
motoGPをはじめとする世界の主要レースで必要不可欠なトップサスペンションブランドとして40年以上君臨するのがオーリンズ(OHLINS)。
性能が超一級なのは輝かしい実績が証明しており、サスペンション交換の際には真っ先に候補に挙がるブランドとしてお馴染みです。
でもラインナップが豊富過ぎて、自分のバイクに適合する製品が複数有ったりすると何がどうなっているのか解らないという方も多いのでは?
かなり高価なパーツですので、購入後に後悔しないためにも「そもそもどういう商品構成になっているのか?」「ラインナップによって何がどのように違うのか?」このあたりは押えておきたいところです。
そこで、オーリンズのラインナップを整理し、わかりやすくまとめました。
品番を見れば『どんな機能を持った製品なのか?』が解るようになります。
※オーリンズは“タイプ記号”と呼ばれる数字とアルファベットを組み合わせた品番が存在し、これを読み解けばそのユニットがどのような構造で、どんな機構や調整機能が採用されているのかが解ります。
目次
オーリンズとは?
世界各地ののトップカテゴリーレースはもちろん、アマチュアレース、最近では4輪でも知名度を上げている超一流のサスペンションブランドです。
ラリードライバーを多数輩出する北欧のスウェーデンを本拠地としており、もしかすると「荒れた滑りやすい道をスッ飛ばす」という北欧の国民性(?)が素晴らしい性能の秘訣なのかもしれません。
創業は1978年との事ですが、日本で名が知られるようになったのは1980年代半ばから。
それまでもモトクロスやエンデューロの世界チャンピオンマシンに装着されていたそうですが、当時は世界選手権のモトクロスを扱っている雑誌記事などほぼ無く、ましてやチャンピオンマシンに装着されているサスペンションが何なのかなど知る術はありませんでした。
ところがmotoGP(当時はWGP)で有力チームの車両に装着されている写真が出回り始めると状況は一変。
その性能から一気にメジャーとなり、高性能カスタム車には欠かせないサスペンションブランドとなりました。
1990年代初頭には既にオーリンズの黄色いスプリングは憧れと垂涎の的でした。
僅かな期間で新興ブランドから憧れのブランドへと成長したのは、全てその性能の賜物です。
交換するメリットは何?
非常に高価な物なので、購入にはかなりの決意が必要なパーツです。
「良い」という話は良く聞くものの、具体的に何がどう良いのかが非常に気になるところでしょう。
まずは代表的な特徴を知ってください。
高品質
手に取れば誰もが納得する高品質。
それは単に表面加工が美しいといった単純な話ではなく、例えば3セット購入したら3セットとも寸分違わずキッチリ同じ性能を発揮する……といった事も含みます。
表面的な見た目が高品質なのは当然として、目に見えない中身の品質も常に最高を維持しているという事。
機械なんだから全部同じに決まってると思ったら大間違いで、実はこれが難しいのです。
また、こういった品質はカタログスペックには表れません。
ダンパー調整のクリック段数が多ければ高品質とか、そういった表面上の話とは違います。
例えスペックに現れない部分でも、それが性能の為に必要であれば手を抜かないのがオーリンズです。
高精度
今でこそ高精度を誇るサスペンションブランドは多数ありますが、それは単に工作機械の精度が良くなったおかげという面があります。
しかしオーリンズはまだ他社の精度が甘かった頃から抜群の精度を誇っており、同じ高精度でも歴史が頭一つ飛び抜けています。
「高精度」に対する経験がケタ違いなのです。
高品質に通じる部分でもありますが、精度の高さは乗れば誰でもすぐに体感できると思います。
乗らなくてもわかる例として……、
スプリングを外した状態でダンパーロッドを押し込むと、内部のガス圧によって押し戻されてきます。
ここまでは純正品も他社製品もオーリンズも同じ。
しかし、純正品が様々な摺動抵抗の為に完全に元に戻らない、戻る時間が毎回違う、伸びの停止する位置が毎回違うといった動きになるのに対し、オーリンズ製は毎回必ず完全に伸び切ります。
しかも全屈時から伸び切りまでの時間が毎回同じ。
摺動抵抗が少ない高精度(高品質)の証です。
調整範囲が広い
ダンピングアジャスターのクリック数が多く、無段階調整なら調整可能な範囲が広いです。
