文/Webikeバイヤー:エグチ
スプロケット交換のたびに検索してしまう
消耗品の中でも比較的寿命が長く交換頻度が少ないスプロケット。
役割としてはエンジンから出力される「力」をチェーンを介してリアタイヤに伝える重要な仕事をしている部品です。
このバイクが走る上でなくてはならない重要パーツ、スプロケットですが、歯(ギザギザ)の数を変えることで、加速性能や最高速を調整できるセッティングパーツでもあります。
今回は知ってるようで知らないスプロケットの歯数セッティングのお話です!
目次
どんな時に丁数を変えるの?
スプロケットの歯数のことを丁数と言いますが、この丁数を変えるとズバリ最高速か加速力のどちらかを得ることができます。
実際には、スプロケットの丁数が変わることで同じ速度でもエンジン回転数が変化するので最高速や加速力が変化するように感じるというものです。
例として、小排気量車で流れの速い道を走行するときに回転数が上がりすぎてうるさい、燃費が悪いというときは最高速を上げるセッティングをします。
逆に、信号待ちの出だしが遅いと感じたりコーナリングを楽しみたいという場合は加速重視のセッティングをします。
また、ギア比の関係でシフトアップのタイミングが早すぎる/遅すぎる車両のシフトタイミングを変えたい場合もスプロケで調整したりします。
それぞれのデメリットとしては、最高速度を求めたときは加速力が落ち、加速力を上げたときは最高速度が落ちるというデメリットがあります。
・コーナリング脱出時の加速力を高くしてワインディングを楽しみたい
・ボアアップしたので今までとエンジン出力が変わった
・低いギアがショートなのでシフトアップが忙しい
・シグナルダッシュの加速力が欲しい
スプロケット丁数増やす/減らすとどうなる?
なんとなくスプロケ丁数変更の効果は知っていても実際に変更する際、フロントとリアどちらを増やす/減らすしていけばいいかわからないという方も多いと思います。
何を隠そう筆者もその一人。毎回念のため調べるタイプです。(だって、交換するの数年に1回ですし…)
というわけで簡単にわかる表を用意しました。
スプロケット丁数変更速見表
表のとおり、最高速を上げたい場合はフロントスプロケットの丁数を増やすか、リアスプロケットの丁数を減らす。
加速力を上げたい場合はフロントスプロケットの丁数を減らすかリアスプロケットの丁数を増やす。
それぞれ、フロントとリアでは増減が逆の関係になっています。
どちらのスプロケットを交換する?
スプロケットの丁数変更でもう一つ悩むのがフロントとリアどちらを交換するのかという問題。
目的が丁数変更による車両特性の変更のみの場合はフロントスプロケットの交換をオススメします。
・リアを3丁変更する時の効果がフロントの場合約1丁の丁数変更に当たる
(逆に細かい調整はリアのほうがやりやすい)
・1丁~2丁の丁数変更であればチェーンの長さを変えなくて大丈夫なことが多い
総じて、コストを抑え大きな変化を得られるのがフロントスプロケットの丁数変更と言えます。
一方で、フロントスプロケットの脱着は車両によってボルトが非常に硬い場合もあります。
また、リアと違い車外から見えないためカスタム感が薄いというデメリットもあります。チェーンと合わせて駆動系全体をリフレッシュしたい場合などはリアスプロケットの丁数変更を選択するといいでしょう。
なぜ最高速や加速力が変化するの?
これは、スプロケットの丁数変更で二次減速比が変化するからです。
二次減速比とは「リアスプロケットの丁数÷フロントスプロケットの丁数」で算出される数値です。
この計算で求められる数値はリアタイヤを1回転させるのにフロントスプロケットを何回転させるのかという比率を表す数値です。
例えばおなじみのスーパーカブ110のノーマル丁数はフロント14丁、リア35丁です。この場合の二次減速比は35÷14で2.500となります。
つまりリア1回転させるのにフロントが2.5回転するということですね。この時の最高速度は4速7500回転で87.6km。
では先ほどの丁数変更速見表をもとに最高速を上げるためにフロント丁数を1丁増やすことにしましょう。
フロント15丁、リア35丁の場合の二次減速比は35÷15で2.333になります。
リアタイヤを1回転させるためにフロントが回らないといけない回転数が2.500回から2.333回に少なくなりました。
つまり少ない回転数でリアタイヤを1回転させることができるようになる=同じ速度のエンジン回転数が下る=最高速があがるというわけです。
ちなみにこの時の理論上の最高速度は4速7500回転で93.9Kmとおよそ5km程最高速度が上がることが予測できます。
このようにスプロケットの丁数の変更で速度や加速力が変わるわけです。
・リアタイヤを1回転させるのにフロントスプロケットを何回転させるのかという比率を表している
・二次減速比の数値が小さくなれば最高速寄り、大きくなれば加速寄りの特性
二次減速比は自転車をイメージしよう
計算式にすると難しいですが、この減速比の変化による加速と速度の変化はギア付きの自転車で軽いギアと重いギアの時の加速と最高速度をイメージするとわかりやすく理解できると思います。
変速機付きの自転車では走り出しは軽いギアを選択し、速度が乗ると重いギアに切り替えて走りますよね?
同じスピードで足を動かしていても軽いギアでは速度は出ませんし、発進時に重いギアだと走り出しがつらくなってしまいます。これがバイクのスプロケットでも起きているとイメージするとわかりやすいでしょう。
また、スポーツタイプの自転車ではギアがリアホイール部分に見えている場合が多いですよね。あのギアも1速は大きく丁数が多いギア、6速は小さく丁数の少ないギアになっています。ここもバイクのスプロケットと一緒です。
自転車ではフロントとリアのスプロケットが変速機も兼ねているのでこのような構造ですが、バイクの場合この変速を行うのはミッションの部分です。
スプロケ交換はサンスターがおすすめ
スプロケットの丁数変更には、サンスターのスプロケットがおすすめです。
サンスターのスプロケットは多くの車両の純正スプロケットとして採用されており信頼性バツグン。
さらに車種ごとに複数の丁数をラインナップしているので丁数変更の際も目当ての丁数のスプロケットを見つけやすい特徴があります。
フロントは強度が何よりも重視されるため、スチール製を採用していますが、リアはスチールのほかにも、軽さと高い精度、耐久性を誇るアルミスプロケットもラインナップされています。
このリアアルミスプロケットは純正スチールのおよそ1/3の重量となっていてバネ下重量の軽量化を図れます。
ハードアルマイト処理によって一目でカスタム感が出るだけでなく、車体全体も引き締まって見えるので丁数変更と同時にリアのアルミ化もおすすめのカスタムです。
・材質:クロムモリブデン鋼(SCM)
・耐久性:10,000km~30,000km
・材質:超々ジュラルミン(A7075-T6)
・重量:スチール(純正など)の約1/3
・耐久性:10.000km~20,000km
・材質:スチール(S45C)
・耐久性:20,000km~40,000km
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125ccエイプです フロント15丁でリヤが 41丁でのスプロケットです ウイリーぎみに、なってしまい あとリヤを、何丁 下げれば良いですか?
シャフトドライブなんだが・・・
リア側(ドリブンスプロケット)を何丁下げるかは、チェーンのリンク数(長さ)とスイングアームの干渉にも気をつけて。
排気量あげてウイリーする程パワフルになったのを落ち着かせるなら、まずはフロント側(ドライブスプロケット)ひとつ上げてみては?
gsr250Fのチェーン、スプロケ交換しようと思うのですがフロント14、リア46丁、リンク116
リアだけ49丁に変更してもチェーンは問題なく交換できますか?