
文/Webikeバイヤー:ほり
知っているようで知らない、マフラーの素材の世界。
何となくチタンマフラーやカーボンマフラーが軽くて性能が良いとか、ステンレスマフラーは錆びにくいとかそんな印象ではないでしょうか。
マフラーは、実はもっと奥が深い世界なんです。
パワーを出すため、デザインのため、コストのため……目的のマフラーを造るためにメーカーが検討する項目は多岐に渡ります。
そんな中で大きなウェイトを占めるのが材質。この機会にマフラーの材質について学んで、自分のスタイルに合った材質のマフラーを探してみませんか?
スチール
純正マフラーのエキパイに多く採用されているスチール。いわゆる鉄ですね。価格や耐久性の面で優れており、コストを抑えることに適しています。
社外マフラー市場でスチールだけで造られたマフラーはあまり多くはありませんが、迫力の低音が出ることや加工が容易なためサウンドやスタイルに拘るファンに人気です。
難点としては、やはり重いこと。自分でマフラーを交換したことがある方であれば経験があるかもしれません。スチールマフラーと社外のステンレスやチタンのマフラーを手にした時の重さの違いにびっくりします。
また、鉄は一般に錆びやすいです。対策としてメッキ処理や耐熱塗装がされているマフラーもあります。
クラシックなバイクに乗っている・スペックよりもスチール特有の旧車テイストを楽しみたい……そんなライダーにオススメの材質です。
メリット | ・価格が安い ・クラシックなバイクに似合う |
デメリット | ・重い ・錆びやすい |
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ステンレス
キッチン周りなどでも広く使われているステンレス。そもそもステンレスって何?という方へざっくり説明すると、ステンレスは鉄に耐食性を持たせるためにクロムを組み合わせて生み出された合金のことを指します。
錆びにくいというメリットばかりにスポットライトが当たりがちですが、実はステンレスにはかなりの強度があります。なので、マフラーの厚みを鉄よりも薄くすることができ、マフラーの重量を軽くすることができます。
また、光沢があり美しく、価格も後述するチタンやカーボンより安価に抑えられるなど様々なメリットがあり、コストパフォーマンスの良い製品が多いのも特徴。
社外マフラーのエキゾーストパイプの多くがステンレス製で、その汎用性の高さが伺えます。中には、サイレンサーにもステンレスが選択できるマフラーも。音質は高めで重い音になりやすいです。
ノーマルのスチールマフラーからは変えたいけど、お財布事情でチタンまではちょっと……というライダーにオススメの材質です。
メリット | ・錆びにくい ・スチールより強度があり軽い ・コストパフォーマンスが良い ・光沢がキレイ |
デメリット | ・チタンと比べ見た目の変化に乏しい |
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チタン
社外マフラー市場で大人気のチタン。多くのライダーがチタンの軽さと焼け色の美しさにトリコになっています。
製品にもよりますが純正マフラーの40~70%程度の重量となり、ここまで軽いとブレーキングやコーナリングで体感できるほど運動性能が向上します。
軽いにもかかわらず強度もトップクラス。しかし、強度が高いということは加工する時に大変です。その加工費が跳ね返ってお値段の方もトップクラス……
マフラーメーカーのフラッグシップモデルの中には、エキゾーストパイプまでチタンというものも存在します。音質は甲高いパリッとした音になりやすいです。
費用がかかってもいいから、スペックの良いマフラーが欲しいんだ!というライダーにオススメの材質です。
メリット | ・金属系の材質では圧倒的な軽さ ・強度が高い ・焼け色が美しい ・錆びない |
デメリット | ・価格が高い |
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カーボン
サイレンサー限定ですが、カーボンが使用されているマフラーも存在します。
特筆すべき点としてはチタンよりも軽量であること、カーボンの織目によるドレスアップ効果があることです。
また、表面の温度が上がりにくいことや、強度も鉄と見劣りしないなど多くのメリットが存在しており、航空宇宙分野でも使用されています。音質は低めで重い音になりやすいです。
ただ、特有のデメリットも存在します。カーボンを造るには様々な手順が必要で、チタン同様加工費が製品に跳ね返っています。
耐候性についても難があり、紫外線によって劣化が徐々に進んでしまいます。長期間外で保管しなくてはならない方には不向きです。
そして、何といっても直角方向に対する衝撃に弱いこと。立ちゴケ程度でも当たり方によってはマフラーが割れてしまう可能性があります。
バイクのマフラーとしては無視できないデメリットもありますが、軽さをとことん追求したいライダーにオススメの材質です。
メリット | ・チタンよりも軽い ・カーボンの織目がかっこいい ・表面温度が上がりにくい |
デメリット | ・直角方向への衝撃に弱い ・価格が高い ・紫外線で劣化が進む |
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材質の違うマフラー別のお客様インプレ!