多段調整を謳う他社ブランドでは段数の最初と最後で特性がほとんど変化しない場合がありますが、オーリンズにはこれがありません。
20段と書いてあれば20段分、キッチリ変化します。
仮にダイヤルそのものは30段以上クリック数があっても、調整出来る範囲が20段なら「20段」と書いてあります。
純正サスペンションとは比較できないレベルで調整幅が広く、最弱から最強までの変化の大きさは感動的です。
調整幅が細かい
段数の多さも大事ですが、1段の変化幅も大事です。
メーカーではそう言っていませんが、体感としてオーリンズはこの1段の幅が狭いです。
しかも高品質高精度なので、その狭い1段の幅がちゃんと変化として体感可能なのが素晴らしい。
この辺りもカタログスペックに表れない部分ですが、実際にセッティングし始めると極めて重要です。
イメージとしては下の図のような感じ。
耐久性がある
高品質、高精度なのでどこかがキツく擦れたり、無駄なガタがあったりしません。
このため各部の摩耗は極小となり、もともと耐久性は高いです。
しかも、高級サスペンションの常識としてオーバーホールが可能な構造なので摩耗してもパーツ単位で交換が可能。
末永く使う事ができます。
私が初めてオーリンズを購入したは30年近く前の話ですが、未だに現役です。
さすがに取付け部のベアリング横にあったスポンジ状のダストカバーとバンプストップラバーは割れてしまいましたが、どちらも次回のオーバーホールで復活可能。
この調子だと一生使えるのはほぼ間違い無いでしょう。
機能美
実戦から得られた機能と精度と品質と耐久性が融合した結果、他社製品では真似の出来ない機能美が宿るに至っています。
無駄を徹底的に排除し、性能だけに全振りした造形美がそこにはあります。
余計な装飾は一切ありません。
細かな付属パーツの形状にも全て意味があります。
ホントに体感できるの?
高価なサスペンションを購入検討する時に心配なのは「果たして自分の腕で体感できるのか?高価格に見合う性能を感じ取れるのか?」という部分でしょう。
これは「誰でも体感できる」と断言します。
フリクションの少なさが生むスムーズでしっとりとした動きはほとんど走り出した瞬間から体感でます。
下手するとサイドスタンドを払うために車体を起こしただけですら、スッと動くサスペンションに驚く事でしょう。
これはスプリングが柔らかいからでもダンバーが弱いからでもありません。
圧倒的な摺動抵抗の無さが僅かな荷重変化にもスムーズに追従し、ゆっくりと動くサスペンションにもしっかりダンピングが効くのでスッと収まるのです。
純正と比較すると圧倒的にコストの掛かった部品になるので、動き出しのスムーズさは感涙ものです。
正しいサスペンションの動きとはこういう事だ、と体感できます。
各部の働きの解説と特徴
ピストン径について
オーリンズでは最小36mmから最大46mmまで、径の違う4種類のダンパーピストンを用意しています。
ではダンパー径が違うと何が起きるのか?
ピストン径が大きいとダンパーのシム径が大きくできます。
また、同じストローク量なら動かすオイル量を多くできます。
その結果、大径ピストンは細かなセッティングに対応しやすくなります。
しかし車体構造上、大径ピストンが使えない場合も多々あるので(2本サスの車両は特に制約が多い)、小径ピストンも用意してあるというわけです。
小径ピストンの方がシビアですが、そこはオーリンズ。
2本ショックだからというだけで性能が劣ったりはしません。
リザーバータンクについて
サスペンションが縮むと、本体内にダンパーロッドが入ります。
ダンパーロッドの体積分だけオイルをどこかに逃がさなければなりません(液体を圧縮する事はできないので、そうしないとダンパーを縮める事ができません)。
そこで、オーリンズではガス室を設けてダンパーロッドの体積分のオイルを吸収する構造をしています。
このガス室の事をリザーバータンクと言います。
一見リザーバータンクが無いように見えるダンパーでも、ダンパー内部にガス室を設けてあります。
しかし、ダンパー内蔵式のガス室では容量に限りがあります。
そこで編み出されたのがリザーバータンク別体型。
ダンパー本体とは別に独立したリザーバータンクを持つ方式で、ダンパー本体と剛結合しているタイプと、油圧ホースによって完全に独立しているタイプの2種類があります。
