します。
クシタニは静岡県浜松市に本拠地を構えるバイクギアメーカーです。その創業は1947年とのことなので、じつは老舗中の老舗です。
「クシタニ」と聞けばライディングジャケットやレーシングスーツを思い浮かべる方も多いと思いますが、最近ではバッグやポーチ、シューズなどのライディングギアでも、その商品の幅を広げている印象があります。つい先日、オフロード向けアイテムのリリースを念頭に、長野県御嶽山に専用コースを作り始めたというニュースが飛び込んできたのが記憶に新しいですね。その一方で、今年のMotoGPもてぎラウンドにて、Moto2クラスで優勝した小椋藍選手が着用しているのもクシタニのレーシングスーツだったりします。
正統派ライディングジャケットのイメージが強いクシタニですが、生地素材の選定や裁断・縫製に至るまで、徹頭徹尾ライディング姿勢を念頭に置いている点が、他メーカーと比較してもはっきりと認識出来ます。風圧によるバタつきを抑えるために、基本的にはタイト目の設計ですが、肩・肘・両脇部分などの可動部には、レーシングスーツで培ったシャーリングや裁断の技術が使われており、身体の動きを妨げない造りなので、窮屈に感じることは少ないです。
全国各地に直営店舗も展開しており、ちょっとした補修からクリーニングまで受け付けてくれるので、金額自体はバイク用ジャケットの中でも値が張る方ですが長く着れるブランドです。
2022年秋冬ジャケットの特徴について
- フードなし
- フードあり
クシタニの秋冬ジャケットですが、まず見た目の部分で言うと、フードのあり・なしで分かれます。ライディングジャケット全体として、ジャケットの性質がスポーツ向けになるほどフードがなくなる傾向にありますが、近年はクシタニでもフード付きモデルを多く採用しています。
ジャケットモデルによって差はありますが、アロフトジャケットなどはレインウェアに勝るとも劣らない防水性能を誇ります。他のジャケットでも初期耐水圧10,000mm以上と、小雨がぱらつく程度であれば問題ないレベルの撥水性能を有しています。
クシタニの秋冬ジャケットで最大の特徴が、インナージャケットの豪華さです。内容はミッドレイヤ―として発売されているホワイトグースダウンジャケットとほぼ同じで、暖かななグースダウンをメインとした上で、ダウン気室を細かく仕切っており保温力が高いです。デザイン面でもこのインナ―ダウン単体で街着として使用出来るほどなので、撥水能力の高いアウタージャケットと、暖かいインナーダウンの2着を同時購入することを考えると、この値段にも納得です。
逆に注意点としては、基本的にプロテクターは別売となるので、新しくクシタニジャケットを購入する場合、付属プロテクターも併せて検討する必要があります。もっともこのプロテクターは秋冬モデルのみならず、春夏モデルでも共用なので、一度購入すればそれをジャケットごとに使いまわせます。
本格的な防水機能を備えたツーリングジャケット
KUSHITANI:クシタニ |アロフトジャケット
ジャケット自体はミドル丈で裾が長い仕様のため、ネイキッドからアドベンチャーモデルなど、上半身が起きるような車両とのマッチングが良好です。
インナーに使用しているダウンジャケットは、保温性の透湿性に優れており蒸れにくく使い勝手が良いです。もちろん着脱式を採用しているため、秋口でまだ気温が高い時期には、取り外してアウターのみで使用出来ます。各部にベンチレーションも備えているので、こちらと併せて使用すると、真冬から春秋と幅広く活用出来ます。
肩・肘・背中・胸のプロテクターはオプション設定ですが、安全性の高いCE対応であったり、着心地のよいソフトウレタンであったりと、好みに応じて選ぶことが出来ます。
暖かさと動きやすさを両立させたウィンタースポーツジャケット
KUSHITANI:クシタニ |アキュートジャケット
生地素材は万が一の転倒を想定した引き裂き強度の強いものを採用しています。逆に肩・肘周りには、動きやすさを重視したストレッチニットを使用しています。
また簡易防水機能も備えているため、小雨程度であればしのぐことが可能です。
インナーはシンサレートを採用した着脱式ジャケットを装備しているため、冬場の高速走行にも十分対応出来ます。