スチールマフラーのインプレ
メーカーは色々と比較した中で、今回は他のパーツ交換もあり
安価だったこちらのメーカーを選びました。
スチールのため錆などは覚悟で、重さもありますが
スチールならではの重厚感あるサウンドがあります
予算がある方はステンレス(大和など)が良いのかも知れませんが
4,5万の差額が生じるため
私はこれで十分満足でした。低速から中速でトルクが落ちるような感じもなく
吹け上がりも上々で、インナーサイレンサーが気軽に脱着できるのも
楽しみが増えてとても良いです!コスト、質感、性能、音ととてもバランスが良いマフラーだと思います。
ステンレスマフラーのインプレ
オールステンレス製の美しい仕上がりに超満足です。
溶接の仕上げも丁寧でリベット止めの接合部にもしっかりと充填材が入れられており製品として最高でした。
音はそのままだと音量的には純正とさほど変わらず音質だけ低音が強調された感じ。
チタンマフラーのインプレ
ドラッグブルーに焼かれた手曲げのエキパイ。
美しい曲線を描き後方へ跳ね上がるサイレンサー。
アイドリング時は静かだが一たびアクセルを煽ると低音で響く図太いサウンド。
低速からトルクフルでピーク時のパワーも上がり全域でパワーアップします。
そして何と言っても軽い!
フルエキ・フルチタンで4kgもありません。
ノーマルマフラーが14kg以上もありますから実に10kg以上の軽量化になります。
押し回し時にも、その効果はハッキリと分かります。
カーボンマフラーのインプレ
エンジン特性以上に変わったのがハンドリングです。
今回鉄製のマフラー・エキパイ・ステップが、それぞれカーボン・ステンレス・アルミに変わり、マシン下部でかなりの軽量化になりました。
元々軽量級のマシンだけに、重心位置から離れた部分の変化はかなり影響が大きいようで、ものすごいヒラヒラハンドリングマシンになりました。
トルクアップしたように感じるのも、もしかしたら軽量化したせいでそう感じるだけかもしれません。
材質別オススメマフラーブランド
スチール
M-TEC中京 エムテック中京:ショート管マフラー
大手メーカーのOEMも手掛けるM-TEC中京のショート管マフラー。Z1やCB750Fといった旧車から、ZRX400やCB400SFなど90年代のネイキッド車用にラインナップされています。
錆止めの耐熱塗装がしっかりされていることももちろんですが、お求めやすい価格なのも嬉しいポイント。
取り付けたユーザーからは、「吹け上がりがよくなった!」、「手曲げかと思うほどの美しいエキパイ」などといった好意的なインプレが寄せられています。
ステンレス
MORIWAKI ENGINEERING モリワキエンジニアリング:フルエキゾーストマフラー ZERO
モリワキのフルエキゾーストマフラーZEROには、小排気量車を中心にステンレスのサイレンサーが選択できるモデルが存在します。
ステンレスだからといって侮るなかれ。ステンレス独自の光沢がとても美しく、価格もリーズナブルながら所有欲を刺激する仕上がりとなっています。
モリワキのこだわりが伝わってくる、シルバーの輝きがシブい一品です。
チタン
r’s gear アールズギア:ワイバン
「最高性能・最高品質」をモットーに、ライダーが気持ちよく乗れるようなマフラーを造っているアールズギア。
そのモットーに基づき、アールズギアのマフラーは全て政府認証済みで出力特性もピーキーすぎず、常用回転域でのパワーが出るように設計されています。
フラッグシップモデルであるワイバンは、エキパイからサイレンサーに至るまでチタンで造られ、職人による手曲げで加工されています。
焼き色も美しく、徹底的に造形にこだわった芸術品のようなマフラーです。
カーボン
SC-PROJECT SCプロジェクト:SC1
MotoGPのHonda Repsol HRCチームやMoto3でのNSF250R、WSBKのKawasaki ZX10-R(Pederciniチーム)と多数の世界的レーシングチームやカテゴリーにマフラーを供給しているSCプロジェクト。
マフラーの形状や音質はまさにレース直系!MotoGPやWSBKのファンにとってはたまらないマフラーです。
全てのマフラーがレース用という思い切りの良いメーカーでもありますが、その分大迫力のサウンドであったり抜けが良かったりといったメリットがあります。
実店舗ではまずお目にかかれないレア商品。ぜひMade in ITALYのクオリティを体験してみてください。
材質ごとの特性を理解して、自分に合ったマフラーを!
マフラーと一口に言っても材質だけで色々な選択肢があります。私自身、とりあえずチタンマフラーにしておけばいいと思っていた口ですが、今回調べてみて決してそうではないことを知りました。
ライダーひとりひとりの目的によって、スチールがいいのか、ステンレスがいいのか、チタンがいいのか、カーボンがいいのか……今回紹介した内容が参考になれば幸いです。
ここでは紹介しきれなかったアルミもごく少数ながらマフラー素材として使用されていたりと、まだまだ奥が深いマフラーの世界。もっと知りたい!という方は以下の記事もオススメです。
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