理論上タンクはダンパー本体に近い方が良いのですが、車体構造上ダンパー本体に一体化できない事があり、そういった場合に別体化されて別の場所にリザーバータンクだけマウントする事になります。
この別体式の方がメカメカしくて好きという場合も多く、見た目重視でわざわざ別体式を選ばれる方も多いです。
一体型と別体型の性能の違いは……、おそらくほぼ全員が体感できないと思います。
圧側(comp側)調整について
圧縮側のダンパー調整機構です。
コンプレッション側=Compression側=COMP側、全部同じ意味です。
激しいギャップでサスペンションが入り過ぎるのを防止するダンパーの調整という事になるので、『伸びるのを制御する』というダンパー本来の働きとは異なり、あまり効かせるものではありません。
しかし上手く調整すると、走行中に出現する例外的に大きなギャップでのみ無駄に縮む事を防止出来たりします。
また、一部のグレードでは更に細かく「低速側」と「高速側」で別々にダンパーの効きを調整できる物もあります。
低速、高速というのはバイク本体の走行スピードの事ではなく、ダンパーのピストンスピードの事です。
ですので「俺はのんびりツーリング派だから低速側しか用が無いだろうな」というのは誤りです。
おおまかに低速側はスムーズな路面でサスペンションがゆっくり動く時用、高速側は荒れた路面でサスペンションがバンバン動いている時用と考えると解りやすいです。
段数が多いほど、1段が細かいほどエライ。
伸側(ten側)調整について
伸び側のダンパー調整機構です。
テンション側=Tension側=TEN側、全部同じ意味です。
オーリンズではわかりやすく『リバウンド側』と言います。
ギャップで縮んだサスペンションが戻り過ぎて揺り返したりするのを防止する、ダンパー本来の働きを調整する部分です。
段数が多いほど、1段が細かいほどエライ。
プリロード調整について
オーリンズ製はだいたい無段階調整になっています。
本体外周にあるネジを回してスプリングを縮めたり緩めたりします。
基本的に一度決めたら車体ディメンションが変化したり乗り方を変えたりしない限りは不変なのですが、それはレースでの話。
我々一般ライダーはキャンプ用品を乗せたり、タンデムしたりしますので、本来ならプリロードはけっこう頻繁に変化させなければならない物です。
わかりやすい例え話をすると、タンデムした時にヘッドライトの光軸が上を向いてしまいますよね?
そんな時、プリロードを掛ければ車体の姿勢を本来の位置に戻す事ができます。
プリロードとは、バネ上にある重量が変化した事で車高が変化してしまった際に調整する事で、本来の車体姿勢に戻すための装備です。
バネに与圧を与えるのがプリロードですので調整にはバネを位置決めしている部分を触らなければなりませんが、バイクのサスペンションは奥まった部分にある事が多く、作業がしにくいもの。
そんな作業がやりやすいように、プリロードを油圧調整可能にして操作ダイヤルを外に設けているモデルもあります。
一人乗り、タンデム、ツーリング、キャンプ……という感じにリヤに掛かる荷重が変化しやすい方にオススメです。
車高調整について
主にダンパー下部にあり、ネジを回す事でダンパー全長を変化させる物です。
車高調整機構があるモデルでは、正しいバネレートと正しいプリロードを選択したら車高が狙った範囲を超えてしまったという場合に、バネレートとプリロードのセッティングを変えないまま車体姿勢を整える事が可能になります。
車高調整機構が無いモデルの場合、車高を正しくするためにはバネレートかプリロードを妥協しなければなりません。
シングルチューブ、モノチューブとは?
ダンパーの内部構造を表しています。
その名の通り、シングルチューブはダンパー内に筒が一つ、ツインチューブはダンパー内に筒が2重になって入っています。
シングルチューブはダンパー内ギリギリまでピストン径を大きく出来るのがメリット。
大きなピストンは細かな動きでもダンピング調整の効果を発揮しやすくなります。
ツインチューブはメインダンパー内に小さな径の筒をもう一つ設け、内側と外側の筒とでダンパーオイルを循環させる方式です。
オイルが循環するのでダンパー内でオイルの圧力差が生じにくく、ダンパーピストンの高速移動時にキャビテーション(急減圧によって発生する気泡)が発生しにくいメリットがあります。
現在のオーリンズでは通常のツインチューブを更に発展させた『TTX』と呼ぶ独特の構造になっています。
TTXとは?
