見るのも、走るのも楽しいバイクだが、その反面気がかりなこと、それは愛車の盗難だ。
自宅にせよ、旅先にせよ夜間、ライダーはバイクと離れなければならず盗まれないか? いたずらされないだろうか? と少なからず愛車のことが気にかかるものだ。
そんな愛車思いのライダーの強い味方が、今回紹介するSIM内蔵型盗難対策GPSスマートトラッカーのMonimoto7(モニモト7)だ。
Monimoto7は右の本体とキーで構成され、Monimoto本体のサイズは94×61×19㎜で95g。本体はバイクに積みっぱなしにできるよう防水防塵仕様となっている。
Monimotoは2020年に登場した北欧生まれの盗難対策アイテムで前作のMM6に続き2世代目、このMonimoto7は最新機種となり、日本への輸入は株式会社BalticVisionが行っている。
モニモト7の仕組みはどうなっている?
Monimoto7はいわゆる、アップル社のAirTagと同じスマートトラッカーの一種で、スマートフォン(iPhone/Android)と連動することで愛車の位置情報をモニタリングしたり、バイクから離れている時に不審な振動や移動があれば、スマートフォンに電話発信を行い、オーナーにその異常を知らせるというもの。
出先、自宅を問わず、オーナーのスマートフォンに愛車の危機を通知するのがMonimoto7の主な機能。
バイクに設置するMonimoto本体と、オーナーが持ち歩くMonimotoキーで構成されており、使い方は電池を入れてスマートフォンにアプリを入れ、ペアリングしたら、あとはキーを持ち歩くだけでOKという、非常に使い勝手のいいシステムとなっている。
スマートトラッカーというと、現在はBluetooth通信だけの簡易的なアイテムが主流だが、Monimotoの特徴はSIMが組み込まれていること。このため短距離通信のBluetoothだけのスマートトラッカーとは違い、携帯電話の電波が届く範囲であれば、バイクとライダーが遠く離れていても機能することにある。
モニモト7の使い勝手は?
今回実際に最新機種のMonimoto7を使ってみたが、関心したのは操作や設置がとても簡単で、スマートフォンとペアリングして使用するBluetooth機器を使ったことがあるなら、特別な配線知識がなくても使いこなせることだ。
箱を開けて、乾電池2本をセットアップ。Monimoto7の本体&キーの電池は1年ほど保つという。
スマートフォンに専用アプリケーション“Monimoto”をインストールし、日本語での指示にしたがってペアリングしたら起動は完了。
バイクへのMonimoto本体の設置に関しても、乾電池による独立駆動となるため、バイクのシート下などの空きスペースに本体を入れたらそれで完了。あとはMonimotoキーをライダーが身に付けて持ち歩くだけ。
Monimoto本体のロゴがある面に衛星からの位置情報をとらえるためのGPSセンサーがあり、このロゴがバイクの上面や側面などに向かうように設置する
Monimotoキーは携行しやすいように小型に作られており、家の鍵や財布などと一緒に常に持ち歩く。バイクのキーと一緒に取り付けたくなるところだが、防水性能やキー本体ごと盗まれるリスクを考えると別々に持ち歩くのがベター。
Monimoto7の最大の特徴は、システム起動スイッチといった操作が全く必要ないということだ。Monimoto本体をバイクに設置し、Monimotoキーを身に付けたら。普段通りバイクを使うだけ。
乗車中など、MonimotoキーとMonimoto本体が近ければ、システムはオフになり、バイクを降りてライダーが持つMonimotoキーがバイクから離れればシステムが自動で起動する。
システム起動の状態で不審者によるバイクの移動や振動を感知すると、アラームモードとなりMonimoto本体が通信を行ってライダーのスマートフォンに電話をかけて異常を知らせる。
異常探知中のアラームモードになると数分置きにに繰り返し電話がかかってくる。
相手の電話番号は海外番号だが常に一緒なので、連絡先に「盗難警報!」などの名前で登録しておこう。
またアラームモードでは専用のアプリケーションに、GPSによるMonimoto7本体の位置情報も記録される。つまりバイクが移動しているか? いないのか? どこにあるかが確認できる。
盗難を想定してアラームモードのまま走ってみると、GPSによりかなり正確な位置情報を記録していることが確認できた。
アプリの「イベント」の項目には、キー&本体の接続状況の他、アラームモードになるとその場所はもちろん、移動している場合は約5分毎に位置情報が記録される
