
大型オイルクーラーを装着できたことで、以前と比べて冷却性能は明らかに向上しているはず。油温がどう変化するのか!?具体的にどのようなコンディションなのか?やっぱり気になります。ここでは、エンジンオイル管理には必要不可欠な「油温計」を取り付けてみた。
バイク仲間から借りた各種センサー
購入当初と比べて美しく化粧直しできた初代カワサキミドル4エンジン。ガンコートペイントのサテンブラックと同ゴールド(正しくはブライトブラス)の組み合わせは、大変似合っている!?ような気がしている。知り合いのバイク仲間から借用した油温検知用のセンサーボルト。すべてネジサイズが異なっており、ドレンプラグ用とオイル通路のメインギャラリーキャップ用が寸法的に一致した。デジタル油温計は過去にミニバイク耐久レースのDE耐!参戦当時に使っていたものだ。
メインギャラリー用センサーを借用
初代Z1系エンジンのオイル通路=メインギャラリーは、シリンダー後方のクランクケース上にあるが、ミドル系エンジンでは、冷却性の向上が考慮されたのか? クランクシャフト直下にある。メインギャラリーのエンドキャップはエンジン左右にあり、センサーはどちらに取り付けても良いが、サイドスタンドでの取り付け作業を考慮して、右側センサー仕様にしてみた。取り外したエンドキャップと油温センサーのネジサイズを比較すると同一!!このセンサーが何用なのか尋ねるとゼファー用らしい。ちなみにZ1系エンドキャップのネジサイズはミドル4気筒エンジン用よりも太い。新品Oリングに交換してセンサーボルトを締め付けた。配線はフレームのダウンチューブ後方を沿わせながら上へと取り回した。メーター電源はヘッドライト内部から引き出した。
モニターはハンドルマウントに取り付け
油温計本体はトップブリッジのハンドルクランプと共締めで固定できるようにステーを自作した。板厚1.5mmの黒アルマイト済み素材がガレージにあってラッキー!!モニター本体は屋外利用の強力両面テープを利用した。
赤外線関節温度計で温度比較
参考データを取るために赤外線間接温度計で各部の温度を測定した。エンジン始動直後で油温は40度に満たなくても、シリンダーヘッドのスパークプラグ周辺は200度近くあるのには驚いた!!空吹かしによってエンジン温度がかなり高まっても、油温が急激に高まることは無い。デジタルメーターが示す油温とセンサーボディーの外側温度は想像以上に異なっていた。ドレンボルト部とメインギャラリー部では油温計データも異なる。ミドル系のメインギャラリーはオイルクーラー通過後だ。同じキャブセッティングで実圧縮データが同じエンジンでも、稼動中の空冷エンジンは、2番3番シリンダーのエキパイの方が間違いなく高温になる。セッティングが薄いとメッキエキパイでは焼け色が早く出てしまう。モデルによってはメーカー純正で1/4番と2/3番のキャブセッティングを変更している例もある。
初代Z400FX/E1仕様の外装ペイントを施していた購入当時のカワサキKZ550GP。ヨーロッパ仕様の派生車だったので、正式モデル名称はZ550GP。モデル型式はKZ550D1のヨーロッパ仕様である。Z400FXと比べ、見た目の違いはメーターインジケータの上に燃料計を装備していたことだ。
- ポイント1・油温計を常時モニターリングすることで詳細な状況変化を知ることができる
- ポイント2・ キャブセッティング後の油温変化を具体的に知ることができる
- ポイント3・関節温度計を利用することで同タイミングでの温度差を知ることができる
体感的な印象だけで、オーバーヒートだと決めつけて良いものか? これまでのバイク人生で、様々な経験をしてきたつもりだが、オーバーヒート対策を語るのなら「エンジンオイル用温度計=油温計の装着」が必要不可欠。そう感じたのが今回の実感である。ボアアップで走りが楽しくなったものの、オーバーヒートのような症状が出た空冷エンジンのカワサキKZ550GP。エンジンオイルのコンディションを知るには「油温計の装着だろう」と考えるのと同時に、間接式温度計を利用して、様々なエンジン部分の実温度を測定してみることにした。
油温計にはセンサーがあり、そのセンター接点をエンジンオイル通路(メインギャラリーがベスト)や、常にエンジンオイルに浸っているドレンボルトに取り付けることで、エンジンオイル温度を具体的な数値として測定することができる。測定箇所によって数値に違いが出るが、データを相対比較すれば(油温計の装着ビフォー&アフターで)、対策内容の効果を明確に知ることができる。
カワサキミドル4は、クランクシャフトの真下にエンジンオイルのメインギャラリーがある(オイルポンプから吐出された直後の圧力の高いエンジンオイルのメイン通路)。今回、サンデーレースに参戦しているバイク仲間から数種類の温度センサーを借用し、KZ550GPのメインギャラリーでサイズ確認すると、そのひとつがネジ径、ネジピッチともに一致した。そのセンサーをメインギャラリー用プラグとして取り付け、リアルタイムでの油温測定を目指してみた。
カワサキミドル4エンジンの潤滑経路は以下の通りとなっている。オイルポンプに吸い込まれたエンジンオイルは、まずはオイルクーラーへ圧送される。走行風で冷やされたエンジンオイルはメインギャラリーへ移動し、そこからシリンダーヘッドやミッションを潤滑した後に自然落下によってオイルパンに溜まる。溜まったオイルはオイルパスボディーを介してオイルポンプが再び吸い込み、同じように繰り返し循環する仕組みだ。
デジタル油温計の装着後、エンジンオイル粘度を変えたりキャブセッティングを変えたりしながら温度データを確認したが、一番大きな変化を得られたのが「キャブセッティング」によるものだった。「燃料冷却」という言葉があるが、キャブセッティング変更でその効果を目視確認することができた。油温計の装着直後は、現状セッティングによる通常走行でオイル温度は125~130℃弱を示していた。これでは渋滞に突入したら間違いなくオーバーヒートになるだろう。プラグの焼け具合を見ると、きつね色で理想的な焼け方だった。そこで、メインジェットを10番大きくすると、今度は油温が120℃前後。そこでさらに5番大きくすると、今度は115℃前後へと変化した。プラグの焼け具合も決してカブリ気味ではないので、しばらくはこのセッティングで様子見することにした。
空冷エンジンの場合は、プラグがややくすぶったカブリ気味の方が「調子がいい!!」というお話をよく聞くが、油温計の装着によって、そんな言葉の裏付けを確認することができた。最終的にKZ550GPは、メインジェットをさらに5番大きくして決着。つまり当初と比べて20番もジェットサイズを外した「ガス薄」がオーバーヒートの原因だった。
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