オーリンズ独自の機構ですが、基本的にはツインチューブ式です。
ただし、他社で採用されているツインチューブ方式ではダンパーピストンにオイル通路を設けてシムで減衰を調整していたのに対し、オーリンズのツインチューブ(=TTX)ではダンパーピストンに減衰調整機構がありません。
ピストンはピストンとして純粋にオイルを押しのける事だけを行い、押しのけられたオイルの循環通路に完全に独立した調整機構を設けてあります。
メリットは圧側と伸側を完全に独立して制御できる事。
TTX以外のダンパーでは伸/圧どちらかを調整すると必ずもう片方にも影響が出ましたが、TTXは完全に独立したオイル流路を持ち、伸/圧それぞれに完全に独立した調整機構を持つので伸び側の調整が圧縮側の調整に影響する事がありません。
また、従来のようにダンパー内のピストンで区切られた低圧側で急減圧に伴うキャビテーション(急減圧によって発生する気泡)が発生しにくくなるので、キャビテーション防止のためにダンパーオイルに与圧を与えるガス圧を低く設定できます。
ガス圧が低くなるとオイル漏れを防止するためのオイルシールを緩くしてもオイル漏れしなくなるので、摺動抵抗の大きなオイルシールを使う必要が無くなります。
この結果、低フリクションでスムーズな動作が出来るようになります。
※下図は概念図ですが、複雑になるので圧縮側だけを書いたものです(実際にはこれと同じ伸び側の経路が別にもう1系統あります)。
ピストンに減衰調整機構が無いのがおわかり頂けると思います。
記号解説
最初に書きましたが、オーリンズは『タイプ記号』と呼ばれる数字とアルファベットを組み合わせた品番が存在し、これを読み解けばそのユニットがどのような構造で、どんな機構や調整機能が採用されているのかが解ります。
記号と数字の意味は下記のとおり!
シリンダータイプ
S:シリンダーの構造がシングルチューブ
T:シリンダーの構造がツインチューブ(TTX)
ピストン径
36:直径36mmのピストンを採用
39:直径39mmのピストンを使用
44:直径44mmのピストンを使用
46:直径46mmのピストンを使用
ショックアブソーバーの形状と内部構造
E:シリンダー内にフリーピストンを持たないタイプ
D:シリンダー内にフリーピストンを内蔵しているタイプ
P:ピギーバック式(ボティ一体型)のリザーバータンクを搭載
H:ホースで連結したリザーバータンクを搭載
K:クロームメッキ仕様
搭載されている各種調整機構
C1:コンプレッション(圧側)減衰力調整機能あり
C2:コンプレッション(圧側)減衰力を低速域と高速域で独立調整可能
C4:コンプレッション(圧側)減衰力調整を電子制御式
R1:リバウンド(伸び側)減衰力調整機能あり
R4:リバウンド(伸び側)減衰力調整を電子制御式
S:スプリング・プリロード、ホース式の別体油圧アジャスター機構あり
S1:スプリング・プリロード電子制御
B:スプリング・プリロード、内蔵型油圧アジャスター調整機構あり
L:車高調整機能あり
記号の例
Type:T36PR1C1LS の場合
T → ツインチューブ
36 → Φ36mmピストン
P → ピギーバック式リザーバータンク
R1 → リバウンド減衰力調整機能付き
C1 → コンプレッション減衰力調整機能付き
L → 車高調整機能付き
S → 別体式油圧プリロードアジャスター付き
こうなります。
知ってしまえば実に解りやすい!
モノショックのラインナップ
シングルリアショックアブソーバー“TTX GP”
オーリンズ製モノショック(1本サス)の最高峰!
