【ヤマハ SR400】
ディテール&試乗インプレッション

1978年に発売開始されて以来、細部の変更はありながらもずっと変わらないスタイリングとシングルエンジンを搭載して販売され続けているのが、このSR400です。
40年にも渡るSR400の歴史の中でも、2008年の排ガス規制強化によって一旦生産を終了し、様々な対策を施して2009年に復活したことは大きな出来事でした。
今回メーカーにお借りして試乗した車両は最新モデルで、当然ながら2009年以降の規制に合わせて燃料供給装置がインジェクションに変更されたモデルです。
それ以前の、キャブレター時代のモデルを所有して乗っていた私にとっても、非常に興味深い試乗の機会となりました。

世の中の流行や時勢に合わせて、発売されてはやがて市場から去っていく車両が多い中で、40年にも渡ってここまで愛され、販売され続ける魅力とは一体何なのか?に迫ります。

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ずっと変わらない「普遍的なオートバイ」デザイン

「オートバイを描いてみよう」と言ったら、恐らく半分以上の日本人が思い描くのが、このSR400のようなカタチのバイクではないでしょうか。
丸いヘッドライト、丸みを帯びたタンク、むき出しのエンジンと冷却フィン、低く真っすぐ伸びたマフラー・・・それらをまとめると正にSR400の姿になります。
サービスエリアなどでのバイク駐輪場を示す看板のマークも、SR400のようなシルエットなのをよく見かけますよね。

そんなバイクの典型的なカタチともいえるSR400の車体デザインですが、現在でも通用する美しさとシンプルさを持っています。

どの方向から見ても、構成されるパーツの全てが、無駄のないシンプルで力強いラインです。
現代的なバイクの目をそこに釘付けにさせるような躍動感あるデザインとは別種の、どこに置いてあっても妙に落ち着いて馴染む安心できるスタイリングですね。
年式によって微妙な差異はあるものの、全体的なスタイリングは40年近く不変で、メーカーが発売当初から強い意志でこのバイクを販売し続けていることに敬意さえ覚えますね。
2012年には「長年にわたり製造販売され生活者に支持され続ける優れたもの」としてグッドデザイン・ロングライフデザイン賞という栄誉も受賞しています。

灯火類もシンプルで力強さを強調

ヘッドライトは、オールドルックな丸型の大きなサイズのもの。
90年代中盤にダートトラッカー風カスタムが流行した際には、ヘッドライトを小振りになものに交換することが流行りましたが、やはり「SRらしさ」を象徴する顔として、このサイズのヘッドライトの存在感抜きには語れません。

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ウインカーも大振りな丸型で、古き良き時代のバイクの姿を継承しています。
オレンジの発色も良く、右左折時にこれほど主張をするウインカーも現行車両の中ではあまりありません。
ヘッドライトの丸とウインカーの丸のバランスが絶妙で、人間の表情のようにも思えてくるのは、SR400を愛し過ぎのせいでしょうか(笑)

テールライトもシンプルな角型で、リフレクターと合わせて大きなサイズです。
他部品の優しい曲線デザインから、突然四角のレンズが存在感を主張しています。
台形をしたルーカスタイプのテールランプへの交換も、メジャーなカスタムの一つとなっていますね。

クラシカルな2連アナログメーター

メーターはイマドキの中排気量バイクとしては珍しくなったアナログメーターです。
アナログ速度計とアナログ回転計の針の動きは、なんだかホッとする暖かい動き方です。

メーター内には、FI化されて燃料コックが無くなったかわりに、燃料残量警告灯がつきました。
盗難防止に役立つイモビライザーと、その作動を知らせるインジケーターランプも搭載されているので安心です。
ヤマハの音叉マークとSRのロゴも、細かいけれどオーナーを嬉しくさせるポイントですね。

そしてクロームメッキで仕上げられた円筒形のボディもクラシックな造形としてのポイント高し!メーターの角度にも、長年熟成された見やすくするノウハウが詰まっています。
キーシリンダーも、スッと手を伸ばしやすい位置(メーター手前)に配置されていて、自然と馴染みます。

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ハンドルは適度にアップライト、ボタンはシンプルのこの上無い

ハンドルは適度にアップライトなもので、手を伸ばすと自然と身体が起きる位置にあります。
普段は楽な姿勢で乗車できますし、スポーツライディング時には少し前傾姿勢をとることでより積極的に、車体を倒し込む動きが容易になります。

ハンドルに取り付けられたボタン類はとてもシンプルで基本的なものだけで構成されています。
SR400にはセルモーターも装備されていませんので、当然セルボタンも無く、プリミティブなバイクとしてのシンプルさがここにも表れています。
どの年代のモデルを乗っても、変わらぬ機能がそこにあってすぐ手に馴染むのは、長い年月熟成されたモデルだからこそですね。

レバーを遠くしたり近くする調整機能はついていません(遊びは調整可能)。
指が標準的な男性よりも短く手が小さい私は、SR400所有時には社外品のより手前に近くなるレバーに交換して乗っていました。
そしてSRといえば、の左グリップ下に生えるデコンプレバーは、その車両が「始動方法はキックのみ」であることを物語る重要なパーツです。

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シートは分厚くフラットで乗りやすい!

