文/Webikeバイヤー:yasuo

Webikeでも発売開始以来大人気のスポーツラジアル『ブリヂストン バトラックス S22』が2019年にデビューしました。

今回は発売開始直後のS22をS21と比較しながらインプレッションしていきます!

インプレッション条件

場所:富士スピードウェイ ショートコース

日付:2019年3月13日

天候:晴れ

気温:12-15度

路面:ドライ(一部インフィールドに散水…!)

 

私自身が過去に耐久レースで走り慣れている富士スピードウェイショートコース。

高低差が多く、切り返しも多いのでワインディングのようなコース環境です。

好天に恵まれましたがインフィールドに散水車でヘビーウェットのセクションが設けてあり、

雨天路面も体感できる環境でした。

 

ブリヂストンのスポーツタイヤ変遷

インプレッションに入る前に今回ご紹介するS22までのブリヂストンのスポーツタイヤを振り返ってみましょう。

 

2008年→BT016
2010年→BT016 PRO
2012年→S20

2014年→S20EVO

2016年→S21

 そして・・・

2019年→→S22が登場しました。

 

今までブリヂストンのプレミアムラジアルタイヤは2年ごとにマイナーチェンジ、4年でフルチェンジを行なっていました。

しかしS22の前身であるS21は仕様変更を行うことなく3シーズンもの間、ブリヂストンのスポーツラジアルの中心モデルで頑張ってきました。

実際に2018年シーズンでも、ウェビックではその人気が落ち込むことなくリピ買いライダーにも支えられてきたヒットモデルです。

これはS21で初採用したブリヂストンの独自解析技術「アルティメットアイ」によって、ネガティブの少ないバランスに優れたタイヤだったことを意味しているのかもしれません。

 

※私自身の愛車も、現在はS21を装着しています。


そんな高バランスのS21の後継とは、どんなタイヤなんだろうと期待を膨らませて会場に到着。

 

今回の比較試乗会では、S21とS22を、同じコース、同じ車種で連続して乗り比べすることで、

その進化を体感して欲しいというブリヂストンの心意気を感じました。

また、インフィールドの一部に散水エリアを設け、ウェットグリップの向上を感じて欲しいという

スポーツタイヤなのに少々イジワルでは?という演出もありました。

筆者は、今回タイプの違う3モデル(GSX-S750 、MT-09、CB1300SP)をチョイスしました。

モトレポート MT-09(2017)試乗インプレはこちら

モトレポート CB1300 SUPER FOUR SP (2019) 試乗インプレはこちら

S22ってこんなタイヤ

商品勉強会で開発ストーリーを予習しました。

「前モデルS21の後継として、ラウンドプロファイル(断面形状)は変わっていない」

「パターンは新設計し、S21よりもグルーブ(溝)の割合が増加」

「トレッド剛性を変えることでハンドリング性能を改善」

「特にミドルバンク付近のトレッドの入れ方を工夫してウェットグリップが向上」

「新技術の微粒径シリカ新採用でシリカの表面積が25%も向上⇒ウェット性能アップ」

「新開発のフロントセンター&リアトラクションゴムで低温~中温でのドライグリップが向上しました」

 

本当!??

良いことばかりを聞いて、若干の疑いの気持ちを持ってコースインしたのであります。

S22はツーリング、ワインディングからサーキット走行会レベルまでをカバーする

位置付けのため、レーシングペースではなく、むしろワインディングを飛ばす程度のスピード

でスムーズ走行し、時々グイ~っとトラクションをかける乗り方をしてみました。

 

比較すると、違いが明らかに

S21で7週走って、ピットインしてS22の同じ車種にスイッチしてすぐに再度コースイン。

私はプロライダーではありませんが、その違いに気づくことができました。ホッ。。

3モデルのなかでは、特にMT-09とCB1300SPで違いを大きく感じました。

 

ハンドリングが違う

プロファイルが同じなのに、不思議なことにターンインでのフロントの入り方が少し積極的になっています。

ブレーキを少し残した状態で目線を入れてバンク・・・の時にS22のほうが30-40cmぐらい内側をトレースします。

ネガティブな癖ではなく、同じバンク角でも少し積極的に向きが変わる。

例えば、試乗車は同じモデルでガソリン満タン同士なのに、S21では満タンで、S22ではガソリン半分?のような印象です。

なお、レーンチェンジ時のように減速を伴わない穏やかなバンクではあまり違いを感じませんでした。

フロントに荷重を乗せ気味にギュッと向きを変える操作の際に違いが出てきます。

 