motoGP直系の構造となっており、世界に存在するリプレイスサスペンションの究極到達点と言って過言ではないでしょう。
これ以上となると電子制御可変式のセミアクティブダンパーとなり、後から交換できる種類の物ではなくなります。
純粋に物理的、機械的な制御で車体をコントロールするのであれば、これを超える物は存在しません。
ダンパーとして『要(かなめ)』である減衰力調整ニードルの形状を刷新しており、オーリンズ最高の調整の細かさと精度を実現しているのがTTX GPです。
電子制御サスペンションには負けるのでは?という疑問があるかもしれませんが、実はそうでもないです。
市販車で電子制御サスペンションを採用しているのは『あらゆるシチュエーションに対応するため』であり、路面のフラットなサーキット走行から段差を乗り越えるような大ギャップまでダンピングを自動調整しようとしているだけです。
そういった極端なシーンを無視すれば、主な用途では電子制御無しの方がセッティングしやすいとも言えます。
実際、本格的にサーキット走行する方は電子制御サスペンションを使いません(ライダーの意志に反してダンピング特性が変わってしまう事を嫌うため)。
つまり、最高峰のレースで使われている物と同じ品質のサスペンションが僅か20万円程度で購入出来るという事です。
ある意味、安いとさえ思います。
シングルリアショックアブソーバー“TTX RT”
2014年に登場したラインナップで、下記の「TTX36 MarkII」をベースに上記の「TTX GP」の要素を盛り込んだTTXシリーズのエントリーモデルに相当します。
「RT」は「Road&Track」の略です。
つまり、公道だけでなくサーキットでのレース用途まで含めた幅広いシチュエーションを想定したモデルです。
エントリーモデルと言うと粗悪な廉価版のようなイメージを持つかもしれませんが、そうではありません。
価格を抑えた最大のポイントは油圧プリロードアジャスターを装備していない事。
しかしプリロードを頻繁に変える必要のない方、例えば特定のサーキットでの走行だけに特化した方や、いつも同じような装備重量で走行されている方はプリロードを頻繁に変えなくて済むので大きな問題は無いでしょう。
減衰力調整機構の内部にある調整ニードルの形状はTTX GPで使われている物と違いますが(下記のTTX36 MarkIIと同じ物)、TTX機構のコンセプトは同じですので、伸/圧が完全分離して確実な調整が出来るメリットは変わりません。
適合車種のラインナップが少ないのが弱点ですが、適合車種に乗られているならラッキーです!
シングルリアショックアブソーバー“TTX36MarkII”
革新的なリヤショックとして登場した「TTX36」の後継モデルになります。
(※先代のTTX36はWebikeでの掲載は終了しています)
TTX機構のコンセプトである伸/圧が完全分離して確実な調整が出来る減衰力調整機構を進化させ、MarkIIの名を冠して生まれ変わった新世代のTTXリヤショックです。
それまで20段であった調整段数が25段になった他、各部の剛性を向上させて高荷重を長時間受けるような場面でも高い路面追従性を維持するようになった、現在のTTXシリーズの基本モデルです。
ほぼ全てのモデルでエンドアイ(ダンパーロッド側の車体取り付け部)にストロークセンサー取付け用のネジ穴が開いており、いかに本格的レースでの使用を睨んだモデルであるか、その片鱗を垣間見る事ができます。
レース向けの超高性能ダンパーとなりますが、もちろん公道でも使用可能。
最新のダンパー構造であるTTXの恩恵を余す事無く存分に受ける事ができます。
シングルリアショックアブソーバー“S46”
TTXが登場するまでの主力、オーリンズをここまで有名にした立役者。
それがこの『S46』シリーズです。
年代によって少しずつ進化してきたモデルですが、現在のラインナップはアルミボディとなります。
(※古いモデルでは鉄製のボディでした)
いわゆるリヤショックとして完成の域に達しており、これ以上進化する事が出来ないレベルに達してしまっています。
もう少し〇〇だったら良いのに……という部分が全く無く、車種専用設計によって装着に工夫や加工が必要だったりする事もありません。
また、長年使われて来た「シングルチューブ&多段積層バルブ」という馴染み深いダンパー構成ゆえ、過去40年間の膨大なセッティングデータを経験として生かす事が出来るので、車種ごとに素晴らしい初期セッティングが施されています。
特に多段積層バルブのセッティングは見事で、ほぼ全員がリセッティングの必要を感じないでしょう。
ダンピングアジャストダイヤルの調整だけで街乗り、峠道、ツーリングといった普通の公道走行から、本格的なレースでの優勝争いまで対応してしまうはずです。
このあたりは単に製品の造りが優れているだけでは不可能で、基本的に購入者が自分で調整できない内部構造のセッティングが完璧でないとどこかに無理が出るものです。
でもさすがはオーリンズ!購入者のほぼ全員が装着しただけでその素晴らしさを実感しているのはインプレッションをご覧いただけば一目瞭然です!
ツインショックのラインナップ
ツインショックアブソーバー“S36”
元祖オーリンズ!