画面中央左、尾鷲神社のあたりに本体(バイク)があり、キー(ライダー)は画面右中央あたりの民宿山口あたりにいる。実際、この道を走ってテストしており、位置情報はかなり正確。
モニモト7セットアップのポイント
Monimoto7のシステムをうまく活用するポイントは、居住環境によるMonimoto本体とMonimotoキーの離れ具合をどう設定するかにありそうだ。というのもMonimoto本体がMonimotoキーを持つライダーと〝離れていると認識(Bluetooth通信が切れる)〟しないとシステムがオンにならない。このためアプリには、振動センサーの感度設定のほかに、Monimotoキーとの離れ具合を設定メニューがあり、住居環境に合わせて「近・中・遠」でセットアップできるようになっている。
実際に使用してみた感覚としては、コンクリートの屋内に入ると〝離れている〟と認識されやすく、逆に見通しのいい場所では〝離れている〟と認識されにくいよう。発表によれば見通しのいい場所での感知距離は最大50mほどだという。
スマートフォンのアプリでは、感知の感度や、キーとの距離設定などが行える。ちなみにMonimotoキーとMonimoto本体はBluetooth接続されており、通信範囲から出ると〝ライダーが離れた〟と認知してシステムをオン。近づいてBluetooth通信が回復するとシステムがオフになる。
モニモト7のランニングコストは?
さて便利なMonimoto7だが、気になるのはその価格とライニングコスト。定価は本体購入価格の2万6999円で、最初の2ヶ月間は無料利用できるものの、その後は通信を行うためのSIMカード利用料が年間49米ドル(約5600円)、月割りで467円ほどのランニングコストがかかる。まぁ、バイクの盗難が不安なら、日々の心の平穏を買うと思えば安い気もしてくる。
ちなみに支払いは、SIMが使用期限を迎える前にアプリから通知があり、アプリ内での決済(クレジット、Paypal)が可能なので手間はなさそうである。ちなみにどちらの方法でも決済ができない場合は、少々割高になるもののBalticVisionでの立て替え精算も可能とのことだ。
モニモト7は汎用性が高い
実際に使ってみて感じたのは、このMonimoto7はバイクの盗難対策だけでなく、いろいろなものの盗難対策に使えそうだということだ。本体に配線作業や機器登録が必要ないため、セカンドバイクやクルマにMonimoto本体を載せ替えれば、それが保護対象となる。つまり、場面に合わせてMonimoto7を使い分けられるのだ。また、Monimoto7はスマートフォンの通信環境さえ整っていれば海外での使用も可能。バイクはもちろんだがスーツケースなどの盗難対策にも役立ちそうである。
キーは単体で別売りされており、キーを複数ペアリングすることで家族でバイクやスクーターを共有しているときなどにアラームを鳴らさずに乗ることができる。
Monimoto7は本体サイズが小さいので、125ccなどの排気量の小さなセカンドバイクなどへの設置も簡単。またクルマなどの盗難が気になる乗り物や荷物などの盗難対策にも便利。国外への対応状況は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、タイ、ベトナム、マレーシアなどで、その国に対応したSIMの入ったスマートフォンが必要になる。
この手のスマートトラッカーで気になるのは電池の消耗具合。Monimoto7は本体に単3電池2本、キーにボタン電池(CR2450)が必要だが、GPSの機能などを常時モニタリングしないことで1年ほどはもつ設計とのこと。また電池の消耗具合はアプリで確認可能で、バッテリーが20%を下回るとアプリのプッシュ通知で教えてくれるそうなので、いつの間にか電池が切れて機能してないなんてことがないようになっている。
アプリ内で本体はもちろん、キーの電池の消耗具合も確認できるのでいつの間にか電池切れて無用の長物……なんてことがないのがいい。電池の持ち具合は通常使用で約一年。頻繁にアラームが鳴るような場合は3~4ヶ月とのこと。
【重量】95g(本体)
【サイズ】94×61×19㎜(本体)
【通信規格】LTE-M(LTE Cat-M1)
【位置情報システム】GPS、GLONASS +Telit ioT LOCATE
【定価】2万7000円(税込)
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