タウンユースからスポーツツーリングまで。レンジの広いウィンタージャケット
KUSHITANI:クシタニ |ウインターフィンジャケット
もちろん見た目だけでなく、暖かさも十分に確保しています。アキュートジャケット同様、シンサレートを採用した着脱式のインナーを採用しています。
こちらも生地に簡易防水機能を持たせているので、急な雨にも十分に対応可能です。
クシタニには珍しい?ゆったりサイズのライディングジャケット
KUSHITANI|ウインターチームジャケット
スタイルはオーソドックスなライディングジャケットです。クシタニは全体的にサイズがタイト目ですが、こちらに関してはゆったりめ(というより通常のサイズ感)で着用出来ます。
もちろん各部にはバタつきを抑えるフラップが付いているため、着用した際のシルエットは思いのほかスマートです。
生地自体はウィンターフィンジャケット同様にジャガード織りを採用しているため、立体感のあるデザインと高級感が漂います。
こちらのジャケットにはインナーが付属していませんが、すでにお持ちのインナージャケットであったり、極寒対策で電熱ウェアを併せたりすることが出来ます。
クシタニが提案するアウトドアテイストのジャケット
KUSHITANI:クシタニ |ウインターアメニタジャケット
バイク業界のみならず、かのワークマンが注力していることでも有名ですが、アウトドアスタイルのジャケットは人気です。クシタニがこのアウトドアスタイルを取り入れたらどうなるのか?その答えがこちらのジャケットです。
生地で採用されているリップストップ素材は、撥水性・耐久性に優れておりバイク用品とのマッチングも良好です。また生地デザインに杢調(モクチョウ)を取り入れることで、質感の高い仕上がりとなっています。
生地自体の撥水効果のほかに、ジッパー部分へも止水加工が施されていることで、付属のフードと相まって本降りのザーザー雨でなければ十分に対応可能です。もちろん防水効果以外に、優れた防風+透湿性能も有しています。
ただアメニタジャケット最大のポイントは、何と言ってもその軽さにあります。ウィンタージャケットはともすれば重量感のある仕上がりになることが多く、長時間乗車するほど疲れが残りますが、この軽さであれば身体への負担を軽減してくれます。
ポケット内に配されたドローコードを調整することで、内側のインナーの厚さや素材によって、きつめ・ゆるめとジャケットの着用感を変えることが出来ます。
もっとも使い勝手のよいダウンジャケット
KUSHITANI:クシタニ |アニフェスジャケット
クシタニのラインナップの中で唯一インナー着用のないワンピース構造のジャケットです。
その特徴は軽量かつ保温性の高いダウン気室の構造にあります。通常ダウンを入れる袋(気室)は生地に針と糸で仕切をつくってそこにダウンを詰め込みますが、アニフェスジャケットの場合、この気室を、生地を織り込む際にその折り方のみで作っているので、針穴というものがありません。これにより外気を通すことなく内部の空気を暖かいままで保てます。
もちろん各部にはプロテクターを装備出来る機構を備えているので、ライディングジャケットとしても十分に活用出来ます。
普段使いからちょっとしたツーリングまで、幅広く使える一着です。
まとめ
自分たちもシーズンごとに各バイクアパレルメーカー様の展示会へ訪問し商品説明を受けるのですが、毎回クシタニ製品の、ライディングを前提とした構造や品質の高さには驚かされます。またレースサポートを単なるイメージ戦略でなく、そこで培った技術をツーリングジャケットへも転化させるための研究開発の場としているんだな、と感じるメーカーです。
たしかにジャケット単体で見た際の価格帯は、他メーカーと比較しても高いですが、豪華なインナーダウンであったり、高い耐久性であったりということを考慮すると、長く使える一着=クシタニだなと思えます。実物を見るには直営店舗を訪問するよりほかありませんが、もしお住まいの近くに店舗がありましたら、一度見に行ってみることをおすすめします。
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