シートの表皮は滑り難い素材のもの。厚さはそこそこあるので通勤や街乗り程度で困ることはありません。
ただしSRのシングルエンジンは振動が大き目なことも味の一つなので、長時間の高速走行ではお尻が音をあげることも・・・そんな場合には、社外品のよりお尻に優しいフォームを採用したシートへの交換を検討してもいいでしょう。

シート角は適度におとされているため、足つきの良さに繋がっています。
シート高の数値は790mmとこのタイプの車両としては標準的なものですが、シングルエンジンのスリムな車体もあって足つきは数値以上に良く感じます。
身長167cmの私でも、踵が少し浮く程度で安心して両足でまたがっていられました。

シートの前後の長さも十分なのでタンデムは楽そうです。デザイン上のポイントにもなっているグラブバーがあるので安心ですね。

SRを象徴する流線形タンク

SRのデザインを代表するパーツと言っても過言ではない、流線形のガソリンタンク。
初期モデル以来、数多くのカラーリングが存在していて、自分のお気に入りのカラーを探すのもSRの楽しみ方の一つですね。
またカフェレーサースタイルやダートトラッカースタイルなど、多くのSRカスタムジャンルが存在することから、社外品タンクも数多くリリースされています。
そうしたカスタムを楽しむこともSR400を取り巻く文化の一つと言えるかもしれません。

またタンク容量は12Lで、このインジェクションモデルの試乗では実燃費が28km/lだったことから、300km強の航続距離はあるでしょう。

クラシックなタイヤサイズとスポークホイール

タイヤサイズは前後ともに18インチで、これはクラシカルなバイクとしては標準的なサイズ。
未だに人気のある車種が多いだけに、タイヤの選択肢も多く自分の走行シーンに合った特性や銘柄を選ぶことができます。
チューブタイプのため乗り味は優しいですが、突然のパンクには注意したいところ。
遠距離を走る場合などは、自身でパンク修理できる技術を身につけて工具を持つか、バイクレッカーサービスに加入しておくなど準備を万全にしておきたいですね。

▲フロントタイヤ 90/100-18インチ
▲リヤタイヤ 110/90-18インチ
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ビッグシングルエンジン+キックスターターはSRのアイデンティティ

オフロードモデルXT500をご先祖様とするSR400の400cc単気筒エンジンは、その味わい深い鼓動とシンプルな造形美で、SRのSRたる所以ともされるところです。
それほど速度を出さない領域からのトコトコ感は、バイクという機械を走らせている感覚を増幅させ、この車両の持つ大きな魅力=存在意義ともなっています。

このインジェクション化されたモデルは、トコトコ感をうまく残しながらも粘り強い特性を強化していて、キャブ時代のモデルよりもギクシャク感なくスムーズに走らせることが感動しました。
さらに中~高回転域のスムーズさも向上していて、エンジンを回す気持ち良さがキャブモデルよりも上ではないかと感じました。

エンジンパワーは26psと、最近の250ccスポーツモデルよりも低い数値なのは事実です。
ですがそうしたスペック競争に巻き込まれることなく、SRはSRだけの道を行くことができる稀有な存在の車両です。どのシーンでも使い切れるパワーの気持ち良さと、エンジンの鼓動感がもたらす興奮は、単純な速度や数値、パワーでは測れないものがあります。
つまりSR400は、メーカーの言うところの「官能性能」が高いモデルだといえるでしょう。

またもう一つの「SRらしさ」を象徴するのが、キックスターターの存在です。
初期モデル以降、ライバル車種がセルスターターを装備しようとも、自身がインジェクション化されようとも頑なにキックスターターだけのエンジン始動方式を守ってきました。
キャブモデル時代は、慣れない者にはハードルが高く感じることもあったキック始動ですが、インジェクション化されたこのモデルでは、簡単にキック一発でエンジン始動させることができました。
まるで儀式のようにデコンプレバーやキックインジケーターを駆使して、少し緊張しながらキックを踏み下ろしていた時代を懐かしく思いますが、現代的で優しい始動性を手に入れたSRは、より多くの人に歓迎される存在になったのも確かです。

まとめ

1978年から発売されたSR400は、これまで数々の時代の流れを乗り越えて変わらずに販売され続けてきました。
今回の取材では、変わらないカッコ良さの再確認と同時に、目に見えにくい部分での「進化と深化」を続けてきたことを実感できました。

昨今の時代性を反映してか「良いものを長く使う」ことが素敵なライフスタイルとされていますが、SR400とライダーたちはそれを40年近く前から実践してきたとも言えます。
平成28年排ガス規制によって、ヤマハだけでなく他社も含めて歴史あるモデルが次々と生産終了するというさみしいニュースも聞こえてきますが、SR400はヤマハだけでなく日本のバイクを代表する車種として、いつまでも私たちの前を走り続けてほしいと願っています。

撮影協力:ヤマハ発動機株式会社

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