MT-09では、ピッチングの大きさと軽い車体の特性のキャラクターが立ってきます。

ついつい、ちょっと激しめに乗ってみたくなります(笑

 

CB1300SPでは、ゆっくり走ってもペースを上げてもフロントの旋回性アップが好印象で、ライダーが3歳ぐらい若返る気分です。

タイヤの形状が同じなのにハンドリングの違いがあるのが不思議でしたが、BSスタッフの方に理由を聞いたところ

トレッド剛性バランスを変えたことで、タイヤ表面のたわみ特性が変わり、S21よりも旋回特性を上げているそうです。

アルティメットアイ解析技術の成せる技なのでしょうか!?

 

GSX-S750 では前述の2モデルほどの違いを感じませんでしたので(どちらのタイヤでも心地よい!)

モデルによって変化度合いに差があるようです。

安心感って大事。低温でも安定?

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低温から中温まで、一般的によく使う温度域でのドライグリップが向上しているそうです。

今回の試乗会では初春ということで極端な低温ではなく、走り始めから滑る感じはゼロ。

正直なところ、新旧どちらも充分なグリップがありました。

でも低温グリップ向上は嬉しいですね。冬のワインディングなどで、冷えたタイヤで信頼できないでドキドキ乗る経験はありませんか?

幅広い温度レンジでグリップを上げてあるなら、安心が増したことになります。

これはフロントセンターとリアのサイドのコンパウンドを見直していることと新シリカの効果だそうですヨ!

 

安心感ってやっぱり大事。ウェットのグリップ向上は嬉しい

 

ウェット路面はお世辞抜きにツーリングタイヤに近い感覚でした。

ちょうど雨のコーナリングで使う、バンク角20-30度のところの溝の入り方が大きく変わっています。

S21では不等間隔に大きめの溝が入っていましたが、S22はスポーツタイヤにしては溝多め。しかもほぼ等間隔にトレッドが

入っています。コーナーでの接地面積が名刺1枚分だとすれば、その名刺サイズのなかに1本、排水の溝が有る設計です。

ここがポイントです。

S22はバンクした際の接地面に溝が増えている!

 

またウェットグリップにも寄与するシリカという成分を超微粒子サイズに変更したことによって、

タイヤ表面積に出現するシリカの数が増えていて、雨でもしっかり排水し、路面にも吸着するとのこと。

試乗会のコーナリングでは、そこそこペースアップしましたが「安定。なにも起こらない」・・・

レポートとしてはイマイチなのかもしてませんが、散水されたコーナーでも何も起きませんでした。

これって大事なことだと思います。

私の愛車に履いているS21では雨のツーリングで調子に乗ると、リアがズ…ズ…ズっと滑った経験は何度もあります。

試乗ではS21でも滑る感覚が無かったため、もっとペースを上げられるのかもしれません。

 

走行後のタイヤチェック

S21よりもドライ&ウェットグリップを高め、でも「ライフは同等」という話でしたが

走行後のタイヤを確認すると、S22のほうが僅かに荒れているように見えました。

全く同じペースではライフ同等かもしれませんが、S22の軽快なハンドリングで、無意識に

ちょっと積極的なライディングをしたのかもしれません。

極端な荒れ方の差ではないため、性能向上の差を考えると充分許容範囲だと思います。

 

こんなライダーにおすすめ!

・S21を使い倒して、もう少し上を目指したい

・ワインディングも元気よく走りたい

・ハイグリップだけど色々なシチュエーションを楽しみたい

・ツーリングにも使うので急な雨でも怖い思いをしたくない

・必要条件の「安全」から、充分条件の「安心」へ

 

S21やS22から、さらにスポーツライディング中心を求めるならRS10のほうが限界グリップは良く、

長距離も雨もガンガン走るなら耐久性の高いT31がお勧めです。

BATTLAX RACING STREET RS10の詳細はこちら

BATTLAX SPORT TOURING T31の詳細はこちら

 

この中間(どっちも!)を求めるライダーは多いと思いますし、各メーカーでもこのジャンルは競争が激しいです。

ブリヂストンは、ハイグリップなのに軽快、急な雨も安心。という難しい要求へのひとつの答えとしてS22をデビューさせたのでしょう。

3年間じっくりと時間をかけて開発されたS22を、ウェビックユーザーの皆さんにも比較試乗してほしい!

ブリヂストンさん、Webikeユーザー向けの比較試乗会の企画をお願いしたいです!

 

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