オーリンズが創業するキッカケとなり、その後のレースで快進撃を続けて伝説となった伝統の2本サスです。
当時はモノショック(1本サス)はまだ登場しておらず、バイクのサスペンション = 2本サス でした。
ですので、2本サスを極める事はレースで勝つ為に絶対必要な事だったのです。
そして、創業当時から切磋琢磨し続けた結果、オーリンズ製ツインショックはほぼ究極の領域に達しています。
サスペンションの取付け位置的にこれ以上の進化が難しく、基本性能をいかに向上させるかが全てですが、もはやこれ以上は難しいレベルに達しました。
特徴は全ての基本をキッチリ確実に押えてある事。
上記のシングルリアショックアブソーバー“S46”と同じく、「シングルチューブ&多段積層バルブ」という高性能ショックの定番の構成を内包しているのは他社の最高級製品と同じですが、シングルショックと同様に長年培ったセッティング経験がケタ違いなのです。
汎用品ではなく車種専用でラインアップされているのは、車種ごとに多段積層バルブのセッティングが変えてあり、最適なダンピング特性がセッティングされている為です。
ダイヤルによってアジャスト出来る以外の減衰特性が車種専用に完璧にセッティングされており、それが他社に真似のできないオーリンズの価値でもあります。
また、シンプルなデザインは故障や破損しにくく、各部はもちろんフルアジャスタブル。
非分解式の純正サスペンションとは全く異なる完全分解可能とするのを設計コンセプトとしており、オーバーホールすることで新品同様の性能を回復させる事が可能です。
上下取付け部はゴムブッシュを介さないダイレクトなベアリング支持(スフェリカルベアリンング支持)、大容量リザーバータンクで熱ダレ防止、伸側30段、圧側20段のワイドレンジ設定となっています。
プリロードアジャストナットも特徴的で、通常のダブルナット式ではなく独創のシングルナット式アジャスターとなっています。
プリロードアジャスターを少し回しただけ、ダイヤルを1クリック回しただけ、そんな動作でも超高精度に加工されている事が手に伝わる感触で理解できます。
リアショックアブソーバー“レジェンド・ツイン”
上記のツインショックアブソーバー“S36”をベースに、旧車やクラシックな車体に似合うフォルムへと変更を加えたモデルです。
内部構造は通常のツインショックと変わらないので、性能は全く同じです。
違いは見た目のみ!
また、レジェンドツインはスプリングカラーがオーリンズカラーの黄色の他に、純正っぽい外観を重視する方の為に黒いスプリングが選択可能になっています。
と言うのも、その昔オーリンズのツインショックは鉄ボディに黒いスプリングが基本でした。
ボディ材質は最新のアルミボディになっていますが、往年の名車を当時の雰囲気で乗りたい方にとって黒スプリング仕様は非常にありがたいです。
圧側ダンピング調整ダイヤルも当時と同じく黒い樹脂製となっており、最新のツインショックを出来るだけ当時の雰囲気で乗りたい方に最適!
見た目は当時風ですが中身は最新のテクノロジーで再設計された最新型ツインショック“S36”と同じなので、装着すれば旧車らしからぬ見事な動きを見せてくれます。
つまり、オーリンズはこんな方におすすめ!
大昔のオーリンズはボディが鉄製でした(私が所有している一番古いオーリンズはコレ)。
高価なサスペンションなのに、正直言って見た目は大した事が無かったのです。
しかし現在のラインナップは極一部を除いて全て高品質なアルミボディやサビに強いクロームメッキ仕上げとなっており、値段に見合った大変高級感のあるルックスになりました。
それに、確かに高価ではありますが性能は昔から超ド級なので、装着すれば誰でも容易にその効果が体感できます。
例えサスペンションセッティングの事が解らないという方でも、動きの良さは必ず体感できます。
しかも、調整ダイヤルを回せば直ちに「何かが変わった」と体感できるほど従順なので、純正サスペンションでサスセッティングしようとしたけど良く解らなかったという方でも心配ありません。
オーバーホールすれば末永く使えて、いつだって乗る度にしっとりとした感動を与えてくれるオーリンズは、決して高い投資ではないと思います。
一生乗るつもりのバイクが有る方ならもちろん、しばらく乗り換えるつもりの無いお気に入りのバイクが有る方にも、オーリンズは超オススメです。
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生産が滞り、いつ入荷するか不明でキャンセル不可。
そりゃ無いだろ?!
それをウェビックに言っても仕方ないでしょう
仕入元の卸屋か輸入元か製造元に言わなきゃ
むしろキャンセルされられて1番迷惑してるのはウェビック